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185.転売屋は損をする
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基本俺が損をすることは無い。
鑑定スキルと相場スキル。
この二つがあれば真贋はおろかモノの値段も全てわかってしまう。
だから俺はそれに見合った値段で物を買い、そして売ればいい。
ただそれだけだ。
だがそんな俺でもごく稀に損をすることがある。
そう、こんな物のように。
「ねぇ、なにこれ。」
「見たらわかるだろ、飴だよ。」
「いや、わかるけどなんでこんなのがあるの?甘いの好きだったっけ?」
「嫌いでもなければ好きでもないな。」
「じゃあ、なんでこんな甘いものがこんなにもあるのよ。」
エリザが指さした先にあるのは、各辺50cm程の木箱。
その中には溢れんばかりの飴が入れられている。
「飴細工の職人が来ててな、買ったんだ。」
「いや、どう見ても細工関係ないでしょ。」
「そうだなぁ、丸くてくるんであるだけだしな。」
セロファン的な何かで包まれているごく普通の飴。
「ちなみに全部でいくら?」
「銀貨5枚ぽっちだ。」
「高!」
「そうか?」
「高すぎでしょ!シロウともあろう者が何ぼったくられてるのよ。」
「ぼったくられてるわけじゃないけどなぁ、この量だし。」
どう見ても500個は入ってるだろう。
別にぼったくられているとは思わない。
「美味かったぞ?」
「虫歯になっても知らないんだから。」
「別に俺が全部食べるわけじゃねぇよ。」
「じゃあ誰に上げるのよ。」
「ガキ共に決まってるだろ。」
雇用主としては労働者への福利厚生も立派な仕事のうちだ。
この寒空の下で土いじりしてるんだから、いつもよりご褒美が多くても別に構わないだろう。
「ふ~ん・・・。」
「なんだよ。」
「私にはないのかなって。」
「この前、魚食べさせてやっただろ。」
「そうじゃなくて~。」
「ったくうるさいな、これでも食ってろ。ミラ、ちょっと出て来る。」
「行ってらっしゃいませ。」
包みを外してエリザの口に一つツッコんでやる。
「あ、美味しい。」
そんな声を聞きながら店を出た。
その足で向かったのは教会・・・ではなく市場だ。
さっきも言ったが今日のノルマはまだ終わってない。
「お、なんだこれ。」
「らしゃい!昨日入って来たばかりの干しモイだ。」
「干しモイ、芋じゃないのか?」
「芋は芋だがこいつはちょっと違うんだよな、焼いても煮ても食えないが干せば甘みがギュッと詰まって美味いんだ。特に今年は例の寒気で一気に乾燥できたから甘みが凝縮されて最近じゃ一番の出来だよ。良かったら食ってみるか?」
「いいのか?」
「味を知ったらもう逃げられないぞ。」
「いうじゃないか。」
切った芋をそのまま乾燥させただけのシンプルな干し芋・・・もとい干しモイ。
白く粉をふいているやつをもらって口に入れる。
な、なんじゃこりゃ!
