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27.女王様?
しおりを挟む「…マリージュ様。」
部屋に入ってきた令嬢はマリージュ・ケンバウム様だった。
フレッド様と婚約解消された後のことは聞いていなかったが、隣国に来ているとは知らなかった。
ユリアスも驚いているが、姿勢を直し礼をした。
「マリージュ様、お久しぶりです。」
「ええ、ユリアスも元気そうで良かったわ。
ジョセフ叔父様からの手紙を届けに来てくれたのでしょう?」
「叔父様?」
「あぁ、もう叔父様って呼んじゃダメね。
王弟殿下からの手紙を届けてくれたのでしょう?」
手紙…隣国の王宮への手紙ってマリージュ様への手紙だったの?
あれ?でもおかしい…隣国の王族への手紙って聞いていたのに。
「マリージュ様はルーニア国の王族になったのですか?」
ユリアスも同じことを思っていたらしい。
どうしてマリージュ様がルーニア国の王族に?
「ええ。実際にはまだ婚約者ね。もうすぐ結婚するけど。
この王子の父親とね。」
「「は?」」
見ると先ほどの男性がとても嫌そうな顔をしている。
年齢は私たちよりも少し上くらいだろうか?
おそらくマリージュ様のほうが年下だろう…。
「ルーニア国の陛下に求婚されたの。
王妃が亡くなってから誰も娶らずにいたそうなのだけど、
私があんな状態で婚約破棄されたでしょう?
あまりにも哀れだって。
その王妃教育を無駄にしないためにもこの国の王妃になってくれないかって。
こんな大きな王子がいるから子が産まれなくても気にしなくてもいいって。」
「…マリージュ様、いろいろと聞きたいことはありますが、
その前にこの男は王子ですか?」
「あぁ、そうね。紹介するわ。
義息子になるベージェ王子よ。この王子の下に15歳の王女も一人いるわ。
…そちらにいるのはベルファイン子爵令嬢ね?」
急に名を呼ばれて驚いたが、王妃教育を受けていた才女だ。
同級生だった者の名前くらいは憶えているだろう。
あれ?でも、今の私は外見が大きく違うはずなのに。
「ロージー・ベルファインです。
あぁ、でも今はロージー・エバーリングとしてこちらに来ております。
王弟殿下の養女になりましたので…。」
「あぁ、そうなのね。」
「あの…どうして私だとわかったのでしょうか?
一度も話したことは無かったと記憶しているのですが…。」
「だって、あなた光属性じゃない。
将来側妃としてつきあうことになるかもしれないと思って、
学園時代から知っていたわよ?」
「…学園時代からですか。」
「ええ。なんだかよくわからないけど地味を装ってたから、
フレッドに目を付けられたくないのだと思って、私も近づかなかったのよ。
目立ちたくなかったのでしょう?」
「…はい。」
「でも、叔父様の養女になったってことは保護されたってことよね?
あの馬鹿に追いかけられることもなくなるんじゃない?」
「あの馬鹿…。」
あの馬鹿って、フレッド様のことよね。うん、馬鹿だもの、言いたくなるよね。
婚約破棄された場所が場所だけに。マリージュ様は一生恨んでもいいと思う。
「マリージュ様、あの馬鹿王子のことは一旦置いておいて、
この国にも馬鹿王子がいるようですが…。」
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