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黒薔薇の誘い
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クレマンは焦っていた。
ルシファンヌのところへ会いに行きたいが監視の目が厳しく、外にも出られなかった。
エンゾが父親であるベルクール伯爵にルシファンヌの件を進言したからだった。
「我が伯爵家を傷つけるようなまねはするな!」
ベルクール伯爵はそう告げるともう顔も合わさなかった。
人伝てに話を聞くとルシファンヌはロイクの葬式の時はかなり好奇の目でさらされていたようだ。
それでも彼女は凛とした姿勢で式をとりおこなっていたとも。
そんな事を聞くとエンゾの言うような悪人とは思えないとクレマンは自分の都合のいいように考えていた。
会いたいけど会えない、そんな悶々とした日々を送っていたクレマンだったが、前にルシファンヌから貰った薔薇の鉢植えを我が家の花壇に植え替えようとした時だった。
「この薔薇の株はレジェ男爵令嬢から貰ったんですかい?」
ベルクール家の庭師フランクが植えるのを手伝いながら言った。
「そうだ、ウチも薔薇園が欲しいと思って。さすがに黒薔薇は分けてもらえなかったがね」
クレマンは慣れない手つきで薔薇を植えながら言った。
「そうでしたか…クレマン様、この話はご存知ですかい?黒薔薇“シャルル・ノアール”の功績は結局生き残られたレジェ男爵令嬢のものとつい最近国が認めたんですよ。
近々この国初の女性男爵になるのでは?と、噂ですけどね」
クレマンにとっての驚きはいかに自分が世間に疎いかということだった。ルシファンヌはそれほどの有名人なのか。
程なくして噂どおりルシファンヌはレジェ男爵を継いだ。国内初女男爵の誕生である。
ただし薔薇事業が確実に担える後継者を育てる事という条件つきであったが。
そうなってくると彼女のひとり勝ちではないか、両親が死んで男爵の座が、夫のロイクが死んで大金が、それぞれ死んだことで彼女は手中に収めた。エンゾが言っていた放火の噂プラス殺人まで世間は疑い出した。
お金のため、男爵である親に売られたかわいそうな娘から、殺人や放火までして地位と金を手に入れた悪辣な女と評価は落ちた。
ルシファンヌには黒い噂が絶え間なかった。女男爵の称号は稀代の悪女の称号に変わっていった。
クレマンが庭に出てこの前植えた薔薇の様子を見ていると
「あの…クレマン様」
庭師のフランクが近寄ってきた。
「あの…その、どうしてもと頼まれて」
と言って一通の手紙を渡した。
「これは庭師仲間のアダンという男が持ってきて…」
手紙には宛名も差出人も書いてなく
「そいつはレジェ男爵の下で昔から働いている庭師です」
クレマンははっとした。
「フランク、ありがとう。このことは内密に」
とだけ言うと急いで自分の部屋に戻った。
やはりルシファンヌからの手紙であった。
いろいろな噂が飛び交って不安だと、クレマンに会いたいとそんな手紙であった。
(会いたいと言っても)
あれからだいぶ日が経っている。夜なら抜け出せるかと暗くなるのを待った。
夜半過ぎクレマンは屋敷を抜け出した。思ったより簡単であった。しばらく道沿いを歩いていると馬車が止まっているのが見えた。
「クレマン様ですかい?」
痩せた中年の男がランプを持って立っていた。
「アダンと申します。ルシファンヌ様の使いできました。どうぞ馬車へ」
アダンは今日クレマンが来なくても明日も明後日も待つつもりでいたそうだ。
「ルシファンヌ様がお待ちです」
そう言われて2階の奥の部屋に通された。勝手知ったるデュラン邸だが2階に上がったのは初めてだった。
それにしても…人の気配があまりないな、まさかさっきの庭師とふたりで住んでいるのか。
クレマンが不思議に思っていると
「クレマン様!」
突然ルシファンヌが飛びついてきた。
「お会いしたかった…」
柔らかい簡単な部屋着のようなドレスだがやはり“黒”であった。
甘い薔薇の香がした。
「大丈夫ですか?」
クレマンは強く抱きしめながら言った。
「ふふふ…またそれ?」
「あなたは何もしてない!私の友人が言うのです。あの火事はあなたが放ったものだと。そんなことは!あなたが大事な薔薇たちを燃やしてしまうはずなどない!」
クレマンが自分に言い聞かせるように言った時ルシファンヌと目が合った。
「わたくしは…火などつけておりません」
濡れたヘーゼルアイがクレマンを捕らえて離さなかった。
「あなたは人など殺していない!あなたはっ」
ルシファンヌの唇がクレマンの唇を塞いだ。
「もう何もおっしゃらないで」
その言葉を聞いて今度はクレマンが口づけふたりはベッドになだれ込んだ。
(ああ、やはり彼女の寝室だったんだな)
その瞬間クレマンの理性は吹き飛んで自分の服を荒々しく脱ぎ捨てた。
脱がし方のわからない彼女のドレスは引きちぎった。
「あぁっ!」
その乱暴な扱いは彼女の望むものだったようだ。
クレマンは物静かだったルシファンヌが荒ぶる獣に変身する姿に興奮した。
「ルシファンヌ!あぁ…声が…大きいよ…」
息を弾ませながらクレマンが言うと
「アダンは離れに…今日はメイドもいません…
あなたと…ふたりきり…あっ」
ルシファンヌも喘ぎ喘ぎ言った。言葉にしたことでより感じたようだ。
「だから…もっと…もっと…あっ愛して…」
この言葉にクレマンはさらに興奮しより深く愛した。
