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第11章
230話
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傍観者side
長い歳月の中で、神蟲の血は少しずつ、しかし確実に人々の血へと溶け込んでいった。
その結果、数は少ないものの、神蟲の力―――すなわち、魔法を行使できる魔力保持者が、皇族以外からも生まれるようになった。
やがて、神蟲の血をより濃く受け継ぎ、ユリウスと同じ青い瞳を宿した皇族たちの力を、人々は「青の魔力」と呼ぶようになった。
一方で、神蟲の血が一切混じらぬ、神が創造した純粋な人間の血筋は、南の領地を治めるコーエン一族のみとなった。
不安の種であった、孫娘エリザベータとカミツレの息子ヨハンの関係は、ユリウスが懸念していた形にはならなかった。
気品と美貌を兼ね備え、皇女としての権威も身につけたエリザベータの好意を、ヨハンは一貫として受け取ろうとはしなかった。
「えぇい!お前は私のどこが不満なのよ!」
謁見室に、怒りと悔しさが入り混じったエリザベータの声が響き渡る。
「皇女様に不満など、一切ございません。貴女様は、非の打ち所がないほど完璧です。」
逆上するエリザベータとは対照的に、ヨハンは終始落ち着いた口調を崩さない。
「なら、なぜお前は私の寵愛を受け取らないの!」
「ただ俺が皇女様の気持ちに応えられないだけです。」
「お、おのれ……!!」
肘掛けに拳を叩きつけたエリザベータは、唇を噛み締め、怒りに震える。
その正面で、ヨハンは帝国の皇女に臆することなく、平然としていた。
そんな毎度おなじみな2人のやり取りを静かに眺めていたユリウスは、胸の内で安堵の息をつく。
ーーーカミツレの血筋に対する神蟲の執着も…時と共に薄れていくだろう。
そう、思えたのだ。
少なくとも、この光景を見る限りは。
しかし。
その淡い期待を嘲笑うかのように、悲劇は何の前触れもなく唐突に訪れる。
それは、ユリウスが想像していなかった、全く別方向からやってきた。
❖❖❖❖❖
ある日。
ユリウスのもとに、ひとつの知らせが届いた。
ーーカミツレが、亡くなった、と。
その瞬間、ユリウスの思考は完全に停止した。
頭の中が、音を立てて真っ白になる。
それは、「自然災害に起因する不幸な事故」だった。
記録的な豪雨を観測した南の領土。
増水した川。
カミツレは、川に流された子供を助けようと、迷いなく川へ飛び込んだ。
幸い、子供を抱きかかえ、岸で待機していた者へと渡すことはできた。
だが、川の勢いは、とどまることを知らず、カミツレは陸へ戻ることができないまま、そのまま流され――
発見された時には、すでに手遅れだった。
玉座に座るユリウスは、両手で顔を覆った。
なぜ。
どうして。
よりにもよって、彼女なのだ。
ユリウスは、あの日下した決断を、激しく後悔する。
南の領土など、行かせるべきではなかった。
自分から遠ざけるべきではなかった。
近くにさえいれば、いくらでも助けることができたはずだ。
いやーーー
そもそも、彼女をこの国に連れてこなければ…
初めて出会った時、彼女は対価というものに、異常なほどこだわっていた。
等価でなければ受け取らず、無償の善意を酷く嫌がっていた。
そんな彼女が「人と生きる幸せ」を知らないままであれば―――命をかけてまで人を助ける選択など、選ばなかったはずだ。
ユリウスは奥歯を強く噛み締める。
なにが、神から授かった力だ。
なにが、青の魔力だ。
この力は、いつだって肝心な時に役に立たない。
本当に救いたい者は、決して救えない。
家族の時も、そして今回も。
「僕が……悪いのか…?」
