目覚めたら親友(草食男子)の推しAV女優になってました

華山富士鷹

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スミレの秘密2

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「嘘……」
日頃のスミレが真面目過ぎるだけに、言葉が無い。
あの無口な朴念仁が、20代前半くらいの巨乳で綺麗めかわいいお姉さんが扇情的に女豹ポーズするような画像を待ち受けにするなんて、誰が想像出来ただろう?
狐にでもつままれた気分だ。
しかし、まあ、スミレも男だったって事か。
俺は今更ながらスミレにとても親近感を持った。
「へぇ……これはまた……」
それにしても、スミレはこういったキリっとした大和撫子みたいな女がタイプなのか。艶々した長い黒髪や口元のホクロが妙に艶めかしい。
見たこともない親友の一面を見られて、俺は変に感動していた。
別に隠す必要ないのに。
画面には覗き見防止用の保護シートが貼られていて、俺は思わず吹き出しそうになった。
ヤバいヤバい、スミレが起きる。
俺は笑いを堪え、ベッドに腰掛けた。
尊い……
それにしてもこの女の人、どっかで見たような……
何処だったか……
「……」
俺が無い頭でしばし記憶を手繰ると、学校帰りに見たアダルト関連ショップの看板を思い出す。
ああっ!姉川レイか!
記憶の中の看板には女教師姿の彼女と『セクシー女優姉川レイ、握手会○月○日』という見出しが書かれていた。
「えっ!てことは……セクシー女優っ!?」
俺は声にならない声で叫んでしまう。
「うわぁーうわぁーうわぁー、まじか、スミレが!?」
という事は、スミレも他の健全な男子同様、エロ動画を観てハァハァしているって事になる。
信じらんない。目の前で清廉潔白そうに眠るこの男が?
たとえ目の前でラッキースケベが起きようと、絶対に目もくれないような鉄の男スミレが?
俺は非常に、非常に親近感を覚えた。
所詮スミレも人の子か。
俺がそのままスミレのスマホで姉川レイを検索しようとすると、検索履歴に『姉川レイ』『姉川レイ 女教師』『姉川レイ 陵辱』『姉川レイ 拷問』『姉川レイ ハメ撮』『姉川レイ 即ハメ』『姉川レイ コスプレ』『姉川レイ 素人童貞』『姉川レイ 鬼イキ』『姉川レイ ぶっかけ』『姉川レイ 羞恥プレイ』『姉川レイ SM』『姉川レイ 強姦』等など、スミレが愛おしくなる程の履歴を発見してしまう。
カワイイ奴め。
一途だな、そんなに好きなのか。姉川レイばっかじゃんか。
俺は『姉川レイ 陵辱』をタップして動画を再生すると、いきなり彼女が首輪をつけられたあられもない姿でムチ打たれるシーンが始まり、その喘ぎ声が室内に響いてしまった。
「わわわわわっ!」
俺はヒヤヒヤしながらスマホをミュートにし、スミレの様子を窺う。
「……」
スミレは相変わらず死んだように静かだ。
良かった。スミレに気付かれたら、あいつの自尊心が傷付いてしまう。
親友の尊厳は守りたい。
でも親友の性的嗜好も気になり、俺は動画に集中した。
「…………………………」
普通にエロい。普通にエロいんだが、俺は、姉川レイが男優から辱めを受けている事よりも、あのスミレが、あの優等生のスミレがっ、姉川レイの裸や、蝋燭を垂らされてヨガる痴態を見て興奮し、夜な夜なこの部屋で人知れずシコシコしているのかと思ったら、そっちの方が気になって動画に集中出来なかった。
スミレ、陵辱ものが好きなんだな。そう言えばさっきの履歴に『姉川レイ 拷問』てのもあったしな。
へぇ、はぁ、ふぅーん、ナルホドナルホド。
スミレは姉川レイを縛ったり叩いたり、激しくピストンしたり、こんなハードな事をしたいって思ってたんだな。
あの物静かなスミレがねぇ。人は見かけによらないもんだなぁ。
……いや、ムッツリすぎんだろっ!
しかもいきなりSMとか、ハード過ぎるだろ。

暫くスミレの検索履歴やブックマークを観察していて俺はある事に気付く。

スミレって、ど変態じゃね?

