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第三話 意味深なロベホテル
しおりを挟む「ったく、一体どうなってやがんだ!」
「まぁまぁ、そう気を悪くしないで下さい。私達は人間界に詳しくないのですから」
先ずは住む場所を何とかしようと不動産に何回も相談してみたものの、何処も受け入れてもらえないでいた。
肝心の資金が無いというのが主な原因だ。
だが、今回は違う。
俺達は、百万円という人間界の物差しでいえば多額なお金を手にする事が出来たのだ。
それは、前回の話が関わっている。
セラフィーを人質にしたあの成人の男性。
あの男性は百万円という懸賞金が掛けられた重犯罪者だったらしく、それを退治していた所を他の人間が目撃し、警察に通報してその場に呼んでくれた。
多くのパトカーがサイレンを鳴らし、車の上に取り付けられた赤いランプをテラテラと照らしながら現場に到着する。
それに反応した多くの人間は何があったんだ、と不安げな様子で次から次へと集まって来て、現場にいた俺達は警察を含む大勢の人間に囲まれながら注目の的となってしまった。
警察に詳しく事情を聞かれ、偽りなく素直に説明すると、初めは『こんな少年が!?』と酷く驚いていたが、その後は大きな偉業を成し遂げたかのように感激の様子で強く両手を握られながら何回も頭を深く下げられ感謝された。
そして事が進んでいき、警察から懸賞金を報酬金として受け取った……という事があったのだ。
警察にもこれだけのお金があれば家に住む事は可能だっていう情報も得、早速近くにある不動産に駆け寄った。
そしてお金の問題は無事突破する事が出来たのだが、再び新たな問題が発生してしまう。
なんと今度は、『身分証明書』やら『ハンコ』やら『銀行口座』やらを提示するよう言われたのだ。
意味不明な言葉を連発され困惑している俺達を見た店員は、『え?』みたいな顔をしていて、それらを持っていない事に不思議がられた。
説明されても情報量が多すぎて話に付いていけず断念。
俺とセラフィーはもはや家に住む事自体が億劫になってきてしまい、これからどうするのかを話し合っていた。
「金はあんのに住ませて貰えないとか、人間共はケチな奴ばかりだな」
「仕方ありませんよ。ここは人間界……ここの世界のルールに従うしかありません」
人間界で翼を付けて出歩くのは住民から不審者扱いされ、通報される可能性があるという事を警察に言われた為、今は翼を隠している。
翼を隠して歩いている俺とセラフィーは、周りから見たら神ではなく、ただの少年少女に見える事だろう。
「でもどうすんだよ。これじゃあ俺達、野宿する事になるぞ」
「困りましたね。……あ!」
セラフィーが希望の光を見つけたかのような明るい表情で何かを見つけた。
「見て下さい、ルシフェル! ホテルを見つけました!」
「ホテル? なんだそりゃ?」
「簡潔に申し上げますと、家みたいなものです」
「どうせまた、断られるんだろうよ」
「いいえ、それは無いかと思います」
「何故、言い切れる?」
「私の勘がそう言っていますので」
「…………」
確信の何かがあるのかと期待していた自分が馬鹿だったと戒めるルシフェル。
「あ、信じていませんね」
少しだけ顔を膨らませ不満の様子を顕にするセラフィー。
「イエイエ、信じていますよ、セラフィー様」
(どのみち、行けば分かるだろ)
セラフィーを置いて先にホテルに向かって行くルシフェル。
ようやくルシフェルと共に過ごす事が出来るという期待を胸に膨らませながら、その後を早歩きで追いつこうとするセラフィーであった。
★
無事、目的地であるホテルに到着した俺達。
高く建てられたそのホテルを初めて見て、少しだけ見惚れてしまうルシフェル。
高く建てられているという点では、悪魔城と共通しているように思えたからかもしれない。
「ほぉ、中々良い造りじゃねぇか」
勿論、不満点もある。
「……外壁を除けばな」
黒とピンクの二色で塗装された派手な色合いにやや顔がひきついてしまう。
どうせ黒を塗るなら、悪魔城みたく黒一色にして欲しかったと不満気の様子であるルシフェル。
更にはホテルの頂上に飾られた看板の『ある文字』を見て、何て書いてあるのか不思議に思ってしまい理解に苦しむ。
「なぁ、あの看板なんて読むんだ?」
頭を上げ、セラフィーに看板に目を向けるよう指を指して促す。
看板に書かれている『LOVE ホテル』という文字。
ルシフェルは英語の部分が読めずにいる。