隣に自分が居なくとも、彼女が幸せなら、それで良かった。
だからこそ、神蟲の執着から彼女を守るために、彼女を遠ざけた。
たが、その結果がこれだ。
「僕が……彼女を殺したのか……?」
答えの出ない問いを、ユリウスは何度も繰り返す。
何度も。
何度も。
何度も。
人が亡くなっても、世界は何事もなかったかのように回り続ける。
日が昇り、沈み、また昇る。
玉座に座り続けるユリウスを置き去りにして、時間だけが規則正しく過ぎ去っていく。
そして、ユリウスはついに、ひとつのに答えを作り上げた。
「…………いや。違う。」
誰も居ない、闇に沈んだ玉間の間に、抑揚を失ったユリウスの声が、ぽつりと落ちる。
ユリウスは両手からゆっくりと顔を上げた。
「悪いのは、この世界だ。」
無理やり創り出した答えは、パズルのピースが嵌るように、ユリウスの中にすとんと腑に落ちた。
そして、ユリウスは更にこう思った。
カミツレは事故で死んだのではない。
彼女は、世界にーーー殺されたのだ、と。
その結論に至った瞬間、ユリウスの胸の奥に、はっきりとした感情が芽生える。
それは、悲しみでも後悔でもない。
世界そのもにに向けられた、決して揺らぐことのない、明確な殺意であった。
❖❖❖❖
皆が寝静まった深夜。
ふらふらと夢遊病者のように、皇宮から抜け出したユリウスは、鬱蒼と生い茂る深い森へと足を踏み入れた。
その瞬間、カモミールやローズマリー、ラベンダー―――数え切れぬ草花の香りが、刃のようにユリウスの鼻先を刺した。
帝国から追いやられた草花たちは、ユリウスの侵入を拒むかのように、怨嗟を込めて匂い立つ。
ユリウスは鬱陶しげに眉をひそめ、それらに青い炎を放った。
一瞬にして草花は焼き払われ、芳香は焦げ臭さへと変わる。
パチパチと音を立てて燻る残骸を踏みしめながら、ユリウスは森の奥―――世界の中心を目指して歩みを進めた。
やがて辿り着いたのは、世界の中心地―――世界の臍。
彼は片膝をつき、手を地面に押し当てる。そして、神蟲の力を一気に流し込み、世界そのものを終わらせようとした。
膨大な力に呼応して気流が上昇し、地上では竜巻が唸りを上げ、上空には稲妻を孕んだ積乱雲が発生した。
背後で耳をつんざく雷鳴が轟き、遠くの木々が狂ったように揺れた。
意思を宿したかのような稲妻が、けたたましい音とともに何度もユリウスの身へと叩き落される。
だが、神蟲の血を持つユリウスは、その程度では倒れない。
爛れた肌はその瞬間から、青い光を纏いながら治癒されていく。
焼けた大地の上でユリウスはより一層、力を注ぎ続けた。
世界は悲鳴を上げていた。
この時、世界は初めて「恐怖」という感情を知ったのだ。
その均衡が、その拮抗が、永遠に続くかのように思えた。
だが、終わりは唐突だった。
「――――うっ…?」
何処からか飛来した一本の矢が、ユリウスの心臓を貫いたのだ。
見覚えのある、手作りの矢。
口から血を吐き出しながら、ユリウスは己の胸に突き刺さったそれを見下ろす。
「………カミ………ツレ……?」
ユリウスは、その場に崩れ落ちた。
鼓動に合わせて吹き出す血が、どんどん地面に吸い込まれていく。
神蟲の血の治癒が追いつかない。
薄れていく意識の中、ユリウスは震える指先を伸ばした。
「カ……ミツ………レ……」
見間違えるはずがない。
それはカミツレの矢だった。
もしや彼女がすぐ近くに居るのではないだろうか。
その期待とともに、ユリウスは必死に視線を巡らせる。
だが、無常にもユリウスのは視界は急速に暗くなっていく。
世界の輪郭が崩れ、雷鳴も、風の唸りも、夜の闇すら遠ざかる。
まだ、ダメだ。
まだ、彼女を見つけられていない。
「カ……ミツ……」
ほとんど音の出ない声で、再び彼女を呼ぶ。
本当に、そこに居ないのか。
