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第二章 ゾディアックにまつわる面倒な連中
第三話 いろいろ
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魔法生物学の授業。
場所は教室から移動し、学園敷地内にある総合訓練施設。学生達からの通称は『スタジアム』。
「本日は多くの魔物が持つ、体色について説明していきます」
ジャージ姿の若い女教師が言う。授業かどうかに関わらずいつもジャージ姿なので、学生達からはジャージ先生と呼ばれている教師だ。
ちなみに魔法生物学では時に野外活動や魔物との関わり合いの授業をおこなうことがあり、学生もジャージに着替えることがある。今回はそこまででもないのか、クラスメイト達は学生服のままで、一応念のために女子はスカートの下にジャージを着ている程度だった。
「皆さんも既に習ったことがあるように、魔物の中には通常色とは別にそれぞれの体色を持つものがいます。代表的な色は赤や青、黄色や緑であり、それぞれの体色ごとにステータスが異なっています」
ジャージ教師が手に持つクリップボードに視線を落とす気配。教師の前にはクラスメイト達が膝を抱えるように座っている。俗に言う体育座りというやつだ。
「一般的な認識としては、赤は攻撃力、青は素早さ、黄色は防御力、緑は回復力がそれぞれ高いです。また赤は炎魔法、青は水魔法、黄色は土魔法、緑は風魔法が得意とされています」
隣に座るトパが耳元に顔を寄せる気配。授業を邪魔しないように、小さな声。
「また寝てるの、レイン? たまには起きてないと、ジャージちゃん傷付いちゃうよ」
無視する。
いつものように目を閉じて顔を伏せているが、この教師は魔法実技の先公とは違って、チラチラと見てくることはあっても何か言ってくることはあまりないので、気が楽でいい。
今回も時たまチラ見の視線を感じるが、それでもジャージ教師はつつがなく話を続けていく。
「これが体色を持つ魔物の特徴ですが、中にはこの基本例に当てはまらない魔物もいるため、気を付けてください。また難易度の高いダンジョンなどでは、複数の体色を持つ魔物が出現することもあるので、油断は禁物です」
ちなみに、何故魔物がそれぞれの特徴ごとに体色が分けられているのか、それに関してはまだ完全には解明されていない。研究は進められているらしいが、あるいは魔界の影響が関係しているのではと言われているくらいだ。
「それでは、これからは体色を持つ魔物の代表例でもある、スライムの立体データを実際に見てみましょう。『ホログラム』」
ジャージ教師の手元に魔法陣が浮かび上がり、教師の左右に赤青黄緑のスライムの立体データが出現する気配。
スライムはカップゼリーを逆さにしたような見た目で、目や口などはなく、内部に核と呼ばれる小さな球体を備えている。
ゼリーやプリンのようにプルプルと震えるスライムを見て、データとはいえクラスメイト達は、
「「「「おおーっ」」」」
と声を上げる。
「これはデータなので、襲ってくることはありません。それでは皆さん、それぞれのスライムの周りに集まってください。一班と二班はレッドスライム、三班と四班はブルースライム、五班と六班はイエロースライム、七班と八班はグリーンスライムへ」
ジャージ教師の掛け声とともにクラスメイト達がスライムの周りに群がっていく。
「ほら、レインも行こ」
「…………」
トパが言ってくるが無視する。すると彼女は腕を強引に引っ張ってきて。
「いーくーのーっ!」
目立つのは嫌な上に引きずられるのも嫌なので、仕方なく立ち上がる。
「お、やっと起きた」
「…………」
無視して指定のスライムの元へと行く。そこに集まる奴らから少しだけ離れて、大きなあくびを一つした。
場所は教室から移動し、学園敷地内にある総合訓練施設。学生達からの通称は『スタジアム』。
「本日は多くの魔物が持つ、体色について説明していきます」
ジャージ姿の若い女教師が言う。授業かどうかに関わらずいつもジャージ姿なので、学生達からはジャージ先生と呼ばれている教師だ。
ちなみに魔法生物学では時に野外活動や魔物との関わり合いの授業をおこなうことがあり、学生もジャージに着替えることがある。今回はそこまででもないのか、クラスメイト達は学生服のままで、一応念のために女子はスカートの下にジャージを着ている程度だった。
「皆さんも既に習ったことがあるように、魔物の中には通常色とは別にそれぞれの体色を持つものがいます。代表的な色は赤や青、黄色や緑であり、それぞれの体色ごとにステータスが異なっています」
ジャージ教師が手に持つクリップボードに視線を落とす気配。教師の前にはクラスメイト達が膝を抱えるように座っている。俗に言う体育座りというやつだ。
「一般的な認識としては、赤は攻撃力、青は素早さ、黄色は防御力、緑は回復力がそれぞれ高いです。また赤は炎魔法、青は水魔法、黄色は土魔法、緑は風魔法が得意とされています」
隣に座るトパが耳元に顔を寄せる気配。授業を邪魔しないように、小さな声。
「また寝てるの、レイン? たまには起きてないと、ジャージちゃん傷付いちゃうよ」
無視する。
いつものように目を閉じて顔を伏せているが、この教師は魔法実技の先公とは違って、チラチラと見てくることはあっても何か言ってくることはあまりないので、気が楽でいい。
今回も時たまチラ見の視線を感じるが、それでもジャージ教師はつつがなく話を続けていく。
「これが体色を持つ魔物の特徴ですが、中にはこの基本例に当てはまらない魔物もいるため、気を付けてください。また難易度の高いダンジョンなどでは、複数の体色を持つ魔物が出現することもあるので、油断は禁物です」
ちなみに、何故魔物がそれぞれの特徴ごとに体色が分けられているのか、それに関してはまだ完全には解明されていない。研究は進められているらしいが、あるいは魔界の影響が関係しているのではと言われているくらいだ。
「それでは、これからは体色を持つ魔物の代表例でもある、スライムの立体データを実際に見てみましょう。『ホログラム』」
ジャージ教師の手元に魔法陣が浮かび上がり、教師の左右に赤青黄緑のスライムの立体データが出現する気配。
スライムはカップゼリーを逆さにしたような見た目で、目や口などはなく、内部に核と呼ばれる小さな球体を備えている。
ゼリーやプリンのようにプルプルと震えるスライムを見て、データとはいえクラスメイト達は、
「「「「おおーっ」」」」
と声を上げる。
「これはデータなので、襲ってくることはありません。それでは皆さん、それぞれのスライムの周りに集まってください。一班と二班はレッドスライム、三班と四班はブルースライム、五班と六班はイエロースライム、七班と八班はグリーンスライムへ」
ジャージ教師の掛け声とともにクラスメイト達がスライムの周りに群がっていく。
「ほら、レインも行こ」
「…………」
トパが言ってくるが無視する。すると彼女は腕を強引に引っ張ってきて。
「いーくーのーっ!」
目立つのは嫌な上に引きずられるのも嫌なので、仕方なく立ち上がる。
「お、やっと起きた」
「…………」
無視して指定のスライムの元へと行く。そこに集まる奴らから少しだけ離れて、大きなあくびを一つした。
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