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よく晴れた日は
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長く降っていた雨もやっと止んだ5日目の朝、わたくしは我慢できずに別邸を訪ねました。
あれからサイラス様が少しひとりにしておこうとロズマリンを別邸においたままにしたのです。
わたくしも彼女のいない間にサイラス様と過ごすのはよくないと思ったので本邸ではありますがひとりで過ごしておりました。
ひとりで考えてもわからないことだらけで本人に直接聞いてみようと…なにか不満があるのか?どうしたらいいのか?そんな思いが膨らんで彼女を訪ねたのでした。
ロズマリンは美しい花園の中のベンチでひとりリュートを奏でていました。
「ごきげんよう、ロズマリン」
「…あら、ずいぶん早いのね、アナベル」
「ええ、朝食でもいっしょにと」
わたくしは連れてきた使用人たちに合図ししたくをしてもらいました。これでふたりきりになれます。
「お花綺麗ね」
わたくしが言うと
「本邸の庭園ほどではないけどここもいいでしょう。こじんまりとして綺麗で。白いあじさい『アナベル』っていうのよ」
「そう、わたくしと同じなのね」
何気ない会話に幸せを感じました。
「ねぇロズマリン、わたくしは今幸せだわ。あなたは?…違うの?」
「さぁ…昔の私って突飛な行動とってかなりハチャメチャだったでしょう?
あの時は幸せになろうとしてたわ」
あじさいの花びらにそっと触れながら
「でも今は諦めたかも」
「!」
「ここがイヤなわけではないわ。アナベルもサイラスも好き。でもね、なぜか落ち着かないの。」
「誰かになにか言われた?」
「そんなことないわ。ただ身の置き所がないっていうか…まぁ私が大人になったということよ」
わたくしはわかったようなわからないような変な説明を受け…それでも次の言葉は見つかりませんでした。
「ふたりとも、僕も仲間に入れてくれないか?」
サイラス様がちょっと遠慮がちに話の輪に加わってきました。
久しぶりに3人揃ったので別邸で朝食をとることになりました。
「ちょっとふたりに相談があってね。実はファーガソン公爵の夜会に招待されて…僕としては出席したいんだ、3人で」
いたずらっ子のようにサイラス様が笑います。
「格上の公爵の夜会なんだから駄目なんじゃない?アナベルとふたりでお行きなさいな」
「いやいや、公爵は捌けたお方でぜひ3人でと」
「フン、まるで見世物ね」
わたくしはふたりのやりとりを聞いてこれはチャンスだと思いました。
「ねぇ、これはあの婚約披露パーティーの再来よ。面白いことしましょうよ」
ロズマリンはしばらく考えていましたが
「はぁ…わかったわ。また私が男装して…」
「ちょっと待って。今度は僕に任せて。
いいアイデアがあるんだ」
サイラス様のアイデアを聞いてわたくしたちは目を丸くしました。
「なんかワクワクする!」
ロズマリンが明るい顔になってます。
「そうと決まればダンスのお稽古ね!」
わたくしもウキウキしてきました。
晴れた日は気分も晴れるもの。わたくしたちは昔のように笑っておりました。
あれからサイラス様が少しひとりにしておこうとロズマリンを別邸においたままにしたのです。
わたくしも彼女のいない間にサイラス様と過ごすのはよくないと思ったので本邸ではありますがひとりで過ごしておりました。
ひとりで考えてもわからないことだらけで本人に直接聞いてみようと…なにか不満があるのか?どうしたらいいのか?そんな思いが膨らんで彼女を訪ねたのでした。
ロズマリンは美しい花園の中のベンチでひとりリュートを奏でていました。
「ごきげんよう、ロズマリン」
「…あら、ずいぶん早いのね、アナベル」
「ええ、朝食でもいっしょにと」
わたくしは連れてきた使用人たちに合図ししたくをしてもらいました。これでふたりきりになれます。
「お花綺麗ね」
わたくしが言うと
「本邸の庭園ほどではないけどここもいいでしょう。こじんまりとして綺麗で。白いあじさい『アナベル』っていうのよ」
「そう、わたくしと同じなのね」
何気ない会話に幸せを感じました。
「ねぇロズマリン、わたくしは今幸せだわ。あなたは?…違うの?」
「さぁ…昔の私って突飛な行動とってかなりハチャメチャだったでしょう?
あの時は幸せになろうとしてたわ」
あじさいの花びらにそっと触れながら
「でも今は諦めたかも」
「!」
「ここがイヤなわけではないわ。アナベルもサイラスも好き。でもね、なぜか落ち着かないの。」
「誰かになにか言われた?」
「そんなことないわ。ただ身の置き所がないっていうか…まぁ私が大人になったということよ」
わたくしはわかったようなわからないような変な説明を受け…それでも次の言葉は見つかりませんでした。
「ふたりとも、僕も仲間に入れてくれないか?」
サイラス様がちょっと遠慮がちに話の輪に加わってきました。
久しぶりに3人揃ったので別邸で朝食をとることになりました。
「ちょっとふたりに相談があってね。実はファーガソン公爵の夜会に招待されて…僕としては出席したいんだ、3人で」
いたずらっ子のようにサイラス様が笑います。
「格上の公爵の夜会なんだから駄目なんじゃない?アナベルとふたりでお行きなさいな」
「いやいや、公爵は捌けたお方でぜひ3人でと」
「フン、まるで見世物ね」
わたくしはふたりのやりとりを聞いてこれはチャンスだと思いました。
「ねぇ、これはあの婚約披露パーティーの再来よ。面白いことしましょうよ」
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「はぁ…わかったわ。また私が男装して…」
「ちょっと待って。今度は僕に任せて。
いいアイデアがあるんだ」
サイラス様のアイデアを聞いてわたくしたちは目を丸くしました。
「なんかワクワクする!」
ロズマリンが明るい顔になってます。
「そうと決まればダンスのお稽古ね!」
わたくしもウキウキしてきました。
晴れた日は気分も晴れるもの。わたくしたちは昔のように笑っておりました。
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