62 / 62
62.それから
しおりを挟む
「またずいぶんと長い手紙だな。マリージュ様からだろう?」
「うん、そう。ジュリアン様のことで相談がしたいって。」
3年前に王妃となったマリージュ様は、
去年第二王子となるジュリアン様を出産した。
光り輝く髪に、茶色の瞳。
光属性と土属性を持つ王子にルーニア国民は大いに喜んだらしい。
光属性を持つ弟にミルフェ様が荒れるのではと心配したが、そんなことは無く。
可愛い弟の面倒を見るのを楽しんでいる。
第一王子のベージェ王子はあれからおとなしい性格に変わったらしく、
第二王子が生まれたことを機に王位継承権を放棄したそうだ。
陛下も健康で、王妃であるマリージュ様はまだ若い。
ジュリアン王子が成人するまで待つことに問題はない。
誰もが新しい王子の誕生に喜んではいたのだが、
問題は…ルーニア国に光属性の指導ができる者が誰もいなかった。
今はまだいいけれど、将来的に困ってしまうかもしれないと手紙に書いてあった。
どうやらユリアスのように魔力量が多いタイプだったようだ。
魔力をため過ぎないように魔術を使わせた方が良いのだが、
土属性だけを育ててしまうのも、後々困るかもしれないと悩んでいた。
「そうか…それは困るだろうな。
俺みたいに無意識に発散することも難しいだろうし…。」
「そのうち、リリア様の家庭教師が終わったら来てくれないかって。
数か月滞在して指導してくれれば、あとは自分たちで何とかするって。」
「…リリア様が離さないと思うけどね~。」
「そうなのよね…。」
お母様を亡くされているリリア様は、
6歳から家庭教師となってそばにいる私に懐いてくれていた。
まるで本当の母親のように慕ってくれているため、
他国に数か月行くなんて言ったら泣かれてしまうかもしれない。
もうすぐ10歳のお誕生日を迎え、正式に次期国王としてのお披露目となる。
淑女教育も素晴らしく、光属性も水属性もしっかりと使いこなせている。
どこに出しても誇れるような女王候補となったと思っている。
…人見知りと私への依存さえなければ、だけど。
幸いユリアスと婚約者のリカルド様には心を許しているし、
そんな風に親しい友人ができればと思うのだが、
同性の同じ年頃の友人となると難しいようだった。
そういえばマリージュ様も私が初めてのお友達って言ってた。
高位貴族の令嬢はそういうものなのかもしれない。
「義父上に相談してみたらどうだろう。」
「お義父様に?」
「ほら。
そのうちマリージュ様のとこに遊びに行ってみようかなって言ってたし。
義父上なら、ジュリアン王子に指導もできるんじゃないか?」
「それは…確かに。」
「マリージュの所に?ジュリアン王子の指導?
ああ、なるほどね。ルーニアに光属性の指導者なんているわけないな~。
そうだね…短期間ならいいかな。
一度じゃ無理だろうから、
大きくなるまで何度か指導に行かなきゃいけなくなるだろう。
今回は俺が行こうか。」
「いいんですか?お義父様。
ありがとうございます。」
「うんうん、いいよ。
…その身体じゃ旅させるわけにはいかないからね。」
「え?」「ええ?」
「なんだ…気が付いてなかったのか。
ロージー、お腹に子が宿っているよ。
まだ初期だから、無理しないように気を付けるんだよ。」
私のお腹に?子がいるってこと?
気が付いたらユリアスに抱き上げられていて、慌ててお義父様に止められていた。
「まったく!妊婦に無茶するんじゃない!」
「…すみません。うれしくて…つい。」
「びっくりしたわ。…そうね、ユリアス。しばらくは抱き上げるの禁止ね?」
「…わかった。」
この数か月後、金色の髪と琥珀色の瞳を持つ可愛い女の子が産まれ、
フローラと名付けられた。
ルーニア国のジュリアン王子の婚約者に望まれたり、
フローラは妹だと言い張ったリリア様がジュリアン王子を目の敵にしたりして、
二国を巻き込んだ騒動になるのだが、
光属性の子を守ると決めているロージーとユリアス、
祖父となって爺馬鹿になったジョセフによって、
無理な婚約をさせられることなくすくすくと育ち、
学園で出会った侯爵家令息と恋仲になるのは、
もう少し後のこと。
おしまい
「うん、そう。ジュリアン様のことで相談がしたいって。」
3年前に王妃となったマリージュ様は、
去年第二王子となるジュリアン様を出産した。
光り輝く髪に、茶色の瞳。
光属性と土属性を持つ王子にルーニア国民は大いに喜んだらしい。
光属性を持つ弟にミルフェ様が荒れるのではと心配したが、そんなことは無く。
可愛い弟の面倒を見るのを楽しんでいる。
第一王子のベージェ王子はあれからおとなしい性格に変わったらしく、
第二王子が生まれたことを機に王位継承権を放棄したそうだ。
陛下も健康で、王妃であるマリージュ様はまだ若い。
ジュリアン王子が成人するまで待つことに問題はない。
誰もが新しい王子の誕生に喜んではいたのだが、
問題は…ルーニア国に光属性の指導ができる者が誰もいなかった。
今はまだいいけれど、将来的に困ってしまうかもしれないと手紙に書いてあった。
どうやらユリアスのように魔力量が多いタイプだったようだ。
魔力をため過ぎないように魔術を使わせた方が良いのだが、
土属性だけを育ててしまうのも、後々困るかもしれないと悩んでいた。
「そうか…それは困るだろうな。
俺みたいに無意識に発散することも難しいだろうし…。」
