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疑似恋愛
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「スーパー寄ってこうぜ?」
俺の一言で、俺達は手を繋いでスーパーまで歩いた。スーパー内ではさすがに手は放したが、俺がカゴを持ち、二人並んで食材を吟味していると、さながら同棲カップルのような気持ちになれた。
調教師と献上品の時は、こうして二人で買い物をするなんて夢のまた夢だったのに、今は、そこらのカップルと同じように体の関係以外は何でも出来る。逆に調教師と献上品の時は本番以外の夜の営みは何でも出来たのに、皮肉な話だ。
俺達は精肉コーナーで特売の豚肉をカゴに入れ、続いては鮮魚コーナーに入る。そこで丸々と太ったニシンが一本、パックに入れられて二割引になっていて、当然、俺は翡翠がそれを買うものと思ってそばで見ていた。
「あっ、でっかいカレイがある。分厚くて、煮付けにしたら美味しそう」
思わぬ翡翠がカレイのパックを取り、俺は勝手に肩透かしをくらう。
「え、ニシンじゃなくてカレイ?」
だって翡翠はニシン、好きだったろ?
なんでカレイ?
ニシンなんか目の前にドーンと陳列されてるんだ、気付かなかった訳ではないよな?
「カレイ、美味しくないですか?」
「美味しいけど、ニシンより好きなのか?」
「なんでニシン?私はカレイが一番好きですけど、オニイサンはニシンのが好きですか?」
「いや、俺は別にどっちでも……」
前世とは味覚が違うのか?
翡翠は見た目も中身も前世のままなのに、育った環境のせいか?
俺は変わらずタコワサ好きなんだけどなぁ。
俺は少しがっかりしていたが、翡翠がカレイを食べたいと言うのなら、その通りにしてやろうとカレイのパックを二つカゴに入れた。
「オニイサンさんは何が食べたいですか?何が好きなんですか?」
何気ない翡翠の気遣いだったが、彼女が俺の好物を忘れてしまっている事も、俺には少し寂しかった。
「タコワサ以外にか?」
「タコワサ以外に」
「うーん……アボカド?」
俺は試しに翡翠の天敵であるアボカドの名を出してみた。すると翡翠は平然と野菜コーナーへ行き、アボカドを二つカゴに入れる。
アボカドも平気なのか……
じゃあ、アボカドをペーストにしてごねる翡翠を見られる事は二度と無いのか。
残念だ。
「翡翠って、嫌いな食べ物はないのか?」
俺はレタスを見定める翡翠の後ろ姿に問い掛けてみた。
「ええと、ちりめんじゃことか、桜えびとか、全員がこちらを見てくるこまい食べ物が苦手ですかねぇ。なんか、一体、何体の命が口の中にいるんだろうって考えちゃいませんか?」
なるほど。
「じゃあ買おう」
「えっ、なんでですか!?」
さっきまで舐めるようにレタスを見ていた翡翠が甲高い声をあげ、結構な勢いでこちらを振り返った。
「あれは栄養がある、多分」
確かに栄養はある。だが、それが何かは解らない。
「苦手だって言ったじゃないですかぁ」
翡翠から猛抗議を受けたが、俺は嫌がる翡翠が可愛くて問答無用でちりめんじゃこをカゴに入れた。
「嫌いだからってペーストにするなよ?」
「は?」
「なんでもない」
トンチンカンな顔をした翡翠をよそに、俺は現世での翡翠の天敵を知れてほくそ笑む。
前世で失われた物は現世で補えばいい。俺は今の翡翠を全部知りたい。全部知って、全部好きになりたいし、ならない訳がない。これからゆっくり現世の翡翠を探求していこう。失われた物は大きいが、得られる物が無い訳じゃないのだ。
「今日のメニューはカレイの煮付けとサラダと~……」
「冷凍庫に切り身のナスとピーマンがあるぞ」
指折り頭を悩ませる翡翠にあいの手を入れると、彼女は閃いたとばかりに己の手を打つ。
「あっ、じゃあナスピーを作ります」
「ナスピー?」
「はい。母の得意料理です。なんか、汁だくで作るとナスがドゥルッとして美味しいんです。こう、こちらから吸い込まなくても、先方の方からドゥルッと侵入して来るような、得も言われぬ食感のやつです」
説明が独特だな、おい。
「説明だけ聞いてるとナメクジか何かに感じるわ」
少なくとも食欲のわくイメージではない。
