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16.ユリアスから見たロージー
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最初にロージーに気が付いたとき、天使が遊んでいるのかと思った。
誰もいない演習場で、光と遊んでいるかのように見えた。後から考えたら、あれは魔術の練習を終えて、汚れた制服に浄化魔術をかけていたんだとわかる。だけど、光属性と水属性のロージーが使う浄化魔術は、細かな粒になった水に、光が反射するように輝き、ロージー自身が光っているように見える。
その時には顔は見えなくて後ろ姿だけだったけど、歩くその所作を見て高位貴族だと思い込んでしまっていた。
同じ学年の高位貴族は全員知っているが、光属性の者はいない。だから、後輩なんだとばかり思っていた。
それから何度か見かけ、ようやく顔を見れた時に、同学年の子爵令嬢だと気が付いて、めずらしく動揺した。
高位貴族の令嬢じゃないなら、俺でも結婚を申し込めるかもしれない。
子爵家の長女であるロージー嬢には婚約者はいなかったはずだ。
喜んだのは一瞬だけで、そういえば俺には婚約者がいたことを思い出した。
まったくと言っていいほど交流していないが侯爵家のキャロルと婚約させられていた。
フレッド様の側近というか、護衛騎士としてそばにいるためだけに、王家から命じられた婚約だった。
キャロルも俺もお互いに興味が無いのはわかり切っていた。
それに、この頃にはもう、キャロルがフレッド様と付き合っているのはわかっていた。
二人とも隠す気が無いのか、俺が護衛しているにも関わらずいちゃついている。
せめて隠れてやってくれないと、報告しなきゃいけない俺の身にもなってほしい。
王家に報告した結果、学園を卒業後に話し合いをすることになった。
キャロルと結婚しなくても、護衛騎士としてつかせてもいいんじゃないかと、王弟殿下がそう言ってくださったからだった。
騎士団の訓練で遠征に行った際に、魔術師として参加していた王弟殿下を助けたことがあった。魔力切れを起こしていたのを見つけ、同じ属性の俺の魔力を渡したことで、その後も良くしてくださっていた。
こんな綺麗な光属性もったいないね、と。もし魔術師になりたくなったら俺のところに来なさいとも。
あの卒業を祝うパーティ。
こんな場所でやってくれたなという怒りもあったが、これでフレッド様からもキャロルからも逃げ出せる。
そう思ったら笑わないようにするのに必死だった。
魔術師学校に入って、落ち着いたら、ロージーに婚約を申し込み行こう。
そう思ってたのに、魔術学校について1時間もしないうちに、ロージーの研究室付きに雇われ一緒に住むことになっていた。
ロージーは、思った以上に綺麗で、でも、とても臆病で。
前世持ちだと聞いて納得した。だから、光属性なのに、こんなに闇を抱えた目をしている。
光り輝くような金の髪に、聖水を思わせるような青の瞳。
なのに絶望を知っているような、そんな雰囲気がよりロージーの綺麗さを際立たせていた。
この綺麗さは隠しておいた方が良い。
ロージーが王族との結婚を望まないのならばなおさらだ。
幸い、フレッド様はロージーに会っても全く気が付かなかった。
ほっとしていたら、俺はロージーのためにもう一度騎士になることになっていた。
あれほど嫌いだった騎士だが、ロージーを守るための騎士なら悪くない。
どんな貴族、どんな男からでも、俺が守る理由がもらえたからだ。
なのに、ロージーは眼鏡を外した顔を生徒に見せてしまった。
俺だけが知っているロージーの素顔だったのに。
噂が広がるのはあっという間だった。
「聖女と騎士」
そう呼ばれているのに気が付いた時には遅く、ロージーは聖女ではないかという噂がどこまでも広まっていた。
誰もいない演習場で、光と遊んでいるかのように見えた。後から考えたら、あれは魔術の練習を終えて、汚れた制服に浄化魔術をかけていたんだとわかる。だけど、光属性と水属性のロージーが使う浄化魔術は、細かな粒になった水に、光が反射するように輝き、ロージー自身が光っているように見える。
その時には顔は見えなくて後ろ姿だけだったけど、歩くその所作を見て高位貴族だと思い込んでしまっていた。
同じ学年の高位貴族は全員知っているが、光属性の者はいない。だから、後輩なんだとばかり思っていた。
それから何度か見かけ、ようやく顔を見れた時に、同学年の子爵令嬢だと気が付いて、めずらしく動揺した。
高位貴族の令嬢じゃないなら、俺でも結婚を申し込めるかもしれない。
子爵家の長女であるロージー嬢には婚約者はいなかったはずだ。
喜んだのは一瞬だけで、そういえば俺には婚約者がいたことを思い出した。
まったくと言っていいほど交流していないが侯爵家のキャロルと婚約させられていた。
フレッド様の側近というか、護衛騎士としてそばにいるためだけに、王家から命じられた婚約だった。
キャロルも俺もお互いに興味が無いのはわかり切っていた。
それに、この頃にはもう、キャロルがフレッド様と付き合っているのはわかっていた。
二人とも隠す気が無いのか、俺が護衛しているにも関わらずいちゃついている。
せめて隠れてやってくれないと、報告しなきゃいけない俺の身にもなってほしい。
王家に報告した結果、学園を卒業後に話し合いをすることになった。
キャロルと結婚しなくても、護衛騎士としてつかせてもいいんじゃないかと、王弟殿下がそう言ってくださったからだった。
騎士団の訓練で遠征に行った際に、魔術師として参加していた王弟殿下を助けたことがあった。魔力切れを起こしていたのを見つけ、同じ属性の俺の魔力を渡したことで、その後も良くしてくださっていた。
こんな綺麗な光属性もったいないね、と。もし魔術師になりたくなったら俺のところに来なさいとも。
あの卒業を祝うパーティ。
こんな場所でやってくれたなという怒りもあったが、これでフレッド様からもキャロルからも逃げ出せる。
そう思ったら笑わないようにするのに必死だった。
魔術師学校に入って、落ち着いたら、ロージーに婚約を申し込み行こう。
そう思ってたのに、魔術学校について1時間もしないうちに、ロージーの研究室付きに雇われ一緒に住むことになっていた。
ロージーは、思った以上に綺麗で、でも、とても臆病で。
前世持ちだと聞いて納得した。だから、光属性なのに、こんなに闇を抱えた目をしている。
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なのに絶望を知っているような、そんな雰囲気がよりロージーの綺麗さを際立たせていた。
この綺麗さは隠しておいた方が良い。
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幸い、フレッド様はロージーに会っても全く気が付かなかった。
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なのに、ロージーは眼鏡を外した顔を生徒に見せてしまった。
俺だけが知っているロージーの素顔だったのに。
噂が広がるのはあっという間だった。
「聖女と騎士」
そう呼ばれているのに気が付いた時には遅く、ロージーは聖女ではないかという噂がどこまでも広まっていた。
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