たまに本音か冗談か分からない事を呟く、隣の席のアリア。

御船ノア

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第二十五話 更生

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 私は黒崎さんと一緒に食堂へと行き、料理を受け取ったあとテーブル席に着く。
 四時限目終了後、すぐに食堂へ来たから人はまだ少ない。
 しばらく黒崎さんと食事を交わしていると、男三人が声をかけて来た。それは、この前林くんを連れて行った集団。

「おー、赤坂さんに黒崎さん!」
「来るの早いねー! もしかして二人?」
「よかったら俺達も一緒にいいか!?」

 詰め寄る勢いで近づいて来るので反射的に身を引いてしまう私達だったけど、戸惑いながらも相席を了承する。

「え、えぇ。どうぞ……」
「よっしゃぁー!」

 偉くテンションの高い男達。そんなに私達と相席できることが喜ばしいのだろうか。
 男達は私の両脇に二人、黒崎さんの片側に一人席についた。

「あれ? 今日は林くんと一緒じゃないのか?」

 私の隣に座るリーダー格であろう人が質問をしてくる。

「彼とは昨日、縁を切ったわ」
「……え? そうなの!?」
「ほんと。あんな最低の男だとは思わなかったよね~」

 私と黒崎さんが怒りを滲ませた口調を漏らすと、男達は食いついてきた。

「一体なにがあったんだ? よかったら話を聞くぜ?」

 相席するのが初対面とは思えないほどに、ぐいっと顔を寄せてくる。うっ、臭い……。

「昨日彼が、私達に冷やし中華をかけてしまったでしょ? それで制服がベトベトになったから、すぐにクリーニングを出さないといけない話になってね」
「一応、あいつもわざとやったわけじゃないから気にしなくていいよって気遣いの声をかけたんだけど……そしたらあいつ、なんて言ったと思う?」
「さぁ、分からねぇな」
「あれは不慮の事故だから俺は何も悪くない。だからクリーニング代は払わねぇぞ、って」
「そりゃあひでぇ。いくらわざとじゃないとはいえ、普通だったら労いの言葉ぐらいあってもいいよなぁ」
「でしょ!? ちょっとぐらい罪悪感を感じてもよくない!? あーほんとムカつく!」

 黒崎さんが歯軋りを鳴らす。それに続いて私は説明を続ける。

「それで彼とは論争になって、最終的に縁を切ることにしたわけよ」
「そうか。そんなことがあったのかぁ。それは大変だったなぁ」

 うんうんと納得の相槌をするリーダー格の男。話の内容に随分と喜ばしそうだった。

「しかも、陰では私達の悪口を言っていたらしいわ」
「え、悪口まで?」
「ええ。噂で聞いてね。ブスのくせに調子乗っているとか、いつも近づいてきて気持ち悪いとかね。こっちは本人の為を思っていつも誘っていたのに、その気遣いに感謝も出来ないなんてほんと信じられないわ」
「へぇ。それはムカつくなぁ」
「あなた達も、何か知っていることはない?」

 私が問うと、男三人は一度目を合わせ始め、同時にうなずく。

「いや~偶然だな~。実は俺達も、林が二人の悪口を言っていたことに腹立っていたんだよ」

 男三人は不敵な笑みを浮かべる。

「この前なんかそれであいつを特別棟に連れてってよぉ。さすがに人としてよくないから二人に謝罪しろって言ったんだけど反省の色がなくてさ。あの時はほんと呆れたなぁ。最低な奴だよ、あいつは」
「そうね。男のくせにこそこそ隠れて悪事を働かせるなんて、更生の意味も込めて一度こらしめる必要があるかしら?」
「おっ、それいいねー! そういう奴は一度身をもって分からせた方がいいぜ! な、お前ら!」
「ああ! じゃないと二人が可愛そうだ!」
「そうだそうだ! どうせ更生するなら早いほうがいい! 他の人だってそう思っているに違いない!」

 盛り上がる男三人。

「それなら俺達に任せてくれないか? 二人のために絶対なんとかするからよ」
「具体的にどうするのかしら?」
「そうだな。あいつは物分かりが悪くて話が通じない。だから、身をもって思い知らせるかもな」
「……そう。任せるわ。お願いね」
「ああ。必ず俺達が二人の報いをはらしてやる。だから安心してくれ」

 さりげなく私の手に自身の手を重ねるリーダー格の男。
 思わず、鳥肌が立ってしまった。
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