王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)

文字の大きさ
68 / 167
3章 将軍っていらないよね

15.王妃でいる理由

ここまで言われてもどうして?って顔してるけど、
やっぱりこの人を王妃にしちゃダメだったんだろうな。
義姉さん、ジョセフィーヌ王女は、隣国リハエレール国の第二王女だった。
リハエレール国はもとはレフィーロ国の辺境伯領地だった。
レフィーロ国に反発して何代も前に独立した小国だ。
だが、もともと大きくない辺境地で王が貴族を増やした結果、
王族が貴族たちを管理できなくなった。
貴族たちが私腹を肥やした結果、民が流出していくようになったのだ。
そこで、レフィーロ国に戻りたいと、前国王から申し出があった。

リハエレール国を無くしレフィーロ国に吸収合併するために、
第二王女が兄貴に輿入れする形になった。
当初の予定では側妃として受け入れるはずであった。
第二王女は愛妾の娘だからか王族教育を受けていない上に、
気弱で人の上に立てるような令嬢ではなかった。
だが、一目でジョセフィーヌ王女を気に入ってしまった兄貴が、
反対する議会の声も聞かずに王妃にしてしまった。
俺としても王妃以外娶りたくないという気持ちがわかるがゆえに、
当時は反対しなかったのだが…。
こうなると、議会の声が正しかったと認めるしかなかった。


「子どもを産むのは、王妃じゃなくてもいい。側妃でも公妾だってかまわない。
 つまり、王妃の仕事をやらずに人任せにして、
 子どもを産むことしかしていない義姉さんは、近いうちに側妃に変えられる。
 そして、兄貴は新しい王妃を娶ることになるだろう。」

「そんな!嫌よ!」

「嫌って言っても、だって王妃の仕事しないじゃないか。」

「だから、王妃の仕事はリリーアンヌ様が代理でしてくれれば…。」

まだわかってないのか。

「あのな、今陛下が仕事している状況で、リリーを王妃代理にしてみろ。
 リリーを俺と別れさせて陛下の王妃にって期待されることになるぞ。」

「え?どうして?」

「王妃の仕事をしているのがリリーなら、
 リリーが王妃で良いじゃないかって思うだろう。
 国民も王宮のものも、みんなそう思ってるんだからな。」

「…そんな。」

「義姉さんがそうやって他の者に任せようとするから、
 議会だって遠慮せずに王妃を探してくるだろう。
 だって、子どもを産むのは他の妃でもいいけど、
 王妃は変わりがいないのが普通だからな。
 王妃自ら、自分じゃなくてもいいだなんて、
 そんなことを言う王妃はこの国ではいらないんだよ。」

「…そんな。リーンハルト、そんなことないわよね?」

すがるように兄貴に問いかけるけど、兄貴は目をそらしたままだ。
その姿に、俺の話が本当だと気が付いたんだろう。
今度は俺のほうにすがるように見てくる。

「お願い!助けて!レオルド様なら議会を黙らせられるでしょう?
 嫌よ、私以外の妃なんて。」

「無理だよ。俺はもう王弟じゃない。貴族の中の一人だ。
 議会の決定に反対するような力は無いし、反対する理由もない。」

「どうして?どうして反対してくれないの?」

「じゃあ、どうして、仕事もしないで泣き暮らしている王妃が、
 他の者たちに認められると思ってるんだ?
 それなら側妃になって、ずっと後宮にいればいいって思うだろう?
 義姉さんが王妃の仕事をしないことで、
 国中の孤児院や救済院や修道院が困ってるんだぞ。
 それを考えたことも無いだろう?最初から王妃に向いてなかったんだよ。
 もうあきらめて、側妃になって静かに暮らしなよ。」

「…そんな!嫌よ!」

「じゃあ、今から毎日王妃として仕事できるのか?」

「…。」

「あれも嫌これも嫌じゃ、王妃は務まらないんだよ。」

あなたにおすすめの小説

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った

冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。 「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。 ※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。

夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです

藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。 理由は単純。 愛などなくても、仕事に支障はないからだという。 ──そうですか。 それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。 王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。 夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。 離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。 気づいたときにはもう遅い。 積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。 一方で私は、王妃のもとへ。 今さら引き止められても、遅いのです。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

【本編完結】初恋のその先で、私は母になる

妄夢【ピッコマノベルズ連載中】
恋愛
第19回恋愛小説大賞にて、奨励賞を受賞いたしました。読者の皆様のおかげです!本当ありがとうございます。 王宮で12年働き、気づけば28歳。 恋も結婚も遠いものだと思っていたオリビアの人生は、憧れの年下公爵と一夜を共にしたことで大きく動き出す。 優しく守ろうとする彼。 けれどオリビアは、誰かに選ばれるだけの人生を終わらせたいと思っていた。 揺れる想いの中で、彼女が選んだのは―― 自分の足で立ち、自分の未来を選ぶこと。 これは、一人の女性が恋を通して自分を取り戻し、母として、そして一人の人間として強くなっていく物語。 ※表紙画像はAI生成イラストをつかっています。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~

スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」 王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。 伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。 婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。 それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。 ――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。 「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」 リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。 彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。 絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。 彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。