目覚めたら親友(草食男子)の推しAV女優になってました

華山富士鷹

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彼女

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ミリと付き合い始めて1ヶ月が経った。彼女とは家が近いという事もあり、毎日のように一緒に下校し、ムードしだいではフレンチなキスもしていた。だから今日も、俺はさよならのキスだけで1日が終わるのだと思い込んでいた、のだが……

その日に限って、ミリは俺の部屋に行ってみたいと駄々を捏ねた。

「駄目だよ」
特に理由は無いが、俺は自宅の目の前でなんとなくその願い出を却下する。
「なんで?」
「家は父子家庭で男所帯なんだ。そんなとこに女の子を連れて行く訳にいかないよ」
「お父さんはもう帰ってるの?」
「いや、父親はいつも夜中に帰って来たり、来なかったりする」
「じゃあいいじゃん」
「だから駄目なんだよ」
男女が密室で二人きりになったら気まずいじゃないか。間違いがあったらどうする。
「なんで?恋人同士なんだよ?」
そうは言っても、俺の気が進まない。以前の俺なら、脱チェリのチャンスと見るや上げ膳に飛び付いていた事だろう。
ミリは俺の好みだし、ヤル事にも乗り気のようだから童貞を捨てる相手としたらこれ以上ない理想の彼女ではあるが、なんて言うか、そう、とにかく、なんとなく気が進まないのだ。
「間違いがあったらどうする」
「恋人同士なのに間違いなの?」
「ゴムが無い」
これは単なる思いつきの言い訳。
「お隣さんちからおすそ分けしてもらえば?隣、スミレ先輩んちでしょ?どうせ彼女とヤリまくりなんだから絶対ダースで持ってるって」
ストーカーはなんでもお見通しだな。
てか……
「そんなもん貰えるか!」
俺はつい周りも憚らず声を荒らげた。
恥ずかし過ぎるだろ。一体どんな顔して分けてもらえってんだ。
「ゴムがなんだって?」
すぐ後ろからスミレの声がして、俺はドッキリして横にとび退いた。
「スミレ!?」
「サイズが合わないだろ」
別にスミレは俺に喧嘩を売ってそんな事を言っている訳ではないらしく、虚無な顔でただ真実だけを口にしたという感じだった。

……酷くない?

その場は寒々しい空気に見舞われ、ミリはいたたまれない表情をしている。
別に、直接『小さい』と言われた訳ではないし、その逆の意味という捉え方もあったが、実際にスミレのモノを目の当たりにした俺にしてみたら、屈服させられたも同然だ。
ガクガクと膝から崩れ落ちそうな気分だよ。
「弥生、大丈夫、大丈夫、ラップでも巻いとけば大丈夫だから」
「え、ちょちょちょちょちょ、どこ触ってんの!」
ミリは気にせずゴソゴソと俺のポケットを探って家の鍵を取り出すと、それで勝手に玄関の鍵を開けて俺を押し込んだ。
「こら、ミリ!」
「弥生!!」
スミレが俺の後を追うも、ミリは俺を家に連れ込むと、即座に後ろ手で玄関の鍵を締めた。
「弥生!」
玄関のドアが激しく殴打され、スミレが俺の名前を叫び続ける。
「スミレ先輩、あんまり騒ぐと近所の人から警察を呼ばれますよ」

