22 / 167
22.回想 学園時代 ジョエル
「隣国の王太子が来るって?」
「そうなんだ。明日から来るから、リリーたちにも手伝ってもらうよ?
なんだか兄さんと相性悪いらしくてさ。
4学年じゃなくて、俺らがいる3学年のほうがいいって。」
隣国の王太子が留学してくることになり、
本来なら同じ王太子の第一王子の学年に入るはずが、
いろいろ事情があって変更になったらしい。
レオや私たちと一緒の学年に通うことになったそうだ。
次の日に挨拶させてもらった王太子はとても変わっていた。
「やぁ、君が噂のリリーアンヌ嬢だね。初めまして。
ジョエル・ロードンナだ。
ロードンナ国の第一王子だけど、気にしないで?
ジョエルって呼んでよ!」
年齢は一つ上だが、レオよりも少し身長が低く、ほっそりとした身体だった。
青みががった銀髪を一つに結び、少し丸い黒目が幼なさを感じさせた。
にっこり笑って自己紹介すると、シオンに向かっていく。
「おおおお!おっきいね!何食べたらこんなに大きくなるの!?
教えてよ。僕、もっと大きくなりたいんだよね。
レオルド王子くらいになりたいんだよ~。」
「え?いや、特に変わったものは食べてないぞ?
同じもの食べてるシーナはこんなだし。」
「ひどい!こんな、って何よ~。」
レオは頭抱えてたけど、私は笑ってしまって、思わず答えてしまった。
「この子たちが食べてるものは普通よ。私が作ってるんだもの。」
「ええ!?何それ!リリーアンヌ嬢は料理もできるのか?
すごいな。魔術師でもあるんだろう?」
「あーリリー。隠さなくて良かったのか?こいつうるさいぞ?」
「ごめんなさい。隠すつもりだったんだけど、つい言ってしまって…。」
「うん、気持ちはわかる。なんでかこいつだと言っちゃうんだよな…。」
きょとんとしたジョエルの顔を見てると、悪気が無いのはわかる。
王太子としてどうなのかな~と思ってると、急に真面目な顔になった。
「こんなのが王太子で大丈夫なのかと思っているんだろう?
その辺は大丈夫だよ。自分で言うのもなんだけど、僕は優秀なんだ。
だけど優秀過ぎて、本国では友人と呼べる人を作れなくなってしまった。」
凛とした態度、理性的な話し方、急に大人びたジョエルに驚いてしまう。
さすが王太子というべきなのだろうか。
だが、あまりの急な変化についていけない。
「だから、留学をお願いしたんだ。
王太子じゃなくて僕を見てくれる友人が欲しくて。
だけど、第一王子は将来国王同士として付き合うことになるだろう?
それに性格もあまり合わないと感じてね…。
僕は素のままで友人になってくれる人が欲しかった。
レオルド王子たちならと思ったんだが…ダメだろうか?」
最後の一言で急に弱気になったジョエルに、また笑ってしまった。
「こら、リリー。笑っちゃダメでしょ。シーナも。」
「だって…なんだかレオを思い出しちゃって。」
「私もですぅ~。」
「あぁ、もう。思い出さなくていいよ、それは!
ジョエル、でいいな?呼び方は。
俺はレオでいいよ。」
「え?いいの?」
「私もリリーで良いわ。」
「俺はシオンだ。よろしくな。」「シーナです。よろしくお願いします~。」
こんなにあっさり受け入れてもらえると思わなかったのだろう。
涙目になってレオの手を握り締め、振り回した。
「ありがとう!ありがとう!」
こうしてジョエルは留学中の間を一緒に過ごすようになった。
もう一人のかけがえのない友人として。
「そうなんだ。明日から来るから、リリーたちにも手伝ってもらうよ?
なんだか兄さんと相性悪いらしくてさ。
4学年じゃなくて、俺らがいる3学年のほうがいいって。」
隣国の王太子が留学してくることになり、
本来なら同じ王太子の第一王子の学年に入るはずが、
いろいろ事情があって変更になったらしい。
レオや私たちと一緒の学年に通うことになったそうだ。
次の日に挨拶させてもらった王太子はとても変わっていた。
「やぁ、君が噂のリリーアンヌ嬢だね。初めまして。
ジョエル・ロードンナだ。
ロードンナ国の第一王子だけど、気にしないで?
