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40.37のロージー側
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おそらく自分の魔力のほとんどを使い切ってしまったのだろう。
今まで、それほどまで力を使ったことは無かった。
目立つことを避けていたせいもあるけど、必要とされることも無かったから。
他国に来て、これほどまで頼りにされることがあるとは思っていなかった。
あくまで魔術学校の研修としてきているだけだから、出しゃばるのもどうかと思う。
それでも目の前で血まみれになって苦しんでいる騎士たちを、
助けもせずに見捨てることはできなかった。
出来る限りのことをしよう。
そう思ったら、あとは全力で治癒し続けるだけだった。
ユリアスに抱えられ、意識が無くなった時、どこまでも落ちていく感じがした。
暗い寒い、湖の底のような場所に、ただ一人でいる気がしていた。
気が付いたら、あの場所だった。
王宮の冷たい石でできた床に倒れていた。
肌にはりつくようにまとわりついた服はぐっしょりと濡れていて、
身体から熱をどんどん奪っていく。
周りを囲んでいる令息たちが口々に罵倒してくる。
幼馴染だったはずの王太子の側近たち
…少なくとも嫌われてはいないと思っていたのに。
冷たい目で見下ろしている王太子。
小さいころから隣にいて、微笑み合っていたはずなのに。
花束を受け取って婚約した時の笑顔はどこに行ってしまったんだろう。
王太子の隣にいる令嬢が、王太子と目を合わせてうれしそうに笑う。
そのまま、私のことを見ることも無く去って行ってしまった。
あぁ、そうなんだ。私は恋敵にすらなれなかったのね。
気にする必要もないくらい、王太子はあなたのものになってしまったんだ。
これがただの政略結婚の相手だと思っていたなら、こんなにつらくなかったのに。
いろんな思い出が、楽しかった記憶が、今は私を傷つけていく。
どうして…どうして私を愛してくれなかったの?
一緒にこの国を守って行こうって約束はどこに行ってしまったの?
寒い…体中が痛くてたまらない。
このままずっと一人でここにいるのだろうか。
ふわっと身体の周りが暖かくなって、何かが私を優しく包んでくれる。
これは…魔力?
…知ってる。これが誰か、私は知ってる。
ユリアス…こんな時でも私を守ってくれるなんて。
暗い底からゆっくりと引き上げられるのと同時に、身体に熱が戻ってくる。
あぁ、戻ってこれた。
そう思った時に、私の額にユリアスのくちびるがふれた気がした。
「おやすみ」
そう聞こえたけど、返事をすることも無く、
今度は幸せな夢へと導かれるように眠った。
今まで、それほどまで力を使ったことは無かった。
目立つことを避けていたせいもあるけど、必要とされることも無かったから。
他国に来て、これほどまで頼りにされることがあるとは思っていなかった。
あくまで魔術学校の研修としてきているだけだから、出しゃばるのもどうかと思う。
それでも目の前で血まみれになって苦しんでいる騎士たちを、
助けもせずに見捨てることはできなかった。
出来る限りのことをしよう。
そう思ったら、あとは全力で治癒し続けるだけだった。
ユリアスに抱えられ、意識が無くなった時、どこまでも落ちていく感じがした。
暗い寒い、湖の底のような場所に、ただ一人でいる気がしていた。
気が付いたら、あの場所だった。
王宮の冷たい石でできた床に倒れていた。
肌にはりつくようにまとわりついた服はぐっしょりと濡れていて、
身体から熱をどんどん奪っていく。
周りを囲んでいる令息たちが口々に罵倒してくる。
幼馴染だったはずの王太子の側近たち
…少なくとも嫌われてはいないと思っていたのに。
冷たい目で見下ろしている王太子。
小さいころから隣にいて、微笑み合っていたはずなのに。
花束を受け取って婚約した時の笑顔はどこに行ってしまったんだろう。
王太子の隣にいる令嬢が、王太子と目を合わせてうれしそうに笑う。
そのまま、私のことを見ることも無く去って行ってしまった。
あぁ、そうなんだ。私は恋敵にすらなれなかったのね。
気にする必要もないくらい、王太子はあなたのものになってしまったんだ。
これがただの政略結婚の相手だと思っていたなら、こんなにつらくなかったのに。
いろんな思い出が、楽しかった記憶が、今は私を傷つけていく。
どうして…どうして私を愛してくれなかったの?
一緒にこの国を守って行こうって約束はどこに行ってしまったの?
寒い…体中が痛くてたまらない。
このままずっと一人でここにいるのだろうか。
ふわっと身体の周りが暖かくなって、何かが私を優しく包んでくれる。
これは…魔力?
…知ってる。これが誰か、私は知ってる。
ユリアス…こんな時でも私を守ってくれるなんて。
暗い底からゆっくりと引き上げられるのと同時に、身体に熱が戻ってくる。
あぁ、戻ってこれた。
そう思った時に、私の額にユリアスのくちびるがふれた気がした。
「おやすみ」
そう聞こえたけど、返事をすることも無く、
今度は幸せな夢へと導かれるように眠った。
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