王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)

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4章 王妃と側妃

5.リーンハルト国王(5)

ジョセと婚約してから半年、ほとんど話すこともなく結婚する。
仲良くできるだろうか、不安になった。
せめて結婚式の後、落ち着くまでは仕事を減らせないかレオルドに相談すると、
レオルドとリリーアンヌが代理になってくれるという。
これで少しは落ち着いてジョセに向き合うことができると思った。
レオルドからは国王の仕事の報告が、リリーアンヌからは王妃の仕事の報告が、
毎日のように後宮へ届けられていた。

俺は国王の報告に目を通したが、王妃の報告は机に積みあがったままだった。
少しずつ王妃の仕事を教えていくつもりだった。
女王は国王と王妃の仕事両方を一人でこなしていた。
そのため、その仕事を継いだ俺も両方の仕事をこなしていた。
その仕事量の多さに処理しきれず、レオルドの補佐付きではあったが。
当然、王妃の仕事の内容も知っているから、後宮にいる間に少しでも教えたかった。

ジョセは難しい話をするとすぐ何かに逃げた。
今日は頭が痛い、お腹がすいた、散歩に行きたい、様々な理由で逃げられた。
最初に休みを与えてしまったのがいけなかったのかもしれない。
リリーアンヌが代わってくれるなら、
自分がやらなくてもいいだろうと思っているようだった。
そのうち身ごもっていることがわかると、子どもを産む方が大事だと、
もう王妃の仕事には関わろうとしなかった。
何度もレオルドから手紙が来るようになると、俺も焦りだした。
このままレオルドに任せっぱなしにするわけにはいかない。
だけど、国としたらレオルドが国王になった方が平和かもしれない、
なんて思ってしまったのも事実だ。

それでも国王は自分だと反省し、俺だけでも後宮を出ようとした。
でもその度にジョセに大泣きされ、それなら子どもを産まないと言われると、
後宮の中でただジョセを慰めることしかできなくなっていった。


あの日、馬鹿兄貴と初めて怒鳴られた。
今までレオルドはけっして声を荒らげるようなことはなかったし、
俺に対して何か命令するようなことは絶対に無かった。
よっぽど怒らせたのだろうとは思っていた。

後宮から出て、文官から何があったのかを聞いて、血の気が引いた。
リリーアンヌがレオルドを捨てて王宮を出た。おそらく、俺たちが原因だ。
なんてことをしてしまったのだろう。
レオルドの幸せを守れと言った母の顔が浮かんだ。
レオルドがリリーアンヌと幸せになったことで、あんなにも安心して逝った母。
俺は…いったい何をしているんだ。
まだ嫌がるジョセを置いて、国王の仕事に戻った。

久しぶりの仕事はきつかったが、レオルドが報告を続けていてくれたおかげで、
今行っている事業で知らないことは無かった。
レオルドに比べたら遅いだろう。それはもうあきらめてもらうしかない。

きっとレオルドはここには帰ってこないだろう。
リリーアンヌだけがレオルドの存在意義だ。王政なんてどうでもいい。
もちろん、リリーアンヌもここには戻ってこないはずだ。
リリーアンヌはレオルドがいるから王宮にいてくれたようなものだ。
権力にも地位にも興味がない二人が、ずっとここにいてくれるわけなんてない。
2年間も縛り付けてしまったことが、今更ながら後悔しかなかった。

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