「まあ、でも、お前が作ってくれるなら何でも嬉しい。勿論、俺も何か作るよ」
「いえいえ、一人で出来ますからお任せ下さいっ。オニイサンはタイタニックという大船に乗ったつもりでいて下さいねっ」
「沈没船じゃねーか」
こんな茶番も翡翠と二人なら至極楽しい。
俺は会計を済ませ、片手に食材を持って翡翠とスーパーを出る。そして近くのたこ焼き屋からチーズ明太たこ焼きとビーフカレーたこ焼きを購入して家路に着いた。
晩ごはんの食材を二人で選び、映画を観ながら食べるたこ焼きを買って、同じ家に帰る。平凡だけど、俺にはこの上のない幸福に感じられた。
こんな日々が毎日続けばいい。
因みにあのちりめんじゃこは翌朝、俺がパンにチーズと共にトッピングして翡翠に提供した。翡翠はウダウダ言いながらもそれを牛乳で胃袋に流し込んでいた。
アボカドをペーストにする翡翠の姿は見れなくなったが、これはこれで新たな楽しみを見つけたと思う。
日曜日になって、俺と翡翠は電車で最寄りのショッピングモールへと来ていた。ここでは翡翠の布団や私服を購入し、午前を終える。
「明日、布団が配達されるけど、俺のベッドが気にいったならそのまま使っててもいいんだぞ?」
「いえいえ、そんな訳にはいきません。ちゃんとした布団が届きますから、今度は私が下になります」
『今度は私が下になります』
エロッ。
それにしても、一応、物置は寝場所が確保出来るくらい片付けたが、どうやら翡翠はこのまま俺の部屋に住み続けてくれるらしい、というか、その後も俺が故意的にホラー映画を借りてきたり怖い話をして翡翠をそのように仕向けている訳だけど……それは同時に自分の首を自分で絞める結果となり、俺は毎晩ムラムラで苦しんでいる。一人になれる時間がトイレや風呂の時しか無いのに、翡翠は一人になるのを怖がって俺の入浴中に洗面所を使う。俺は我慢が重なり、溜まりに溜まって爆発寸前だ。夢精しないのが奇跡とも言える。
「あっ」
「え?」
いきなり、前を歩いていた翡翠が立ち止まり、俺は翡翠の背中に追突した。
ヤバ。
たったこれだけの刺激が、俺にはとてつもない毒だ。
「どしたー?」
「100均でお茶碗買ってもいいですか?オニイサンのお茶碗も欠けてたんで、二人分」
そう言って翡翠が指差したのは100円均一の店だった。そこには多少大きさの違う夫婦茶碗が数種類並んでいて、翡翠はそこに立ち寄ると一羽の鳥が描かれた茶碗を二つ手にする。
「これ、何の鳥ですかねー?セキレイではないにしても、かわいいのでお揃いにしませんか?」
翡翠はその二つを俺に掲げ、屈託なく笑った。
かわいいなあ。
「シジュウカラっぽいけど、いいんじゃないか?」
鳥の柄はどうあれ、お揃い、しかも夫婦茶碗というのがじわじわ嬉しかった。
「双子って何かとペアルックにされがちだけど、私達は離れ離れに暮らしてたから、なんにも対になる物が無くて寂しかったんです。さすがに服のペアルックは恥ずかしいので、これくらいがちょうど良くないですか?」
「そう、だな」
俺はこうして翡翠と買い物をしていると、まるで普通のカップルかのように錯覚してしまうのに、翡翠ははなから俺を双子の兄としか見てないんだよな。
そうして翡翠はその夫婦茶碗を購入し、ニコニコ嬉しそうにそれを持ち歩いた。
複雑っちゃ、複雑だな。
「なあ、ここから海岸に出られるから、海でも見ながらたこ焼き食べないか?」
俺が、店から出た所にあったたこ焼きのキッチンカーを指さすと、翡翠ははにかみながら『ほんとにタコ、お好きですね~』と言って笑った。
俺は大入りのたこ焼きを一パック購入し、それを持って翡翠と海岸へと出た。
「スカートだったら海に足をつけれたんですけどねぇ」
そうして残念そうに砂を蹴った翡翠は、俺とたいして変わらないようなシンプルでベーシックなメンズライク風の服装をしている。因みに翡翠が購入した私服もそんな感じの物ばかりだ。
「履かないの?スカート」
似合うと思うんだけどな。
茶色のスポブラをしているあたり、翡翠にとっての私服は機能性重視なのだろう。
ああ、でも、そういう、翡翠の飾らないところが昔から好きだ。
「履いてほしいんですか?妹に」
「や、うーん……」
