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1081.転売屋は遺跡を探し回る
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永遠に続くと思われた戦闘も過ぎ去ってしまえば過去の話。
あまりもに壮絶な戦い過ぎて前に街が襲われた時を思い出した。
あの時は逃げる場所が少なからずあったのだが、今回はどこにもない。
今までに感じた事のない恐怖と高揚感に自分の当たり前の姿がわからなくなってしまったぐらいだ。
そんな俺と対照的に常に冷静な対処で魔物と対峙した他の面々。
これぐらいの戦いは日常茶飯事という感じで各々が自分の力を存分に発揮していた。
前衛は盾となりながら向かってくる魔物を蹴散らし、中衛は邪魔にならない場所から支援をする。
ド派手な魔法が魔物の集団のど真ん中で爆発し、幾重もの矢が魔物の頭を打ち抜いていく。
ケガをすれば即座にポーションが振り掛けられる万全体制。
極めつけは広場に戻ったバーンが元の姿に戻って大暴れをした事だ。
巨大な空間を好き放題暴れ回ってくれたおかげで、大半の魔物が何かしらのダメージを受けてくれた。
俺はただ必死に手を動かして弱りながらも向かってくる魔物を打ち抜いていただけ。
というか必死過ぎてそれ以外の事を覚えていない。
「魔物の反応はありません、もう大丈夫です。」
「あー、疲れた。でもまぁ何とかなったわね。」
「シロウ様は大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないが大丈夫だ。」
「普段戦い慣れていない者にあの殺気は辛かっただろう。よくまぁ持ち堪えたものだ。」
「なんだかんだ修羅場をくぐってきてないわよね。」
「くぐりたくてくぐってきたわけじゃないんだけどな。」
必要に迫られてというかそういう場を呼び寄せてというか。
ケイゴさんに褒められはしたものの、それが出来たのも少なからず経験があったからだ。
この世界に来てから何度かそういう場に立ち会っているので、それもあってパニックにならなくて済んだのかもしれない。
俺も経験を積めばダンジョンで戦えるようになるのかもしれないが、こんな大変な思いをして金を稼ぐぐらいなら、今のやり方で安全かつ楽しく金を稼ぎたい。
やっぱり俺には冒険者は向いていないようだ。
「周囲の警戒は私とウーラ様で行いますので皆様はどうぞご休憩を。ウーラさん、行きましょう。」
「ウ、ハイ。」
「それじゃあ私達は片付けをしよっかお姉ちゃん。」
「オッケー。」
「私達も手伝います!アネット、行くよ。」
「僕も手伝うよ!」
冒険者組とバーンが辺り一面に散らばった魔物の死骸を除去してくれている間に、少し離れた所で休ませてもらうとしよう。
さっきまで何ともなかったのに、一度座ってしまうと一気に疲れが上からのしかかってくるのがわかる。
もう立ち上がれない。
そんな気持ちになってしまった。
とはいえ、ここで終わるわけにもいかないわけで。
時間的にそろそろ野営を考えないといけないのだが、これだけの血の臭いの中で眠るのは勘弁願いたい。
カバンから探索道具を取り出し、ハルカさんに手伝ってもらいながらお湯を沸かす。
こんな状況だからこそ、暖かい飲み物を口に入れて心を落ち着けたいものだ。
「ケイゴ様、先程の魔物ですが違和感がありませんでしたか?」
「ハルカも同じことを思ったか。」
「違和感ってなにがだ?」
「扉の向こうから現れた魔物ですが、私達を狙ってきた感じではなかったんです。もちろんそういう魔物もいましたけど、何匹かは横を通り過ぎて逃げてしまいましたし。」
「あー、そういえばそんな気もする。」
確かに何匹かの魔物が俺達の横を通り過ぎていったのを覚えている。
俺達を殺す気で狙っていたのであれば、後ろに回り込んでから再度襲ってくるはずなのにそいつらはそのまま通路の奥に消えてしまった。
まるで逃げ出したように。
まぁ、バーンがあれだけ大暴れして向こうも怖くなったって考えるのが普通なんだろうけど、ハルカさん達にはそれが違和感に感じたようだ。
壁の向こうから出て来たのは最初と同じく、遺跡防衛用の無機質な魔物ではなく血の通った普通の魔物。
オーク、コボレート、ウルフ、ボアなんてありふれた魔物からあまり見た事の無いやつも含めて二足歩行から四足歩行まで多種多様な魔物が出てきた気がする。
珍しい魔物は素材を剥ぎ取る必要があるので、今頃キキ主導で片付けながら剥ぎ取られている事だろう。
「私はあまり遺跡などには詳しくないが、これだけ多種多様な魔物が出てくるのはおかしいのではないか?」
「私も同じ意見です。話に聞いていたのとは大分違う感じですし。」
「まぁ仮におかしいとしてもそれを確認するためには奥に行くしかないんだよな。それに普通と違うってことはそれだけ珍しい物がある可能性が高い。俺としてはそっちの方が有難い話だ。」
「まったく、この状況でも金儲けか。」
「当たり前だろそれを目当てにここまで来たんだから。その上二つも扉を開けたんだ、それはすごいお宝が眠っているに違いない。それこそ、今回仕入れに使った分を補えるぐらいのやつがな。」
ぶっちゃけそこまで言い切るぐらいの勢いでないとやってられない。
もし本当に金貨100枚を超えるお宝があったとしたら、そう考えていればどれだけ大変で苦しくても頑張れるってもんだろ?
