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第一章 レイン=カラーの怠惰な一日
第十話 じゆうに
しおりを挟むそして放課後。トパが友達と談笑している隙を突いて、教室を出る。そのままブラブラと学園の敷地内を歩き回り、人気のあまりない校舎の裏手に行く。
校舎の壁に寄り掛かりながら、ポケットから通信魔法端末を取り出す。トパから音声通信が入っていた。その数分後には文章通信も。
『いまどこにいるのー? 一緒に帰る約束はー?』
そんな約束してねえ。無視だ無視。
その時、ガサリと周囲で音がした。三人分の足音。
「よお。こんなとこに一人でいたら危ねえんじゃねえのー」
右側から声。左側には取り巻きの二人。
一限目と二限目の授業でラルドにちょっかいを出した三人組だ。
「もしかしてエロイもんでも見てたのかなあ? お邪魔しちゃったかなあ? クックックッ」
ゲスな笑い。取り巻きの二人もニヤニヤしている。
「ついでに俺達も楽しませてくれよお。テメーをボコボコにブッ飛ばすっていう最高のストレス解消でよお」
「…………」
「おい! 無視してんじゃねえよ! この状況が分かってねえバカなのか⁉ ここなら誰も来ねえ! 助けは呼べねえぜ!」
「……はあ……」
溜め息をつきながら魔法端末をポケットにしまう。おびき出されたのは自分達だってことにも気付いてねえとはな。
「……ほんとにバカな連中だな……ミジンコ以下の脳ミソかよ……」
「あんだと⁉」
三人の額に青筋が浮かぶ。
「やっちまえ! おまえら!」
言うが早いか取り巻き二人が殴り掛かってくる。
その二人の頭に手を置いて、一瞬で地面に叩きつけた。
「…………ッ⁉」
取り巻きの一人の背中を踏みつけて、驚愕するばかりで何が起きたか分かっていない親分へと、悪魔的な笑みを浮かべながら。
「ここなら自由に出来る。助けを呼べねえのは、てめえらのほうだ」
…………。
翌日。三人の姿は教室から消えていた。
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