妹どうこうの問題じゃないにしても、よく考えたら、制服は仕方ないとして、他の男に翡翠の生脚は見せたくない。
「やっぱいい」
「変なオニイサンですね」
「うん」
「本当は、スカートだったら海に入って海藻を採って味噌汁に入れたかったんですよ」
「お前、逞しいな」
「あっ、カルシウム」
翡翠は足元を通る蟹を跨ぎ、こちらを振り返った。
「おい、蟹の事をカルシウムって呼ぶな。可哀想だろ?」
「オニイサンはたんぱく質ですね」
後ろ歩きしながら俺をからかう翡翠、悪くない。俺には、海のキラキラとか太陽のキラキラよりもずっとずっと翡翠のがキラキラして見える。
「お前もな」
相変わらず独特だが、そんなところも好きだ。
「あすこにあるブロックに座って食べよう」
砂浜から少し上に上がった所に階段状になったコンクリートブロックがあり、先に俺が腰掛けると、翡翠は強い海風を受け、寒そうに肩を怒らせた。
「やっぱり春の海はまだまだ寒いですね」
「ほら、俺が風除けになるから」
そう言って翡翠の腕を引っ張り、俺は彼女を自分の膝の間に座らせる。
「えっ、いや、だって、これは、善くないんじゃ──」
翡翠は、後ろから俺に覆い被さられる形にえらく動揺し、窮屈そうに体育座りをした。
「ほら、俺はDTだから、こういうのに憧れるんだよ」
翡翠とニャンニャンする為なら、プライドもかなぐり捨てた。
「え、いやらし……」
「いいだろ?これくらい」
「DTのくせに遠慮が無いというか、アグレッシブなDTですね」
「まあな」
風で翡翠の髪が俺の鼻先を擽り、同時に俺の男心も擽る。
後ろからギュッてしたい。
「恋人ごっこに付き合ってくれるんだろ?これくらい許せ」
『恋人ごっこ』そうでも言わないと、翡翠は触れる事すら許してくれなかっただろう。そんな言葉、本当は使いたくなかったのに。
「……じゃあ、オニイサンに彼女が出来るまで、ですよ?」
翡翠は両膝に顔を埋め、くぐもった声でそう言った。
「ああ」
だったら彼女なんか作らない、と言ったら、翡翠は困った顔をするんだろうな。
なんか、こうして翡翠に触れるのは嬉しいが、余計な事を考えては胸が苦しくなる。生きて再び翡翠に会えただけでも喜ぶべき事なのに、近付く毎に、もっともっとと翡翠が欲しくなる。
俺は病気だ。前世で一緒になれなかった双子の妹に恋をする難病で、変態だ。
「……たこ焼き、冷めますよ?」
か細く、俄に震える翡翠の声。俺とこんな体勢をしてるからそんなに緊張をしているのか。
後ろから『双子の兄』に覆われて緊張しているのか?
翡翠は俺を男として意識しているのか、はたまた双子の兄と言えど最近初めて出会った男だから意識しているのか、見極めが難しいところだが、小さい頃に生き別れになった兄妹が、大人になって再会し、恋に落ちたという稀なケースもある。勿論それは絶対的禁忌だが、無くもない話だ。
「食うか」
そう言って俺はたこ焼きを袋から出し、爪楊枝で刺したたこ焼きを一粒、二人羽織の要領で翡翠の口元に持っていく。
「え、自分で食べれるのに」
「いいから」
俺が有無を言わさず翡翠の口にたこ焼きを突きつけると、彼女は観念したようにそれを一口で食べた。
おお、食べてる。
俺は肩越しに、翡翠がハムスターみたいに頬袋を膨らませて咀嚼する様を見て人知れず感動する。
俺は初めて飼うロボロフスキーハムスターが初めて俺の手から直接餌を持って行った時の事を思い出していた。
俺は嬉しくなって翡翠に次々とたこ焼きを与え、ついには翡翠の頬袋がたこ焼きでパンパンになった。
「モッシュモッシュ」
文句も言わず食わされるまくる翡翠に、俺は肩を震わせて笑いを堪える。
「モッシュモッシュ……ゴッキュン。私はもういいですから、今度はオニイサンに食べさせてあげます」
翡翠がそう言うので、後ろから彼女にたこ焼きをパックごと渡すと、直ぐに翡翠の肩越しにたこ焼きが一粒差し出され、俺はそれを丸ごと頬張る。
「ノールック餌付けです」
「ハハ、自分の肩に落とすなよ」
幸せだ。
これが恋人ごっこでなければもっと幸せだったのに。
幸福の中で、時々立ち止まっては現状を思い出して少しの虚しさを感じる。これは、この気持ちは前世で味わったそれと全く同じだ。
翡翠は、どう感じているんだろう?