元々遺跡探索を選んだのもそれが理由だし、わざわざ優勝までしたのにお宝が無かったってなったら暴れる位じゃすまないかもしれない。
その後、探索を終えたアニエスさんから奥に小部屋などが複数見つかったと報告を受けたので、今日はそこまで移動してから野営をすることになった。
小部屋の中なら魔物を警戒する場所が決まっているので背後を気にしないですむからな。
遺跡の奥にある小部屋には宝箱なんかが置かれていることが多い。
それが複数あるとなればこれは当たりが見つかる可能性が益々高くなった。
とりあえず片付けを終えたエリザ達と小休止をしてからそこまで移動してベースキャンプを設置。
探索したい気持ちを抑えしばし仮眠を取る事に。
寝不足はいい仕事の敵だからな、休める時に休むのもまた戦いの基本。
交代で仮眠を取ってからしっかり腹ごなしをしてお待ちかねの遺跡探索開始だ。
「シロウ見て!黒結晶!」
「おー見事な球体、当たりだな。」
「ほかにも短剣とか入ってるからまた確認しておいて。」
「了解。とりあえずキャンプに持ち帰ってくれ。」
「オッケー。」
アニエスさん達が先行して発見した小部屋は全部で6つ。
そのうちベースキャンプにした場所ともう一か所には何もなかったが、他の四か所には宝箱が設置されていた。
今回フールが一緒ではないので鍵開けには苦労するかと思われたが、驚くことに四つすべてに鍵はかかっていなかったらしい。
宝箱の他にも部屋の隅に置かれた棚などに無造作に武器が置かれていたらしい。
この遺跡がそもそもどんな目的で作られたのかは定かではないが、ダンジョンと違って中身が復活することはないので根こそぎいただいて帰るとしよう。
鑑定は後回しにして片っ端から集めて地上に持ち帰る準備をする。
昨日は当たりが出れば、なんて話をしていたが大当たりもいい所。
いやー、頑張ってきたかいがあったなぁ。
「シロウ様、少しよろしいですか?」
「アニエスさんどうしたんだ?」
「この奥ですがどうやら行き止まりになっているようです。」
「ってことは遺跡はここで終わりか?」
「それがそうとも言い切れなくてですね。」
「というと?」
「とりあえず来てください。」
アニエスさんの後を追いかけて向かったのは宝箱の無かった部屋。
宝箱こそなかったが、ここでも壁に設置された棚から魔装具的な物は見つかっている。
大きさは小学校の教室ぐらい、その中央に祭壇のような台がドンと鎮座している。
ちょうど大人一人が横になれるぐらいの大きさ。
その台の周りには溝が掘られており、そのまま壁につながっているのをアニエスさんが発見した。
一見するとただの壁。
ただ、溝は確かにその壁の下を通って壁の向こう側に消えている。
つまりこの奥にまだ続きがあるということだ。
「確かに続いているようにも見えるな。」
「試しにウーラさんに思いっきりたたいてもらいましたがびくともしませんでした。」
「ウーラさんの怪力でもダメか。」
「キキ様にも見ていただきましたが、魔術的な痕跡は見当たらなかったそうです。一つ気になるとしたら祭壇の溝、ですが何を流すのかはわかりません。」
ウーラさんの本気はバーンの力にも匹敵する。
それだけの力をぶつけてもびくともしないとなると、力業ではどうにもならないんだろう。
遺跡の扉も雷花の結晶があって初めて稼働する、それと同じ原理なのかもしれないが生憎とそれを設置する場所がないっていうね。
