あぁ、もう!婚約破棄された騎士がそばにいるからって、聖女にしないでください!

gacchi(がっち)

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41.ミルフェ王女(1)

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「姫様の髪の色は聖女様のようですね。
 亡くなった王妃様も、ミルフェ様の髪や目の色を見て、
 聖女様みたいだわって喜んでいらしたのですよ。」

「聖女?」

「ええ。金の色の髪と水を思わせる瞳、お隣の国の初代王妃となられた聖女様です。
 とてもお綺麗な方だったそうですが、それだけではなく、
 民のために魔獣との戦いに参加した勇敢な方だったそうです。」

「聖女は騎士なの?」

「いいえ。傷ついた騎士や民を癒すために、戦いの場まで赴いていたそうです。
 聖女様自身が戦うことはなかったでしょう。
 今でも民衆たちは聖女様を崇め、光属性のかたを大事にしているそうですよ。
 この国ではめったに見られないですけどね~。」

そうなんだ…聖女様みたいだとお母様は喜ぶんだ。
自分の髪を手に取ると、薄い土色をしている。
鏡を見ると、目は水色だった。
どちらも薄くてぼんやりした色。
魔力が強くないから、色もはっきりしていない。
王族なのにあまり役に立たないって思ってたけど、聖女様だったら民も喜ぶ?

「じゃあ、私は聖女になればいいんだわ。」





聖女じゃないなんて、最初から知ってた。
でも、魔力の少ない土属性と水属性なんて、何の役にも立たない。
嘘でも聖女が王族にいると思ったら、民はそれで満足するんじゃないだろうか。

自分が聖女だと言い始めてから数年。
新しく入った侍女が「聖女と騎士」という本を持ってきた。
流行っているんだと聞いて、そんなに興味は無かったけど読んでみた。
やっぱり私は聖女じゃないな、なんて思ったけど、騎士にはあこがれた。
本当の聖女になろうとしたら、騎士は必要になるんだろうか。
私のそばには護衛騎士はたくさんいるけど、彼らはお父様に仕えているだけ。
私だけの騎士がいたら、どれほど心強いだろうか。


ユリアスがあらわれた時、本当に騎士が来てくれたんだと思った。
聖女だと言い張るのにも疲れて来ていたけど、彼がそばにいてくれたら。
もしかしたらお父様も私が聖女だって思ってくれるかもしれない。
そう思って、私のものになってほしいって伝えた。

結果として、私は聖女じゃないし、ユリアスは私の騎士になってくれない。
わかっていたことだけど、認めるのは嫌だった。
だって、ロージー様を聖女だって認めてしまったら、
私は聖女だって、今まで言い張ってきたことがなかったことになってしまう。


「いいからやりなさい!治癒なんて、光属性じゃなくても使えるのよ!
 水属性持ってるのでしょう?
 あなたの国の民を守るために負傷した騎士を助けることもしないで、
 聖女だなんて言ってるんじゃない!
 やったことないなら、こっちにきて見て覚えればいいでしょう!
 あなたは聖女である前に王女なのよ!」
 
そう怒鳴られて、目が覚める思いだった。
聖女である前に王女。間違いなくそうだったのに。
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