セラフィーなら読めるかもと思い聞いてみたものの、セラフィーもその文字を読み取るのに難しい顔をしてしまっている。
「ロベ……ホテル?」
「なんだ、セラフィーも読めねーのかよ」
「読めませんね。人間界は色々な文字があって不思議です」
「ま、別に住めるならどうだっていいか。––––––とりあえず、中に入ろうぜ」
明るく照らしてくれていた陽も、今は輝きを失いつつ徐々に沈み始めてきた。
暗くなってしまっては家を探すのも困難になってしまう事だろう。
俺達は看板の意味など考えずにホテルの入り口に付けられている取手を引き、ロベホテルに足を踏み入れた。
★
中に入ると、そこはとても落ち着く空間だった。
紅蓮色に染まった絨毯が隅々まで長く敷かれており、壁にはキラキラと輝きを帯びている宝石のような物がチラホラ装飾されていて高級感を漂わせている。
ライトも目に優しい淡い明るさで照らされており、ロビーに設置されている向かい合いのソファで思わず寝てしまいたくなるような感じだ。
微かに漂う甘い香りは俺達の鼻を擽り、張り詰めていた空気を一気に払拭するかのように全身がリラックスモードに変わり始める。
俺達はホテルを利用するのが初めてで勝手が分からない為、ロビーに一人で立ちながらスマホを片手でいじっている若い女性に話し掛ける事にした。
「おい、そこの女」
「ん……? あ、いらっしゃい」
女性は客が来店した事に気付いていなかったのか、少しだけ慌てた様子でスマホから顔を上げる。
「俺達ここに住みたいのだが、可能か?」
「あ、大丈夫っすよ。因みにどれくらいのご利用ですか?」
「どれくらいか…………質問を質問で返してすまないが、どれくらいの期間住めるんだ?」
「……まぁ金が払えるなら、ずっと住む事も可能っすよ」
「本当か!」
俺とセラフィーの眼に希望の光が宿る。
一日中住むのを断られ続けていたからか、やっと住める所に出会えた事に内心胸が踊っていた。
「嘘でこんな事言わないよ。こっちも商売でやっているんだから」
「それで、金はいくらだ?」
すると、女性はホテルの料金表が記された紙をテーブルの上に置いて説明し始める。
「まぁ、長く住むならこの『長期間パック』がオススメかな。一日当たりで換算したら割引が利いてお得なパックとなっているので」
長期間パックには一ヶ月、半年、一年間の三つがあり、当然ながら一年間の方が合計金額は高いが、その分一日当たりの料金が安くなっているのが分かる。
だがお金の概念に乏しい俺達にとって、それが高いのか安いのか分からないでいた。
俺達にとっては、そんなのただの紙切れにしか思えないから。
悩んだ挙句、短いよりは長く住める方が良いに決まっていると判断したルシフェル。
「では、この一年間で頼む」
「おおっ、アンタかなり踏み込んだね」
「まあ! ルシフェルったら、私と一年間も一緒に居たいのですね!」
「バッッッッか!! ち、ちげーよ! 長く住めてお得だったから、そっちを選んだだけだ!!」
「またまた~、えへへっ」
女性の目の前で頬をほんのりと赤くしながらイチャついてしまう俺達。
女性は呆れて大きな溜息を一つついた後、二人の時間を終わらせるかのようにホテルの手続き書を差し出して話始める。
「あのー、イチャついているとこ悪いんだけど、話を進めていいすか?」
「お、おう! 頼む」
ルシフェルは抱きついて来ようとするセラフィーを強引に抑えながら耳を傾ける。
「これが住む為に必要な手続き書だ」
「……その前に確認なんだが、身分証明書やハンコやら銀行口座やらは必要ないんだよな?」
「ああ、別にいらない。ハンコがないなら代わりにサインをしてくれれば構わない」
(良かったぁ~)
「じゃあ早速、必須事項を書いてくれ。その後、料金の精算に入る」
「うむ」
ペンを渡され、必須事項蘭を記入していくルシフェル。
だが、そのペンを動かしていた手の動きは暫くして直ぐに止まってしまう。
「…………」
「どうした?」
「……いや、『住所』と『連絡先』は書かないと駄目か?」
どちらも書けない訳ではないが、素直に『天魔郷』なんて書いても人間には理解出来ないだろうし、信じて貰えない事が明白である事は何となく察した。
翼を生やして生活したり、家に住むのもタダであるのが俺達天魔郷の世界では当たり前の事。
だが人間界では、世界の常識が180度反転したかのように違う。
俺達が当たり前のようにやっていた事を人間界でやれば、通報される恐れがある事は警察の発言から理解したし、通報されれば警察に事情聴取というのをされてマークされた挙句、最悪の場合は牢に入れられる可能性だってある。
