収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア

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107.作戦を練り直すことにしました

向かい来る大量の蟻を前に成す術もなく撤退を余儀なくされた俺達は、最初のテンションはどこへやらお葬式のようにうなだれていた。

これが二桁階層の洗礼という奴か。

大変だとは聞いていたけれどまさかあんな感じだったとは、ぶっちゃけアリなんてって思っていたけどたとえ相手が弱くても数の暴力には叶わないよなぁ。

「はぁ、どうしましょうか。」

「あれをどうにかしない限り十二階層への道はない、フィールド型とはいえ下手に避けて追い込まれることを考えたら確実に進める方法を選ぶべきだろう。っていうか、あんな大量の蟻に食い殺されるなんて考えたくない。」

「僕も同意見だね、ここは無理せず確実な方法を取るべきだと思うよ。」

「というわけで今回はここまでだ。まぁ竜燐も手に入ったんだし大幅黒字は間違いなし、スキルの有用性も確認できたんだから決してマイナスってわけじゃないしな。」

最後があんな感じだったので落ち込んでしまうけれどむしろこれが普通の探索者だ。

トライ&エラーを繰り返しながら先に進む方法を見つけ、装備を整えて突破する。

正直今までがスムーズに行き過ぎたってのもあるのでここらで落ち着いて進んでもいいだろう。

とりあえずこの前のように手続きを彼に任せて俺達は急ぎ更衣室へ、この前はそのまま解散したけれど今回は今日の失敗を教訓にドワナロクで作戦会議をすることにした。

今日も大勢の人でにぎわうドワナロク、探索者向けに貸し出されているワークスペース的な個室は非常に人気が高く予約しないと使えないはずなのだが、そこはゴールドカードユーザーの特権で手配してもらっていい感じの場所を確保することができた。

手元には御影ダンジョンを攻略した探索者の資料、そしてドワナロクがおすすめする探索道具の一覧が用意されている。

一応突入前に調べてはいるけれど、これまでのやり方に加えて収奪スキルを使った作戦を考えようというわけだ。

「なるほど、炎に弱いのを利用して巣を燃やす方法もあるのか。」

「でもそれをするためには先に巣を見つけてそこまでたどり着かないといけないよ?あの大量の蟻の中を突っ切って巣を探し出すってのはちょっと現実で気じゃないと思うけどなぁ。」

「でも巣をどうにかしないと女王アリがずっと働きアリを生み続けるんですよね。」

「それはまぁそうなんだけど、どの巣にいるかはわからないし下手にを攻撃したらキラーアントだけじゃなくてウォーカーも出てくるから手が出なくなっちゃうよ。」

「つまりどれだけ早く巣を見つけて燃やせるかがカギってわけだ。」

資料によると蟻の寿命は実は短く、クイーンアントが生み出したウォーカーは一時間ほどで死んでしまうんだとか。

なので時間を置けばまた元の状態に戻るらしく、キラーアントはそこまで増えないので確実に数を減らしていけば何とかなるらしい。

セオリー通りで行けば十一階層到着後大規模火力でキラーアントを殲滅、急ぎ巣を探し出して造園が出てくる巣を破壊するという流れらしい。

何をするにしてもまずは最初のキラーアントをどうにかする必要があるわけだけど、資料の中に一人が突っ込んで先に巣を破壊することで増援を断ち後は逃げながら数を減らすという中々ワイルドな戦法を取った人もいるようだ。

つまりセオリーが正しいわけではなくやり方次第で何とかなる。

「なるほど、ここであの三角飛びが役に立つのか。」

「どういうことですか?」

「ただの跳躍と違って途中で軌道を変えられるからより広範囲を見渡すことができるしあえて同じ軌道で飛べば多段ジャンプみたいな感じで一気にアリを飛び越えられる。その隙に巣を探して、ドワナロクお勧めのこの燃料を投入すれば瞬く間に巣の中を灼熱地獄に出来るというわけだ。値段は張るけど楽に殲滅するという意味ではあった方が良いと思うなぁ。」

