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始まりの予感①
しおりを挟むここはショピングモールのフードコート。広さは小学校の体育館程度であろか、そこに300人を超える人が押し寄せている。
否、「押し寄せている」と言う表現は正しくない。正確には無理矢理にこの場所に閉じ込められているのだ。シャッターの閉まったフードコートに閉じ込められた人々の顔は悲壮感に歪み今にも泣き出しそうな表情も見える。
そんなざわめく人波中心で刑事たちが今眼前にある問題にどう対処すべきか逡巡していた。
「おい、外との連絡はまだ取れないのか」
「やはり駄目です。おそらく電波妨害の影響で通信手段の一切が使えません」
「もうこうなったら我々で解除するしか」
「馬鹿言うな、爆発物処理班でもない俺たちが無闇に弄ったらその瞬間みんな御陀仏だ」
「でもこのままじゃどっちみち御陀仏ですよ」
ピッピッピッと規則的に時を刻む黒い物体、紛れもない時限爆弾を前に刑事たちは手をこまねくしかなかった。
「やばいですって、もう10分切りましたよ。早くなんとかしないと」
「配線の色は赤、青、緑、白、黒の5色。特定の色だけを切れば良いのか、それとも順番に別の色を切っていくのか」
「一体どうすりゃ。…ん、おいあの新人どこ行った」
「…しん…人、っておい何そんな紙切れと睨めっこしてんだ。それは犯人が警察を撹乱するための物だって結論が「違う」
「何、違うって、何が」
「私わかりました。これは犯人からのメッセージ、そしてこの暗号は爆弾の解除方法を示していると」
顔を上げそう宣言したのは刑事たちの中でも一際若い女だった。荒唐無稽にも聞こえるその言葉、しかし彼女の顔は強い意志を宿し確かな自信を感じさせた。
「何だって、それは本当か」
「説明している暇はありません。ニッパー貸してください」
彼女はニッパーを手にすると迷いなく黒い配線に刃をかけた。
ゆっくりと力をかけ配線に刃が食い込んでいく。もうその場にいる全員が固唾を飲んでその瞬間を見守るしかなかった。
ブツンッと配線が切れた音と同時に断続的に鳴っていたタイムリミットを知らせる音もパタリと止んだ。
「止まった…のか」
「間違いない、止まってるぞ」
「解除…できたのか」
今まで張り詰めていた空気が一気に弛緩していく。「よかった…よかった」、「もう大丈夫だ」、「やっと家に帰れる」皆が口々に安堵の息をこぼす。
「やったじゃねぇか新人、お手柄だぞ」
「ふっ、当然ですよ。なぜなら私はエリート刑事、水口か「おい、ちょっと待て」
「何か…おかしいぞ、これ」
「「「「えっ」」」」
水を差すような言葉を誰が言ったか。一気に場が静寂に包まれる。そしてそんな静寂を嘲笑うかのように再び悪夢の音が鳴り始めた。
ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピー
先程よりずっと早くけたたましい電子音がフードコートに響き渡る。
「え、エ、えエ、何で、何で、何で。何でタイマー止まらないの」
「おいどうなってんだよ新人」
「ああ、やっぱり素人が触るべきじゃなかったんだ」
焦る女、責める男、茫然自失。その場にいた老若男女の全てが絶叫に支配され、さながらフードコートはカオスの様相を呈している。
特に女は爆弾を目の前に焦りが募り続けていた。そんな焦る女を尻目にタイマーは無情に鳴り続け、遂には残り5分を切った。
「おい新人、どうするんだ」
「このままじゃみんな死ぬぞ」
新人、新人、新人、新人、新人、新人。電子音と自分を呼ぶ声の板挟みで女の精神は限界に達そうとしていた。
目が回り全身に鳥肌が立つ。遠のく意識の中でけたたましい電子音だけが耳の奥に響きわたりそこで女は完全に意識を失った。
* * * * * * * * * * * * * *
12月も半ばの冬の日の朝、寒空の下のあるアパートの一室で布団から脚を出しただらしない格好で女が寝ていた。
ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ
目覚まし時計がけたたましく朝を告げている。しかし彼女は顔を歪ませもぞもぞと動くだけで起きる気配がない。
しかし寝返りを打ったかとおもうと急にパッチリと目を見開き勢いよく飛び起きた。
「っわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
そして肩で息をしながら一言
「…あ…悪夢だ」
とだけポツリと呟いた。
今まで寝ていたはずなのに彼女は何処か疲れた顔をしている。
そしてひと呼吸おくとおもむろに立ち上がりテキパキと動いていく。布団をたたみ、顔を洗い、朝食を取り、身支度を済ませる。その動きはさっきまでだらしなく寝ていたようには見えず淀みなく進行していく。
「ヨシ」
準備が終わると彼女は職場に向かうためにアパートを出た。少し歩き大通りへ出ると今度は真っ直ぐバス停へと向かう。
一歩一歩進むたびに冷たい風に身を震わせ口からは白い息が漏れる。自分だけではない、会社勤めであろうコートを羽織ったスーツ姿の男や冬だと言うのに脚を出して寒がっている女子高生。
いつも通りの街並み、平和が一番だとわかっていながら何かないかと勘繰ってしまうのはもはや職業病なのだろうか。
そんな思いにふけっているといつの間にバス停に着いていた。バス停のベンチに腰を落とすとポケットからスマホを取り出してニュースを見る。
『元銀行職員 横領容疑で逮捕』
『日米首脳が会談 今後の国際情勢は』
『集団食中毒で50人が搬送 第三者による毒物混入か』
『行方不明の女児 無事保護』
さまざまなニュースが流れてくる中、彼女は1つのニュースに目を惹かれた。
『プレハブ内死体遺棄事件 未だ容疑者わからず』
12月12日 東京都町田市多摩丘陵のプレハブ倉庫内において廃品回収業者勤務、五十嵐広一さん(25)が遺体で発見されました。
遺体の背中には複数箇所にアイスピックのような凶器で刺された傷が見られ、そのうちの深さ15cmの傷が致命傷と見られています。
五十嵐さんは12月11日の9時ごろまで町田駅周辺の繁華街での目撃証言があり、司法解剖の結果と併せて死亡推定時刻は12月11日の午後9時から深夜12時までとされています。
町田警察署と警視庁が合同捜査本部を立ち上げ延べ150名を動員し捜査を行っていますが、現在まで有力な情報はありません。
「…………」
(容疑者は不明、アイスピックのような凶器、致命傷の傷、死亡推定時刻は9時以降)
口には出さず脳内で一つずつ咀嚼する。一度考えだすと思考が止まらず仮説が頭の中を駆け巡り別の仮説とぶつかり合う。ああでもない、こうでもないと堂々巡りを繰り返し思考がさらに深くなって行く。
ピンポンッピンポンッ
はっと前を向くと既にバスが到着していた。急いでバスに乗り込んで空いていた席に座り一息ついたが深い思考から一気に現実に戻ったせいかまだ少しボーっとしている。そのまま彼女は目を閉じまたゆっくりと深い思考に落ちていった。
* * * * * * * * * * * * * *
此処は東京都町田警察署、500名以上の署員を有し、2000年代初頭に「西の歌舞伎町」とまで呼ばれた町田の治安維持に務めてきた警察組織である。
彼女は警察署に着くと正面玄関ではなく職員専用の出入り口に回り中に入る。
「おはようございます」
「うん。ああ、おはようございます」
清掃員のおじさんと軽い挨拶を交わし、彼女はそのまま更衣室に向かった。
まだ誰もいない更衣室に一番乗りに着き真っ先に制服に着替えて真っ先に朝礼の場所に向かうのが彼女の毎日のルーティンである。
「ヨシ」
今日もいつも通りの一日になる。そう思って彼女はドアを開け外へ出た。
「キャッ」
「ウォっと」
彼女は外に出た瞬間に男とぶつかってしい、ぶつかった拍子に男の持っていた紙が宙を舞い辺りに散らばった。
「すみません、私そそっかしくて」