噛めば噛むほど甘みが広がって口の中が芋だらけになる。
口の中が宝石箱ってレベルじゃない。
もはや爆弾だ。
美味い。
焼いた芋の方が好きだったんだが一気に好みが変わってしまいそうだ。
「どうだ?」
「美味い。」
「だろ?さぁ、この味を知ったらもう買わずには帰れないぜ。」
「だな。全部くれ。」
「毎度!って全部?」
「あぁ、あるだけくれ、いくらだ?」
「いや、あるだけってかなりの量だぞ?」
「後ろにあるのが全部だよな?」
「あ、あぁそうだが・・・。」
「なら全部買ったら申し訳ないが店まで届けてくれ。まだ用事があるんだ。」
目が点になっているオッサンを何とか正気に戻し、代金を支払う。
しめて銀貨32枚なり。
思ったよりも安かったな。
店の場所を教えたんだが、最後は無言でコクコク頷くだけだったんだが・・・。
いやー、あれはめっけもんだった。
品種を聞いておいたので来年うちでも栽培してみよう。
幸いにも広い畑はあるんだ、楽しみが増えたな。
っと、また何かあるぞ。
「どうぞ、見て行ってください。」
「これは何だ?」
「えっと、お守りです。」
「お守り?」
「おばあちゃんが作っている奴なんですけど、中に魔物が嫌いなお香が入っているんです。」
「匂い袋的な奴か。」
「えっと、そうかもしれません。」
次に見つけたのは、いかにもという怪しげな黒のローブをまとった女性の露店だ。
話し声から察するにまだ若そうだが、生憎この世界には見た目で決めちゃいけないという決まりがある。
「触ってもいいか?」
「ど、どうぞ。」
一つ手に取ると、即座にスキルが発動した。
「袋。中にキーライの薬草が入っている。最近の平均取引価格は銅貨5枚、最安値銅貨1枚、最高値銅貨8枚。最終取引日は本日となっています。』
袋扱いか。
お守りという固有のものとしては認識されていないようだ。
だが、中に入っているのは間違いなく魔物が嫌う匂いを発する薬草。
言っていることは嘘じゃない。
「刺繍が綺麗だな。」
「おばあちゃんは裁縫が得意なんです、だからいっぱい作って私が薬草を採って来るんです。」
「この辺じゃ見かけないよな、ずいぶん遠くから来たのか?」
「通りがかりの商人さんに乗せてもらいました。美味しいお芋を売っている商人さんです、よかったらそっちも・・・。」
「あぁ、そっちは全部買い占めた。」
「買いし・・・。」
トーンが弾んできたと思ったら絶句されてしまった。
しかし本当に綺麗な刺繍だ。
細かいし、色使いもなかなかに良い。
お守りとしての効果はわずかでも物としては中々だ。
「他にもあるのか?」
「えっと、巾着とひざ掛けがあります。」
「それも見せてくれ。」
後ろにかかっていた布を慌てた様子で外してくれた。
『布。保温性の高い生地で作られている。最近の平均取引価格は銅貨10枚、最安値銅貨5枚、最高値銅貨69枚。最終取引日は本日と記録されています。』
うん、布だわ。
特に変わった感じはないがこれも綺麗な刺繍が入っている。
「機織りか何かか?」
「こっちは母が作りました。こっちの巾着は私が。おばあちゃんやお母さんのに比べるとまだまだですけど・・・。」
どこかの伝統工芸品なのかもしれない。
俺の世界にも一子相伝的な奴はあったんだから、この世界にあってもおかしくない。
たしか中央アジアかどこかでは各家々が紋章みたいなものを縫っているんだとか漫画で読んだきがする。
それと同じだろう。
「いいや、そっちの巾着も綺麗だ。全部くれ。」
「え?」
「だから全部くれ、いくらだ?」
「全部ってこれ全部ですか?」
「お守りと巾着とひざかけだろ?」
「そうです。」
「その全部だ。」
また目が点になってしまった。
少女を正気に戻し代金を計算させる。
何故かガクガク震えていたんだが寒いんだろうか。
確かに冷え込むもんなぁ。
「ぜ、全部で銀貨88枚です。」
「釣りはあるか?」
「えっと、いくらですか?」
「金貨1枚出すから銀貨12枚だ。」
「ごめんなさい、そんなにないです・・・。」
「そうか、なら商品を持って店に行ってくれ。ミラって店員に事情を話せば金をくれるはずだ。わかったな?」
無言でコクコクと頷く少女。
さーて、他に何か面白い物ないかな~。
なんて思いながら露店をうろつく。
その後、暖かそうな毛布と鮮やかな絨毯があったのでそれを買い付け、後はいつものようにおっちゃんとおばちゃんの店に寄ってから店に帰った。
帰ったんだが。
「ただいま。」
「ちょっと!何よこれ!」
扉を開けて早々エリザに怒鳴られてしまった。
「何って見ての通りだ。」
「飴を買ったと思ったら今度は干し芋が来て、さらにお守りと布を持った女の子が来たわよ!」
「エリザ様、あと絨毯もです。」
「あぁ、んでもってこれも買ってきた。あー、重たかった。」
残念ながら毛布は運んでくれなかった。
でもまぁ寒かったし防寒着代わりに巻いて帰ってきたんだけど。