さっきまで感慨深く親友の性的嗜好を見守ってきたが、途中から俺がドン引きするくらいマニアックで恥ずかしい痕跡がゴロゴロ出てきて、観ているこっちが恥ずかしくなった。
俺の知らない刺激的で堪能的過ぎる世界が、スミレの世界だったのか……
あの大人しいスミレにも、こんな非道な残虐性があるのかと思うとちょっと怖くなる。現実世界でこれをやったら即お縄だろう。
スミレ、ギャップがあるにも程があるよ。
俺の知っているスミレは、優しくて、親切で、俺の前でだけ微笑んでくれる様なイイ奴だったのに。
親友の意外な一面を見てしまい、俺はちょっぴりショックだったが、人間らしい彼を見られたようで少し嬉しくもあった。
こうしてみると、スミレとは生まれてからずっと一緒だったのに、俺はあまりスミレを理解してやれてなかったのかもしれない。
不意に見てしまったスミレの裏の顔だけど、出来れば何らかの形で本人を介して知りたかった。
いや、でも、こんな変態プレイを好んでいた事なんて、きっとスミレも知られたくなかった筈だ(俺なら死んでも嫌だ)
この事は俺が墓場まで持って行こう。
……ただ、こんな事をされる相手の女性は気の毒だが。
俺は目を覆いたくなるようなエロ動画に耐えるべく唇を噛み締め、薄目でスマホの画面と向き合った。
あ、やべ、薄目のがモザイクが薄く見える。ヒエェ
俺がホラー映画でも観るように慄いていると──

「何してるの?」

──いきなりスミレが起き上がった。
「ヒィッ!!!!」
俺は思わずスマホをその手から落とすとこだった。
「弥生」
咎めるように名前を呼ばれ、俺はドキドキしながらエロサイトを閉じる。
「や、ちがくてちがくて、充電が切れそうだったから」
俺はオロオロと動揺が隠せず、スミレにジッと睨まれた。
室内の空気は張り詰め、唾を飲み込む動作すら緊張で上手く出来ない。
なんかスミレ、怒ってる?
普段怒らない奴が怒ると、こんなにも張り詰めたオーラが出るのか。下手に怒鳴り散らされるよりずっと迫力がある。
「ほんと?」
「ほんとほんと、充電器独占してて悪かったなって思って」
背中を尋常じゃないくらいの冷や汗が伝う。
やべー。
俺は何故か先刻見たSM動画を思い出し、身震いした。
このムッツリ鬼畜変態にお仕置きされる!!
俺がかたく目を閉じて観念していると、フワリと優しいいつものスミレの声がした。
「そっか、気が利くね。ありがとう」
薄目で確認すると、暗闇でスミレが微笑んだのが微かに見えて、俺はホッと胸を撫でおろす。
良かった。バレてない。
「お、おぅ」
俺はスマホをスミレに渡し、布団に入り直した。
「おやすみ」
「おやすみ」
俺は良心が咎め、スミレに背を向けて目を閉じる。すると枕の脇に何かが落ちているのが見え、それを手に取った。
こ……れっ!?
6個綴りになっていたそれは、手探りでもハッキリ判るような輪っかのフォルムがパッケージの中に収められていて、昔、父親の書斎で見付けたそれと全く同じ物だった。俺が暗闇で目を凝らすと『うっす薄~0.02』とパッケージに印刷されている。
男なら、いつ何時抜き差しならない状況に陥っても困らぬよう備えるのがマナーだが……

俺が泊まるって解ってたんならゴム隠しとけよ!!!!

しかも、それを発見したすぐそばに使い切りタイプのローション(とおぼしき)個包装も転がっていた。
彼女もいないのに(いつも一緒だから多分いない)ヤル気満々じゃねーか。しかも6発分!!
もしかして、漁れば手錠とか三角木馬とか怪しいオモチャがゴロゴロ出てくるんじゃないか?
「弥生」
「ハ、ハヒッ!!」
いきなり暗闇からスミレの声がして、俺の心臓は活魚の如く大きく跳びはねた。
ドドドドドドドドドドドドドド……
心臓発作でも起こしそうなくらい脈拍が上がる。
「弥生、何か見た?」
スミレから凄く冷たい口調で聞かれ、俺はビビって竦み上がった。
ゴムとエロ動画、どっちだ!?
それともどっちもか!?
「なっ、何も……」
俺は焦燥としながら誤魔化した。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。スミレの鬼畜な性癖を垣間見てごめんなさいぃっ!!
とにかく平謝りだ(心の中で)
「……そう、おやすみ」
なんとなくスミレが納得し、また静かな時間が戻った。
あ……っぶなかったー!!
俺は今度こそ胸を撫でおろしたが、それから朝まで眠れぬ時を過ごしたのだった。
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