聞こえません、見えません、だから私をほっといてください。

gacchi(がっち)

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ジョージアという魔術師

21.ジョセフとの出会い

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「ジョセフ。もう少し詳しく伯爵家のことが知りたい。
 あと、この婚姻書、どういうことなのか調べてくれる?」

「ええ~子爵家に嫁ぐ?冗談でしょう。
 あんな才女。子爵家当主になんてもったいなさすぎる。」

「だろう?現当主が無理やりすすめようとしてきたものだ。
 まだ何か企んでそうだから、ちょっと調べてくれる?」

「わかりました。」

マリーを待っている間、ジョセフにお茶を入れてもらいながら情報交換する。
待っている間に話し相手になってもらうのはいつものことだけど、
ジョセフのことで最近マリーと話していて思い出したことがあった。

「なぁジョセフ、何年か前に子爵家潰した時に、近くにいただろう?」

「…やっぱりバレてましたか。」

「ああ。一応近くに人が来たらわかるように結界張ってたからな。
 あの時はジョセフに敵意がなさそうだし、めんどくさかったからほっといたけど、
 公爵家で会ったときに気が付いたんだ。
 何度か潰しに行った時に会ってるなって。」

「ちょうどあの頃、幼い少女が行方不明になる事件が多発してまして。
 その犯人がジョージア様の狙いと一緒だったんですよね~。
 俺は楽できて良かったですけど。」

「楽って。まぁ、俺も潰しに行ったらもう終わってたことがあるけど、
 あれはジョセフか?」

「多分、そうでしょうね。お互い仕事が減って良かったですね。」

簡単にそういうジョセフに気が抜けてしまう。
母上が亡くなってすぐの頃はレイフィアの評判はとても高かった。
それまで母上と一緒に他家のお茶会に出ていたのだから、それも当然だった。
美しい少女、しかも後妻が邪魔にしている。
変態貴族やクズどもが狙ってくることが何度かあった。

レイフィアの婚約の話が出た二度目の時だっただろうか。
調べてみたら子爵家の当主は変態で、息子もクズ。
そんなところに後妻でやったらどんな目に合うか。想像するだけで腹立たしい。
父親へと話が来て、それ以上進んでしまう前に子爵家に忍び込んだ。
ちょうど当主が幼い少女を組み敷こうとしているところだった。
その少女がレイフィアと重なって見えて、思わず当主を結界で縛った。
ほんの少しの隙間もなく張った結界の中、苦しんで死んでいくのをじっと待つ。
動かなくなるのを確認して、ふぅっと息を吐いて結界を消す。
少女は服の乱れも無かったが、気を失ってしまっていた。
関係の無い少女だけど、間に合って良かったと思った。

近くに人の気配を感じた。敵意も無く、見学しているかのようだった。
顔を見られているわけではないし、揉めるのも困る。
そのままほっといて帰ったのだが、その後何度かその気配を感じた。
あれがジョセフだったと気が付いて、すべて納得した。
公爵家の仕事だったのだろう。


お互い汚れた手かもしれないけど、今こうして笑って話している。
なんだか不思議な関係ではあるけど、
信じられる人間が増えたのはいいことかもしれない。

お代わりしたお茶を飲み干したら、マリーがレイフィアと戻って来た。
楽しそうな二人の様子にほっとする。


「ジョージア様、終わりました。
 レイフィア様は今日も異常ありませんでしたよ。」

「ああ、ありがとう。
 じゃあ、帰ろうか。」

あの時助けたのがレイフィアだけじゃなく、マリーもだった。
俺のしたことが間違っていても、それでいいと思った。
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