「いやいや此方こそ、少し考え事をしていて前が見えてなかった」
彼女は咄嗟に散らばった紙を拾おうとした手を止めた。彼女の視線は紙に書かれた文字に奪わていた。
『多摩丘陵プレハブ倉庫内殺人死体遺棄事件 調査報告書』
「これって、あの殺人事件の」
「ん、君その事件知ってるのか」
ポツリと呟いたその言葉に男が反応した。
「はいもちろん。うちの署の管轄の事件ですし、ニュースでもまだ容疑者の情報が掴めてないと…、すいません刑事さんに向かって失礼なことを」
「いや、そりゃこっちが不甲斐ない所為だ…ちょっと待てよ今俺刑事だって名乗ったか」
「いえちょっとした推理です」
「ほう、推理」
「はい。履き古した革靴は自分に合った物を愛用している証拠、オーバーサイズ気味なコートは拳銃のホルスターを隠すのに最適、そして眼元のクマとこの資料から昨晩からずっと事件を洗い直していた刑事課の人だと思いました」
「なるほど…正解だ。君名前は何て」
「私は町田警察署勤務《地域課所属》水口楓巡査と申します」
「そうか同じく町田警察署勤務《刑事課所属》岸田圭治警部だ、よろしくな水口巡査」
お互いに敬礼を交わし、彼女は目を輝かせる。
「刑事課、憧れの刑事課。《刑事課所属》なんて魅力的な響き」
「何だ君は刑事課志望か」
「はい。まだ勤続一月半の新米ですけど、いずれ刑事課に入り大事件を解決に導くのが私の目標なんです」
鼻息あらく興奮気味に語る彼女を前に男は思わず笑みをこぼす。
「ハハっ、そいつは頼もしい。君みたいな子入って来てくれたらこっちも大助かりだ」
「本当ですか」
「ああ本当だとも。どうだ朝礼までまだ時間がある、少し話さないか」
「もちろんご一緒させていただきます」
警部からの誘いに彼女は食い気味に返事をした。
* * * * * * * * * * * * * *
「単刀直入に聞く、君はあの事件をどうみる」
「あの事件とは『プレハブ内殺人事件』の事でしょうか」
2人は廊下を歩きながら事件について語らっている。
「私は刑事課ではないのでニュースの情報から推測した話にはなりますが、おそらく顔見知りの犯行、繁華街で拉致された後プレハブ倉庫に連れて行きそこで何らかのアクシデントがありやむを得ず殺害したと考えられます」
「何故そう考えたんだ。繁華街から離れたところで拉致されたかも知れないし、顔見知りによる犯行じゃないかも知れない。それに殺害直前にアクシデントがあったって何故わかる」
彼の言葉は当然の疑問である。しかし彼女は澄ました顔で疑問に答えていく。
「まず第一に9時以降に目撃情報がない事から被害者は繁華街で拉致された可能性が最も高いです。もし移動していたらその姿が監視カメラか何かに写っていないのは妙ですからね」
「第二に繁華街で拉致されたとすると、見ず知らずの人間の場合なら抵抗したり大声で叫んだりする筈です。しかしそのような証言はない、つまり犯人は被害者の顔見知りで被害者も警戒せずに近づいてしまった」
「なるほど、それじゃあ最後のアクシデントってのはどうやって考えた」
「…これは半分私の妄想なんですけど、犯人の行動が最後だけチグハグに感じたんです」
「行動が…チグハグ」
「はい。私いくつか事件に関するニュースを見たんですけど、『事件現場へ向かう不審な車両』とか『事件現場に被害者以外の足跡』とかそういった記事が一つもなかったんです。つまり犯人は極力証拠を残さず犯行を行なっていた。でも最後だけはアイスピックで刺し殺して遺体をそのまま放置するなんて、それまでの行動とあまりにも乖離しているように感じたんです」
「だから何かアクシデントが起きてその場で殺す他なかった。君はそう考えたんだね」
「はい、その通りです」
男の方をむいた目は鋭く、こちらを見透かすような不思議な力をはらんでいた。それは新人警官というよりもベテラン刑事のもの言わせぬ圧力にも似た感覚を男に感じさせた。
「なるほどなるほど、ニュースの情報だけでよくそこまで推理したもんだ」
