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慌てて部屋を出ると、そこには堂々とした姿勢で立っているオルガの姿があった。
白髪を上品にまとめ、鋭い眼光を放っている。
「あら、アデル。夜遊びに飽き足らず、今度は不審者まで拾ってきたんですって?」
ちくりと嫌味を言われて、私は苦笑いしかできない。
「夜遊びじゃありませんわ。パーティに行ってただけです」
「その結果、婚約者と破局し、道端で拾い食いまでして、まったくあなたらしい」
拾い食いって、この祖母は言いたい放題だ。
ギルバートがあわててフォローに入る。
「オルガ様、拾い食いというのは語弊がありますよ。事情があって倒れていた青年を救っただけで」
「ごちゃごちゃ言わんでいい。何にせよ、面白いわ」
祖母はクスリと笑うと、私を鋭く見据える。
「で、その若い男はどこにいるの?」
「今は客室で休んでいると思います」
「よし、顔を見に行くわよ。ついてきなさい、アデル」
そう言われて、私は渋々祖母の後を追う。
階段を下りて、客室のドアを開けると、レオンはベッドの上で所在なさげにしていた。
祖母と私を見ると、彼は慌てて起き上がり、おどおどと頭を下げる。
「お世話になっています」
「へえ、礼儀はあるようだね。名前は?」
「レオンと申します」
「フルネームは?」
「……」
レオンは言葉を詰まらせる。
正体を隠しているわけではなさそうだけれど、本人にもわからないのかもしれない。
祖母は怪訝そうに目を細めたが、すぐに肩をすくめた。
「まあいい。アデルが拾ってきたからには何かの縁だろう。しばらくはここで面倒を見てやるさ」
「お祖母さま、いいの?」
「私が反対したところで、あんたが放り出すとは思えないからね」
その言葉に、レオンは驚いたように瞬きをする。
祖母は続けて、私に向かって言う。
「ただし、拾い食いはほどほどに。あと、変なトラブルには巻き込まれないようにしな」
「わかっています」
本当にこの祖母は私を子ども扱いするのが好きなんだから。
でもまあ、彼女が許可してくれるなら、少なくとも屋敷から追い出される心配はなくなる。
そうして、レオンの奇妙な同居生活が幕を開けることになった。
一夜にして婚約破棄になり、悪役令嬢の汚名をさらに広げた私に追い打ちをかけるように、“捨て猫”のような青年まで拾うことになるだなんて。
「これからどうなるのやら」
ぼそっとつぶやく私に、ギルバートが呆れ顔で言う。
「あなたの人生、退屈しなさそうですね」
「そうね。いっそ呆れるほどに」
そう言いながら、私はほんの少しだけ胸の奥が軽くなった気がしていた。
もしかしたら、捨て猫を拾ったことは悪いことではないのかもしれない。
なぜだかそんな予感がする、妙な朝だった。
白髪を上品にまとめ、鋭い眼光を放っている。
「あら、アデル。夜遊びに飽き足らず、今度は不審者まで拾ってきたんですって?」
ちくりと嫌味を言われて、私は苦笑いしかできない。
「夜遊びじゃありませんわ。パーティに行ってただけです」
「その結果、婚約者と破局し、道端で拾い食いまでして、まったくあなたらしい」
拾い食いって、この祖母は言いたい放題だ。
ギルバートがあわててフォローに入る。
「オルガ様、拾い食いというのは語弊がありますよ。事情があって倒れていた青年を救っただけで」
「ごちゃごちゃ言わんでいい。何にせよ、面白いわ」
祖母はクスリと笑うと、私を鋭く見据える。
「で、その若い男はどこにいるの?」
「今は客室で休んでいると思います」
「よし、顔を見に行くわよ。ついてきなさい、アデル」
そう言われて、私は渋々祖母の後を追う。
階段を下りて、客室のドアを開けると、レオンはベッドの上で所在なさげにしていた。
祖母と私を見ると、彼は慌てて起き上がり、おどおどと頭を下げる。
「お世話になっています」
「へえ、礼儀はあるようだね。名前は?」
「レオンと申します」
「フルネームは?」
「……」
レオンは言葉を詰まらせる。
正体を隠しているわけではなさそうだけれど、本人にもわからないのかもしれない。
祖母は怪訝そうに目を細めたが、すぐに肩をすくめた。
「まあいい。アデルが拾ってきたからには何かの縁だろう。しばらくはここで面倒を見てやるさ」
「お祖母さま、いいの?」
「私が反対したところで、あんたが放り出すとは思えないからね」
その言葉に、レオンは驚いたように瞬きをする。
祖母は続けて、私に向かって言う。
「ただし、拾い食いはほどほどに。あと、変なトラブルには巻き込まれないようにしな」
「わかっています」
本当にこの祖母は私を子ども扱いするのが好きなんだから。
でもまあ、彼女が許可してくれるなら、少なくとも屋敷から追い出される心配はなくなる。
そうして、レオンの奇妙な同居生活が幕を開けることになった。
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なぜだかそんな予感がする、妙な朝だった。
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