収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア

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197.恐ろしい復讐者と戦いました

川西ダンジョン十二階層。

思わぬ攻撃手段を手に入れ、サクサクと十一階層を走破した俺達は無事に階段を発見。

途中ベルウォーカーが複数出た時はどうしようかと思ったけれど、後半はリルも戦いに慣れていたので特に苦戦することなく対処することが出来た。

スクリーマーもスキルを使えばそこまで苦戦する相手でもない、怖いのは最初の突進でそれを躱せば後はどうにでもなる。

まぁ所詮はD級ダンジョン、目標としているC級などに比べればまだまだぬるいんだろうなぁ。

「ここを越えたらとりあえず地上か。」

「だね、さっきと違ってかなり美味しい階層だから出来るだけ魔物を倒しておくことをお勧めするよ。ここまでの稼ぎなんて雀の涙、赤字ではないけどうま味はなかったからねぇ。」

「ちなみにここに出るのは幽霊系だったか。」

「その通り、ゴーストウィッチにマジックレイス極めつけはアヴェンジャーだね。」

「最初の二種類は魔法使いだから実弾攻撃は効かないとして、最後のは普通に攻撃できるんだろ?」

アンデッド系しかでない川西ダンジョン、ここに出るのも幽霊系で桜さんがいたら飛び上がって逃げてしまうようなおどろおどろしい見た目をした魔物だ。

魔女のような見た目の幽霊と空中を浮遊する骸骨の魔法使い、どちらも様々な魔法を打ち込んでくるので非常に厄介ではあるけれど耐久度はそこまでないので魔装銃で撃ち落とせば問題ない。

気を付けるべきは呪い攻撃だが、これも聖水をかけていれば対処できるので最後のを除けば完封できる可能性がある。

となると気をつけるのは最後の一種類。

「普通に攻撃して問題ないけど、中途半端にダメージを残すとそれをこちらに反転してくるから倒すなら一気にしないと大変なことになるよ。仮に逃げても攻撃した相手はどこまでも追いかけて来るからくれぐれも気を付けて。」

「まさに復讐者ってわけか、そういうわけだからくれぐれも気をつけろよリル。」

「グァゥ!」

まぁゴースト系はともかくアヴェンジャーさえ気を付ければ大きな危険はないはず、そんなわけでリルを先頭に通路をゆっくりと進んでいくと途中で大きな部屋に出た。

「ん?いきなり大部屋?」

「和人君気を付けて、下手に入ると集中砲火を受けるよ。」

「そんな感じだが、ここを越えないことには先には進めないぞ。」

「敵は見える?」

「生憎と難しそうだ。仕方ない、どうせ入っても一緒なんだしこっちから仕掛けるか。リル、一回戻れ。」

大部屋は真っ暗で端の方まで見通すことはできない。

とはいえ明らかに何かがいるだけに不用意に近づくのは難しいのだがここで立っていたところで何も変わらない、そんなわけでカバンから道具を取り出して部屋の中へと放り込んだ。

