天使と悪魔の禁忌の恋

御船ノア

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第五話 刺激的なショッピング

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夕食をコンビニという近くて便利な場所で済ませた後ホテルに戻り、お風呂タイムに浸るセラフィー。
「ルシフェル、大変です!」
風呂から出たと思ったら何やら慌てた感じの様子。
ドア越しで呼ばれた俺は風呂の近くまで行き、視線を風呂場の方へと向ける。
「どうしたー?」
「あ、あのっ、そのぉ……」
今度は何やら声が震えている様子。
その高いトーンからは、何処か恥ずかしがっているようにも捉えられる。
「どうしたんだよ」
ドア越しである為、中を確認する事が出来ない。
セラフィーのシルエットがぼんやりと見えるだけで、それ以上の情報を得られないでいる。
「……下着を、忘れてしまいました……」
「––––––は?」


     ★


ホテルから徒歩30分の所にある巨大デパート、『イーオン』に来た俺達。
ここは食品売り場から飲食店、本屋、家電用グッズ、ゲーセンなど多種多様にある大人気のデパートらしい。
開店時刻に来たのにも関わらず、静かだった空間も徐々に人気が増していき、中は随分と賑やかなものに変わってしまう。
そんな事を一切気にする事なく、俺達は寄り道をせずに『あるお店』に向かって行く。
そう––––––『下着店』だ。
もちろん、若い女の子を対象にしたお店。
着いたそこの入り口には、既にオススメの下着としてマネキンに装着させられているのを発見してしまう。
「スマン、俺は違う店に行く」
潔くお店を後にするルシフェルの手を引っ張り、行く手を阻むセラフィー。
力が平等な為、両者一歩も動けずにいる。
「ダメです! ルシフェルも来て下さい!」
「お前はバカか! 女の下着店に入る男の気持ちを考えてみろ!」
「大丈夫ですよ! 下着なんて所詮『布』です! ただ形がイヤらしいだけです!」
「だったら一人で入ってこいやー! 所詮『布』なんだろ!?」
「周りに見られながら一人で選ぶのがイヤなんですよー!」
「んなもん、パッと取ってシュッと立ち去れば良いだけだろー!? 周りは誰もお前の事なんか見てねーよ!」
「はっ、分かりました! ルシフェルはそうやって意地でも私に下着を買わせないつもりなのですね!?」
「なっ、なわけないだろ!」
「私、知っているのですよ。昨日の夜、ルシフェルが私の生の胸を揉んでいた事を!」
「は、はあああああぁぁッッ!?」
「これは事実です!」
「俺はそんな事してね––––––はっ!」
微かに覚えている。
手には何か柔らかいものを掴んだ後の感触が。
だが自分の記憶の中では、いつ起きた事なのかは明白には覚えていない。
つまりそれは、寝相による事故だという事。
「ふ、不可抗力だ、それは!」
「あ! やっぱり揉んだのですね!」
「実質揉んでない!」
「揉んだ事に変わりはありません!」
「揉んでない!」
「揉みました!」
「あ、あの~……」
一人の女性店員に申し訳なさそうに話かけられる。
「周りのお客様のご迷惑になりますので、どうかお静かにお願い致します」
店員に注意され我に帰った俺達。
周りを見渡してみると、いつの間にか大勢のお客さんに囲まれながら注目の的となっている事に気付く。
言い争いに熱中していた為、周りの存在に気づかなかったようだ。
俺達の醜い言い争いが終えると、周りの目はかなり引いている様子だ。
中々の声量で、しかも公共の場でおっぱいを揉んだ、揉んでない話を耳にされれば、誰だって気にしてしまう事だろう。
俺達も個人でその事を反省し、注目から避けようと『あるお店』に逃げ込む。
「行くか」
「そうですね」
二人は何も無かったかのように、澄ました顔で下着店に踏み入れるのであった。