本当に―――君はもう、この世界に居ないのか。
「―――――――――」
その問いに、答えが返ってくることはなく、彼の世界はそこで、完全に闇に閉ざされた。
❖❖❖❖❖
「ユリウスは世界にとって、2つの罪を犯した。
ひとつ。
人類を生き延びさせてしまったこと。
ふたつ。
世界を殺めようとしたこと。
これらの罪を犯したユリウスは、世界に心臓を貫かれ、その魂に「罪人」の烙印を刻まれた。
そして、彼は世界が終わるその瞬間まで、黄泉の泉に繋がれ続けることとなったのだ。
世界が終わる瞬間―――それは、永遠と呼んでも差し支えないだろう。」
長い歳月の中で、神蟲の血は少しずつ、しかし確実に人々の血へと溶け込んでいった。
その結果、数は少ないものの、神蟲の力―――すなわち、魔法を行使できる魔力保持者が、皇族以外からも生まれるようになった。
やがて、神蟲の血をより濃く受け継ぎ、ユリウスと同じ青い瞳を宿した皇族たちの力を、人々は「青の魔力」と呼ぶようになった。
一方で、神蟲の血が一切混じらぬ、神が創造した純粋な人間の血筋は、南の領地を治めるコーエン一族のみとなった。
不安の種であった、孫娘エリザベータとカミツレの息子ヨハンの関係は、ユリウスが懸念していた形にはならなかった。
気品と美貌を兼ね備え、皇女としての権威も身につけたエリザベータの好意を、ヨハンは一貫として受け取ろうとはしなかった。
「えぇい!お前は私のどこが不満なのよ!」
謁見室に、怒りと悔しさが入り混じったエリザベータの声が響き渡る。
「皇女様に不満など、一切ございません。貴女様は、非の打ち所がないほど完璧です。」
逆上するエリザベータとは対照的に、ヨハンは終始落ち着いた口調を崩さない。
「なら、なぜお前は私の寵愛を受け取らないの!」
「ただ俺が皇女様の気持ちに応えられないだけです。」
「お、おのれ……!!」
肘掛けに拳を叩きつけたエリザベータは、唇を噛み締め、怒りに震える。
その正面で、ヨハンは帝国の皇女に臆することなく、平然としていた。
そんな毎度おなじみな2人のやり取りを静かに眺めていたユリウスは、胸の内で安堵の息をつく。
ーーーカミツレの血筋に対する神蟲の執着も…時と共に薄れていくだろう。
そう、思えたのだ。
少なくとも、この光景を見る限りは。
しかし。
その淡い期待を嘲笑うかのように、悲劇は何の前触れもなく唐突に訪れる。
それは、ユリウスが想像していなかった、全く別方向からやってきた。
❖❖❖❖❖
ある日。
ユリウスのもとに、ひとつの知らせが届いた。
ーーカミツレが、亡くなった、と。
その瞬間、ユリウスの思考は完全に停止した。
頭の中が、音を立てて真っ白になる。
それは、「自然災害に起因する不幸な事故」だった。
記録的な豪雨を観測した南の領土。
増水した川。
カミツレは、川に流された子供を助けようと、迷いなく川へ飛び込んだ。
幸い、子供を抱きかかえ、岸で待機していた者へと渡すことはできた。
だが、川の勢いは、とどまることを知らず、カミツレは陸へ戻ることができないまま、そのまま流され――
発見された時には、すでに手遅れだった。
玉座に座るユリウスは、両手で顔を覆った。
なぜ。
どうして。
よりにもよって、彼女なのだ。
ユリウスは、あの日下した決断を、激しく後悔する。
南の領土など、行かせるべきではなかった。
自分から遠ざけるべきではなかった。
近くにさえいれば、いくらでも助けることができたはずだ。
いやーーー
そもそも、彼女をこの国に連れてこなければ…
初めて出会った時、彼女は対価というものに、異常なほどこだわっていた。
等価でなければ受け取らず、無償の善意を酷く嫌がっていた。
