かつて天才と言われた落ちこぼれ。ムカついたので自由に生きてたらいつの間にか最強と言われるようになってた件

はくら(仮名)

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第五章

第六話 くいつく

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「もうすぐお昼ですし、討伐のお礼も兼ねて、お昼ご飯も食べていきませんか?」

 おっさんの家に寄って討伐報酬金の入った封筒を受け取ったあと、おっさんがそう言ってきた。

「いや、気持ちはありがたいが、俺は早く帰りたいんでな。遠慮しとくよ」
「そうですか? それは残念です」

 おっさんにそう返事をすると、しかしそばにいたトパが。

「えーっ⁉ 食べていこうよーっ! せっかく街の外に出たんだし、こののどかな風景を見ながらさーっ」

 そう文句を言ってきた。頭や背中についていたローカストデビルの触角や羽はもう燃やしたあとだったが、相変わらずうるさい奴だ。

「面倒くせー。俺は早く帰って家でゴロゴロしてーんだよ」
「むーっ! レインってばいつもそーだよねーっ! そんなんじゃいつか牛さんになっちゃうよーっ!」
「なってたまるか」

 頬を膨らませて、なおもトパは納得していない様子を見せる。

「そっちのほうこそ、頬を膨らませすぎて牛になっちまいそうだぜ」
「ならないよーだっ!」

 怒ったように舌を、べーっ! と出すトパ。しかしそこで何かを閃いたのか、不意に明るい顔になって、おっさんに尋ねる。

「ねえねえおじさん、ちなみにお昼ご飯はなんですか?」
「そうだなあ、肉や野菜があるし天気もいいから、外でバーベキューなんてのもいいかもしれませんね。それがお気に召さなければ、家の中で普通にお皿に盛って、お出ししますけど」
「いいねー、バーベキューっ! おいしそうだねぃっ! ねっ、レインっ」

 トパが言ってくる。

「バーベキューなんて普段あんまり食べないし、いまならそれがタダで食べられるんだよっ。こんなチャンス、滅多にないよっ」
「…………」

 おっさんに顔を向けて、腑に落ちないことを尋ねた。

「おい、作物は食い荒らされてたんだよな。よくそんなに肉と野菜が余ってるな?」
「ああ、そのことですか。備蓄ですよ。台風や冷夏などで作物が不作の時に備えて、普段からある程度は備蓄しているんです。じゃないと、飢え死にしてしまいますので」
「…………」
「それでも足りない時は、街に買い出しに行くことになってしまいますが……。まあ、今日は魔物を討伐してくれたお礼に、奮発したいってところですね」

 はははと笑いながらおっさんは答える。その笑顔に曇りはなく、ウソはついていないように見えた。
 おっさんに続けて、追撃するようにトパが言ってくる。

「ね、ね、レインっ。納得したならさっ、しようよっ、バーベキューっ! タダだよ、タダっ!」

 やけに無料だということを強調してきやがるな。

「はっ。タダなら俺が食いつくと思ってんのか? 俺も甘く見られたもんだなあ、くそがっ。おいおっさん、さっさとバーベキューの用意をするぞ。道具はどこだ?」
「え? あ、はい、こっちです!」

 すかさずトパがツッコミを入れてくる。

「食べるんじゃんっ! タダで食いつくだだあまのレインじゃんっ!」
「黙れ。誘ったのはてめえだろうが」
「据え膳に食いつく、食い意地の張った腹ペコのレインじゃんっ!」
「黙らねえと無理矢理にでもその口を塞ぐぞ、くそがっ!」

 そういうことでバーベキューをすることになった。
 さて、食うか。魔物の討伐で腹も減ってるし。

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