「……なぁ」
「なんですか、オニイサン」
「セキレイさん、て呼んでみてよ」
「またそれですか?」
「ごっこでも恋人同士だろ?ならオニイサンてのはおかしい」
「てってーしてますね」
「ほら」
俺は促す様に自分の胸板で翡翠の背中をひっついた。
「……セ、セキレイさん」
翡翠は照れくさそうにそう言って、また両膝に顔を埋める。
「何か思い出さないか?」
「何がですか?」
「例えば、そう、前にも俺と海でたこ焼きを食べたな、とか」
俺と翡翠は前世でも海を見ながらこうしてたこ焼きを食べさせ合っていた。
「デジャヴュの話ですか?」
「似たようなもんかな」
「懐かしい感じはしますけど……けど、特には」
「そうか」
「なんでそんな事を聞くんですか?オニイサンはデジャヴュを感じているんですか?」
「セキレイさん、な」
「……セキレイさんは何か思い出す事があるんですか?」
まだ呼びなれないせいか、翡翠は上ずった声で『セキレイさん』と言う。
「そうだな。前にもこんな、甘くて苦くて苦しい思いをしたなって思って」
「私と、ですか?」
「そう」
「そんな、私達は生まれてからこのかた、ずっと会った事がなかったのに」
「そうだな」
「変なオニイサンですね」
「そうだな、変だよな」
やっぱり、翡翠はなんにも覚えちゃいない。分かっていた事だが、いざ、こうして再確認すると、俺の心は苦くて苦しくて、どうしようもなく切なくなった。どうにも向かい合えないあの時の気持ちと全く同じだ。
──そう、これは所詮恋人のフリをしたごっこ遊び。前世でした、あのごっこ遊びと何も変わらない。
でも……
「なぁ、翡翠」
「なんですか?」
「恋人ごっこって、どこまでがごっこで許されるんだろうな」
「え?何の話ですか?」
「ABCって知ってるか?」
「そりゃそれくら──えっ⁉」
翡翠が突然頭を上げ、俺は彼女の後頭部に鼻をぶつけそうになる。
驚き過ぎだろ。
「オゥマイガァ……」
おお、翡翠の生きた英語。
「お前なら、どこまで許せる?」
そう訪ねながら翡翠の肩に顎を乗せると、彼女はビクッと体を跳ね上げ、耳朶を赤くさせた。
「ど、どれも駄目に決まってるでしょう!それは最初にお会いした時から言いました」
翡翠の背中越しに彼女の心臓の鼓動が伝わってくる。
ドキドキしてるな。
俺と同じだ。
「手を繋いだり、こうして密着するのはいいのに?」
『こうして』のところでちゃっかり俺が後ろから翡翠を抱き締めると、彼女の鼓動はより一層、強く速まった。
わかりやすっ。
「でもキスは駄目です。それは一線です」
翡翠はキッパリと強い口調で否定した。
やっぱ駄目か。頑なだな。
「ならCは?」
しかし翡翠の反応がいちいち面白くて、俺はついついそうしてからかってしまう。
「っな、キスが駄目なのに、なんでそこまで飛躍するんですかっ!駄目に決まっているでしょう!」
「でもプロはパコパコしてもキスはしないって言うだろ?」
「私、プロじゃありません」
「友達同士でパコパコするパターンもあるじゃん」
「だとしても、私達、双子ですよ⁉」
「でも出来ない訳じゃない。双子でも男と女、凸と凹があるんだから物理的には可能だ。それに法で近親婚は認められていないが、近親者同士の恋愛やそれに準ずる行為については言及されてない」
「倫理的には駄目でしょう!」
「頭が硬いな」
「なんでそんな事を言うんですか⁉」
翡翠の速すぎる鼓動が俺の耳にまで届く。
「そういう事をしたいから、って言ったらどうする?」
「え……?」
翡翠は怯えた様に聞き返した。
「双子の妹相手にそういう事をしたいって、俺が言ったら?」
仮説的な言い方をしたが、これは単に俺の本心だった。
ヤバい、溜まりすぎて暴走してる。自分でも自覚はあったが、ここまでくると止められない。
「わ、悪い冗談はやめて下さい。ありえない」
翡翠が狼狽すればする程、責め立てて動揺させたくなる。
翡翠はいつだって、俺を意地悪にさせる。
「ありえない?じゃあさ、前世で俺達が海でキスをしてたって言っても、ありえない?」
今の俺達は前世をなぞらえている。ただ、キスを除いては──
「何を馬鹿な。私は前世なんて信じないし、そんなものがあったとしても、私達が双子に生まれた以上、例えごっこ遊びでもキスやそれ以上の事は出来ません」
「やっぱり、そうだよな」
分かってたさ。でもワンチャンあるかな、とか、淡い期待も少なからずしてたさ。
俺は自嘲気味にフッと鼻で笑った。
「なんか……」
「ん?」
「残念そうに言うんですね」
と、翡翠がぼそっと呟く。
「そう思うんなら、そうなのかもな」
俺は翡翠に嫌われたくなくてどっちつかずな答えを出した。
「心配するな。そんなに怯えなくても、これ以上の事はしないから」
そう言うと、わかり易く翡翠の肩から力が抜ける。
ほんと、嫌になるくらいわかり易いな。
「ただちょっと、確かめたかっただけだから」
これは前世よりも遥かに不利な状況にあると、判明してしまった。
俺の一言で、俺達は手を繋いでスーパーまで歩いた。スーパー内ではさすがに手は放したが、俺がカゴを持ち、二人並んで食材を吟味していると、さながら同棲カップルのような気持ちになれた。
調教師と献上品の時は、こうして二人で買い物をするなんて夢のまた夢だったのに、今は、そこらのカップルと同じように体の関係以外は何でも出来る。逆に調教師と献上品の時は本番以外の夜の営みは何でも出来たのに、皮肉な話だ。
俺達は精肉コーナーで特売の豚肉をカゴに入れ、続いては鮮魚コーナーに入る。そこで丸々と太ったニシンが一本、パックに入れられて二割引になっていて、当然、俺は翡翠がそれを買うものと思ってそばで見ていた。
「あっ、でっかいカレイがある。分厚くて、煮付けにしたら美味しそう」
思わぬ翡翠がカレイのパックを取り、俺は勝手に肩透かしをくらう。
「え、ニシンじゃなくてカレイ?」
だって翡翠はニシン、好きだったろ?