「一体全体今日はどうしたのよ!こんなにいっぱい買って来て!」
「買い付けて来るのはいつもの事だよな?」
「そうですね、いつもの事ですが今日はちょっといつもと違います。」
「今日は気まぐれの日だから。」
「はい?」
「いつも俺ばっかり儲けてるからな、たまには還元しないとと思っただけだ。」
「ごめん、何言ってるかわからないわ。」
「別に儲け全部を返そうっていうんじゃない、ただ単に気に入った品を好きなだけ買いたいと思っただけだ。実際いい物ばかりだろ?」
そう言って三人の目を見ると、返事に困る顔をされてしまった。
「確かに布の刺繍は綺麗でした。」
「それに、絨毯も!リビングにピッタリの色ですね。」
「お芋も美味しかったわ。」
「食ったのかよ。」
「だってあんなにあるんだもん、食べるでしょ。」
「な、美味かったよな。」
「ビックリしたわ。」
三人とも大きく頷く。
結局三人とも食ったのかよ。
「でもあの量どうするつもり?絨毯やその毛布はともかくお芋と布はいくらなんでも多過ぎよ。」
「それはお歳暮用だ。」
「お歳暮?」
「お世話になった人に配るんだよ。本当は年末にやるんだがこの前はなんだかんだ忙しくてできなかったからな。」
もちろん元の世界でお歳暮なんて貰った事はあっても配ったことは無い。
だがこの世界に来てこれだけ儲けるとそういう余裕が出て来る。
それに、さっき言ったのも嘘じゃない。
俺ばかり儲けるのもあれだから貢献?恩返し?ともかくそういう事をしたくなったんだ。
だから損をしても問題はない。
それにこれは損じゃない、投資だ。
今回買った店々は、今回の収入で大いに喜びそして励むことだろう。
そしてまたいい物を持ってきてくれる。
そしてそれを俺が買う。
あのお守りも、ちょいと工夫すれば立派な商品になる。
幸いそれに見合う品を俺は知っている。
そろそろルティエの新作が出来上がる頃だ、それと抱き合わせてやれば・・・。
「あ、またシロウが悪い顔してる。」
「誰の顔が悪いって?」
「そんなこと言ってないわよ!」
まぁ、冗談だけどな。
もうすぐ12月。
お歳暮を配るのはそれからになってもいいだろう。
それまでは美味しい芋・・・じゃなかったモイを楽しませてもらうさ。
鑑定スキルと相場スキル。
この二つがあれば真贋はおろかモノの値段も全てわかってしまう。
だから俺はそれに見合った値段で物を買い、そして売ればいい。
ただそれだけだ。
だがそんな俺でもごく稀に損をすることがある。
そう、こんな物のように。
「ねぇ、なにこれ。」
「見たらわかるだろ、飴だよ。」
「いや、わかるけどなんでこんなのがあるの?甘いの好きだったっけ?」
「嫌いでもなければ好きでもないな。」
「じゃあ、なんでこんな甘いものがこんなにもあるのよ。」
エリザが指さした先にあるのは、各辺50cm程の木箱。
その中には溢れんばかりの飴が入れられている。
「飴細工の職人が来ててな、買ったんだ。」
「いや、どう見ても細工関係ないでしょ。」
「そうだなぁ、丸くてくるんであるだけだしな。」
セロファン的な何かで包まれているごく普通の飴。
「ちなみに全部でいくら?」
「銀貨5枚ぽっちだ。」
「高!」
「そうか?」
「高すぎでしょ!シロウともあろう者が何ぼったくられてるのよ。」
「ぼったくられてるわけじゃないけどなぁ、この量だし。」
どう見ても500個は入ってるだろう。
別にぼったくられているとは思わない。
「美味かったぞ?」
「虫歯になっても知らないんだから。」
「別に俺が全部食べるわけじゃねぇよ。」
「じゃあ誰に上げるのよ。」
「ガキ共に決まってるだろ。」
雇用主としては労働者への福利厚生も立派な仕事のうちだ。
この寒空の下で土いじりしてるんだから、いつもよりご褒美が多くても別に構わないだろう。
「ふ~ん・・・。」
「なんだよ。」
「私にはないのかなって。」
「この前、魚食べさせてやっただろ。」
「そうじゃなくて~。」
「ったくうるさいな、これでも食ってろ。ミラ、ちょっと出て来る。」
「行ってらっしゃいませ。」
包みを外してエリザの口に一つツッコんでやる。
「あ、美味しい。」
そんな声を聞きながら店を出た。
その足で向かったのは教会・・・ではなく市場だ。
さっきも言ったが今日のノルマはまだ終わってない。
「お、なんだこれ。」
「らしゃい!昨日入って来たばかりの干しモイだ。」
「干しモイ、芋じゃないのか?」
「芋は芋だがこいつはちょっと違うんだよな、焼いても煮ても食えないが干せば甘みがギュッと詰まって美味いんだ。特に今年は例の寒気で一気に乾燥できたから甘みが凝縮されて最近じゃ一番の出来だよ。良かったら食ってみるか?」
「いいのか?」
「味を知ったらもう逃げられないぞ。」
「いうじゃないか。」
切った芋をそのまま乾燥させただけのシンプルな干し芋・・・もとい干しモイ。
白く粉をふいているやつをもらって口に入れる。
な、なんじゃこりゃ!