「じゃあ巣を見つけられなかった時はどうするの?」

「その時は残った三角飛びを使うか突進スキルで根こそぎ押しつぶしていくだけだ。多少の攻撃なら外皮があるし、俺が突撃している間はリルのブレスで動きを鈍らせている間に燃料を撒いて火をつけておけばキラーアントが近づいてくることはない。危なくなったらまた逃げればいいだけだし、案外何とかなるんじゃないかな。」

保険でロケットスキルを持っておけば一直線に戻れたりするんじゃないだろうか。

いや、むしろ初手からロケットで飛んで上から巣の位置を確認するという手もある。

最初の階層みたいにサバンナ系のフィールドだから上からなら結構楽に探せるかもしれない。

なにもセオリー通りやる必要はない。

探索者に求められるのは臨機応変な対応と何よりも生きて帰る事、その為に泥臭く戦うのは大得意なので今回もそんな感じで行かせてもらうとしよう。

せっかくドワナロクまで来たわけだし竜鱗の売上金を使って必要な物を買いつつ、新しい装備なんかで目の保養をする。

御影ダンジョンはまだ火水晶の装備が使えるけれど、ここから先となるともっと丈夫でもっと強い物が必要になってくる。

次なる目標でもある城崎ダンジョンを考えると欲しいのは氷もしくは水系の武器、加えて耐熱装備も更新する必要がある。

今迄みたいに一人で潜るってことは出来ないので、人数分の装備ともなると中々金がかかるんだよなぁ。

武庫ダンジョンの時に一度やったっきりの金策も視野に入れた戦い方とダンジョン選びも今後重要になってくる。

須磨寺さんもいるし大量に素材を持ち帰るダンジョンとかにして質より量で攻めるのもありかもしれない。

「よし、それじゃあ明日は最終調整とスキル回収日で挑戦はまた明後日って事で。」

「それまでにリルちゃんとの連携を磨いておかないと。」

「頑張ってね桜ちゃん。」

「アドバイスお願いします綾乃ちゃん。」

「あはは、和人君ならここで僕にも戦えっていうところだけど桜ちゃんは優しいなぁ。」

「別に戦ってもらってもいいんだけど?」

「僕はか弱い運搬人だよ?そんな魔物と戦うなんてそんな怖いことできるはずないじゃないか。」

まったく、どの口が言うかどの口が。

予想よりも高かった壁に最初は落ち込みこそしたけれど、ここで終わらないのが俺達だ。

目指すべき場所はもっと上にあるだけにこんな所で立ち止まっているわけにはいかない。

夢のタワマン生活目指して確実に成長しないと。

「因みにこのアリを超えてもまだ次の階層があるからみんなそこは忘れないでね?」

「もちろんです。あそこを超えられたら次もいける・・・気がします。」

「微妙な反応だなぁ。和人君はどう思う?」

どう思う?そう聞かれて思い浮かぶのは御影ダンジョン十二階層の資料。

そこに載っているのはなんとも獰猛そうな獣の姿。

ふむ、次は野生の王国か。

「十二階層は野生獣そろい踏み、とはいえアリに比べれば十分戦えると思いますよ。こっちにはリルもいるし数で来られなければ負ける気はしませんね。」

「こっちはこっちで余裕だなぁ、まぁそこが君のいい所なんだけどね。初めからできないありきで行くよりも出来る事を考えるからこそ前に進める。僕たち探索者に求められているのは飽くなき探求心と障害があっても乗り越えられる向上心さ。」

「あれ?今僕たち探索者って言いました?」

「言ってないよ?」

「言いましたよね?」

「やだなぁ僕はか弱い運搬人だよ?そんなこと言うはずないじゃないか。」

あはははと無理やりごまかす須磨寺さんだけど、やはり心はまだ探索者のようだ。

彼の呪いが解けた暁にはものすごい戦力になってくれるはず、それを叶えるためにもまずは目の前の蟻を何とかしないと。

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