聞こえません、見えません、だから私をほっといてください。

gacchi(がっち)

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ジョージアという魔術師

2.魔術研究所

魔術研究所に入って最初は苦労した。
伯爵家の嫡男が何しに来たとはっきり言われたこともある。
俺は一度も家名を名乗らなかった。
それでも夜会に出席した時にでも見かけていたんだろう。
俺が貴族なのはすぐにばれていたようだ。

その評価も、半年後には変わることになる。
公式行事の際に王妃の護衛につくことを命じられた。
国王のほうに多くの護衛が必要で、王妃まで手が回らなかったらしい。
側妃には護衛が付いているのにどういうことだと思うが、
王族に名を売るいい機会だった。

過去にない結界での護衛に、王妃からお褒めの言葉をもらうことができた。
それをきっかけに、国王や側妃の護衛まで任されることになった。
王族を守るものとして、魔術研究所の中でも個室を与えらえた。
おそらく俺が貴族出身だというのもあったのだろう。
平民出身であれば、結界が使えたとしても王族には近寄らせてもらえない。
身分の問題もなく、俺自身に問題も無い。都合のいい護衛だったのだろう。


そうして仕事に没頭し、たまにレイフィアの様子をこっそり見に行く。
レイフィアの部屋の結界を張り直し、制服や手鏡に魔術をかけ直す。
ぼさぼさの髪、顔を隠す長い前髪、うつむいて歩く癖。
どんどん昔のレイフィアから変わっていくのを、ただ我慢させるしかなかった。
王宮魔術師になれば、伯爵である父親の言うことに従わなくて済む。
そうなればレイフィアを引き取って、また一緒に暮らせる。
それだけが希望で、俺たちは我慢し続けていた。



突然の面会申請の相手が公爵家だということに驚いたが、
その用件がレイフィアとの婚約と聞いて身構えた。
あの公爵家のレオンハルト様がどうして伯爵家のレイフィアと?
もしかしてレイフィアの固有スキルがバレたのか?

先日から学園のほうがきな臭く、結界が維持できていないと相談されていた。
今まで学園の結界が維持できていないことなどなかったのに、何があったのか。
学園の結界を管理しているのは学園長でもある王弟だ。
その王弟がわからなかったというので、俺が調査に行かされたのだが…。
たかが魔術研究所の魔術師では、原因がわかっていても口に出せない。
あれは故意に結界を歪めているものだ。
結界に干渉できるのは結界を張った王弟だけ。
これは迂闊に近づくと、自分の身が危うくなると感じた。

第二王子たちの魔術の跡を見せてもらったが、今まで見たことも無い魔術だった。
精神干渉系魔術というより、呪術と言ってもいいだろう。
第二王子たちの魔術は気が付かれず、一人が解けたから気が付いたという。
これを解いた?誰が?学園にそんな才能のあるものがいるのか?
どう考えても、レイフィアがあやしかった。
だけど、あのレイフィアが自分からそんなことに手を出すだろうか。
そんなことを考えていた時に、面会の申請だった。

一人だけ魔術が解けた公爵家のレオンハルト様か。
レイフィアを連れて逃げなければいけないかもしれない。
公爵家か…また厄介な所にねらわれたものだ…。

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