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3章 将軍っていらないよね

10.罪の行方

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「さて、事情はわかったことだし、先に言うぞ。
 俺はショーンじゃない。」

「「「「え?」」」」

変化を解くと、全員が誰?って顔をする。
軍の末席にいるような軍人だと、王宮に来たことないだろうな。
アンヌ嬢もアンジェリーナの同級生なら、俺とは学園でも会ってないだろうし。

「レオルドだ。公爵だが、王弟と言った方がわかりやすいか?」

「え?レオルド様!?どうして?」

軍人たちが驚いている中、アンヌ嬢だけが違う反応をした。

「レオルド様!助けに来てくださったのですね!
 素敵!そんなレオルド様の妻になれるなんて…うれしい!」

目をキラキラと輝かせて、うっとりした声でそう言った。
そういえば、将軍はアンヌ嬢を俺の妻にしようとしていたな…。
アンヌ嬢もそう思っているってことか…もう捨てて帰ろうかな。

「…そうなんですか。アンヌ嬢を助けに来たんですね…。」

アンヌ嬢の発言を本気にした軍人が、落ち込んだ声でつぶやいた。
俺がアンヌ嬢を助けに来たってことは、
捕まる、死刑になる、って覚悟した感じかな。
早いとこ誤解を解いてやらないとな。

「あ、俺とアンヌ嬢は結婚しないよ?」

「え?」

「なんでそう思ってるのか知らないけど、俺はリリーと結婚してるし、
 別れる気なんて全然ないし、ただの公爵だから側妃とかもてないし、
 っていうかリリー以外の女なんて必要ないんだよね。」

「え?え?」

聞こえなかったのかな?聞いてないのかな?
もう一度言わないとダメか?

「俺はアンヌ嬢のためにここに来たんじゃない。
 王都の治安をどうにかしようと思って、軍部に行ったんだ。
 そしたらちょうどアンヌ嬢がさらわれて、
 将軍と交渉しようとしてるやつがいるって聞いて。
 そいつらと話がしたくて来たんだ。だから、アンヌ嬢はどうでもいい。」

「どうでもいい…。」

「そう。この計画は3人だけの話か?」

「そうです。今日、急に護衛するように言われて王都に来たんですが、
 治安の悪さにまったく気づきもしないお嬢様を見ていたら腹が立って。
 ここ知り合いの店なんですが、合い鍵を持っていたので連れてきました。」

「なるほど。じゃあ、この件は無かったことにしよう。」

「へ?」

「だって、目的は軍を動かすことだよな?
 あの将軍、もう将軍じゃないから、大丈夫。
 新しい将軍になって、すぐに軍を動かしてもらうから安心して?」

「そ、そうなんですか?でも、俺たちのやったことは犯罪です。」

「うん、わかってる。でも、人手が足りないんだよね。
 君たちみたいな真面目な軍人が3人も減るのは痛いんだ。
 なんていっても、人手が足りなかったら、軍を動かしても無駄だろう?
 君たちの罪は俺が預かる。処罰は、これから一生懸命働くこと、以上。」

「…それでいいんでしょうか?本当に?」

3人で顔を見合わせて、信じられないって顔している。
そりゃそうだろう。こんなこと、死ぬ気じゃないとできない。
でも、王都の治安のために命をかけてくれるような軍人、
簡単に死なせるわけにはいかない。
これで一件落着かな…。

「私は許さないわ!お爺様に言いつけるんだから!」

さっきまで呆然としていたアンヌ嬢が気が付いたように叫んだ。
軍人たちもその声で、また暗い表情に戻った。
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