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第四章
第十一話 きらめき
しおりを挟むユキの姿が視界から消える。刹那、背後からかすかな魔力の揺らぎを感じて、即座に振り返って魔力剣を構える。間一髪のところでユキの拳を防いだ。
「はっ、よく反応出来たなあ! だが意味はねえ!」
ユキの拳に込められている魔力がさらに増大していく。さっきと同じく、魔力剣を破壊する気なのだろう。
「……ちっ……仕方ねえな……」
ユキがしているのと同じように、全身に魔力をみなぎらせていく。それに伴って魔力剣の魔力も増大させていき……。
「いつまでも防戦一方だと思ってんじゃねえぞ」
高速で移動し、ユキの背後を取る。今度は彼女が振り返り、振り下ろした魔力剣に拳を叩きつけた。防御と、あわよくば魔力剣を破壊しようという攻防一体技術。
「ちっ、壊れねえか。いまのわたしと同じくらいの魔力を込めてるたあな」
ユキが高速移動し、負けじと高速移動でそれに対応する。そして魔力剣と拳のぶつかり合い。互いの魔力量は凄まじく、たとえ一撃でもまともに食らえば気絶は免れないだろう。
それらの魔力の衝突は、傍目からは光の煌めきにも見えたかもしれない。
「かっかっかっ。嬉しいねえ。まさか一年にわたしと渡り合える奴がいるとはねえ」
まだまだ余裕があるというように彼女が笑みを浮かべる。
「本当に実力だけならゾディアックに匹敵するんだねえっ」
「全くもってありがたくねえな。それより、そろそろ一分経つぜ。てめえもやっぱり大したことねえな」
「かっかっかっ。それはどうかな」
奴の全身から発散される魔力がさらに増加する。それはいままでの数倍にも上り、常人が出来るそれを遥かに逸脱していた。
「……ちっ……ありえねえことしやがる……」
本来であれば、これほどの魔力をまとえば、そもそも人間の肉体が耐えきれずに崩壊していくはずだ。
しかし、ユキは自身の魔力で傷付いていく身体を、持ち前の圧倒的な回復魔法で瞬時に治療していた。
……死なない限り治せる……その曰くは確かだったらしい。あの回復魔法が使える限り、ユキは果てしなく強くなり続けるだろう。
「これで本当に終いだっ!」
彼女が拳を振りかぶる。と思った次の刹那には目の前にその拳が迫っていた。
よそ見していたわけでも瞬きしていたわけでもない。ただ単純に奴の動きが速すぎただけの話だった。
……まさかこの技を使う破目になるとはな……。
この考えも直感的に頭に走ったものであり、最初から考えていたわけでも、口に出せたわけでもない。
ただ気付いた瞬間には信じられない反射速度で身体が勝手に反応していた。
受け流し。
ユキの拳を魔力剣の側面で、木の板を水が流れるように受け流していき……。
その勢いのまま、彼女から迸る魔力の奔流を魔力剣に乗せて、いうなれば彼女自身の力を逆に利用して、その力ともども。
「…………っ⁉」
眼球及び彼女の脳が収まっている頭部に魔力剣を振り抜いた。
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