残るは祭壇に残された溝。
試しに横になってみたが、ごつごつしているだけで特に寝心地のいいものではなかった。
それで何か反応したら・・・なんてことも考えたのだが、世の中そんなに甘いものではないらしい。
念のため他の部屋も調べてみたがそれらしい場所はなく、今の所遺跡の最深部はここまでということになる。
怪しいのは祭壇だが、時間的にそろそろ限界のようだ。
「仕方ない、今回は戻るとしよう。」
「そうですね。仕掛けがわからない以上どうしようもありません。」
「いいんじゃない、当たりは山ほど見つかったんだし。早く戻って仕分けしましょうよ。」
「トト!早く帰ってご飯にしよう!」
地上に帰ったら美味しいものをたくさん食べようという話をしていたので、バーンは早く帰りたくて仕方がないようだ。
あまりにもはしゃぐものだから祭壇の上に置いていたティタム製のカップが倒れ、なみなみ入っていた香茶が祭壇を濡らしてしまった。
まったく、体は大きくてもまだまだ小さい子供と同じだなぁ。
床に転がったカップを拾い上げ、反対の手をバーンにぐいぐい引っ張られながらベースキャンプへと戻ろうとしたその時だった。
「わえの眠りを妨げるのはだれぞえ?」
「「「「え?」」」」
「おや?わえのごはんが一匹もおらん。代わりにおるのは人間と亜人、それと随分と懐かしい気配を感じるのぉ。おぬしら、わえの眠りを妨げてそのままかえれるとおもってはおるまいな?」
突然後ろから聞こえてきた声に全員があわてて振り向く。
先程まで閉まっていたはずの壁、その奥から金色の瞳がギロリとこちらを睨み付けていた。
あまりもに壮絶な戦い過ぎて前に街が襲われた時を思い出した。
あの時は逃げる場所が少なからずあったのだが、今回はどこにもない。
今までに感じた事のない恐怖と高揚感に自分の当たり前の姿がわからなくなってしまったぐらいだ。
そんな俺と対照的に常に冷静な対処で魔物と対峙した他の面々。
これぐらいの戦いは日常茶飯事という感じで各々が自分の力を存分に発揮していた。
前衛は盾となりながら向かってくる魔物を蹴散らし、中衛は邪魔にならない場所から支援をする。
ド派手な魔法が魔物の集団のど真ん中で爆発し、幾重もの矢が魔物の頭を打ち抜いていく。
ケガをすれば即座にポーションが振り掛けられる万全体制。
極めつけは広場に戻ったバーンが元の姿に戻って大暴れをした事だ。
巨大な空間を好き放題暴れ回ってくれたおかげで、大半の魔物が何かしらのダメージを受けてくれた。
俺はただ必死に手を動かして弱りながらも向かってくる魔物を打ち抜いていただけ。
というか必死過ぎてそれ以外の事を覚えていない。
「魔物の反応はありません、もう大丈夫です。」
「あー、疲れた。でもまぁ何とかなったわね。」
「シロウ様は大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないが大丈夫だ。」
「普段戦い慣れていない者にあの殺気は辛かっただろう。よくまぁ持ち堪えたものだ。」
「なんだかんだ修羅場をくぐってきてないわよね。」
「くぐりたくてくぐってきたわけじゃないんだけどな。」
必要に迫られてというかそういう場を呼び寄せてというか。
ケイゴさんに褒められはしたものの、それが出来たのも少なからず経験があったからだ。
