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50.帰国の途
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「それじゃあね。気を付けるのよ?」
「はい。マリージュ様もお元気で。」
「マリージュ様、お手紙書きますね。
マリージュ様からのお手紙も楽しみにしてますからね!」
「うう…ロージーぃ。」
思ったより普通に挨拶してるなと思ってたら、それが限界だったのか、
泣きついてくるマリージュ様をロージーが優しく抱きしめている。
一月とは言え、毎日のようにお茶していたのだから、離れるのが寂しいのだろう。
少し出発が遅れてもいいだろうと思って待っていると、
泣き止んだらしくマリージュ様がロージーから離れた。
涙をハンカチで拭いながら、俺に手紙を二通渡してくる。二通?
「これ、一通は叔父様に渡して?
もう一通はユリアスにプレゼント。
あとでこっそり見てくれればわかると思うわ。
大事に使ってね?」
「…?わかりました。」
大事に使ってってなんだろうと思いながら受け取り、荷物にしまい込む。
ロージーに渡していないってことを考えると、俺一人の時に見てってことかな。
荷物を馬の尻に括り付けて、先にロージーを抱えて馬に乗せる。
何度か乗って少しは乗り慣れただろうけど、
小柄なロージーが馬に乗ると頼りなく見える。
その後ろから支えるように馬にまたがると、出発させる。
ロージーが俺の腕越しに後ろを見て、マリージュ様に何度も手を振っていた。
見えなくなるまで何度も。
ようやく手を振らなくなったら、うつむいてしまったのを見て、そっと抱きしめる。
きっと泣いてるんだろうと思って、片手で抱き寄せて、ロージーの顔を胸に抱いた。
俺の服にしがみついているのは、それだけ寂しいからだろう。
「しばらくは人もいないと思うし、そのままでいいよ。」
「…ん。ありがとう。」
グスグスしてるロージーが泣き止んだのは、
静かな森の中に入り、しばらくしてからだった。
何度か休憩をはさんで、夕方になる前に野営の場所を決める。
簡易の寝床を作って焚火の準備をしていると、
その間にロージーが枯れ枝を拾ってきてくれた。
来るときも野宿したせいか、
何も言わなくてもお互い何をすればいいのかわかってる。
それが心地よくて、何も会話せずに準備は終わった。
「今日は少しまともなスープです。」
「まとも?」
「うん。野営するのがわかってたから、
干し肉の他に入れるキノコを用意してもらったの。
だから、前回の時よりも美味しいはず!」
「前回のスープも美味しかったよ?」
「うん。あんな簡単なスープだったけど、ユリアスと食べたら美味しかった。
だけど、もう少し手料理っぽいものを出したくて。」
「ロージー、料理できないって言ってたよね。」
「…うう。」
「帰ったら、たまには俺が作ろうか?」
「え!ユリアス、料理できるの!?」
「騎士団に入ると、最初の頃は下っ端だから、
みんなの分の食事を作る仕事があるんだよ。
騎士団の中に女性はいないからね。全部自分たちで用意するんだ。
得意なわけじゃないけど、ある程度はできるから。
スープのお礼に俺の料理を食べさせてみたい。」
「そうなんだ~。ユリアスは何でもできるんだね。
…いいなぁ。」
「ははっ。料理を覚えたいなら一緒に作ればいいだろう?
ロージーもすぐにできるようになるよ。
今まで令嬢として生活してたから料理する機会がなかっただけだろうし。」
「そうかな。一緒に作って教えてくれる?」
「ああ。」
「はい。マリージュ様もお元気で。」
「マリージュ様、お手紙書きますね。
マリージュ様からのお手紙も楽しみにしてますからね!」
「うう…ロージーぃ。」
思ったより普通に挨拶してるなと思ってたら、それが限界だったのか、
泣きついてくるマリージュ様をロージーが優しく抱きしめている。
一月とは言え、毎日のようにお茶していたのだから、離れるのが寂しいのだろう。
少し出発が遅れてもいいだろうと思って待っていると、
泣き止んだらしくマリージュ様がロージーから離れた。
涙をハンカチで拭いながら、俺に手紙を二通渡してくる。二通?
「これ、一通は叔父様に渡して?
もう一通はユリアスにプレゼント。
あとでこっそり見てくれればわかると思うわ。
大事に使ってね?」
「…?わかりました。」
大事に使ってってなんだろうと思いながら受け取り、荷物にしまい込む。
ロージーに渡していないってことを考えると、俺一人の時に見てってことかな。
荷物を馬の尻に括り付けて、先にロージーを抱えて馬に乗せる。
何度か乗って少しは乗り慣れただろうけど、
小柄なロージーが馬に乗ると頼りなく見える。
その後ろから支えるように馬にまたがると、出発させる。
ロージーが俺の腕越しに後ろを見て、マリージュ様に何度も手を振っていた。
見えなくなるまで何度も。
ようやく手を振らなくなったら、うつむいてしまったのを見て、そっと抱きしめる。
きっと泣いてるんだろうと思って、片手で抱き寄せて、ロージーの顔を胸に抱いた。
俺の服にしがみついているのは、それだけ寂しいからだろう。
「しばらくは人もいないと思うし、そのままでいいよ。」
「…ん。ありがとう。」
グスグスしてるロージーが泣き止んだのは、
静かな森の中に入り、しばらくしてからだった。
何度か休憩をはさんで、夕方になる前に野営の場所を決める。
簡易の寝床を作って焚火の準備をしていると、
その間にロージーが枯れ枝を拾ってきてくれた。
来るときも野宿したせいか、
何も言わなくてもお互い何をすればいいのかわかってる。
それが心地よくて、何も会話せずに準備は終わった。
「今日は少しまともなスープです。」
「まとも?」
「うん。野営するのがわかってたから、
干し肉の他に入れるキノコを用意してもらったの。
だから、前回の時よりも美味しいはず!」
「前回のスープも美味しかったよ?」
「うん。あんな簡単なスープだったけど、ユリアスと食べたら美味しかった。
だけど、もう少し手料理っぽいものを出したくて。」
「ロージー、料理できないって言ってたよね。」
「…うう。」
「帰ったら、たまには俺が作ろうか?」
「え!ユリアス、料理できるの!?」
「騎士団に入ると、最初の頃は下っ端だから、
みんなの分の食事を作る仕事があるんだよ。
騎士団の中に女性はいないからね。全部自分たちで用意するんだ。
得意なわけじゃないけど、ある程度はできるから。
スープのお礼に俺の料理を食べさせてみたい。」
「そうなんだ~。ユリアスは何でもできるんだね。
…いいなぁ。」
「ははっ。料理を覚えたいなら一緒に作ればいいだろう?
ロージーもすぐにできるようになるよ。
今まで令嬢として生活してたから料理する機会がなかっただけだろうし。」
「そうかな。一緒に作って教えてくれる?」
「ああ。」
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