     ★


中に入ると、分かってはいたが想像以上に刺激的だった。
若い女性が履くような可愛らしいブラジャーやパンツがぎっしりと並べられている。
花柄やハート柄といったデザインに、ピンクや水色といった物まで多くの物がハンガーに上下セットの状態で並べられている。
当たり前だが、店内には女性店員に女性のお客さんばかり。
お客さんは自分の下着を手に取ろうとするも、選んだ下着が男に見られるのが嫌なのか(完全にそう)、必ず俺の方を毎回確認してくる嫌な視線を感じ取れた。
俺自身もこんな場違いなお店をさっさと飛び出していきたいものだが、セラフィーがさっさと下着を決めて貰わないといけない為、悲しいがそれは我慢するしかない。
周りには下着ばかりで何処に視線を送ったらいいのか分からないでいた俺は、せめて下着じゃない何かが置いてある事を願い、それとお見合いする作戦を思い付く。
直ぐに店内にある商品に全て目を通すルシフェル。
(なん……だと……っ!)
最悪な事に、下着以外の商品は一つも置いていなかった。
いま思うと、ここは下着専門店なのだから無くても仕方が無いよね、と諦めの姿勢を見せたルシフェルは、結局セラフィーと一緒にいる事が何よりの救いだという事に気づき、下着を選んでいる最中のセラフィーに歩み寄る。
「ドウダ、キマッタカ?」
「あ、丁度良かったです。これとこれ、どっちが似合いますか?」
見せられたのは同じ花柄のピンクと水色の二色。
「~~~っ!」
あまりにの高い刺激に自然と鼻血が垂れてしまう。
「ルシフェル、大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ、問題ない。––––––因みに俺はピンクが良いと思うゾ」
早く決めて貰う為に、テキトーにそう言った。
「ピンク、ですか。……なるほど。水色はどうですか?」
「あ、あぁ! もちろん、似合っているよ。でも、ピンクで良いんじゃないか?」
(早く決めて! お願いだから!)
「う~ん、どっちも可愛いので困りましたね~」
「それなら両方買えばいいだろ」
「そんなにいりません。天魔郷にもありますので、一着だけで十分です」
(ていうか、天魔郷に帰れば済む話だったな、コレ)
今更気付いた事に呆れの顔をしてしまう俺だが、もう今更遅いと諦めている為この事は自分の中で留める。
「お客様、何か迷っているご様子ですか?」
下着選びに迷っているセラフィーを心配に思ったのか、このお店の店員がセラフィーに話かける。
「あ、えぇっと……どっちが良いかな~って迷っていまして……」
他人に見られて、緊張してしまうセラフィー。
感情が伝染したかのように、何故か俺まで緊張してしまう。
「それでしたら、実際に試着してみては如何でしょうか?」
(し、試着だとおおおおおおおおぉぉぉぉぉッッッ!?)
「えっ、えぇッ!? し、しし、試着、ですか!?」
「はい、店内ではあちらの部屋で下着を着用する事が出来ますよ」
手を向けられた先にはカーテンと縦長の鏡だけ取り付けられた、一人分のスペースである個室が設置されていた。
初めて試着室を見て、あの中で実際に着用した姿を拝見するという事が分かる。
セラフィーは店員にそこまで案内されて付いて行く。
一応付き添いである俺も、流れ的に着いて行く形となってしまう。
それでも、一人で女性の下着を眺めているよりは断然マシなのでこれはこれでよしとする。
周りのゴミを見るかのような目線からも大分避けられた。
後はセラフィーが実際に付けて見て、納得した方を選んで貰うだけ。
「ルシフェル……様?」
「––––––えっ」
俺の名前が呼ばれた事に反射的に反応してしまうと同時に、嫌な予感しかしなかった。
今、人間界で俺の存在を知っている者はセラフィーを除いて誰一人いない筈。
それにも関わらず、俺の姿を見てルシフェルと認識している時点で人間界の者ではない事が分かる。
ましてや、『様』と付けるなど……。
「わぁ! やっぱりルシフェル様だ~! 会いたかったですよ~!」
無邪気な笑顔で子供のように飛び付いてきた桃色の髪をした少女。
––––––名前は『リヴァイア』
悪魔界の第三始祖である為、悪魔界の中では三番目の実力者。
見た目の小柄な可愛さとは裏腹に、仲間に手を出したら容赦無く殺そうとする凶暴な悪魔だ。
持ち前の元気と明るさは悪魔界の中で右に出る者はおらず、俺達悪魔界のムードメーカーを担っている部分もある。
その為、悪魔界の者達から孫のように可愛がられている部分も度々見かける。
––––––だが、一番厄介なのは……。
「急にいなくなるなんて酷いですよ~。おかげで人間界まで来ちゃったじゃないですか~」
リヴァイアが––––––俺に対しての執着心がとてつもなく強いという事だ。
リヴァイアに強く抱きつかれ、顔をスリスリされながら戸惑ってしまう俺。
(この状況……かなりヤバイ!)