この世界に来てから何度かそういう場に立ち会っているので、それもあってパニックにならなくて済んだのかもしれない。
俺も経験を積めばダンジョンで戦えるようになるのかもしれないが、こんな大変な思いをして金を稼ぐぐらいなら、今のやり方で安全かつ楽しく金を稼ぎたい。
やっぱり俺には冒険者は向いていないようだ。
「周囲の警戒は私とウーラ様で行いますので皆様はどうぞご休憩を。ウーラさん、行きましょう。」
「ウ、ハイ。」
「それじゃあ私達は片付けをしよっかお姉ちゃん。」
「オッケー。」
「私達も手伝います!アネット、行くよ。」
「僕も手伝うよ!」
冒険者組とバーンが辺り一面に散らばった魔物の死骸を除去してくれている間に、少し離れた所で休ませてもらうとしよう。
さっきまで何ともなかったのに、一度座ってしまうと一気に疲れが上からのしかかってくるのがわかる。
もう立ち上がれない。
そんな気持ちになってしまった。
とはいえ、ここで終わるわけにもいかないわけで。
時間的にそろそろ野営を考えないといけないのだが、これだけの血の臭いの中で眠るのは勘弁願いたい。
カバンから探索道具を取り出し、ハルカさんに手伝ってもらいながらお湯を沸かす。
こんな状況だからこそ、暖かい飲み物を口に入れて心を落ち着けたいものだ。
「ケイゴ様、先程の魔物ですが違和感がありませんでしたか?」
「ハルカも同じことを思ったか。」
「違和感ってなにがだ?」
「扉の向こうから現れた魔物ですが、私達を狙ってきた感じではなかったんです。もちろんそういう魔物もいましたけど、何匹かは横を通り過ぎて逃げてしまいましたし。」
「あー、そういえばそんな気もする。」
確かに何匹かの魔物が俺達の横を通り過ぎていったのを覚えている。
俺達を殺す気で狙っていたのであれば、後ろに回り込んでから再度襲ってくるはずなのにそいつらはそのまま通路の奥に消えてしまった。
まるで逃げ出したように。
まぁ、バーンがあれだけ大暴れして向こうも怖くなったって考えるのが普通なんだろうけど、ハルカさん達にはそれが違和感に感じたようだ。
壁の向こうから出て来たのは最初と同じく、遺跡防衛用の無機質な魔物ではなく血の通った普通の魔物。
オーク、コボレート、ウルフ、ボアなんてありふれた魔物からあまり見た事の無いやつも含めて二足歩行から四足歩行まで多種多様な魔物が出てきた気がする。
珍しい魔物は素材を剥ぎ取る必要があるので、今頃キキ主導で片付けながら剥ぎ取られている事だろう。
「私はあまり遺跡などには詳しくないが、これだけ多種多様な魔物が出てくるのはおかしいのではないか?」
「私も同じ意見です。話に聞いていたのとは大分違う感じですし。」
「まぁ仮におかしいとしてもそれを確認するためには奥に行くしかないんだよな。それに普通と違うってことはそれだけ珍しい物がある可能性が高い。俺としてはそっちの方が有難い話だ。」
「まったく、この状況でも金儲けか。」
「当たり前だろそれを目当てにここまで来たんだから。その上二つも扉を開けたんだ、それはすごいお宝が眠っているに違いない。それこそ、今回仕入れに使った分を補えるぐらいのやつがな。」
ぶっちゃけそこまで言い切るぐらいの勢いでないとやってられない。
もし本当に金貨100枚を超えるお宝があったとしたら、そう考えていればどれだけ大変で苦しくても頑張れるってもんだろ?
