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最強最悪の敵
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デジャヴか、夜、またしても俺は王の寝室から出て来る瑪瑙の姿を目撃する。
「瑪瑙!?お前、なんでここにいるっ!?城を出ると約束したはずだろっ!?」
俺はズカズカと瑪瑙に詰め寄り、彼女の襟首を締め上げた。
「ああ、セキレイさん、私は出たいと思っていたんだけど、既に王に気に入られててね、王直々に足留めをくらってるんだよ」
引っ張り上げた瑪瑙の襟元から真新しい無数の鬱血が見てとれ、俺は表情を険しくする。
「お前っ、王までたぶらかしているのかっ!?」
俺がかつて愛した女は、今やとんでもない女狐に豹変していた。
本当に、信じられない女だ。抜かりがないというか、いっそ呆れるくらい天晴れと言いたい。
「たぶらかしてるだなんて心外だな、セキレイさん。私は踊り子だけど、正式に王の妻になるべく契りを交わしてるだけだよ」
瑪瑙は強かに笑って俺の首筋を人差し指でなぞって弄ぶ。
正式に王の妻になるって?
それが言葉通りなら、瑪瑙は──
「お前、まさか王の正室になろっていうのかっ!?」
俺は度肝を抜かれ、瑪瑙をグッと自分の顔に引き寄せた。
悪い冗談だろ……
かつての俺の秘蔵っ子が、今や翡翠の最強最悪の強敵になろうとは、誰が予測出来ただろう?
悪夢だ。
「お前、処女じゃないだろ!?」
「今の私は献上品じゃないからそんなもの関係ないよ。てか献上の儀式云々の前に、王自身がとっくに私に手を出してるんだから暗黙の了解でしょ?それに、たまたま地方を旅していた踊り子が王の目にとまり、見初められて正室になるってのはよくある話じゃない?」
「ねーよ」
上機嫌に話す瑪瑙とは対照的に、俺はとても冷めていた。
「王は、お前が何年も前に逃げ出した瑪瑙だって事は気付いているのか?」
瑪瑙にとってこれは都合の悪い過去だろう。
「あの人はたかだか手を出しかけた少女の事なんか覚えてないよ。自分で掛けたこの首輪を見ても何の反応も示さないんだから。それに今の私は踊り子の白鈴だしね。あ、でももしセキレイさんが喋ったら、私も翡翠の事をバラすからね」
交換条件て訳か。
「いいだろう。その代わり、お前に正室の座は譲らない」
こんな女狐が正室になってしまったら、恐らく王や城に未来はない。勿論、民にもだ。
俺の胸に熱い闘争心が芽生えた。
俺は絶対に翡翠を正室にしなければならない。
「それで?セキレイさん、胸が当たってるんだけど、これって正室候補へのセクハラじゃない?」
俺がメラメラと闘志を燃やしていると、瑪瑙が自分の胸を指差した。
「ああ、悪い」
俺は素直に謝罪して瑪瑙から離れる。
無意識だったが、意識してみると瑪瑙の胸は結構でかくて弾力がある。そういえば色も形も綺麗で一級品だったな。
「じゃあね、セクハラさん、いえ、セキレイさん」
こちらに背を向けて歩き去る瑪瑙をまじまじと観察すると、成る程、背骨のラインも綺麗だし、そこからのキュッと締まったくびれの曲線美や、着痩せするプリケツ、ただ細いだけではないメリハリのある美脚は、どれをとっても翡翠に勝る。
これは強敵だ。さすが踊り子、身体の全てに無駄がない。
バランスボールだな。
「そうだ、バランスボールを買おう」
女性らしい身体を保つには筋トレじゃ駄目だ。まずはバランスボールで翡翠の体幹を鍛えてしなやかな身体作りから始めないと。
その為にも儀式までの猶予を延ばさないと。翡翠の肉体的な事もそうだが、精神面も心配だ。それに俺の心の準備というものもある。
何にせよ、今はまだ時期尚早過ぎだ。
俺はノックと同時に王の寝室のドアを開けると、透け透けの天蓋の向こうで手足を投げ出して横たわる王を見つける。
王ははだけたバスローブを辛うじて身に纏い、夢心地で虚ろな目をしていた。
あ、そうだった。こいつ、瑪瑙とヤッた直後か。
王は足腰が立たないのかピクリとも動かない。
気持ちは解る。瑪瑙は『凄い』
ここにきて、過去に瑪瑙を鷹雄に奉公へ出したのが仇と成す。
風斗の奴、骨抜きじゃないか。
おかげで俺の嘆願は朦朧とする風斗が快諾(?)してくれた。
期間はあと1ヶ月延びたが、俺は内心とても焦っていた。
あの瑪瑙に翡翠は勝てるのか?