俺達、神からすれば人間ごときが何人束になろうと屈服させる事は朝飯前で、この日本とか言う世界を滅ぼそうと思えば、今直ぐにでも実現可能だ。
でも、そんな事をセラフィーは望んでいない。
セラフィーは純粋に、俺と共に幸せな時間を過ごそうとしているだけ。
そんな未来を勝手に想像してしまっている自分がいて、そのせいで、俺は天魔郷と書くのを躊躇ってしまっていた。
悪魔の王としてどうかと思うが、セラフィーの事を考えたら出来るだけ不祥事は起こしたくない自分がいる。
「……個人情報を晒すのが嫌なのか?」
女性店員に的を射た発言をされ思わずギクッとしてしまうが、俺は素直に答える事に。
「……あぁ」
女性は少しだけ何か考えた後、俺達が予想もしなかった返事をする。
「なら、書かなくていいよ」
「––––––え? いいのか?」
「ああ、別にいい。ここのホテル、従業員は私しかいないし……っていうか私が社長みたいなもんだから」
「へぇ、それは助かる」
「ほら、これが部屋の鍵となるカードだ」
渡されたカードには2020という番号が記載されていた。
「その番号は部屋の番号を示している。左の20は20階を指しているから覚えておいて。後はその4桁の番号が記されている部屋があるから探せば分かるだろう」
説明を終え、精算を済ますと20階までエレベーターで登るよう促され、初めてエレベーターという乗り物を体験する。
中に入ると数字のボタンが沢山あり、押した数字の階層まで上がってくれるのだろうと思い、素直に20と表示されたボタンを押す。
20以上の数字がない事から、20階が最上階である事が分かる。
閉鎖された空間の中、独特な浮揚感を味わいながら20階まで上がって行く俺達。
(飛んだ方が速くね?)
というのが正直な感想だが、このような乗り物は人間界でしか体験出来ない貴重なものだから、これはこれで良いかと思い込んで一人で納得し始める。
––––––ピンポーン。
『10階でございます』
エレベーター内に響き渡るアナウンスの声。
10階でエレベーターの動きが止まり、ドアがゆっくりと開かれる。
すると、男女二人組のカップルが中に入って来て、同じ空間を共にする。
階層ボタンを押さない事から俺達と同じ20階に用があるのだろう。
俺は隣で恋人繋ぎをしながら立つ男女二人組に横目を向ける。
なんだかチラチラと見られている感じがして仕方がなかったからだ。
特にこの狭い空間の中でやれる事は無く、精精会話をする事ぐらいしか見当たらない。
そんな会話も密室状態じゃ嫌でも他人の耳に入ってしまう恥ずかしさというのもあり、今このエレベータ内では居心地が悪い沈黙の中に包まれていた。
そんな気を紛らわそうと、俺は暇つぶしに隣のカップルと思われる心の中を読み取る事にした。
(はぁ、この女見かけによらず体はそうでもなかったな~)
(か、からだっ!?)
(マジこの男、テクニック無さすぎて全然イかなかったわ~)
(イクッ!?)
表面上は平常心を装っているが、内心は震度7強並に揺らいでいる。
そして、心の中で相手への不満を思う二人は、ここで思いがシンクロする。
(まぁでも、––––––S●Xを体験出来て良かった~)
(セ、セッ●スだとおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?)
ここで更に追い討ちをかけられる。
(これからこの二人も、性なる夜を過ごすんだろうな~)
(そんな夜を過ごすつもりはねぇけど!?)
そんな二人の何気ない言葉に一人心の中でシャウトするルシフェル。
(大丈夫、大丈夫だ落ち着け。そんな事、俺らの間で起こる筈など無い。俺達はただ住む場所が欲しくてこのホテルに駆け寄っただけだ。やましい事など一切考えてはおらん!)
––––––ピンポーン。
『20階でございます』
再びエレベーター内に響き渡るアナウンスの声。
ドアが開かれると、隣にいた男女二人組は先に出て行く。
「お、俺達も行くぞ、セラフィー」
さっきの動揺が残っている為か、ちょっとだけ歯切れが悪くなってしまう。
それを誤魔化そうとせっせと自分達の部屋を探しに行こうとするルシフェル。
「……はい」
この時、セラフィーの顔が真っ赤であった事をルシフェルは気が付かなかった。
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