そんな彼女が「人と生きる幸せ」を知らないままであれば―――命をかけてまで人を助ける選択など、選ばなかったはずだ。
ユリウスは奥歯を強く噛み締める。
なにが、神から授かった力だ。
なにが、青の魔力だ。
この力は、いつだって肝心な時に役に立たない。
本当に救いたい者は、決して救えない。
家族の時も、そして今回も。
「僕が……悪いのか…?」
隣に自分が居なくとも、彼女が幸せなら、それで良かった。
だからこそ、神蟲の執着から彼女を守るために、彼女を遠ざけた。
たが、その結果がこれだ。
「僕が……彼女を殺したのか……?」
答えの出ない問いを、ユリウスは何度も繰り返す。
何度も。
何度も。
何度も。
人が亡くなっても、世界は何事もなかったかのように回り続ける。
日が昇り、沈み、また昇る。
玉座に座り続けるユリウスを置き去りにして、時間だけが規則正しく過ぎ去っていく。
そして、ユリウスはついに、ひとつのに答えを作り上げた。
「…………いや。違う。」
誰も居ない、闇に沈んだ玉間の間に、抑揚を失ったユリウスの声が、ぽつりと落ちる。
ユリウスは両手からゆっくりと顔を上げた。
「悪いのは、この世界だ。」
無理やり創り出した答えは、パズルのピースが嵌るように、ユリウスの中にすとんと腑に落ちた。
そして、ユリウスは更にこう思った。
カミツレは事故で死んだのではない。
彼女は、世界にーーー殺されたのだ、と。
その結論に至った瞬間、ユリウスの胸の奥に、はっきりとした感情が芽生える。
それは、悲しみでも後悔でもない。
世界そのもにに向けられた、決して揺らぐことのない、明確な殺意であった。
❖❖❖❖
皆が寝静まった深夜。
ふらふらと夢遊病者のように、皇宮から抜け出したユリウスは、鬱蒼と生い茂る深い森へと足を踏み入れた。
その瞬間、カモミールやローズマリー、ラベンダー―――数え切れぬ草花の香りが、刃のようにユリウスの鼻先を刺した。
帝国から追いやられた草花たちは、ユリウスの侵入を拒むかのように、怨嗟を込めて匂い立つ。
ユリウスは鬱陶しげに眉をひそめ、それらに青い炎を放った。
一瞬にして草花は焼き払われ、芳香は焦げ臭さへと変わる。
パチパチと音を立てて燻る残骸を踏みしめながら、ユリウスは森の奥―――世界の中心を目指して歩みを進めた。
やがて辿り着いたのは、世界の中心地―――世界の臍。
彼は片膝をつき、手を地面に押し当てる。そして、神蟲の力を一気に流し込み、世界そのものを終わらせようとした。
膨大な力に呼応して気流が上昇し、地上では竜巻が唸りを上げ、上空には稲妻を孕んだ積乱雲が発生した。
背後で耳をつんざく雷鳴が轟き、遠くの木々が狂ったように揺れた。
意思を宿したかのような稲妻が、けたたましい音とともに何度もユリウスの身へと叩き落される。
だが、神蟲の血を持つユリウスは、その程度では倒れない。
爛れた肌はその瞬間から、青い光を纏いながら治癒されていく。
焼けた大地の上でユリウスはより一層、力を注ぎ続けた。
世界は悲鳴を上げていた。
この時、世界は初めて「恐怖」という感情を知ったのだ。
その均衡が、その拮抗が、永遠に続くかのように思えた。
だが、終わりは唐突だった。
「――――うっ…?」
何処からか飛来した一本の矢が、ユリウスの心臓を貫いたのだ。
見覚えのある、手作りの矢。
口から血を吐き出しながら、ユリウスは己の胸に突き刺さったそれを見下ろす。
「………カミ………ツレ……?」
ユリウスは、その場に崩れ落ちた。
鼓動に合わせて吹き出す血が、どんどん地面に吸い込まれていく。
神蟲の血の治癒が追いつかない。
薄れていく意識の中、ユリウスは震える指先を伸ばした。
「カ……ミツ………レ……」
見間違えるはずがない。
それはカミツレの矢だった。
もしや彼女がすぐ近くに居るのではないだろうか。