元々遺跡探索を選んだのもそれが理由だし、わざわざ優勝までしたのにお宝が無かったってなったら暴れる位じゃすまないかもしれない。
その後、探索を終えたアニエスさんから奥に小部屋などが複数見つかったと報告を受けたので、今日はそこまで移動してから野営をすることになった。
小部屋の中なら魔物を警戒する場所が決まっているので背後を気にしないですむからな。
遺跡の奥にある小部屋には宝箱なんかが置かれていることが多い。
それが複数あるとなればこれは当たりが見つかる可能性が益々高くなった。
とりあえず片付けを終えたエリザ達と小休止をしてからそこまで移動してベースキャンプを設置。
探索したい気持ちを抑えしばし仮眠を取る事に。
寝不足はいい仕事の敵だからな、休める時に休むのもまた戦いの基本。
交代で仮眠を取ってからしっかり腹ごなしをしてお待ちかねの遺跡探索開始だ。
「シロウ見て!黒結晶!」
「おー見事な球体、当たりだな。」
「ほかにも短剣とか入ってるからまた確認しておいて。」
「了解。とりあえずキャンプに持ち帰ってくれ。」
「オッケー。」
アニエスさん達が先行して発見した小部屋は全部で6つ。
そのうちベースキャンプにした場所ともう一か所には何もなかったが、他の四か所には宝箱が設置されていた。
今回フールが一緒ではないので鍵開けには苦労するかと思われたが、驚くことに四つすべてに鍵はかかっていなかったらしい。
宝箱の他にも部屋の隅に置かれた棚などに無造作に武器が置かれていたらしい。
この遺跡がそもそもどんな目的で作られたのかは定かではないが、ダンジョンと違って中身が復活することはないので根こそぎいただいて帰るとしよう。
鑑定は後回しにして片っ端から集めて地上に持ち帰る準備をする。
昨日は当たりが出れば、なんて話をしていたが大当たりもいい所。
いやー、頑張ってきたかいがあったなぁ。
「シロウ様、少しよろしいですか?」
「アニエスさんどうしたんだ?」
「この奥ですがどうやら行き止まりになっているようです。」
「ってことは遺跡はここで終わりか?」
「それがそうとも言い切れなくてですね。」
「というと?」
「とりあえず来てください。」
アニエスさんの後を追いかけて向かったのは宝箱の無かった部屋。
宝箱こそなかったが、ここでも壁に設置された棚から魔装具的な物は見つかっている。
大きさは小学校の教室ぐらい、その中央に祭壇のような台がドンと鎮座している。
ちょうど大人一人が横になれるぐらいの大きさ。
その台の周りには溝が掘られており、そのまま壁につながっているのをアニエスさんが発見した。
一見するとただの壁。
ただ、溝は確かにその壁の下を通って壁の向こう側に消えている。
つまりこの奥にまだ続きがあるということだ。
「確かに続いているようにも見えるな。」
「試しにウーラさんに思いっきりたたいてもらいましたがびくともしませんでした。」
「ウーラさんの怪力でもダメか。」
「キキ様にも見ていただきましたが、魔術的な痕跡は見当たらなかったそうです。一つ気になるとしたら祭壇の溝、ですが何を流すのかはわかりません。」
ウーラさんの本気はバーンの力にも匹敵する。
それだけの力をぶつけてもびくともしないとなると、力業ではどうにもならないんだろう。
遺跡の扉も雷花の結晶があって初めて稼働する、それと同じ原理なのかもしれないが生憎とそれを設置する場所がないっていうね。
残るは祭壇に残された溝。
試しに横になってみたが、ごつごつしているだけで特に寝心地のいいものではなかった。
それで何か反応したら・・・なんてことも考えたのだが、世の中そんなに甘いものではないらしい。
念のため他の部屋も調べてみたがそれらしい場所はなく、今の所遺跡の最深部はここまでということになる。
怪しいのは祭壇だが、時間的にそろそろ限界のようだ。
「仕方ない、今回は戻るとしよう。」
「そうですね。仕掛けがわからない以上どうしようもありません。」
「いいんじゃない、当たりは山ほど見つかったんだし。早く戻って仕分けしましょうよ。」
「トト!早く帰ってご飯にしよう!」
地上に帰ったら美味しいものをたくさん食べようという話をしていたので、バーンは早く帰りたくて仕方がないようだ。
あまりにもはしゃぐものだから祭壇の上に置いていたティタム製のカップが倒れ、なみなみ入っていた香茶が祭壇を濡らしてしまった。
まったく、体は大きくてもまだまだ小さい子供と同じだなぁ。
床に転がったカップを拾い上げ、反対の手をバーンにぐいぐい引っ張られながらベースキャンプへと戻ろうとしたその時だった。
「わえの眠りを妨げるのはだれぞえ?」
「「「「え?」」」」
「おや?わえのごはんが一匹もおらん。代わりにおるのは人間と亜人、それと随分と懐かしい気配を感じるのぉ。おぬしら、わえの眠りを妨げてそのままかえれるとおもってはおるまいな?」
突然後ろから聞こえてきた声に全員があわてて振り向く。
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