噛めば噛むほど甘みが広がって口の中が芋だらけになる。
口の中が宝石箱ってレベルじゃない。
もはや爆弾だ。
美味い。
焼いた芋の方が好きだったんだが一気に好みが変わってしまいそうだ。
「どうだ?」
「美味い。」
「だろ?さぁ、この味を知ったらもう買わずには帰れないぜ。」
「だな。全部くれ。」
「毎度!って全部?」
「あぁ、あるだけくれ、いくらだ?」
「いや、あるだけってかなりの量だぞ?」
「後ろにあるのが全部だよな?」
「あ、あぁそうだが・・・。」
「なら全部買ったら申し訳ないが店まで届けてくれ。まだ用事があるんだ。」
目が点になっているオッサンを何とか正気に戻し、代金を支払う。
しめて銀貨32枚なり。
思ったよりも安かったな。
店の場所を教えたんだが、最後は無言でコクコク頷くだけだったんだが・・・。
いやー、あれはめっけもんだった。
品種を聞いておいたので来年うちでも栽培してみよう。
幸いにも広い畑はあるんだ、楽しみが増えたな。
っと、また何かあるぞ。
「どうぞ、見て行ってください。」
「これは何だ?」
「えっと、お守りです。」
「お守り?」
「おばあちゃんが作っている奴なんですけど、中に魔物が嫌いなお香が入っているんです。」
「匂い袋的な奴か。」
「えっと、そうかもしれません。」
次に見つけたのは、いかにもという怪しげな黒のローブをまとった女性の露店だ。
話し声から察するにまだ若そうだが、生憎この世界には見た目で決めちゃいけないという決まりがある。
「触ってもいいか?」
「ど、どうぞ。」
一つ手に取ると、即座にスキルが発動した。
「袋。中にキーライの薬草が入っている。最近の平均取引価格は銅貨5枚、最安値銅貨1枚、最高値銅貨8枚。最終取引日は本日となっています。』
袋扱いか。
お守りという固有のものとしては認識されていないようだ。
だが、中に入っているのは間違いなく魔物が嫌う匂いを発する薬草。
言っていることは嘘じゃない。
「刺繍が綺麗だな。」
「おばあちゃんは裁縫が得意なんです、だからいっぱい作って私が薬草を採って来るんです。」
「この辺じゃ見かけないよな、ずいぶん遠くから来たのか?」
「通りがかりの商人さんに乗せてもらいました。美味しいお芋を売っている商人さんです、よかったらそっちも・・・。」
「あぁ、そっちは全部買い占めた。」
「買いし・・・。」
トーンが弾んできたと思ったら絶句されてしまった。
しかし本当に綺麗な刺繍だ。
細かいし、色使いもなかなかに良い。
お守りとしての効果はわずかでも物としては中々だ。
「他にもあるのか?」
「えっと、巾着とひざ掛けがあります。」
「それも見せてくれ。」
後ろにかかっていた布を慌てた様子で外してくれた。
『布。保温性の高い生地で作られている。最近の平均取引価格は銅貨10枚、最安値銅貨5枚、最高値銅貨69枚。最終取引日は本日と記録されています。』
うん、布だわ。
特に変わった感じはないがこれも綺麗な刺繍が入っている。
「機織りか何かか?」
「こっちは母が作りました。こっちの巾着は私が。おばあちゃんやお母さんのに比べるとまだまだですけど・・・。」
どこかの伝統工芸品なのかもしれない。
俺の世界にも一子相伝的な奴はあったんだから、この世界にあってもおかしくない。
たしか中央アジアかどこかでは各家々が紋章みたいなものを縫っているんだとか漫画で読んだきがする。
それと同じだろう。
「いいや、そっちの巾着も綺麗だ。全部くれ。」
「え?」
「だから全部くれ、いくらだ?」
「全部ってこれ全部ですか?」
「お守りと巾着とひざかけだろ?」
「そうです。」