ジョエルって呼んでよ!」
年齢は一つ上だが、レオよりも少し身長が低く、ほっそりとした身体だった。
青みががった銀髪を一つに結び、少し丸い黒目が幼なさを感じさせた。
にっこり笑って自己紹介すると、シオンに向かっていく。
「おおおお!おっきいね!何食べたらこんなに大きくなるの!?
教えてよ。僕、もっと大きくなりたいんだよね。
レオルド王子くらいになりたいんだよ~。」
「え?いや、特に変わったものは食べてないぞ?
同じもの食べてるシーナはこんなだし。」
「ひどい!こんな、って何よ~。」
レオは頭抱えてたけど、私は笑ってしまって、思わず答えてしまった。
「この子たちが食べてるものは普通よ。私が作ってるんだもの。」
「ええ!?何それ!リリーアンヌ嬢は料理もできるのか?
すごいな。魔術師でもあるんだろう?」
「あーリリー。隠さなくて良かったのか?こいつうるさいぞ?」
「ごめんなさい。隠すつもりだったんだけど、つい言ってしまって…。」
「うん、気持ちはわかる。なんでかこいつだと言っちゃうんだよな…。」
きょとんとしたジョエルの顔を見てると、悪気が無いのはわかる。
王太子としてどうなのかな~と思ってると、急に真面目な顔になった。
「こんなのが王太子で大丈夫なのかと思っているんだろう?
その辺は大丈夫だよ。自分で言うのもなんだけど、僕は優秀なんだ。
だけど優秀過ぎて、本国では友人と呼べる人を作れなくなってしまった。」
凛とした態度、理性的な話し方、急に大人びたジョエルに驚いてしまう。
さすが王太子というべきなのだろうか。
だが、あまりの急な変化についていけない。
「だから、留学をお願いしたんだ。
王太子じゃなくて僕を見てくれる友人が欲しくて。
だけど、第一王子は将来国王同士として付き合うことになるだろう?
それに性格もあまり合わないと感じてね…。
僕は素のままで友人になってくれる人が欲しかった。
レオルド王子たちならと思ったんだが…ダメだろうか?」
最後の一言で急に弱気になったジョエルに、また笑ってしまった。
「こら、リリー。笑っちゃダメでしょ。シーナも。」
「だって…なんだかレオを思い出しちゃって。」
「私もですぅ~。」
「あぁ、もう。思い出さなくていいよ、それは!
ジョエル、でいいな?呼び方は。
俺はレオでいいよ。」
「え?いいの?」
「私もリリーで良いわ。」
「俺はシオンだ。よろしくな。」「シーナです。よろしくお願いします~。」
こんなにあっさり受け入れてもらえると思わなかったのだろう。
涙目になってレオの手を握り締め、振り回した。
「ありがとう!ありがとう!」
こうしてジョエルは留学中の間を一緒に過ごすようになった。
もう一人のかけがえのない友人として。
あなたにおすすめの小説
【完結】え、別れましょう?
須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」
「は?え?別れましょう?」
何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。
ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?
だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。
【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った
冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。
「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。
※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【本編完結】初恋のその先で、私は母になる
妄夢【ピッコマノベルズ連載中】
恋愛
第19回恋愛小説大賞にて、奨励賞を受賞いたしました。読者の皆様のおかげです!本当ありがとうございます。
王宮で12年働き、気づけば28歳。
恋も結婚も遠いものだと思っていたオリビアの人生は、憧れの年下公爵と一夜を共にしたことで大きく動き出す。
優しく守ろうとする彼。
けれどオリビアは、誰かに選ばれるだけの人生を終わらせたいと思っていた。
揺れる想いの中で、彼女が選んだのは――
自分の足で立ち、自分の未来を選ぶこと。
これは、一人の女性が恋を通して自分を取り戻し、母として、そして一人の人間として強くなっていく物語。
※表紙画像はAI生成イラストをつかっています。
夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです
藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。
理由は単純。
愛などなくても、仕事に支障はないからだという。
──そうですか。
それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。
王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。
夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。
離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。
気づいたときにはもう遅い。
積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。
一方で私は、王妃のもとへ。
今さら引き止められても、遅いのです。
何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします
天宮有
恋愛
国王ドスラは、王妃の私エルノアの魔法により国が守られていると信じていなかった。
側妃の発言を聞き「何もできない王妃」と言い出すようになり、私は城の人達から蔑まれてしまう。
それなら国から出て行くことにして――その後ドスラは、後悔するようになっていた。
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。