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6章 つながる世界
15.光の繭
「まだ目を覚まさない?」
「ええ。リリー義母様、リオルの心はまだ傷ついたままなんですね。」
ミーシャは繭の中に入れたリオルを連れてマジックハウスへ転移した。
そこにはリリーアンヌが二人を待ち構えていた。
どうやらリオルの異常を察知したらしい。
すぐにリオルを寝かせて様子を見たのだが、目を覚ます気配がなかった。
「リオルは私たちと違って、傷ついた心を持ったまま生まれるまで20年も待っていた。
私たちはすぐに転生して、シーナやシオン、レオルドと一緒にいられた。
新しい人生に馴染んでいくのと同時に、少しずつ癒されて行ったのよ。
リオルの心はまだ癒されていないの。
けっして今が幸せじゃないというわけじゃないのよ。
ただ、時間がかかるのは仕方ないことだから…。ごめんなさいね。」
「いえ、わかってます。
どれだけ時間がかかってもいいんです。
私がリオルの心を守っていきますから。」
「そうね。ミーシャちゃんなら大丈夫ね。」
そう言ってリリー義母様は部屋から出て行った。
おそらく夕食の支度を始めるのだろう。
エリザたちが連れて行かれた王宮は大変なことになっていると思うが、今はリオルのそばにいたかった。
目を覚ました時に、すぐ手を握って大丈夫だと言ってあげたかった。
リオルの心の傷にふれたのは10歳になった頃だった。
高熱を出して倒れたリオルを看病した時だった。
熱にうなされたリオルが暴れて魔術を発動しようとした。
咄嗟に光の繭で包んでしまったが、光の繭は本来は治癒魔術で、ケガか病気でなければ包みこまれることは無い。
だけどリオルは高熱が下がっても、光の繭から出てこなかった。
治れば繭は割れて消えてしまうはずなのにと思ったが、光の繭は厚かった。
ケガも病気もしてないのにどうしてと思った時に、心の傷があることに気が付いてしまった。
光の繭が自然に終わるのを待つのは無理だと、途中で術を止めた。
その後にリオルから聞いた話は壮絶だった。
「何度も何度も…俺をかばおうとする母上の手を刺した刃が、俺にも突き刺さった。
悲しそうな母上の叫びが聞こえるのに、何もできなかった。
悔しくて悲しくて、怒りでおかしくなりそうだった。
今でも思い出すだけで制御ができなくなるんだ…。
頼む、ミーシャ。何かあったら俺を止めてくれ。お願いだ…。」
そう言って静かに泣き続けるリオルに誓った。
絶対にリオルが暴走した時には私が止めるからと。
リオルをこれ以上傷つける者から、この世界のどこへ行っても守ると決めた。
苦しそうな寝息のリオルを見つめる。
もう少し眠ったら起きそうな顔色になって来た。
きゅっと手を握ると表情が和らいだ気がした。
「リオル…もう大丈夫よ。
何があっても、私がそばにいるわ。」
声が届いたのか、リオルのまぶたが少し動いた。
「ええ。リリー義母様、リオルの心はまだ傷ついたままなんですね。」
ミーシャは繭の中に入れたリオルを連れてマジックハウスへ転移した。
そこにはリリーアンヌが二人を待ち構えていた。
どうやらリオルの異常を察知したらしい。
すぐにリオルを寝かせて様子を見たのだが、目を覚ます気配がなかった。
「リオルは私たちと違って、傷ついた心を持ったまま生まれるまで20年も待っていた。
私たちはすぐに転生して、シーナやシオン、レオルドと一緒にいられた。
新しい人生に馴染んでいくのと同時に、少しずつ癒されて行ったのよ。
リオルの心はまだ癒されていないの。
けっして今が幸せじゃないというわけじゃないのよ。
ただ、時間がかかるのは仕方ないことだから…。ごめんなさいね。」
「いえ、わかってます。
どれだけ時間がかかってもいいんです。
私がリオルの心を守っていきますから。」
「そうね。ミーシャちゃんなら大丈夫ね。」
そう言ってリリー義母様は部屋から出て行った。
おそらく夕食の支度を始めるのだろう。
エリザたちが連れて行かれた王宮は大変なことになっていると思うが、今はリオルのそばにいたかった。
目を覚ました時に、すぐ手を握って大丈夫だと言ってあげたかった。
リオルの心の傷にふれたのは10歳になった頃だった。
高熱を出して倒れたリオルを看病した時だった。
熱にうなされたリオルが暴れて魔術を発動しようとした。
咄嗟に光の繭で包んでしまったが、光の繭は本来は治癒魔術で、ケガか病気でなければ包みこまれることは無い。
だけどリオルは高熱が下がっても、光の繭から出てこなかった。
治れば繭は割れて消えてしまうはずなのにと思ったが、光の繭は厚かった。
ケガも病気もしてないのにどうしてと思った時に、心の傷があることに気が付いてしまった。
光の繭が自然に終わるのを待つのは無理だと、途中で術を止めた。
その後にリオルから聞いた話は壮絶だった。
「何度も何度も…俺をかばおうとする母上の手を刺した刃が、俺にも突き刺さった。
悲しそうな母上の叫びが聞こえるのに、何もできなかった。
悔しくて悲しくて、怒りでおかしくなりそうだった。
今でも思い出すだけで制御ができなくなるんだ…。
頼む、ミーシャ。何かあったら俺を止めてくれ。お願いだ…。」
そう言って静かに泣き続けるリオルに誓った。
絶対にリオルが暴走した時には私が止めるからと。
リオルをこれ以上傷つける者から、この世界のどこへ行っても守ると決めた。
苦しそうな寝息のリオルを見つめる。
もう少し眠ったら起きそうな顔色になって来た。
きゅっと手を握ると表情が和らいだ気がした。
「リオル…もう大丈夫よ。
何があっても、私がそばにいるわ。」
声が届いたのか、リオルのまぶたが少し動いた。
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