「……」

鎮まった、と思ったら、今度は俺のスマホが振動し始める。
見なくても判るが、念の為確認すると、やはりスミレからだった。それをミリに取り上げられ、電源を切られる。
「おい、ミリ」
後が怖いだろうが。
摺りガラスの向こうにスミレの影が浮かび上がり、それがやたらとホラー感を出している。
コワッ!!
「スミレ先輩には1時間くらい我慢してもらいましょう。それとも、弥生は1時間では済まない程遅漏なの?」
付き合う前から薄々感じてはいたが、ミリはその可憐な容姿とは裏腹に結構勝ち気なたちらしい。ぶりっ子よりはいいが、時折押しが強くて手に余るところがある。
「ムードもへったくれもないな」
こんなんでヤル気になれるかよ。
「ムードはこれから作るの」
グイグイとミリに手を引かれ、俺は一直線に自室に連れ込まれた。
「なんで俺の部屋がわかるんだよ?」
「匂いで」
「警察犬か」
「いいから、ズボン脱いでベッドに横になって」
ガチャガチャとミリにベルトを外され、俺は彼女のその手を押さえるのに躍起になる。
「なんでそんなに性急なんだよ?ゴムも無いし、俺にも心の準備ってもんがあるだろ」
「ないない、童貞にそんな人権はないんだから。それに今日は大丈夫な日だから」
「なんで童貞って言い切れるんだよ?」
千里眼か。
「目を見ればわかるもん。砂浜にうち上げられたクジラみたいな目ぇしてんじゃん」
すげー失礼じゃん。図星だけど。
「もうさ、ハッキリ死んだ魚みたいな目って言えよ」
「そこまでは言ってない。ほらほら、脱いだ脱いだ」
「だからムード何処行ったよ」
俺はミリから追われるようにズボンを足首まで脱がされ、パンツを露出させたままベッドに押し倒された。
初体験て、こんなもんなのか?
俺の初体験は、どちらも奪われて終える運命らしい。
ミリに馬乗りされ、そのうえ唇まで奪われた。それはキスというには程遠く、無理矢理押し当てられたという感じだった。
だから、どいつもこいつもどうしてこんなに強引なんだよ。
「弥生」
「ちょっ、変なとこ触るな」
シャツの上から乳首を弄られ、俺は変な声が出てしまい、男のプライドが傷付く。
女の子に乳首弄られて感じるとか、男としてどうなの?!
「弥生、かわいい」
年下のロリっ子からクスリと笑われ、俺のプライドは更にズタズタになる。
なんなんだよ、こいつ。年下のくせに俺を女みたいに扱って、初めてじゃないのか?
ミリはやけに慣れた手つきでキスしながら俺のシャツの前ボタンを外していく。
「待て待て、手慣れ過ぎだろ。お前、もしかして初めてじゃないのか?」
「……初めて」
俺のシャツをたくし上げていたミリの手がピタリと止まる。
「なんだよ、その間は」
図星だろ。
「……試してみたら?」
ミリの目つきが明らかに艶っぽくなり、急に彼女が艶かしく見えてきた。
エロい。
ミリの事は色気の無いただのロリっ子だと思っていたのに、ベッドの上に上がるとまた違って見えたりするもんなんだな。
感心感心。
「試すって……」
それはつまり、そうだよな。
「ヤらなきゃ確かめようがないんだから、ヤッてみたらいいじゃない」
そう言ってミリは起き上がると、自らのブレザーを脱ぎ捨て、シャツのボタンを上から順に外していき、細こい首からくっきりとした鎖骨、なだらかな丘陵を露わにした。
肌が白いな。
毛穴も無いし、全部脱がせたらどうなってるんだろう?
スッピンでこれだけ唇が紅かったら、下は……
意外にも、女体に慣れていた筈の俺が、女性向けのロマンスAVでも観ているような気分になった。
ミリの体が綺麗なせいか、品のあるエロさが漂う。
「ミリ、待って」
俺は、シャツを肩までずらしていたミリの手を制止する。
「今更二の足を踏むなんて、意気地なしだね」
「俺が脱がせる」
俺も起き上がり、ミリの背に手を回してブラのホックを外した。
大きさはレイ程ではないが、重力に逆らったようなツンとした美乳が溢れ出る。
「弥生……」
意表をつかれたミリはいたいけな少女の顔に戻り、それもまた俺の男の部分をくすぐった。
体の中心に血が集まる感覚がして、もしかしたら俺は本当にミリを心から愛せるのではないかと可能性を感じる。
俺は別にスミレの事が好きだっただけで、ゲイという訳じゃないんだ。こうして女の子相手に興奮することこそが本来の姿だったんだ。今までがおかしかっただけで、これが男子高校生の健全な恋愛なんだ。


