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夜会で
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ファーガソン公爵邸はやはり我々の家とは違い立派で荘厳なお屋敷でした。
ロズマリンが馬車の窓から覗き
「やっぱり難しくない?」
と、困った顔をしています。
「大丈夫!さぁふたりとも」
サイラス様が手を取ってわたくしたちを馬車から降ろしました。
大広間にわたくしたちが現れた時、みなさまの目がいっせいにこちらに集まりました。
サイラス様の左側にはわたくし、右側にはロズマリンと、3人連れ立って入場したからです。
サイラス様は黒のタキシード、ロズマリンはワインレッドのドレス、わたくしはシャンパンゴールドのドレス、衣装のコントラストも目を引いたかもしれません。
かねて練習したとおり、サイラス様は器用にわたくしたちふたりをエスコートし、次々貴族たちと挨拶を交わしていきました。
ひとり50才前後の恰幅のいい紳士が近づいてきました。
「やぁいらっしゃい、よく来てくれたね」
ファーガソン公爵でした。
「お招きありがとうございます。こちらがアナベル、こちらがロズマリン、わたくしの妻たちでございます」
サイラス様がにこやかに話されました。
「両手に花だね。サイラス殿が羨ましい。
なに、私は君たちのファンでね。今日は楽しんで」
「ほら、大丈夫だったろう」
挨拶を済ませたあと、サイラス様は上機嫌でそう言いました。
ホールに鳴り響いていた音楽の曲調が変わりました。ダンスの時間です。
「さて、これからが本番」
サイラス様のこの言葉を合図にわたくしたちはうなづき合い、広間の中央に3人で進み出ました。
みなさまがキョトンとしている中、まずサイラス様がわたくしたちに恭しく挨拶をし、わたくしたちはドレスをつまんで挨拶を返しました。そして…
曲に乗って踊り出します。3人で。
そうです!3人でダンスをしたのです!
もちろんふたりで踊るワルツを3人で踊るのは至難の業、だからフォーメーションが大事です。
このために3人でダンスのお稽古に励んだのでした。
さきほどファーガソン公爵がわたくしたちを花に例えていましたが、このダンスはサイラス様という花の周りをわたくしたち2匹の蝶が飛び交うというイメージで構成されたものでした。
どうです?みなさま!
わたくしはターンしながら会場のみなさまに心の中で問いかけます。
わたくしたち、美しいでしょう?
楽しそうでしょう?
楽しいですとも!
心のまま自由に踊ることが!
「ふふふっ」
わたくしはとうとう声に出して笑ってしまいました。
「アナベル、楽しそうね」
ロズマリンだって笑顔です。
サイラス様もそんなにお笑いになって!
…曲が終わってしまいました。
パチパチ…小さな拍手はやがて大きなうねりとなって大広間中に響きました。
ダンスが終わって拍手など聞いたことがありません。
「見世物としては成功したみたいね」
ロズマリンが皮肉っぽく笑いました。
わたくしはこれで良かったと、3人の幸せはずっと続くのだと信じていました。
ロズマリンが馬車の窓から覗き
「やっぱり難しくない?」
と、困った顔をしています。
「大丈夫!さぁふたりとも」
サイラス様が手を取ってわたくしたちを馬車から降ろしました。
大広間にわたくしたちが現れた時、みなさまの目がいっせいにこちらに集まりました。
サイラス様の左側にはわたくし、右側にはロズマリンと、3人連れ立って入場したからです。
サイラス様は黒のタキシード、ロズマリンはワインレッドのドレス、わたくしはシャンパンゴールドのドレス、衣装のコントラストも目を引いたかもしれません。
かねて練習したとおり、サイラス様は器用にわたくしたちふたりをエスコートし、次々貴族たちと挨拶を交わしていきました。
ひとり50才前後の恰幅のいい紳士が近づいてきました。
「やぁいらっしゃい、よく来てくれたね」
ファーガソン公爵でした。
「お招きありがとうございます。こちらがアナベル、こちらがロズマリン、わたくしの妻たちでございます」
サイラス様がにこやかに話されました。
「両手に花だね。サイラス殿が羨ましい。
なに、私は君たちのファンでね。今日は楽しんで」
「ほら、大丈夫だったろう」
挨拶を済ませたあと、サイラス様は上機嫌でそう言いました。
ホールに鳴り響いていた音楽の曲調が変わりました。ダンスの時間です。
「さて、これからが本番」
サイラス様のこの言葉を合図にわたくしたちはうなづき合い、広間の中央に3人で進み出ました。
みなさまがキョトンとしている中、まずサイラス様がわたくしたちに恭しく挨拶をし、わたくしたちはドレスをつまんで挨拶を返しました。そして…
曲に乗って踊り出します。3人で。
そうです!3人でダンスをしたのです!
もちろんふたりで踊るワルツを3人で踊るのは至難の業、だからフォーメーションが大事です。
このために3人でダンスのお稽古に励んだのでした。
さきほどファーガソン公爵がわたくしたちを花に例えていましたが、このダンスはサイラス様という花の周りをわたくしたち2匹の蝶が飛び交うというイメージで構成されたものでした。
どうです?みなさま!
わたくしはターンしながら会場のみなさまに心の中で問いかけます。
わたくしたち、美しいでしょう?
楽しそうでしょう?
楽しいですとも!
心のまま自由に踊ることが!
「ふふふっ」
わたくしはとうとう声に出して笑ってしまいました。
「アナベル、楽しそうね」
ロズマリンだって笑顔です。
サイラス様もそんなにお笑いになって!
…曲が終わってしまいました。
パチパチ…小さな拍手はやがて大きなうねりとなって大広間中に響きました。
ダンスが終わって拍手など聞いたことがありません。
「見世物としては成功したみたいね」
ロズマリンが皮肉っぽく笑いました。
わたくしはこれで良かったと、3人の幸せはずっと続くのだと信じていました。
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