     ★


女性の下着だらけで甘くドキドキしてしまっていた俺の心は、修羅場化とした事による恐怖のドキドキに変わっていた。
(……落ち着け、何か方法があるはずだ)
ルシフェルとセラフィーの二人で買い物(下着)をしている所に、悪魔界の第三使徒であるリヴァイアのいきなりの登場に、大変危険な状況に追い込まれてしまっている。
幸いな事に試着室で隠れ身に成功しているセラフィーだが、カーテンを開けず、声も出さない事から今の状況を察したと見て良さそうだ。
ルシフェルはこの状況を回避する方法を二つ思い浮かべる。

・リヴァイアに何とか説得し、天魔郷に帰ってもらう事。
・上手くリヴァイアをこの場から離し、その隙にセラフィーが逃げてもらう事。

どちらも現実的で成功しやすい方法である為、ルシフェルの頭の中ではこの二つの作戦を実行する事を決意。
一番の理想は天魔郷に帰って貰う事なので、俺は前者の作戦を実行する事にした。
「リヴァイア、俺は今忙しいんだ。––––––でも、心配してわざわざ人間界まで足を運んでくれた事には感謝している。ありがとな」
俺はリヴァイアの頭を優しくポンポンと叩き、感謝の言葉を伝える。
「でも俺は一人でも大丈夫。だから、リヴァイアは天魔郷に––––––」
「イヤですっ」
「へ?」
「……ルシフェル様は、そうやって何でも一人で抱えすぎです」
リヴァイアは悲しそうな目をして俯いてしまう。
「リィは知っていますよ。私達に負担をかけない為に、一人で何でもやろうとしているのですよね?」
「そ、そんな訳じゃ––––––」
「堕天使の時だって……リィ達に手出しはするなと命令したのも、傷つけせないようにする為だったのですよね?」
「それはっ……」
「私達が参戦した所で、ルシフェル様のお役には立てないかもしれませんが……でも……それでも、たまには私達の事を頼って見て下さい」
顔を俺の方に見上げたリヴァイアの表情には、先程の悲しい目は消えており、今はブレない真っ直ぐな目をしていた。
その力強い意志を感じた俺は、もう誤魔化して答えるのは無しにした。
「あぁ、その時は頼りにさせてもらう。期待しているぞ、リヴァイア」
「わはぁ~、ルシフェル様~♡」
再び強く抱きしめ、好き好きアピールをしてくるリヴァイア。
俺はそれを強引に離すと、リヴァイアから鋭い質問をされる。
「ところで、ルシフェル様はここで何をしているのですか?」
(ギクッ!)
じーっと興味津々に熱い視線を向け続けてきた後、俺の目の前にあるカーテンで閉ざされた試着室の存在に気付いてしまう。
「……誰かいるのですか?」
最悪な質問。
「いや、断じて誰もおらんぞ!」
セラフィーが中にいる事を知られたくない気持ちが優先してしまった為、明らかに怪しまれる回答をしてしまったと心の中で後悔するルシフェル。
「それじゃあ、ルシフェル様は何故ここで立っているのですか?」
口が滑ってもセラフィーの下着を買いに来たなんて言えるはずがない。
何とかこの修羅場を逃げ切る方法はないかと必死に考えていると、更に追い討ちをかけるように店員がやって来て、試着室の外からセラフィーに声をかけ始める。
「お客様、着け心地は如何でしょうか?」
(オィィィィィッッ!! 今は話し掛けんじゃねぇぇぇ!!)
声を出してしまえばリヴァイアに存在がバレてしまうので、セラフィーは返事が出来ないでいた。
俺達の事情を知らない店員は、間髪入れず呼び掛ける。
「お客様? どうかなさいましたか?」
何回も呼び掛けているのに返事が無いのは今までになかったのだろう。
店員は心配そうにしながら、中を覗こうと試みる。
「失礼ですが、開けますよ?」
店員は試着室に付けられているカーテンを一気に開け、中を確かめた。
もちろん、中には下着を着用しているセラフィーの姿が。
俺はそれを見て、自然と鼻血が垂れてくる。
「あぁお客様、返事がないので心配しましたよ。––––––原則、私達店員は勝手に開ける事が出来ませんので、お返事の方は返すようご協力お願い致します」
「は……はぃ……」
店員は勝手に開けてしまった事による謝罪のつもりか、頭を深く下げた後、試着室を後にした。
そして、この場の修羅場は、更に修羅場化とする。
「……その声……その姿……」
リヴァイアはセラフィーの姿を見て驚愕している。
「セラフィー……!?」
世の中思い通りにはいかないものだなと、大きく溜息をついてしまう。
本当に仲の悪い天使と悪魔が対面してしまった事に、一体どうすればいいのかと苦悩するルシフェル。

二人だけの秘密の恋に、僅かにだけ亀裂が入り込む。
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