聞こえません、見えません、だから私をほっといてください。

gacchi(がっち)

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ジョージアという魔術師

3.レオンハルト?

この公爵家の次男は、何を考えて俺に会いに来たのか。
見極めなければならない。
金を持っているだけのクズ貴族や、後妻狙いの爺よりかはましだろう。
だけど、筆頭公爵家のものが伯爵家の令嬢との婚約を求める理由なんてないだろう。
もし想像した通りレイフィアの固有スキル狙いだったら、逃げるしかない。
結界のジョージアの名も売れてきた。隣国あたりならかくまってくれるかもしれない。


「会ってくれて、感謝する。
 レオンハルト・ガルハッタ、公爵家の次男だ。」

「ジョージアです。
 家名はわかってるでしょうが、魔術師のルールというよりも、
 俺はあの家名は名乗りたくないんでね。」

「あぁ、気持ちはわかる。
 血がつながってるのが、不思議なくらいだ。」

「そう言ってくれると気が楽になるな。
 俺は血縁者はレイフィアだけだと思ってる。」

「なるほど。
 では、俺もレイフィアの血縁者は貴方だけだと思うことにしよう。」


銀色の髪に紫の目。公爵家の令息らしく、身なりもきちんとしている。
身長は俺より少し高いくらいだろうか。意外と鍛えているようにも見える。
何よりも、この魔力量はなんだ?王子たちよりも多いんじゃないだろうか。
これほど才能ある令息がレイフィアを求める理由はなんだ?
固有スキルだけが理由なんだろうか?


それに、俺があの父親を親だと認めていないことに同意してくれている。
筆頭公爵家が、伯爵家の父親を認めない。少しだけ愉快になって来た。

心配そうな顔してるレイフィアには悪いが、少し二人だけで話をさせてもらうか。


「学園の中で起きた事件の話は聞きました。
 貴方やジルベスタ様たちが未知の精神干渉系魔術を受けたと。
 貴方を解呪したのは、レイフィアですね?」

「そうです。
 本人からきちんと聞いてませんが、俺はそうだと思っています。」

「聞いていない?」

「ええ。隠しているようでしたし、
 このことが知られたら、レイフィアを王家に持って行かれるでしょう?
 そんなことを許すわけにいかない。
 俺はこのことを誰にも話していません。」

王家に持って行かれるのが嫌だから内緒にしてる?
筆頭公爵家は王家に忠心なのではないのか?血も近いんだろう?

「…レイフィアと婚約したのは、その力が必要だからでは?」

「いいえ。これだけははっきり否定します。
 俺は、レイフィアの力を公表する気も、使わせる気もない。
 婚約したのは別の理由です。

 …でも、その理由はまだレイフィアにも話していないので、
 少し待ってもらえませんか?
 一番に、レイフィアに言いたいんです。」

おいおい。そこで顔真っ赤にするなよ。
理由わかっちゃったじゃないか…。
はぁぁぁ、この坊ちゃん、本気なのか?
今のレイフィアを見て、本気でそんなことを思うのか?

「…いつまで待てばいい。」

「おそらく、次に会う時には言えると思います。
 今言えるのは、俺はレイフィアの力なんて無くても良かった。
 婚約するのに、レイフィア自身を納得させるために、
 それを利用したことは否定できません。
 だけど、俺はずっと、もう6年も探していたんです。
 俺はレイフィアを離す気はありません。
 実の親だろうと、邪魔なら排除するだけです。」


6年前…?母が亡くなる前のレイフィアと会ってるのか?
それに、もしかしたらこの魔力量だと、俺の魔術が効いてない?
反魅了も幻惑も効いてなくて、昔のレイフィアを知っている?
まだ信じられなくて、魔力の流れを探ってしまう。
何かやましいことがあれば、魔力の動きで何かわかるか?
じっと見ても、魔力は静かなままだ。
あれだけの魔力量で、抑えていられるのはどういう精神力なんだ。
もう、疑うのが馬鹿らしくなる。
俺たちをだます必要なんて、こいつには無いだろう。


「わかった。君を信じよう。」

「ありがとうございます。
 あの、一つ質問と許可をお願いしたいのですが。」

「なんだ?」

「レイフィアが、顔を隠して生きているのは、あなたの指示ですか?」

「そうだ。あの親たちは、レイフィアをどこかの後妻に売ろうとしていた。
 そのため目立たないように、求められないように、隠していた。
 レイフィアが学園を卒業する前に、俺は王宮魔術師になる予定だ。
 その時にレイフィアを引き取り、伯爵家と縁を切ろうと思っていた。」

「あぁ、なるほど。そういう理由ならわかりました。
 それでは、許可をお願いします。
 もとのレイフィアに戻してもいいですか?
 10歳の頃の、前をきちんと見ていたレイフィアに。」

…あーもう負けた。
そんなにレイフィアが好きなら、大事にしろよ。


「…本当に昔に知り合ってるのだな。
 わかった。許可しよう。
 変な貴族の後妻に売られないようにしていたが、
 公爵家に保護されるなら問題ないだろう。
 …ただ、一つだけ。
 本当にレイフィアを欲しいのなら、王家には気をつけろ。
 大事なら、ちゃんと守ってほしい。」


「約束します。
 俺の、命全てを使ってでも、レイフィアを守ります。」


俺よりもはるかに身分が高いのに、深々と頭を下げられた。
これだけの男が、真摯に向き合おうとしてくれている。
レオンハルト殿なら、レイフィアを託しても大丈夫だろう。

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