簡単にすらすらと神様を語る人を私は信用致しません

バオバブの実

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時の見届け人

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「なんですか?それって」
 私はあの時の状況を思い起こしながら言った。
「さっきも言った通り我々では気が付かないんだ。止まる前と後で時間が連続するから。
 でもそれだとルーメンのように悪さをする者のしたい放題になるだろう。
 そこでその行いが正しいか見える者が必要になってくる。監査役みたいなものさ」

 レオンハート様の説明によると昔から何人かそういう人がいたそうだ。その文献が王宮に残っていてそれをアンディと解析して読んでいるうち、ルーメンもそうなのではないかと仮説を立てていたそうだ。

「そして“時を止める力”を持つ者と対になって“時の見届け人”が生まれる」

「何のためにいるんですか?時を止めていい事なんかあるんですか?」
 キリアンが乱暴に言った。

「いい事をした事例もいっぱいあるよ。王族の暗殺計画を阻止したとか、犯罪組織を暴いたとか」
「でも悪い事したやつもいるんですよね?
 ララの負担が大きすぎる!」
 キリアンがそう叫んだ時、両隣のお母様とヴァイオレットが私の手を強く握った。

「重々わかっているよ…でも私たちだけでは気づくことさえ困難だ。ララの力が必要なんだ。
 ララは我々の切り札なんだ」
「本当にそうでしょうか?」
 私はレオンハート様の言葉を遮った。
「あの時私は何もできなかった。事の成り行きをただ見ているだけだった…
 殺されるのを止めることもできなかったんですよ!」
 そう、本当に見ているだけ。
 動けない、何もできない、ただ見届けるだけ。
 見届け人とはよくいったものだわ。

「…それでもだ。自殺か他殺かだけでもリーブス先生の死の意味が違ってくる。
 …重要なことだよ」
 レオンハート様は静かに、でもとても力強く言った。

 部屋の中は重苦しい沈黙に包まれた。

「ララも疲れているようだし、この辺で今日のところは解散にしませんか?」
 お父様が沈黙を破り声をあげた。


 レオンハート様たちをお見送りした後、私はお父様に抱きしめられた。
「あまり無理をしないように」

 あたたかい。

「はい」
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