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61.お披露目
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陛下とリリア様との謁見から三か月後。
夜会にてリリア様のお披露目がされることになった。
と言っても、リリア様はまだ7歳になったばかり。
婚約者のリカルド様も10歳。
夜会に出席できるような年齢ではないため、
挨拶をするだけで退席される予定だ。
同時に外戚としてケンバウム公爵家が後ろ盾に、
光属性の保護のための後見として王弟殿下、
エバーリング公爵家がリリア様につくことが発表される。
その時に私がリリア様の家庭教師になることと、
ユリアスが正式に騎士団の指導者としてつくことも公表される。
フレッド王子についていた貴族たちは、
婚約破棄の時にケンバウム公爵家側につくことを表明している家が多く、
リリア様のことを反対するような声は無かった。
ましてや幽閉されたマイケル王子についていた者たちは失脚しており、
この夜会には出席を認められていない。
そのため、問題なく終わるという予測だったのだが…。
「え?ユリアス!?その騎士服はユリアスよね?
…あなた、ホントはそんな顔してたの!」
これから陛下たちが広間に入ってくるというタイミングで、
キャロル様にユリアスが見つかってしまった。
認識阻害で顔を見ていなかったキャロル様が、
どうやってユリアスを見分けていたのかと思ったら、
騎士服を見て認識していたらしい…。
だから皆が同じ制服だった学校では気が付いてなかったのかもしれない。
「…ねぇ、お父様ぁ。
やっぱり、私ユリアスが良いわ。
ね、ユリアスを婿にしましょうよ。」
「は?」
「ふむ。そうだな…騎士ではなくなったと聞いたが、騎士服だとは。
騎士団に戻ったということなんだろう。
それならうちの婿にしてもいいな。」
「わぁ。ありがとう!お父様!」
「…勘弁してくれ。」
「さ、ユリアス、ちゃんと私をエスコートしてね。」
キャロル様…相変わらず、私のことはどうでもいいのだろうか。
隣に立っている私にはまったく視線が来ていない。
「キャロル嬢…俺にはロージーがいるのだが…。
見えていないのか?」
「え?誰、この女…。え?ロージー・ベルファイン??
あなた、眼鏡を取るとこんな顔してたの!!
…何よ。ちょっとくらい美人だからって、たかが子爵家じゃない。
ユリアスを離しなさいよ!」
「なんだ…子爵家のものか。
ユリアスのためを思うなら、自分から離れるんだな。
ユリアスはこのモンマイド侯爵家の婿になるんだからな!」
黒目黒髪でそっくりな親子は、にやりと笑って私に言った。
隣でぶわっとユリアスが殺気立っているのがわかって、
この場をどうおさめようか迷う。
ここで騒ぎを起こしてしまったら、この後のリリア様のお披露目が…。
どうしようかと迷って言い返せずにいると、のんびりした声が聞こえた。
「あれぇ。どうしたのかな。ロージー。
何かあった?」
「お義父様…。」
「「お父様??」」
後から広間に入ると言っていたお義父様がそばまで来ていた。
「おや、モンマイド侯爵。久しぶりだが、うちの娘に何か用か?」
「王弟殿下…娘とは?」
「ああ、公爵家には通達したのだけどね。
養女にしたロージーだよ。
それと、娘婿のユリアスだ。二人とも俺の大事な家族だよ。」
「娘婿!?」
「そうだよ?もう結婚して三か月ほどになるかな。
そうか…キャロル嬢は謹慎していたせいで知らないのか。
…そのまま謹慎してくれていても良かったんだがねぇ。」
「ひっ。…失礼します!」
驚いて声も出ないキャロル嬢を無理やり引っ張るように、
そそくさとモンマイド侯爵は逃げて行った。
「いや~こりもせずに絡んでくるとはね。
フレッドの件で、ケンバウム公爵家と敵対したからね。
どこの貴族も近寄らなくなってしまったようだよ。
もちろん婿入りしてくれるような令息が見つかるわけもない。
だからまたユリアスに言い寄って来たんだろうけど…。
今ので俺と敵対したことも伝わるだろう。
もう終わりだね、あの家も。」
ニコニコと笑っている話しているけれど、言ってることはなかなかにひどい。
それでも、キャロル様はそれだけのことをしたのだから仕方ない。
同盟国の王妃と敵対している侯爵家など、すぐにつぶれてしまうだろう。
その上、この国の筆頭公爵家と王弟殿下を敵にまわしているのだから。
夜会で会うのもこれで最後かもしれない。
「…もう少しきっちりと仕返ししたいところですけどね。
この前、ロージーを突き飛ばしたことの仕返ししてませんから。」
「あぁ、そうだね。それは後でゆっくりと考えようか。」
ユリアスとお義父様がにやりと笑い合っているのを見て、
何も聞かなかったことにしようと思う。
「さぁ、もうすぐリリアのお披露目だ。」
この日お披露目されたリリア様は、幼いながらも堂々とした態度で、
次の国王、女王としてふさわしいものだった。
夜会にてリリア様のお披露目がされることになった。
と言っても、リリア様はまだ7歳になったばかり。
婚約者のリカルド様も10歳。
夜会に出席できるような年齢ではないため、
挨拶をするだけで退席される予定だ。
同時に外戚としてケンバウム公爵家が後ろ盾に、
光属性の保護のための後見として王弟殿下、
エバーリング公爵家がリリア様につくことが発表される。
その時に私がリリア様の家庭教師になることと、
ユリアスが正式に騎士団の指導者としてつくことも公表される。
フレッド王子についていた貴族たちは、
婚約破棄の時にケンバウム公爵家側につくことを表明している家が多く、
リリア様のことを反対するような声は無かった。
ましてや幽閉されたマイケル王子についていた者たちは失脚しており、
この夜会には出席を認められていない。
そのため、問題なく終わるという予測だったのだが…。
「え?ユリアス!?その騎士服はユリアスよね?
