かつて天才と言われた落ちこぼれ。ムカついたので自由に生きてたらいつの間にか最強と言われるようになってた件

はくら(仮名)

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第五章

第五話 うるせえ

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 ローカストデビルは強力な個体になると強化魔法などを使えたりするが、幸い、いま戦っている奴らはそのような魔法は使えないようだった。
 それでもバッタ種族ならではの脚力を誇っていて、驚異的なジャンプや蹴り、突進などをかましてきたりする。

「はっ。その程度で俺を返り討ちにしようってか」

 だが慣れてしまえば、なんてことはない。要は奴らの足に注意していればいいわけだ。
 そうして一体目を狩り終えたころ。

「あんぎゃーっ⁉」

 だの。

「おんぎゃーっ⁉」

 だのといったトパの叫びが響き渡っていた。どうやらあっちのほうは苦戦しているらしい。まあ、この程度の魔物だ、トパでも時間を掛ければ討伐出来るだろ。

「うんぎゃーっ⁉ 気色悪いよおーっ⁉」

 声に涙色が混じっていた。
 ……やはりあいつを連れてきたのは失敗だったか?
 そんなこんなで討伐開始から十数分後。ようやくのことでローカストデビルの全討伐が完了する。結局、左の二体の討伐が早く終わり、トパの戦いを手伝うことになったが。

「ふいーっ、やっと終わったねぃ。あー、気色悪かったー」

 汗を拭うように小さな顎に手の甲を持っていくトパ。

「触角ついてるぞ。頭」
「いんぎゃーっ⁉」

 身体を飛び跳ねさせるようにびっくりするトパ。戦いが終わったばかりなのに元気な奴だ。むしろさっきからうるさいくらいだが。
 触角を取ろうとしているのかは知らないが、地面をゴロゴロ転がるトパに言う。

「とにかく、おっさんに報告しに行くぞ。討伐が終わったってな」
「待ってえーんぎゃーっ⁉ 触角がーっ、触角がーっ今度は身体にいーっ⁉」
「……うるさすぎだろ……」

 やっぱり連れてきたのは失敗だったかもしれない。まあもう遅いが。
 そうして、おっさん達が避難している場所まで向かい、ローカストデビルの討伐が完了したことを伝える。それを聞いたおっさん達はほっと胸をなで下ろして。

「良かった。これでまた安心して暮らせます。作物も収穫出来るようになります」
「あと一応、あとで文句を言われてもアレだから言っとくが、討伐の際に畑を少し荒らしちまったからな。あとで確認しとけ」
「分かりました。でも少しくらいなら仕方ありませんよ。魔物に食い荒らされ続けるよりはマシです」
「…………。とにかく伝えたからな。報酬を忘れるなよ」
「はい、ご心配なく。カラーさんはギルドに登録されている口座に振り込みでいいですよね? それともいま手渡しますか? 家に一応用意しているので」
「どっちでもいい。あんたの好きにしろ……そういや、トパは飛び込みだったな。ギルドに口座は登録してんのか?」

 声を掛けると、さっきまでの元気はどこへやら、トパは疲れたように肩を落としながら。

「……うん……でもギルドを経由して依頼を受けたわけじゃないから、ギルドに討伐達成の報告しても、どうなんだろうなーって感じ」
「ローカストデビルの羽ついてるぞ、背中に」
「がんぎゃーっ⁉ もうイヤーっ⁉」

 またも地面を転がりやがる。なんだ、やっぱり元気じゃねえか。
 それを見たおっさんは苦笑いをしながら。

「……ははは……それじゃあ、ロイさんには手渡しですね。あ、それじゃあ、カラーさんも手渡しのほうがいいかもしれませんね」
「そういや伝え忘れるところだったが、ローカストデビル達の死体はあらかた燃やしといたからな、炎魔法で。そこら辺に放置してたら、別の魔物がハイエナしてくるかもしれねえからな。まあ、あんなのを食う物好きはそういねえだろうが」
「ありがとうございます」

 おっさんを始めとして、その家族や近所の奴らが礼を言ってくるなか。

「レイぎゃーっ⁉ この羽も燃やしぎゃーっ⁉」
「……うるせえな……」

 こいつが一番、魔物なんかよりも迷惑なんじゃねえか?

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