「本当ですか、ありがとうございます」
彼女は顔をほころばせ、見えないように小さくガッツポーズをした。
ピピピッピピピッ。男の腕時計が鳴り驚いた様子で時計の針に視線を落とす。
「まずいもうこんな時間か。時間が空いたらまた推理聞かせてくれ、じゃ」
駆け足気味に去っていく男の背中を見ながら彼女は先程の言葉を反芻していた。
『よくそこまで推理したもんだ』
『また推理聞かせてくれ』
「…うふふ、えっへへ、ふふふんふふん、タララッタラー」
嬉しさのあまり声が弾み足取りも軽やかになっていく。ふわふわした気持ちに心を奪われ自分だけの世界に没入していく。頭の中もふわふわに染め上げられ、その所為だろうか彼女が朝礼の時間を忘れてしまったのは。次に目を覚ましたのは20分も後になり、急いで朝礼場所へ走っていった。
* * * * * * * * * * * * * *
「それでさっき上にきつく怒られてたってわけね」
「そうなんですよー阿部さん、だから可哀想な私を慰めてくださいよ」
「何言ってんの、そんだけ無駄口叩けるなら元気な証拠でしょ。ほら仕事しますよ」
水口巡査と駄弁っているのは阿部春夫巡査部長。ここ町田駅前交番勤務の警察官である。
福々しい体型に垂れ目はいかにも優しい町のお巡りさんを思わせる。だが彼女は知っている、彼はこの町田の繁華街エリアで随一の検挙数を誇る名警官でありことを。
「はーい」
そんな彼を横目に彼女は前日の引き継ぎ資料に目を通す。
(迷子の連絡に不審者情報と警戒マップの作成、遺失物の届け出……ん、これって)
「阿部さん、この事件ってまだ片付いてなかったんですか」
一枚の紙をひらひらさせながら体ごと向き直る。紙には『ラーメン店 連続強盗事件』の文字が書かれている。
「ああその事件ね。なんか深夜の内に忍び込んでお店の防犯システム解除してから強盗するから犯人に繋がる証拠が出てこないんだって。しかも昔ながらのラーメン屋ばっかり狙ってさ、ほら古いお店って防犯システムって言っても防犯カメラの設置ぐらいだから簡単に突破されちゃうんだよね」
「…そうですか」
(おそらく犯人は複数犯、しかもかなり強盗をやり慣れてる。きっと入念な下準備と計画性を持った犯行)
思考のスイッチが入りまた頭の中で情報と仮説が入り乱れる。
「阿部さん、私ちょっとパトロール行ってきます」
「おお、行ってらっしゃい、気をつけてね」
彼女は颯爽と白チャリにまたがりペダルを漕ぎ始めた。
自転車に乗って数分で飲食店が立ち並ぶエリアに着いたが、現在の時間は朝の9時真っ只中、夜のような喧騒はないが喫茶店のモーニングでかなりの賑わいを見せている。
(今ここで聞き込みをするのは難しいか。ここが駄目ならあっちに行ってみるか)
何を思いついたか、彼女は別の場所へと向かった。また数分ペダルを漕ぎ続け近くの商店街の入り口に着くと自転車を降り歩道の端に寄せた。
「おばちゃん、クリームたい焼きふたつ」
「はーいたい焼きふたつ入りました、って楓ちゃんじゃない、どうしたの、パトロール中」
店員のおばさんは彼女を見ると微笑みかけてくる。毎日地域パトロールをして信頼を勝ち取った成果であり、彼女の裏表ない性格が人を惹きつけるのだろうか。
「はい只今パトロール中です。あと最近の事件について聞き込みをしてます」
「何、最近の事件って」
「最近このあたりのラーメン屋を狙った連続強盗事件ですよ。まだ犯人が捕まっていないのでこうしてパトロールと並行して調査しているわけです。というわけで奥様、最近深夜に不審な人物とか見ませんでしたか」
メモ帳とペンを取り出し、ペンをマイクのように相手の口元に近づけた。
「不審者って言ってもねぇ、うちは7時ごろには店閉めちゃってるからねぇ。ああでも、変な噂なら聞いたわよ」
「その噂詳しく聞かせてくれませんか」
店員のおばさんは辺りをキョロキョロと見回しゆっくりと此方に来るように手招きをした。
「眉唾なんだけどね、最近この辺りに幽霊タクシーが出るって噂があるのよ」