「そのうち、リリア様の家庭教師が終わったら来てくれないかって。
数か月滞在して指導してくれれば、あとは自分たちで何とかするって。」
「…リリア様が離さないと思うけどね~。」
「そうなのよね…。」
お母様を亡くされているリリア様は、
6歳から家庭教師となってそばにいる私に懐いてくれていた。
まるで本当の母親のように慕ってくれているため、
他国に数か月行くなんて言ったら泣かれてしまうかもしれない。
もうすぐ10歳のお誕生日を迎え、正式に次期国王としてのお披露目となる。
淑女教育も素晴らしく、光属性も水属性もしっかりと使いこなせている。
どこに出しても誇れるような女王候補となったと思っている。
…人見知りと私への依存さえなければ、だけど。
幸いユリアスと婚約者のリカルド様には心を許しているし、
そんな風に親しい友人ができればと思うのだが、
同性の同じ年頃の友人となると難しいようだった。
そういえばマリージュ様も私が初めてのお友達って言ってた。
高位貴族の令嬢はそういうものなのかもしれない。
「義父上に相談してみたらどうだろう。」
「お義父様に?」
「ほら。
そのうちマリージュ様のとこに遊びに行ってみようかなって言ってたし。
義父上なら、ジュリアン王子に指導もできるんじゃないか?」
「それは…確かに。」
「マリージュの所に?ジュリアン王子の指導?
ああ、なるほどね。ルーニアに光属性の指導者なんているわけないな~。
そうだね…短期間ならいいかな。
一度じゃ無理だろうから、
大きくなるまで何度か指導に行かなきゃいけなくなるだろう。
今回は俺が行こうか。」
「いいんですか?お義父様。
ありがとうございます。」
「うんうん、いいよ。
…その身体じゃ旅させるわけにはいかないからね。」
「え?」「ええ?」
「なんだ…気が付いてなかったのか。
ロージー、お腹に子が宿っているよ。
まだ初期だから、無理しないように気を付けるんだよ。」
私のお腹に?子がいるってこと?
気が付いたらユリアスに抱き上げられていて、慌ててお義父様に止められていた。
「まったく!妊婦に無茶するんじゃない!」
「…すみません。うれしくて…つい。」
「びっくりしたわ。…そうね、ユリアス。しばらくは抱き上げるの禁止ね?」
「…わかった。」
この数か月後、金色の髪と琥珀色の瞳を持つ可愛い女の子が産まれ、
フローラと名付けられた。
ルーニア国のジュリアン王子の婚約者に望まれたり、
フローラは妹だと言い張ったリリア様がジュリアン王子を目の敵にしたりして、
二国を巻き込んだ騒動になるのだが、
光属性の子を守ると決めているロージーとユリアス、
祖父となって爺馬鹿になったジョセフによって、
無理な婚約をさせられることなくすくすくと育ち、
学園で出会った侯爵家令息と恋仲になるのは、
もう少し後のこと。
おしまい
400
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
なんでも私のせいにする姉に婚約者を奪われました。分かり合えることはなさそうなので、姉妹の関係を終わらせようと思います。
冬吹せいら
恋愛
侯爵家令嬢のミゼス・ワグナーは、何かあるとすぐに妹のリズのせいにして八つ当たりをした。
ある日ミゼスは、リズの態度に腹を立て、婚約者を奪おうとする。
リズはこれまで黙って耐えていた分、全てやり返すことにした……。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
不倫した妹の頭がおかしすぎて家族で呆れる「夫のせいで彼に捨てられた」妹は断絶して子供は家族で育てることに
佐藤 美奈
恋愛
ネコのように愛らしい顔立ちの妹のアメリア令嬢が突然実家に帰って来た。
赤ちゃんのようにギャーギャー泣き叫んで夫のオリバーがひどいと主張するのです。
家族でなだめて話を聞いてみると妹の頭が徐々におかしいことに気がついてくる。
アメリアとオリバーは幼馴染で1年前に結婚をして子供のミアという女の子がいます。
不倫していたアメリアとオリバーの離婚は決定したが、その子供がどちらで引き取るのか揉めたらしい。
不倫相手は夫の弟のフレディだと告白された時は家族で平常心を失って天国に行きそうになる。
夫のオリバーも不倫相手の弟フレディもミアは自分の子供だと全力で主張します。
そして検査した結果はオリバーの子供でもフレディのどちらの子供でもなかった。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
弟が悪役令嬢に怪我をさせられたのに、こっちが罰金を払うだなんて、そんなおかしな話があるの? このまま泣き寝入りなんてしないから……!
冬吹せいら
恋愛
キリア・モルバレスが、令嬢のセレノー・ブレッザに、顔面をナイフで切り付けられ、傷を負った。
しかし、セレノーは謝るどころか、自分も怪我をしたので、モルバレス家に罰金を科すと言い始める。
話を聞いた、キリアの姉のスズカは、この件を、親友のネイトルに相談した。
スズカとネイトルは、お互いの身分を知らず、会話する仲だったが、この件を聞いたネイトルが、ついに自分の身分を明かすことに。
そこから、話しは急展開を迎える……。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる