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再び神殿へ
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辺りはもう真っ暗になっていた。
私は物陰に隠れて3人を待った。見つからないよう3人の跡をついていけば神殿内部に入れると思ったからだ。
案の定3人の姿が見えた。
さすがに正面の礼拝堂からは入らず、人気のない北口から侵入するらしい。
私も!と思った矢先、礼拝堂から小さな灯りが見えた。
(見つかる!)
咄嗟に柱の影に隠れたがいつまでもゆらゆらとした灯は私を誘っているようにも見えた。
(えい、ままよ!)
導かれるように正面の礼拝堂入口から堂々と入ったのである。
中は暗いが月明かりで大体の様子がわかる。しんとした礼拝堂は厳かな雰囲気であった。
(神様に導かれてる?)
そんなことさえ考えてしまうほどである。
奥の小さなドアを開けそのまままっすぐ進んだ。右手には私が寝ていた救護室がある。
さらに進んでドアを開けると
(まずいわ!人がいる!)
どうやら修道士たちの居住部分のようだ。
ところが人の気配もあり、話し声もするがいっさい出会わない。そのまま外に出られそうなドアを開けた。
ここは!
夢で見た景色だ。
噴水があって、花壇にはハーブがいっぱい咲いている。
そして夢では気付かなかったが噴水の向こうには荘厳な建物があった。
あれが奥の院なのか?
ここは神殿の中庭なのね。
辺りを見渡すと隅に小さな石小屋があった。窓から灯りが漏れている。
「?」
危険は感じなかった。
なぜか導かれたあの灯りと同じ気がした。
中へ入ると祭壇が目に入った。花が飾られ、燭台にはろうそくに火が灯っている。
あかりはこのろうそくの火であった。
鮮やかな赤い法衣を纏った男性の肖像画が2枚飾られてあった。
“アロ”と“ヘルバ”
肖像画の額縁に名前が刻まれていた。
(亡くなったふたりの枢機卿ね)
突然、風もないのにろうそくの火が消えた!
(ちょっと怖いじゃない‼︎)
その時
「侵入者だ!」
「侵入者だ!」
「どこへ行った?」
「まさかこんな奥まで来てないだろう」
「念のため探すぞ!」
(どうしよう?)
ガッ!
逃げようとして何かにつまづいた。
「いたた、って何これ?」
暗いのでよくわからないが木の板?らしい。
『ララ、持っていって』
えっ?頭の中で声がする。
『大事!持ってって!』
(アロ様とヘルバ様?)
『早く!』
ああもう、わかりましたよ
そのわけのわからないものを抱え(ちょっと重いな)元来たドアに向かおうとすると
『ダメー!』
『ちがーう!』
わっ大きい声出さないで、頭痛い
『人多すぎ…もう…隠せない』
『こっち、裏へ』
言う通りにすると石小屋の裏側には高い石塀が続いている。その塀に小屋に隠れて見えないように木の扉があった。
私がしゃがんで通るくらいの小さなものだ。
『逃げて!』
『早く!』
木の扉をくぐった。
…塀の外に出られた。外はうっそうと茂った草むらだった。それでもうっそうとした中に少しへこんだところがある。
小径があった。
『ララ…ありがと……』
もう声は遠かった。
小径といっても通路のようだ。段々人の手で掘り下げられ、しまいには私の背ほどの深さになった。
つまり高さは私の背、横幅は人ひとり通れるくらいの人工の通路である。
その深さと草むらも手伝ってわたしはすっぽりと隠されたまま脱出できた。
出口は神殿の前庭の横に広がっていた林の中だった。
まだ神殿は騒いでる。
どうしよう?まだ隠れていたほうがいいのか?
でもいつまでもいるわけには…
意を決して林を出ようとしたその時
ドシン!
「きゃっ!」
「わっ!」
誰かとぶつかって尻もちをついてしまった。
恐る恐る顔を上げると
「キリアン!」「ララ!」
「よかったわ、キリアンで」
「よかったじゃねぇよ、どうしてって、またお前、泥だらけ!もう何なんだ!」
「それよりそっちは?救出できた?」
「…あぁ、見つかったがな。
散り散りに逃げて学園で落ち合うことになっている」
「学園⁈そんなわかりやすい場所、大丈夫?」
「ホントは王宮の方と思っていたけど…先生が歩けないほどじゃないがあまり体力がなくて…
一時的に、あそこには薬もあるし」
キリアンは何だか言いにくそうだ。
先生はよほど痛めつけられたのか…
「よし!今なら大丈夫そうだ。ところで何持ってるの?」
月明かりに照らされて私はようやくその物の全貌が見えた。
これは…木製の手枷?
両手首が上下の木で挟み込むようになっている。
「わっ、何だよ?なんで拷問道具持ってるの?」
キリアンが気味悪がっている。
「拷問というより拘束する道具じゃないかしら?」
「なんで疑問形?自分で持ってきたんでしょ?」
「ん~持たされた?いや、頼まれた?」
説明が難しい。
その時また神殿が騒ぎ出したので
「話はあとだ。ちょっと遠回りするけど学園に向かおう」
キリアンに連れられて私は林を後にした。
私は物陰に隠れて3人を待った。見つからないよう3人の跡をついていけば神殿内部に入れると思ったからだ。
案の定3人の姿が見えた。
さすがに正面の礼拝堂からは入らず、人気のない北口から侵入するらしい。
私も!と思った矢先、礼拝堂から小さな灯りが見えた。
(見つかる!)
