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第10話 冒険者たちの情熱
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ロレンスの経験による意見は一定の効果はあった。
冒険者たちも侯爵の血の制裁事件は知っていたし、これによる王国の改革に関しての知識は共和国民にも浸透していたからである。
しかし、いかんせん当事者ではなかった彼らにとって、そのことは隣国の事件に過ぎず現実味も薄かった。
そんな魔獣の森の開拓への野心は徐々に高まっていく中で、冒険者でも有力者であるモラン率いる「栄光の剣」が、他の大陸の開拓から帰国した。
総勢十名からなる栄光の剣は、これまで依頼をほぼすべて成功させていた。
彼らは共和国はもちろん、他の大陸のいくつかの国でもその実力は高く評価され、その名は広く知られていた。
「禁止できないが、私は反対する。行かない方が良い」
栄光の剣の代表であるモランに、魔獣の森に行くことについて問われたロレンスは、そう答えた。
「何をそんなに恐れているのだ。魔獣の討伐であれば経験のある我々であれば可能だし、大陸の西側が開拓され港を作ることができれば、北西洋に出るのに東航路を通る必要がなくなる」
「森の魔獣は魔王領の保護下にある。いわば魔王領の住民だ。これを万が一共和国の利益のために殺傷することになれば、魔王領に戦争を仕掛けたことになるが、お前たちにその責任はとれるのだろうな」
ロレンスにそう言われ、これにはモランも反論はできず、その時は引き下がった。
しかし、冒険者たちの中では魔獣の森の開拓は肯定的に議論されており、その熱の高まりがおさまることは無かった。
モランはこの冒険者たちの声に応えることが、港町サーレにおける冒険者の威信を高める機運になると情熱を燃やし、魔獣の森の開拓へ最終手段を講じた。
それは街の有力者から冒険者組合に、正式な依頼をしてもらうということだった。
モランは商工組合や中央から派遣されている総督に働きかけ、最終的にサーレ最大の商会の主であるレイズに依頼をすることを要請した。
レイズはこれに応え、冒険者組合に魔獣の森の調査という名目で依頼をした。
ロレンスはこれを拒否できなかった。
しかし、訪れたレイズに対し、依頼によって起きるトラブルの責任は依頼人が負うという条項が契約にあることを確認したが、レイズが依頼を撤回することは無く、そのまま依頼契約を行った。
こうして正式な依頼が冒険者組合で受理されると、モランはこれを受ける形で魔王領である魔獣の森へ向かう権利を得た。
モランは早速栄光の剣のメンバーと別に参加を募って選抜した冒険者総勢五十名と共に、サーレから魔獣の森へと出発した。
見送りにはサーレの冒険者だけではなく、多くの住民も参加し、港町を挙げての華々しいイベントになった。
そんな中、ただ一人、冒険者組合長であるロレンスだけが、憂鬱な表情で彼らの出発を見送っていた。
冒険者たちも侯爵の血の制裁事件は知っていたし、これによる王国の改革に関しての知識は共和国民にも浸透していたからである。
しかし、いかんせん当事者ではなかった彼らにとって、そのことは隣国の事件に過ぎず現実味も薄かった。
そんな魔獣の森の開拓への野心は徐々に高まっていく中で、冒険者でも有力者であるモラン率いる「栄光の剣」が、他の大陸の開拓から帰国した。
総勢十名からなる栄光の剣は、これまで依頼をほぼすべて成功させていた。
彼らは共和国はもちろん、他の大陸のいくつかの国でもその実力は高く評価され、その名は広く知られていた。
「禁止できないが、私は反対する。行かない方が良い」
栄光の剣の代表であるモランに、魔獣の森に行くことについて問われたロレンスは、そう答えた。
「何をそんなに恐れているのだ。魔獣の討伐であれば経験のある我々であれば可能だし、大陸の西側が開拓され港を作ることができれば、北西洋に出るのに東航路を通る必要がなくなる」
「森の魔獣は魔王領の保護下にある。いわば魔王領の住民だ。これを万が一共和国の利益のために殺傷することになれば、魔王領に戦争を仕掛けたことになるが、お前たちにその責任はとれるのだろうな」
ロレンスにそう言われ、これにはモランも反論はできず、その時は引き下がった。
しかし、冒険者たちの中では魔獣の森の開拓は肯定的に議論されており、その熱の高まりがおさまることは無かった。
モランはこの冒険者たちの声に応えることが、港町サーレにおける冒険者の威信を高める機運になると情熱を燃やし、魔獣の森の開拓へ最終手段を講じた。
それは街の有力者から冒険者組合に、正式な依頼をしてもらうということだった。
モランは商工組合や中央から派遣されている総督に働きかけ、最終的にサーレ最大の商会の主であるレイズに依頼をすることを要請した。
レイズはこれに応え、冒険者組合に魔獣の森の調査という名目で依頼をした。
ロレンスはこれを拒否できなかった。
しかし、訪れたレイズに対し、依頼によって起きるトラブルの責任は依頼人が負うという条項が契約にあることを確認したが、レイズが依頼を撤回することは無く、そのまま依頼契約を行った。
こうして正式な依頼が冒険者組合で受理されると、モランはこれを受ける形で魔王領である魔獣の森へ向かう権利を得た。
モランは早速栄光の剣のメンバーと別に参加を募って選抜した冒険者総勢五十名と共に、サーレから魔獣の森へと出発した。
見送りにはサーレの冒険者だけではなく、多くの住民も参加し、港町を挙げての華々しいイベントになった。
そんな中、ただ一人、冒険者組合長であるロレンスだけが、憂鬱な表情で彼らの出発を見送っていた。
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