なんでカレイ?
ニシンなんか目の前にドーンと陳列されてるんだ、気付かなかった訳ではないよな?
「カレイ、美味しくないですか?」
「美味しいけど、ニシンより好きなのか?」
「なんでニシン?私はカレイが一番好きですけど、オニイサンはニシンのが好きですか?」
「いや、俺は別にどっちでも……」
前世とは味覚が違うのか?
翡翠は見た目も中身も前世のままなのに、育った環境のせいか?
俺は変わらずタコワサ好きなんだけどなぁ。
俺は少しがっかりしていたが、翡翠がカレイを食べたいと言うのなら、その通りにしてやろうとカレイのパックを二つカゴに入れた。
「オニイサンさんは何が食べたいですか?何が好きなんですか?」
何気ない翡翠の気遣いだったが、彼女が俺の好物を忘れてしまっている事も、俺には少し寂しかった。
「タコワサ以外にか?」
「タコワサ以外に」
「うーん……アボカド?」
俺は試しに翡翠の天敵であるアボカドの名を出してみた。すると翡翠は平然と野菜コーナーへ行き、アボカドを二つカゴに入れる。
アボカドも平気なのか……
じゃあ、アボカドをペーストにしてごねる翡翠を見られる事は二度と無いのか。
残念だ。
「翡翠って、嫌いな食べ物はないのか?」
俺はレタスを見定める翡翠の後ろ姿に問い掛けてみた。
「ええと、ちりめんじゃことか、桜えびとか、全員がこちらを見てくるこまい食べ物が苦手ですかねぇ。なんか、一体、何体の命が口の中にいるんだろうって考えちゃいませんか?」
なるほど。
「じゃあ買おう」
「えっ、なんでですか!?」
さっきまで舐めるようにレタスを見ていた翡翠が甲高い声をあげ、結構な勢いでこちらを振り返った。
「あれは栄養がある、多分」
確かに栄養はある。だが、それが何かは解らない。
「苦手だって言ったじゃないですかぁ」
翡翠から猛抗議を受けたが、俺は嫌がる翡翠が可愛くて問答無用でちりめんじゃこをカゴに入れた。
「嫌いだからってペーストにするなよ?」
「は?」
「なんでもない」
トンチンカンな顔をした翡翠をよそに、俺は現世での翡翠の天敵を知れてほくそ笑む。
前世で失われた物は現世で補えばいい。俺は今の翡翠を全部知りたい。全部知って、全部好きになりたいし、ならない訳がない。これからゆっくり現世の翡翠を探求していこう。失われた物は大きいが、得られる物が無い訳じゃないのだ。
「今日のメニューはカレイの煮付けとサラダと~……」
「冷凍庫に切り身のナスとピーマンがあるぞ」
指折り頭を悩ませる翡翠にあいの手を入れると、彼女は閃いたとばかりに己の手を打つ。
「あっ、じゃあナスピーを作ります」
「ナスピー?」
「はい。母の得意料理です。なんか、汁だくで作るとナスがドゥルッとして美味しいんです。こう、こちらから吸い込まなくても、先方の方からドゥルッと侵入して来るような、得も言われぬ食感のやつです」
説明が独特だな、おい。
「説明だけ聞いてるとナメクジか何かに感じるわ」
少なくとも食欲のわくイメージではない。
「まあ、でも、お前が作ってくれるなら何でも嬉しい。勿論、俺も何か作るよ」
「いえいえ、一人で出来ますからお任せ下さいっ。オニイサンはタイタニックという大船に乗ったつもりでいて下さいねっ」
「沈没船じゃねーか」
こんな茶番も翡翠と二人なら至極楽しい。
俺は会計を済ませ、片手に食材を持って翡翠とスーパーを出る。そして近くのたこ焼き屋からチーズ明太たこ焼きとビーフカレーたこ焼きを購入して家路に着いた。
晩ごはんの食材を二人で選び、映画を観ながら食べるたこ焼きを買って、同じ家に帰る。平凡だけど、俺にはこの上のない幸福に感じられた。
こんな日々が毎日続けばいい。
因みにあのちりめんじゃこは翌朝、俺がパンにチーズと共にトッピングして翡翠に提供した。翡翠はウダウダ言いながらもそれを牛乳で胃袋に流し込んでいた。