咄嗟に柱の影に隠れたがいつまでもゆらゆらとした灯は私を誘っているようにも見えた。
(えい、ままよ!)
導かれるように正面の礼拝堂入口から堂々と入ったのである。
中は暗いが月明かりで大体の様子がわかる。しんとした礼拝堂は厳かな雰囲気であった。
(神様に導かれてる?)
そんなことさえ考えてしまうほどである。
奥の小さなドアを開けそのまままっすぐ進んだ。右手には私が寝ていた救護室がある。
さらに進んでドアを開けると
(まずいわ!人がいる!)
どうやら修道士たちの居住部分のようだ。
ところが人の気配もあり、話し声もするがいっさい出会わない。そのまま外に出られそうなドアを開けた。
ここは!
夢で見た景色だ。
噴水があって、花壇にはハーブがいっぱい咲いている。
そして夢では気付かなかったが噴水の向こうには荘厳な建物があった。
あれが奥の院なのか?
ここは神殿の中庭なのね。
辺りを見渡すと隅に小さな石小屋があった。窓から灯りが漏れている。
「?」
危険は感じなかった。
なぜか導かれたあの灯りと同じ気がした。
中へ入ると祭壇が目に入った。花が飾られ、燭台にはろうそくに火が灯っている。
あかりはこのろうそくの火であった。
鮮やかな赤い法衣を纏った男性の肖像画が2枚飾られてあった。
“アロ”と“ヘルバ”
肖像画の額縁に名前が刻まれていた。
(亡くなったふたりの枢機卿ね)
突然、風もないのにろうそくの火が消えた!
(ちょっと怖いじゃない‼︎)
その時
「侵入者だ!」
「侵入者だ!」
「どこへ行った?」
「まさかこんな奥まで来てないだろう」
「念のため探すぞ!」
(どうしよう?)
ガッ!
逃げようとして何かにつまづいた。
「いたた、って何これ?」
暗いのでよくわからないが木の板?らしい。
『ララ、持っていって』
えっ?頭の中で声がする。
『大事!持ってって!』
(アロ様とヘルバ様?)
『早く!』
ああもう、わかりましたよ
そのわけのわからないものを抱え(ちょっと重いな)元来たドアに向かおうとすると
『ダメー!』
『ちがーう!』
わっ大きい声出さないで、頭痛い
『人多すぎ…もう…隠せない』
『こっち、裏へ』
言う通りにすると石小屋の裏側には高い石塀が続いている。その塀に小屋に隠れて見えないように木の扉があった。
私がしゃがんで通るくらいの小さなものだ。
『逃げて!』
『早く!』
木の扉をくぐった。
…塀の外に出られた。外はうっそうと茂った草むらだった。それでもうっそうとした中に少しへこんだところがある。
小径があった。
『ララ…ありがと……』
もう声は遠かった。
小径といっても通路のようだ。段々人の手で掘り下げられ、しまいには私の背ほどの深さになった。
つまり高さは私の背、横幅は人ひとり通れるくらいの人工の通路である。
その深さと草むらも手伝ってわたしはすっぽりと隠されたまま脱出できた。
出口は神殿の前庭の横に広がっていた林の中だった。
まだ神殿は騒いでる。
どうしよう?まだ隠れていたほうがいいのか?
でもいつまでもいるわけには…
意を決して林を出ようとしたその時
ドシン!
「きゃっ!」
「わっ!」
誰かとぶつかって尻もちをついてしまった。
恐る恐る顔を上げると
「キリアン!」「ララ!」
「よかったわ、キリアンで」
「よかったじゃねぇよ、どうしてって、またお前、泥だらけ!もう何なんだ!」
「それよりそっちは?救出できた?」
「…あぁ、見つかったがな。
散り散りに逃げて学園で落ち合うことになっている」
「学園⁈そんなわかりやすい場所、大丈夫?」
「ホントは王宮の方と思っていたけど…先生が歩けないほどじゃないがあまり体力がなくて…
一時的に、あそこには薬もあるし」
キリアンは何だか言いにくそうだ。
先生はよほど痛めつけられたのか…
「よし!今なら大丈夫そうだ。ところで何持ってるの?」
月明かりに照らされて私はようやくその物の全貌が見えた。
これは…木製の手枷?
両手首が上下の木で挟み込むようになっている。
「わっ、何だよ?なんで拷問道具持ってるの?」
キリアンが気味悪がっている。
「拷問というより拘束する道具じゃないかしら?」
「なんで疑問形?自分で持ってきたんでしょ?」
「ん~持たされた?いや、頼まれた?」
説明が難しい。
その時また神殿が騒ぎ出したので
「話はあとだ。ちょっと遠回りするけど学園に向かおう」
キリアンに連れられて私は林を後にした。
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