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36.力の限り
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「命の危険がある重傷者はロージーにまかせて。
動ける者は、治癒が終わった者を別の部屋に運んで寝かせておくように。
治癒が終わってもしばらくは動けないし目も覚まさないはずだから。
…王女は、治癒が使えるようになったら、外にいる重傷者の治癒にあたりなさい。
薬で治せるものは王宮の治療室の方に行くように言いなさい。
聞こえたわね?」
「「「はい!」」」
現状を見て、問題点に気が付いたマリージュ様が騎士たちに指示を出してくれる。
次々と運びこまれる重傷者で部屋はあふれ、
これ以上運び込まれても寝かせる場所がなかった。
治癒を終えた者を他の部屋へと移動させてくれたおかげで、
残りの者へ治癒をかけやすくなった。
さすがマリージュ様。そう思いながら次の重傷者へとうつる。
マリージュ様も無属性だから治癒しようと思えばできるのだろう。
だけど、光属性や水属性と違って効率が悪い。
それよりも上に立って指示してくれた方が助かる。
マリージュ様自身もそう判断したのだと思う。
気が付くと王女は部屋からいなくなっていた。
外で治癒してくれているのならいいのだけど…
少しだけ心配になったが、あの様子なら大丈夫かもしれない。
新しい重傷者が運び込まれなくなって少しして、ユリアスが部屋に入ってきた。
「ロージー、外の重傷者はほとんど治癒した。
後は王女だけで大丈夫だと思ってこっちに来た。手伝うよ。」
「ええ、ありがとう。」
ちゃんと王女は外で治癒していると知って、少しだけ笑ってしまった。
あれだけ言われたら怒って帰ってもおかしくないのに、
意外と素直でいい子なのかもしれない。
ユリアスと協力して残りの重傷者に治癒をかけると、もう夜遅くになっていた。
くたくたで、身体に力が入らない…。さすがに限界だった。
その場に座り込むと、近くにいた騎士に声をかけられた。
「ロージー様、ありがとうございました。
もう後は騎士たちでなんとかできます。
本当に助かりました…もう部屋へとお戻りになって休んでください。」
「わかりました。後はお願いします。
では、王宮へ帰りますね。」
そう言って立ち上がろうとしたら、ユリアスに抱き上げられた。
「え?」
「もう魔力切れ起こしかけてるだろう。
いいから、黙って運ばれていろ。」
「…うん。ありがとう。」
また縦抱きで抱きかかえられ、ユリアスの肩に頬をあてる。
ユリアスの横顔を見ながら、くたっとして運ばれて行く。
「頑張りすぎだ…でも、すごいな。
誰も死ななかったのはロージーのおかげだ。」
「…うん。自分でも頑張ったと思う。
こんなに力を押さえずに使ったのは初めてかもしれない。」
「そうだろうな。お疲れさん。」
「…うん。」
「寝てもいいぞ。ちゃんと部屋まで連れて行くから。」
「…ん。」
覚えているのはそこまでだった。
ストンと意識が落ちるように眠ってしまい、起きたのは次の日の昼だった。
動ける者は、治癒が終わった者を別の部屋に運んで寝かせておくように。
治癒が終わってもしばらくは動けないし目も覚まさないはずだから。
…王女は、治癒が使えるようになったら、外にいる重傷者の治癒にあたりなさい。
薬で治せるものは王宮の治療室の方に行くように言いなさい。
聞こえたわね?」
「「「はい!」」」
現状を見て、問題点に気が付いたマリージュ様が騎士たちに指示を出してくれる。
次々と運びこまれる重傷者で部屋はあふれ、
これ以上運び込まれても寝かせる場所がなかった。
治癒を終えた者を他の部屋へと移動させてくれたおかげで、
残りの者へ治癒をかけやすくなった。
さすがマリージュ様。そう思いながら次の重傷者へとうつる。
マリージュ様も無属性だから治癒しようと思えばできるのだろう。
だけど、光属性や水属性と違って効率が悪い。
それよりも上に立って指示してくれた方が助かる。
マリージュ様自身もそう判断したのだと思う。
気が付くと王女は部屋からいなくなっていた。
外で治癒してくれているのならいいのだけど…
少しだけ心配になったが、あの様子なら大丈夫かもしれない。
新しい重傷者が運び込まれなくなって少しして、ユリアスが部屋に入ってきた。
「ロージー、外の重傷者はほとんど治癒した。
後は王女だけで大丈夫だと思ってこっちに来た。手伝うよ。」
「ええ、ありがとう。」
ちゃんと王女は外で治癒していると知って、少しだけ笑ってしまった。
あれだけ言われたら怒って帰ってもおかしくないのに、
意外と素直でいい子なのかもしれない。
ユリアスと協力して残りの重傷者に治癒をかけると、もう夜遅くになっていた。
くたくたで、身体に力が入らない…。さすがに限界だった。
その場に座り込むと、近くにいた騎士に声をかけられた。
「ロージー様、ありがとうございました。
もう後は騎士たちでなんとかできます。
本当に助かりました…もう部屋へとお戻りになって休んでください。」
「わかりました。後はお願いします。
では、王宮へ帰りますね。」
そう言って立ち上がろうとしたら、ユリアスに抱き上げられた。
「え?」
「もう魔力切れ起こしかけてるだろう。
いいから、黙って運ばれていろ。」
「…うん。ありがとう。」
また縦抱きで抱きかかえられ、ユリアスの肩に頬をあてる。
ユリアスの横顔を見ながら、くたっとして運ばれて行く。
「頑張りすぎだ…でも、すごいな。
誰も死ななかったのはロージーのおかげだ。」
「…うん。自分でも頑張ったと思う。
こんなに力を押さえずに使ったのは初めてかもしれない。」
「そうだろうな。お疲れさん。」
「…うん。」
「寝てもいいぞ。ちゃんと部屋まで連れて行くから。」
「…ん。」
覚えているのはそこまでだった。
ストンと意識が落ちるように眠ってしまい、起きたのは次の日の昼だった。
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