アボカドをペーストにする翡翠の姿は見れなくなったが、これはこれで新たな楽しみを見つけたと思う。
日曜日になって、俺と翡翠は電車で最寄りのショッピングモールへと来ていた。ここでは翡翠の布団や私服を購入し、午前を終える。
「明日、布団が配達されるけど、俺のベッドが気にいったならそのまま使っててもいいんだぞ?」
「いえいえ、そんな訳にはいきません。ちゃんとした布団が届きますから、今度は私が下になります」
『今度は私が下になります』
エロッ。
それにしても、一応、物置は寝場所が確保出来るくらい片付けたが、どうやら翡翠はこのまま俺の部屋に住み続けてくれるらしい、というか、その後も俺が故意的にホラー映画を借りてきたり怖い話をして翡翠をそのように仕向けている訳だけど……それは同時に自分の首を自分で絞める結果となり、俺は毎晩ムラムラで苦しんでいる。一人になれる時間がトイレや風呂の時しか無いのに、翡翠は一人になるのを怖がって俺の入浴中に洗面所を使う。俺は我慢が重なり、溜まりに溜まって爆発寸前だ。夢精しないのが奇跡とも言える。
「あっ」
「え?」
いきなり、前を歩いていた翡翠が立ち止まり、俺は翡翠の背中に追突した。
ヤバ。
たったこれだけの刺激が、俺にはとてつもない毒だ。
「どしたー?」
「100均でお茶碗買ってもいいですか?オニイサンのお茶碗も欠けてたんで、二人分」
そう言って翡翠が指差したのは100円均一の店だった。そこには多少大きさの違う夫婦茶碗が数種類並んでいて、翡翠はそこに立ち寄ると一羽の鳥が描かれた茶碗を二つ手にする。
「これ、何の鳥ですかねー?セキレイではないにしても、かわいいのでお揃いにしませんか?」
翡翠はその二つを俺に掲げ、屈託なく笑った。
かわいいなあ。
「シジュウカラっぽいけど、いいんじゃないか?」
鳥の柄はどうあれ、お揃い、しかも夫婦茶碗というのがじわじわ嬉しかった。
「双子って何かとペアルックにされがちだけど、私達は離れ離れに暮らしてたから、なんにも対になる物が無くて寂しかったんです。さすがに服のペアルックは恥ずかしいので、これくらいがちょうど良くないですか?」
「そう、だな」
俺はこうして翡翠と買い物をしていると、まるで普通のカップルかのように錯覚してしまうのに、翡翠ははなから俺を双子の兄としか見てないんだよな。
そうして翡翠はその夫婦茶碗を購入し、ニコニコ嬉しそうにそれを持ち歩いた。
複雑っちゃ、複雑だな。
「なあ、ここから海岸に出られるから、海でも見ながらたこ焼き食べないか?」
俺が、店から出た所にあったたこ焼きのキッチンカーを指さすと、翡翠ははにかみながら『ほんとにタコ、お好きですね~』と言って笑った。
俺は大入りのたこ焼きを一パック購入し、それを持って翡翠と海岸へと出た。
「スカートだったら海に足をつけれたんですけどねぇ」
そうして残念そうに砂を蹴った翡翠は、俺とたいして変わらないようなシンプルでベーシックなメンズライク風の服装をしている。因みに翡翠が購入した私服もそんな感じの物ばかりだ。
「履かないの?スカート」
似合うと思うんだけどな。
茶色のスポブラをしているあたり、翡翠にとっての私服は機能性重視なのだろう。
ああ、でも、そういう、翡翠の飾らないところが昔から好きだ。
「履いてほしいんですか?妹に」
「や、うーん……」
妹どうこうの問題じゃないにしても、よく考えたら、制服は仕方ないとして、他の男に翡翠の生脚は見せたくない。
「やっぱいい」
「変なオニイサンですね」
「うん」
「本当は、スカートだったら海に入って海藻を採って味噌汁に入れたかったんですよ」
「お前、逞しいな」
「あっ、カルシウム」
翡翠は足元を通る蟹を跨ぎ、こちらを振り返った。
「おい、蟹の事をカルシウムって呼ぶな。可哀想だろ?」