「瑪瑙!?お前、なんでここにいるっ!?城を出ると約束したはずだろっ!?」
俺はズカズカと瑪瑙に詰め寄り、彼女の襟首を締め上げた。
「ああ、セキレイさん、私は出たいと思っていたんだけど、既に王に気に入られててね、王直々に足留めをくらってるんだよ」
引っ張り上げた瑪瑙の襟元から真新しい無数の鬱血が見てとれ、俺は表情を険しくする。
「お前っ、王までたぶらかしているのかっ!?」
俺がかつて愛した女は、今やとんでもない女狐に豹変していた。
本当に、信じられない女だ。抜かりがないというか、いっそ呆れるくらい天晴れと言いたい。
「たぶらかしてるだなんて心外だな、セキレイさん。私は踊り子だけど、正式に王の妻になるべく契りを交わしてるだけだよ」
瑪瑙は強かに笑って俺の首筋を人差し指でなぞって弄ぶ。
正式に王の妻になるって?
それが言葉通りなら、瑪瑙は──
「お前、まさか王の正室になろっていうのかっ!?」
俺は度肝を抜かれ、瑪瑙をグッと自分の顔に引き寄せた。
悪い冗談だろ……
かつての俺の秘蔵っ子が、今や翡翠の最強最悪の強敵になろうとは、誰が予測出来ただろう?
悪夢だ。
「お前、処女じゃないだろ!?」
「今の私は献上品じゃないからそんなもの関係ないよ。てか献上の儀式云々の前に、王自身がとっくに私に手を出してるんだから暗黙の了解でしょ?それに、たまたま地方を旅していた踊り子が王の目にとまり、見初められて正室になるってのはよくある話じゃない?」
「ねーよ」
上機嫌に話す瑪瑙とは対照的に、俺はとても冷めていた。
「王は、お前が何年も前に逃げ出した瑪瑙だって事は気付いているのか?」
瑪瑙にとってこれは都合の悪い過去だろう。
「あの人はたかだか手を出しかけた少女の事なんか覚えてないよ。自分で掛けたこの首輪を見ても何の反応も示さないんだから。それに今の私は踊り子の白鈴だしね。あ、でももしセキレイさんが喋ったら、私も翡翠の事をバラすからね」
交換条件て訳か。
「いいだろう。その代わり、お前に正室の座は譲らない」
こんな女狐が正室になってしまったら、恐らく王や城に未来はない。勿論、民にもだ。
俺の胸に熱い闘争心が芽生えた。
俺は絶対に翡翠を正室にしなければならない。
「それで?セキレイさん、胸が当たってるんだけど、これって正室候補へのセクハラじゃない?」
俺がメラメラと闘志を燃やしていると、瑪瑙が自分の胸を指差した。
「ああ、悪い」
俺は素直に謝罪して瑪瑙から離れる。
無意識だったが、意識してみると瑪瑙の胸は結構でかくて弾力がある。そういえば色も形も綺麗で一級品だったな。
「じゃあね、セクハラさん、いえ、セキレイさん」
こちらに背を向けて歩き去る瑪瑙をまじまじと観察すると、成る程、背骨のラインも綺麗だし、そこからのキュッと締まったくびれの曲線美や、着痩せするプリケツ、ただ細いだけではないメリハリのある美脚は、どれをとっても翡翠に勝る。
これは強敵だ。さすが踊り子、身体の全てに無駄がない。
バランスボールだな。
「そうだ、バランスボールを買おう」
女性らしい身体を保つには筋トレじゃ駄目だ。まずはバランスボールで翡翠の体幹を鍛えてしなやかな身体作りから始めないと。
その為にも儀式までの猶予を延ばさないと。翡翠の肉体的な事もそうだが、精神面も心配だ。それに俺の心の準備というものもある。
何にせよ、今はまだ時期尚早過ぎだ。
俺はノックと同時に王の寝室のドアを開けると、透け透けの天蓋の向こうで手足を投げ出して横たわる王を見つける。
王ははだけたバスローブを辛うじて身に纏い、夢心地で虚ろな目をしていた。
あ、そうだった。こいつ、瑪瑙とヤッた直後か。
王は足腰が立たないのかピクリとも動かない。
気持ちは解る。瑪瑙は『凄い』
ここにきて、過去に瑪瑙を鷹雄に奉公へ出したのが仇と成す。
風斗の奴、骨抜きじゃないか。
おかげで俺の嘆願は朦朧とする風斗が快諾(?)してくれた。
期間はあと1ヶ月延びたが、俺は内心とても焦っていた。
あの瑪瑙に翡翠は勝てるのか?
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