それから俺は無事初めての『初めて』を終え、ミリに腕枕しながら天井を仰いでいた。

……

率直な話、初めての『初めて』は夢見ていた以上にめちゃくちゃ気持ちが良くて、断続的に2度も昇天してしまった。それもこれも、結果バージンだったミリの活躍(攻め)のおかげであったと言っても過言ではない。
バージンのくせしてなんであんなに上手いんだよ。
ミリの動きに無駄は無く、的を得た動きで的確に男のいい部分だけを攻めたてていた。あれは素人の動きじゃない、と先刻まで童貞だった俺ですら察した。
女の子とヤルのって、こんなに気持ちがいいものなんだ。ちょっと、いや、だいぶ世界が広がった。
しかし俺は、普段スミレから抱かれている時とは全く違った快感をミリから得たが、それと同等の感動は得られなかった。
ミリとの行為はただただ快感でやみつきになりそうだったけれど、俺はなんの感情も感じられず、単に絶頂の為にひたすら腰を振るばかりだった。
これを肉欲と呼ばずして、何と言うのか?
俺は、愛を確認する為の行為で、何の愛も感じる事が出来なかった。
多分、これから何度となくミリと体を重ねたとしても、俺はこれからも彼女を愛する事はない。
その事実をどのタイミングで、どんなモチベーションでミリに伝えるべきか……
早い方がいいよな。
ヤッてみて、やっぱり好きじゃないから別れようなんて虫が良すぎるか。
でも、このまま心のない付き合いを続けていた方がミリをより傷付ける事になる。
やっぱり正直に言わなきゃ。
「ミリ、あの……」
決意を固め、俺はミリの顔を覗き込むと、彼女は激しく動き回ったせいか、寝息をたてて俺の腕枕で眠っていた。
「かわいいな、よく寝てる」
ヤッた直後に突き放すのも酷か。
ミリの、子犬のような寝顔を見ていると、どうにも無下には出来ない。
もう少し時間をおいてからにしよう。冷たくする訳にはいかないから、ちょっとずつ距離をおくとか……
あれこれ策を練っているうち、俺もミリの寝息に誘われ、いつの間にか夢の世界へと旅立っていた。


それから俺は体に鉛を括られて海に沈められたところで悪夢から目が覚めた。
「ハァ、ハァ……夢か」
うなされたのは重い十字架を背負っているせいか。
「何時だ?真っ暗じゃないか」
どのくらい寝ていたのだろう、辺りは真っ暗闇だ。
女の子を遅い時間まで拘束するのは気が咎める。
俺は肩にミリを乗せたまま手探りでベッド下のスマホを取り上げた。
「やば、もうすぐ9時じゃないか」
俺はスマホを確認するなり隣で寝コケているミリの肩を揺する。
「おい、ミリ、お前、門限は?」
裸のまま横たわったミリの肩はやけに骨張っていてゴツゴツと重厚感がある。つい数時間前までの華奢で壊れてしまいそうな彼女はどこへやら。
「あ……と10……分」
あれれ……
寝起きで掠れているからか、ミリの小鳥のさえずりのような声が野太く嗄れている。
「駄目だって、家の人に怒られるだろ?」
『ホラホラ』と俺がミリの体を激しく揺すると、彼女はイヤイヤをするように俺の太腿に脚を絡めてそのまましがみついてきた。
「重っ」
俺の体にミリの体重がかかり、ズシリとベッドが軋む。
え、俺より重くない?
線の細い俺とて男のはしくれ、筋肉や骨格は女性よりある程度は備わっているはず、なのに、明らかにミリは俺より重量感がある。
気のせいか?
「ミリ」
「んー……弥生、泊めて」
「お前、風邪でもひいたか?声が──」
お?
俺は起き上がろうとして、自分の太腿にある違和感を感じる。

なんか、棍棒みたいのが当たってる……

いや、なんか、この感触、覚えがある。スミレに抱きつかれた時にもこんな感触を感じた。
気のせい……か?
「ミリ……だよな?」
全然ミリの感触じゃないんですけどー
「あぁ?」
俺の腕から肩にのしかかる大きな黒い影が地響きみたいに唸った。
「……」
これはもう、聞き捨てならないくらい大の男の唸り声じゃないか!
ミリは何処へ行った!?
いつの間に入れ替わった!?
てか、誰だよ!!
俺は途端にその黒い影が恐ろしくなり、ベッドから跳び下りて電気の線を引っ張った。
何度かチカチカと蛍光灯が点滅し『そいつ』を俄に照らし出す。
太い首筋、骨張った肩幅、鼻筋の通った横顔、それらのどれをとってもそいつの体は男そのものだ。
「え……てか、えぇっ!!」
蛍光灯の点滅が止み、煌々とした明かりの下『そいつ』の全貌が明らかになるや、俺は目を疑う。

「お前、砂山かっ!?」


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