「その全部だ。」
また目が点になってしまった。
少女を正気に戻し代金を計算させる。
何故かガクガク震えていたんだが寒いんだろうか。
確かに冷え込むもんなぁ。
「ぜ、全部で銀貨88枚です。」
「釣りはあるか?」
「えっと、いくらですか?」
「金貨1枚出すから銀貨12枚だ。」
「ごめんなさい、そんなにないです・・・。」
「そうか、なら商品を持って店に行ってくれ。ミラって店員に事情を話せば金をくれるはずだ。わかったな?」
無言でコクコクと頷く少女。
さーて、他に何か面白い物ないかな~。
なんて思いながら露店をうろつく。
その後、暖かそうな毛布と鮮やかな絨毯があったのでそれを買い付け、後はいつものようにおっちゃんとおばちゃんの店に寄ってから店に帰った。
帰ったんだが。
「ただいま。」
「ちょっと!何よこれ!」
扉を開けて早々エリザに怒鳴られてしまった。
「何って見ての通りだ。」
「飴を買ったと思ったら今度は干し芋が来て、さらにお守りと布を持った女の子が来たわよ!」
「エリザ様、あと絨毯もです。」
「あぁ、んでもってこれも買ってきた。あー、重たかった。」
残念ながら毛布は運んでくれなかった。
でもまぁ寒かったし防寒着代わりに巻いて帰ってきたんだけど。
「一体全体今日はどうしたのよ!こんなにいっぱい買って来て!」
「買い付けて来るのはいつもの事だよな?」
「そうですね、いつもの事ですが今日はちょっといつもと違います。」
「今日は気まぐれの日だから。」
「はい?」
「いつも俺ばっかり儲けてるからな、たまには還元しないとと思っただけだ。」
「ごめん、何言ってるかわからないわ。」
「別に儲け全部を返そうっていうんじゃない、ただ単に気に入った品を好きなだけ買いたいと思っただけだ。実際いい物ばかりだろ?」
そう言って三人の目を見ると、返事に困る顔をされてしまった。
「確かに布の刺繍は綺麗でした。」
「それに、絨毯も!リビングにピッタリの色ですね。」
「お芋も美味しかったわ。」
「食ったのかよ。」
「だってあんなにあるんだもん、食べるでしょ。」
「な、美味かったよな。」
「ビックリしたわ。」
三人とも大きく頷く。
結局三人とも食ったのかよ。
「でもあの量どうするつもり?絨毯やその毛布はともかくお芋と布はいくらなんでも多過ぎよ。」
「それはお歳暮用だ。」
「お歳暮?」
「お世話になった人に配るんだよ。本当は年末にやるんだがこの前はなんだかんだ忙しくてできなかったからな。」
もちろん元の世界でお歳暮なんて貰った事はあっても配ったことは無い。
だがこの世界に来てこれだけ儲けるとそういう余裕が出て来る。
それに、さっき言ったのも嘘じゃない。
俺ばかり儲けるのもあれだから貢献?恩返し?ともかくそういう事をしたくなったんだ。
だから損をしても問題はない。
それにこれは損じゃない、投資だ。
今回買った店々は、今回の収入で大いに喜びそして励むことだろう。
そしてまたいい物を持ってきてくれる。
そしてそれを俺が買う。
あのお守りも、ちょいと工夫すれば立派な商品になる。
幸いそれに見合う品を俺は知っている。
そろそろルティエの新作が出来上がる頃だ、それと抱き合わせてやれば・・・。
「あ、またシロウが悪い顔してる。」
「誰の顔が悪いって?」
「そんなこと言ってないわよ!」
まぁ、冗談だけどな。
もうすぐ12月。
お歳暮を配るのはそれからになってもいいだろう。
それまでは美味しい芋・・・じゃなかったモイを楽しませてもらうさ。
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