ふたりは明け方まで何度も激しく愛し合った。
ルシファンヌのところへ会いに行きたいが監視の目が厳しく、外にも出られなかった。
エンゾが父親であるベルクール伯爵にルシファンヌの件を進言したからだった。
「我が伯爵家を傷つけるようなまねはするな!」
ベルクール伯爵はそう告げるともう顔も合わさなかった。
人伝てに話を聞くとルシファンヌはロイクの葬式の時はかなり好奇の目でさらされていたようだ。
それでも彼女は凛とした姿勢で式をとりおこなっていたとも。
そんな事を聞くとエンゾの言うような悪人とは思えないとクレマンは自分の都合のいいように考えていた。
会いたいけど会えない、そんな悶々とした日々を送っていたクレマンだったが、前にルシファンヌから貰った薔薇の鉢植えを我が家の花壇に植え替えようとした時だった。
「この薔薇の株はレジェ男爵令嬢から貰ったんですかい?」
ベルクール家の庭師フランクが植えるのを手伝いながら言った。
「そうだ、ウチも薔薇園が欲しいと思って。さすがに黒薔薇は分けてもらえなかったがね」
クレマンは慣れない手つきで薔薇を植えながら言った。
「そうでしたか…クレマン様、この話はご存知ですかい?黒薔薇“シャルル・ノアール”の功績は結局生き残られたレジェ男爵令嬢のものとつい最近国が認めたんですよ。
近々この国初の女性男爵になるのでは?と、噂ですけどね」
クレマンにとっての驚きはいかに自分が世間に疎いかということだった。ルシファンヌはそれほどの有名人なのか。
程なくして噂どおりルシファンヌはレジェ男爵を継いだ。国内初女男爵の誕生である。
ただし薔薇事業が確実に担える後継者を育てる事という条件つきであったが。
そうなってくると彼女のひとり勝ちではないか、両親が死んで男爵の座が、夫のロイクが死んで大金が、それぞれ死んだことで彼女は手中に収めた。エンゾが言っていた放火の噂プラス殺人まで世間は疑い出した。
お金のため、男爵である親に売られたかわいそうな娘から、殺人や放火までして地位と金を手に入れた悪辣な女と評価は落ちた。
ルシファンヌには黒い噂が絶え間なかった。女男爵の称号は稀代の悪女の称号に変わっていった。
クレマンが庭に出てこの前植えた薔薇の様子を見ていると
「あの…クレマン様」
庭師のフランクが近寄ってきた。
「あの…その、どうしてもと頼まれて」
と言って一通の手紙を渡した。
「これは庭師仲間のアダンという男が持ってきて…」
手紙には宛名も差出人も書いてなく
「そいつはレジェ男爵の下で昔から働いている庭師です」
クレマンははっとした。
「フランク、ありがとう。このことは内密に」
とだけ言うと急いで自分の部屋に戻った。
やはりルシファンヌからの手紙であった。
いろいろな噂が飛び交って不安だと、クレマンに会いたいとそんな手紙であった。
(会いたいと言っても)
あれからだいぶ日が経っている。夜なら抜け出せるかと暗くなるのを待った。
夜半過ぎクレマンは屋敷を抜け出した。思ったより簡単であった。しばらく道沿いを歩いていると馬車が止まっているのが見えた。
「クレマン様ですかい?」
痩せた中年の男がランプを持って立っていた。
「アダンと申します。ルシファンヌ様の使いできました。どうぞ馬車へ」
アダンは今日クレマンが来なくても明日も明後日も待つつもりでいたそうだ。
「ルシファンヌ様がお待ちです」
そう言われて2階の奥の部屋に通された。勝手知ったるデュラン邸だが2階に上がったのは初めてだった。
それにしても…人の気配があまりないな、まさかさっきの庭師とふたりで住んでいるのか。
クレマンが不思議に思っていると
「クレマン様!」
突然ルシファンヌが飛びついてきた。
「お会いしたかった…」
柔らかい簡単な部屋着のようなドレスだがやはり“黒”であった。
甘い薔薇の香がした。
「大丈夫ですか?」
クレマンは強く抱きしめながら言った。
「ふふふ…またそれ?」
「あなたは何もしてない!私の友人が言うのです。あの火事はあなたが放ったものだと。そんなことは!あなたが大事な薔薇たちを燃やしてしまうはずなどない!」
クレマンが自分に言い聞かせるように言った時ルシファンヌと目が合った。
「わたくしは…火などつけておりません」
濡れたヘーゼルアイがクレマンを捕らえて離さなかった。
「あなたは人など殺していない!あなたはっ」
ルシファンヌの唇がクレマンの唇を塞いだ。
「もう何もおっしゃらないで」
その言葉を聞いて今度はクレマンが口づけふたりはベッドになだれ込んだ。
(ああ、やはり彼女の寝室だったんだな)
その瞬間クレマンの理性は吹き飛んで自分の服を荒々しく脱ぎ捨てた。
脱がし方のわからない彼女のドレスは引きちぎった。
「あぁっ!」
その乱暴な扱いは彼女の望むものだったようだ。
クレマンは物静かだったルシファンヌが荒ぶる獣に変身する姿に興奮した。
「ルシファンヌ!あぁ…声が…大きいよ…」
息を弾ませながらクレマンが言うと
「アダンは離れに…今日はメイドもいません…
あなたと…ふたりきり…あっ」
ルシファンヌも喘ぎ喘ぎ言った。言葉にしたことでより感じたようだ。
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この言葉にクレマンはさらに興奮しより深く愛した。
ふたりは明け方まで何度も激しく愛し合った。
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