「オニイサンはたんぱく質ですね」
後ろ歩きしながら俺をからかう翡翠、悪くない。俺には、海のキラキラとか太陽のキラキラよりもずっとずっと翡翠のがキラキラして見える。
「お前もな」
相変わらず独特だが、そんなところも好きだ。
「あすこにあるブロックに座って食べよう」
砂浜から少し上に上がった所に階段状になったコンクリートブロックがあり、先に俺が腰掛けると、翡翠は強い海風を受け、寒そうに肩を怒らせた。
「やっぱり春の海はまだまだ寒いですね」
「ほら、俺が風除けになるから」
そう言って翡翠の腕を引っ張り、俺は彼女を自分の膝の間に座らせる。
「えっ、いや、だって、これは、善くないんじゃ──」
翡翠は、後ろから俺に覆い被さられる形にえらく動揺し、窮屈そうに体育座りをした。
「ほら、俺はDTだから、こういうのに憧れるんだよ」
翡翠とニャンニャンする為なら、プライドもかなぐり捨てた。
「え、いやらし……」
「いいだろ?これくらい」
「DTのくせに遠慮が無いというか、アグレッシブなDTですね」
「まあな」
風で翡翠の髪が俺の鼻先を擽り、同時に俺の男心も擽る。
後ろからギュッてしたい。
「恋人ごっこに付き合ってくれるんだろ?これくらい許せ」
『恋人ごっこ』そうでも言わないと、翡翠は触れる事すら許してくれなかっただろう。そんな言葉、本当は使いたくなかったのに。
「……じゃあ、オニイサンに彼女が出来るまで、ですよ?」
翡翠は両膝に顔を埋め、くぐもった声でそう言った。
「ああ」
だったら彼女なんか作らない、と言ったら、翡翠は困った顔をするんだろうな。
なんか、こうして翡翠に触れるのは嬉しいが、余計な事を考えては胸が苦しくなる。生きて再び翡翠に会えただけでも喜ぶべき事なのに、近付く毎に、もっともっとと翡翠が欲しくなる。
俺は病気だ。前世で一緒になれなかった双子の妹に恋をする難病で、変態だ。
「……たこ焼き、冷めますよ?」
か細く、俄に震える翡翠の声。俺とこんな体勢をしてるからそんなに緊張をしているのか。
後ろから『双子の兄』に覆われて緊張しているのか?
翡翠は俺を男として意識しているのか、はたまた双子の兄と言えど最近初めて出会った男だから意識しているのか、見極めが難しいところだが、小さい頃に生き別れになった兄妹が、大人になって再会し、恋に落ちたという稀なケースもある。勿論それは絶対的禁忌だが、無くもない話だ。
「食うか」
そう言って俺はたこ焼きを袋から出し、爪楊枝で刺したたこ焼きを一粒、二人羽織の要領で翡翠の口元に持っていく。
「え、自分で食べれるのに」
「いいから」
俺が有無を言わさず翡翠の口にたこ焼きを突きつけると、彼女は観念したようにそれを一口で食べた。
おお、食べてる。
俺は肩越しに、翡翠がハムスターみたいに頬袋を膨らませて咀嚼する様を見て人知れず感動する。
俺は初めて飼うロボロフスキーハムスターが初めて俺の手から直接餌を持って行った時の事を思い出していた。
俺は嬉しくなって翡翠に次々とたこ焼きを与え、ついには翡翠の頬袋がたこ焼きでパンパンになった。
「モッシュモッシュ」
文句も言わず食わされるまくる翡翠に、俺は肩を震わせて笑いを堪える。
「モッシュモッシュ……ゴッキュン。私はもういいですから、今度はオニイサンに食べさせてあげます」
翡翠がそう言うので、後ろから彼女にたこ焼きをパックごと渡すと、直ぐに翡翠の肩越しにたこ焼きが一粒差し出され、俺はそれを丸ごと頬張る。
「ノールック餌付けです」
「ハハ、自分の肩に落とすなよ」
幸せだ。
これが恋人ごっこでなければもっと幸せだったのに。
幸福の中で、時々立ち止まっては現状を思い出して少しの虚しさを感じる。これは、この気持ちは前世で味わったそれと全く同じだ。
翡翠は、どう感じているんだろう?