その期待とともに、ユリウスは必死に視線を巡らせる。
だが、無常にもユリウスのは視界は急速に暗くなっていく。
世界の輪郭が崩れ、雷鳴も、風の唸りも、夜の闇すら遠ざかる。
まだ、ダメだ。
まだ、彼女を見つけられていない。
「カ……ミツ……」
ほとんど音の出ない声で、再び彼女を呼ぶ。
本当に、そこに居ないのか。
本当に―――君はもう、この世界に居ないのか。
「―――――――――」
その問いに、答えが返ってくることはなく、彼の世界はそこで、完全に闇に閉ざされた。
❖❖❖❖❖
「ユリウスは世界にとって、2つの罪を犯した。
ひとつ。
人類を生き延びさせてしまったこと。
ふたつ。
世界を殺めようとしたこと。
これらの罪を犯したユリウスは、世界に心臓を貫かれ、その魂に「罪人」の烙印を刻まれた。
そして、彼は世界が終わるその瞬間まで、黄泉の泉に繋がれ続けることとなったのだ。
世界が終わる瞬間―――それは、永遠と呼んでも差し支えないだろう。」
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いつも感想ありがとうございます!
世界は多分「やばい!壊される!!」と思って咄嗟の行動だったのかもしれません…😅
あえてカミツレさんの矢を使ったのは、世界の性格の悪さが出てますね…😇
女帝エリザベータさんは本命に振られ続けた鬱憤を晴らすように、後に領土を拡大しまくったり愛人を増産したりとしております😅
世界の中心地はアルベルトくんの時と同じ場所でございます!
栄養過多…笑
地質調査したら、エグい数値を叩き出しそうですね😱
お気遣い頂きありがとうございます…!
急激に寒くなって体が追いついていない状態ですが、お互い乗り切りましょう…!
なんと…!
立て続けに不運が…!
インフルも変異株が出てきて手強くなってますよね…😱
お大事になさってください…😭😭!
今年も亀更新すぎるのにも関わらず、読んでくださってありがとうございました!
本当に感謝です!
年末ご多忙だとは思いますが、お身体にお気をつけてお過ごしください!
良いお年を〜!🏇💨
お久しぶりです!
感想ありがとうございます😭
おっしゃる通りカミツレさんはエリザさんのご先祖さまです😊
もう少し気持ちに早く気付いて距離をとらなければ、違う結末があったかもしれませんね😭
ユリウス青年は皇帝としての自覚は凄く薄いです。できることなら皇帝をやめてリンゴ農家に戻りたいと思っていますが、その気持ちも薄れています……
皇族とコーエン家
長々と続いている因縁を、エリザさんの代で断ち切りたいものですね…😢
おそらくあと1~2話でユリウス皇帝篇が終わる予定ですので、頑張って更新していきたいと思います!
お気遣いありがとうございます😭
Kimy様もどうかお体にお気を付けて下さい!
お互い無事にこの年を乗り越えましょう!
感想ありがとうございます!
この物語の主要人物はなかなか恋が実りませんね…😭
ちなみに皇女エリザベータさんは、この後カミツレさんの息子に何度も猛アタックしますが、振られ続けます……😢
唯一実ったのは、カールパパだけかもしれませんね……
ユリウス皇帝が人間なのか神蟲なのか……曖昧になってきましたね🌀🌀
コーエン家を滅ぼしたアルベルトくん……罪深い……😭
おっしゃる通りコーエン家の領土は今はカールパパが治めております!
なのでカミツレさんの血筋が密かに続いていた可能性は大ですね!
確かにユリウス皇帝がヤンデレを発症させてカミツレさんに酷いことしなくて良かったです😢
そのままカミツレさんには幸せになって欲しいですが、果たして……
お気遣いありがとうございます😭
インフルが流行りまくっておりますが、お互い元気に今年を乗り越えましょう!