「幽霊タクシーってあの都市伝説の」
「そうそう、タクシーの客がいつの間にか居なくなってるていうアレ。まあただの噂だから」
「…そうですか」
普通ならよくある噂話ときって捨てるだけだが彼女は直感的にその噂話に解決の糸口があるのではないかと感じた。
「ありがとうおばちゃん、もっと色々調べてみるね」
彼女は会計を済ませるとたい焼きを持ってまた自転車にまたがりパトロールに戻っていった。
* * * * * * * * * * * * * *
「…ふぅ、疲れた」
パトロールをしながら何件も店に聞き込みに回っていたら既に時間は昼の12時を過ぎていた。しかしこれといった成果はなく今までの証言から推理をしようとしても上手くまとまらない。
(やっぱり情報が足りないな。幽霊タクシーの正体もサッパリだし)
彼女は自転車から降り日陰で休憩がてら情報を整理しようとした。
(まず犯人は複数犯、これだけ犯行を繰り返しても捜査の網に引っかからないって事は、おそらく実行役とお金の受け取り役に分かれているはず)
(そして下調べの徹底ぶり、おそらく常連客のように何回もお店に通って監視カメラの位置や裏口からの逃走経路を確認してから犯行を行なった)
(なによりこの犯人引き際を見極めるのが抜群に上手い)
彼女は先程大判焼きを買ったあとに訪れたラーメン屋で聞いた話を思い出していた。
『ご主人のお店が先日強盗に狙われかけたと。なんでそう思ったんですか』
『先週店閉めた後に家の鍵忘れちまったこと思い出して取りに戻ったんだよ。そしたら店の前できつい香水つけた奴とすれ違ってよ。そんで裏口に回ったら鍵が開いてて中に入るとうっすら同じ香水の匂いがしたんだよ』
『つまり犯人がお店を狙って鍵を開けるまでしたにも関わらず何も盗らず去ったと』
『まあ状況的にそうだわな』
『何故犯人は何も盗らなかったんでしょうか。それよりもどうやってあなたが来るのを察知したんでしょうか』
『さあな、俺にはさっぱりわからん』
『そうですか。それじゃあ最後にひとつだけ、その強盗未遂事件以降お店に来なくなった常連客の方はいますか』
『さあな、何年も通ってくれてる常連さんならまだしも、お客さんの顔を全部覚えてる訳じゃないからな』
日陰で体を休めていても頭は少しも休まらなず、深いため息が漏れる。
(犯人はいったいどうやって人が来るのを察知したのか。唯一わかるのは犯人は相当警戒心が強いという事だけ。…今はこれ以上考えていても仕方がないか)
彼女はまたパトロールのために繁華街へと向かった。街中をグルグルと回ってみるがそう簡単に犯人も犯人に繋がる証拠も見つかるわけがなく疲労感が募っていくと同時にに空腹感も増していく。
「ヨシ、ランチタイムだ」
迷っていても仕方がないので仕事モードから休憩モードに気持ちを切り替える。
「今日は源さんの処のチャーハンにしようかな。奮発して餃子も付けちゃおうかな」
自転車に乗りながら鼻歌まじりに店に向かう。
店に近付いていくと人だかりができている。流石の人気と思いながら彼女はさらに近づいていくと
「テメェようやく捕まえたぞ強盗犯が」
凄まく剣幕な怒声が響いてきた。
「痛い痛い痛い、違いますって。俺は強盗犯なんかじゃ「言い訳するんじゃねぇ、コソコソ裏口の鍵穴弄ってたくせに」
七十を超えていそうな老人が三十代ほどの男に逆エビ固めを決めている。彼女はあまりの状況に一瞬思考がフリーズしたがまたすぐに気持ちを切り替える。
「ちょっと退いてください。一体どうしたんですか源さん」
「おお楓ちゃん、こいつはラーメン屋強盗の犯人だ。とっととしょっ引いてくれ」
「だから違いますって、痛ててててて」
「いったん源さんも落ち着いてください。私何が何だかわからないんですよ」
野次馬でごった返す店の前で男の悲痛な絶叫だけが空しく響いていた。
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