…あなた、ホントはそんな顔してたの!」
これから陛下たちが広間に入ってくるというタイミングで、
キャロル様にユリアスが見つかってしまった。
認識阻害で顔を見ていなかったキャロル様が、
どうやってユリアスを見分けていたのかと思ったら、
騎士服を見て認識していたらしい…。
だから皆が同じ制服だった学校では気が付いてなかったのかもしれない。
「…ねぇ、お父様ぁ。
やっぱり、私ユリアスが良いわ。
ね、ユリアスを婿にしましょうよ。」
「は?」
「ふむ。そうだな…騎士ではなくなったと聞いたが、騎士服だとは。
騎士団に戻ったということなんだろう。
それならうちの婿にしてもいいな。」
「わぁ。ありがとう!お父様!」
「…勘弁してくれ。」
「さ、ユリアス、ちゃんと私をエスコートしてね。」
キャロル様…相変わらず、私のことはどうでもいいのだろうか。
隣に立っている私にはまったく視線が来ていない。
「キャロル嬢…俺にはロージーがいるのだが…。
見えていないのか?」
「え?誰、この女…。え?ロージー・ベルファイン??
あなた、眼鏡を取るとこんな顔してたの!!
…何よ。ちょっとくらい美人だからって、たかが子爵家じゃない。
ユリアスを離しなさいよ!」
「なんだ…子爵家のものか。
ユリアスのためを思うなら、自分から離れるんだな。
ユリアスはこのモンマイド侯爵家の婿になるんだからな!」
黒目黒髪でそっくりな親子は、にやりと笑って私に言った。
隣でぶわっとユリアスが殺気立っているのがわかって、
この場をどうおさめようか迷う。
ここで騒ぎを起こしてしまったら、この後のリリア様のお披露目が…。
どうしようかと迷って言い返せずにいると、のんびりした声が聞こえた。
「あれぇ。どうしたのかな。ロージー。
何かあった?」
「お義父様…。」
「「お父様??」」
後から広間に入ると言っていたお義父様がそばまで来ていた。
「おや、モンマイド侯爵。久しぶりだが、うちの娘に何か用か?」
「王弟殿下…娘とは?」
「ああ、公爵家には通達したのだけどね。
養女にしたロージーだよ。
それと、娘婿のユリアスだ。二人とも俺の大事な家族だよ。」
「娘婿!?」
「そうだよ?もう結婚して三か月ほどになるかな。
そうか…キャロル嬢は謹慎していたせいで知らないのか。
…そのまま謹慎してくれていても良かったんだがねぇ。」
「ひっ。…失礼します!」
驚いて声も出ないキャロル嬢を無理やり引っ張るように、
そそくさとモンマイド侯爵は逃げて行った。
「いや~こりもせずに絡んでくるとはね。
フレッドの件で、ケンバウム公爵家と敵対したからね。
どこの貴族も近寄らなくなってしまったようだよ。
もちろん婿入りしてくれるような令息が見つかるわけもない。
だからまたユリアスに言い寄って来たんだろうけど…。
今ので俺と敵対したことも伝わるだろう。
もう終わりだね、あの家も。」
ニコニコと笑っている話しているけれど、言ってることはなかなかにひどい。
それでも、キャロル様はそれだけのことをしたのだから仕方ない。
同盟国の王妃と敵対している侯爵家など、すぐにつぶれてしまうだろう。
その上、この国の筆頭公爵家と王弟殿下を敵にまわしているのだから。
夜会で会うのもこれで最後かもしれない。
「…もう少しきっちりと仕返ししたいところですけどね。
この前、ロージーを突き飛ばしたことの仕返ししてませんから。」
「あぁ、そうだね。それは後でゆっくりと考えようか。」
ユリアスとお義父様がにやりと笑い合っているのを見て、
何も聞かなかったことにしようと思う。
「さぁ、もうすぐリリアのお披露目だ。」
この日お披露目されたリリア様は、幼いながらも堂々とした態度で、
次の国王、女王としてふさわしいものだった。
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