投げ込んだものが部屋の真ん中で甲高い音を発するのを確認後、急ぎ後ろを向いて目を手で覆う。

すると、覆った手の隙間から白い光が透けて見えた。

恐る恐る手をのけてうっすらと目を開けると、今歩いてきた通路が煌々と灯りに照らされている。

投げ込んだのはドワナロクで買ったフラッシュバグの鱗粉が入った特殊な発光玉で、短い時間ではあるものの一気に周りを照らすことができる代物だ。

因みにひとつ五万円と中々に高かったりもする。

「発光時間は十分だけ、それまでに片付けるぞ!」

「ワフ!」

再び飛び出して来たリルと共に部屋の中へと入ると、明かりに照らされた部屋の壁際で黒い霞のような物体がフワフワと浮かんでいるのが見える。

あれがゴーストウィッチとマジックレイス、そして部屋のど真ん中で灯りをもろともせずじっとこっちを睨んでくる仮面をつけた小柄な男性がアヴェンジャーなんだろう。

古代の奴隷が付けるような足鎖に重たそうな鉄球がついている。

そいつは部屋に入った俺達に向かってずりずりと鉄球を引きずりながら向かってきた。

「壁際のやつらは任せろ、リルはアヴェンジャーをよろしく頼む!」

魔装銃を構えて壁際にたまった魔法使いたちを狙撃、群れている奴には先ほど手に入れた鬼火を投げつけて一気に殲滅を測る。

だが、部屋があまりにも広く光量が少しずつなくなるにつれて奴らが少しずつ動き出した。

「なんだ、体が重いぞ。」

「マジックレイスのデバフだね、おそらく遅延か何かをかけられたんだと思うよ。」

「くそ、めんどくさいことしやがって。」

「何も知らずにはいるとこれを一斉に浴びて一歩も動けなくなったところに魔法の集中砲火を受けることになるんだ。もしくはアヴェンジャーに刺殺されるか、どちらにせよ早めに対処するしかないよ。」

「対処って言ってもどれがマジックレイスかなんてわからないっての!」

背中におもりを載せられているように体が重くなり、動きがどうしても遅くなる。

壁際のやつらめがけて弾を打ち込むも靄みたいになっているせいでどれがデバフをかけてきているのかがなかなか判別できないんだよなぁ。

とりあえず倒せと手を動かすもののそれにも限界はあるわけで。

「そろそろ十分になるよ。」

「リルは?」

「まだ向こうで戦ってる、かなり攻撃してるけど全然倒れないみたいだ。」

「やばいな、下手にダメージを残すと一気に返されるんだろ?」

あのリルの爪や噛みつき攻撃を受けてなお倒れないアヴェンジャー、全身から血を流しながらも手に持った小刀は決して離さずフラフラとリルに近づいていく。

なんだろう、昔やっていたゲームにこんな感じの魔物が出てきたよな。

そいつのナイフに刺されると即死、だから逃げるか速攻で倒すかの二択を強いられたような覚えがある。

「リル、下がれ!」

標的を魔法使いからアヴェンジャーにシフト、ゆっくりとこちらに向かってくる仮面の男めがけて魔装銃を連射するも何発食らっても倒れる気配がない。

死んでいるから痛覚がないのか、はたまた非常にタフなのか。

だんだんと薄暗くなる部屋にマジックレイスのデバフとゴーストウィッチの暴風が襲い掛かり思うように弾が当たらなくなってきた。

アヴェンジャーがこちらに来るまであと3m程。

【ファイアーボアのスキルを使用しました。ストックは後一つです。】

銃弾が当たらないのなら直接殴るしかない、たとえ鈍化のデバフがかかっているとしてもスキルの効果には影響しないようで、目にもとまらぬ速さでアヴェンジャーに接敵、そのまま棍を突き刺したまま残り2m近く後ろへ押し返す。

「さっさと倒れろ!」

それでも倒れないので動きが遅くなりながらも棍を振り回し、奴のナイフが俺に届く前に何とか倒すことに成功した。

【アヴェンジャーのスキルを収奪しました。反撃、ストック上限は後六つです。】

収奪したのは反撃スキル。

その名の通りやり返すものなんだろうけど、直接攻撃ならともかく今みたいな遠距離攻撃はどうなるんだろうか。

一番ヤバい奴は倒したものの、暗くなった部屋のあちこちから魔法とデバフが襲ってくる。

幸いリルはそこまで影響を受けていないようなのでブレスさえあれば実体がなくてもなんとかなるけれど、正直デバフだけでも中々にきつい。

なら暗くなった部屋、もう一度あの灯りを使えばいいんだけどそれよりもまずスキルを試してみるとしよう。

【アヴェンジャーのスキルを使用しました。ストックはありません。】

脳内に流れる聞きなれたアナウンス。

はてさてどんな効果があるのやら。
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