「……なぁ」
「なんですか、オニイサン」
「セキレイさん、て呼んでみてよ」
「またそれですか?」
「ごっこでも恋人同士だろ?ならオニイサンてのはおかしい」
「てってーしてますね」
「ほら」
俺は促す様に自分の胸板で翡翠の背中をひっついた。
「……セ、セキレイさん」
翡翠は照れくさそうにそう言って、また両膝に顔を埋める。
「何か思い出さないか?」
「何がですか?」
「例えば、そう、前にも俺と海でたこ焼きを食べたな、とか」
俺と翡翠は前世でも海を見ながらこうしてたこ焼きを食べさせ合っていた。
「デジャヴュの話ですか?」
「似たようなもんかな」
「懐かしい感じはしますけど……けど、特には」
「そうか」
「なんでそんな事を聞くんですか?オニイサンはデジャヴュを感じているんですか?」
「セキレイさん、な」
「……セキレイさんは何か思い出す事があるんですか?」
まだ呼びなれないせいか、翡翠は上ずった声で『セキレイさん』と言う。
「そうだな。前にもこんな、甘くて苦くて苦しい思いをしたなって思って」
「私と、ですか?」
「そう」
「そんな、私達は生まれてからこのかた、ずっと会った事がなかったのに」
「そうだな」
「変なオニイサンですね」
「そうだな、変だよな」
やっぱり、翡翠はなんにも覚えちゃいない。分かっていた事だが、いざ、こうして再確認すると、俺の心は苦くて苦しくて、どうしようもなく切なくなった。どうにも向かい合えないあの時の気持ちと全く同じだ。
──そう、これは所詮恋人のフリをしたごっこ遊び。前世でした、あのごっこ遊びと何も変わらない。
でも……
「なぁ、翡翠」
「なんですか?」
「恋人ごっこって、どこまでがごっこで許されるんだろうな」
「え?何の話ですか?」
「ABCって知ってるか?」
「そりゃそれくら──えっ⁉」
翡翠が突然頭を上げ、俺は彼女の後頭部に鼻をぶつけそうになる。
驚き過ぎだろ。
「オゥマイガァ……」
おお、翡翠の生きた英語。
「お前なら、どこまで許せる?」
そう訪ねながら翡翠の肩に顎を乗せると、彼女はビクッと体を跳ね上げ、耳朶を赤くさせた。
「ど、どれも駄目に決まってるでしょう!それは最初にお会いした時から言いました」
翡翠の背中越しに彼女の心臓の鼓動が伝わってくる。
ドキドキしてるな。
俺と同じだ。
「手を繋いだり、こうして密着するのはいいのに?」
『こうして』のところでちゃっかり俺が後ろから翡翠を抱き締めると、彼女の鼓動はより一層、強く速まった。
わかりやすっ。
「でもキスは駄目です。それは一線です」
翡翠はキッパリと強い口調で否定した。
やっぱ駄目か。頑なだな。
「ならCは?」
しかし翡翠の反応がいちいち面白くて、俺はついついそうしてからかってしまう。
「っな、キスが駄目なのに、なんでそこまで飛躍するんですかっ!駄目に決まっているでしょう!」
「でもプロはパコパコしてもキスはしないって言うだろ?」
「私、プロじゃありません」
「友達同士でパコパコするパターンもあるじゃん」
「だとしても、私達、双子ですよ⁉」
「でも出来ない訳じゃない。双子でも男と女、凸と凹があるんだから物理的には可能だ。それに法で近親婚は認められていないが、近親者同士の恋愛やそれに準ずる行為については言及されてない」
「倫理的には駄目でしょう!」
「頭が硬いな」
「なんでそんな事を言うんですか⁉」
翡翠の速すぎる鼓動が俺の耳にまで届く。
「そういう事をしたいから、って言ったらどうする?」
「え……?」
翡翠は怯えた様に聞き返した。
「双子の妹相手にそういう事をしたいって、俺が言ったら?」
仮説的な言い方をしたが、これは単に俺の本心だった。
ヤバい、溜まりすぎて暴走してる。自分でも自覚はあったが、ここまでくると止められない。
「わ、悪い冗談はやめて下さい。ありえない」
翡翠が狼狽すればする程、責め立てて動揺させたくなる。
翡翠はいつだって、俺を意地悪にさせる。
「ありえない?じゃあさ、前世で俺達が海でキスをしてたって言っても、ありえない?」
今の俺達は前世をなぞらえている。ただ、キスを除いては──
「何を馬鹿な。私は前世なんて信じないし、そんなものがあったとしても、私達が双子に生まれた以上、例えごっこ遊びでもキスやそれ以上の事は出来ません」
「やっぱり、そうだよな」
分かってたさ。でもワンチャンあるかな、とか、淡い期待も少なからずしてたさ。
俺は自嘲気味にフッと鼻で笑った。
「なんか……」
「ん?」
「残念そうに言うんですね」
と、翡翠がぼそっと呟く。
「そう思うんなら、そうなのかもな」
俺は翡翠に嫌われたくなくてどっちつかずな答えを出した。
「心配するな。そんなに怯えなくても、これ以上の事はしないから」
そう言うと、わかり易く翡翠の肩から力が抜ける。
ほんと、嫌になるくらいわかり易いな。
「ただちょっと、確かめたかっただけだから」
これは前世よりも遥かに不利な状況にあると、判明してしまった。
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