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神の力
13.名乗り
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私とキリルの部屋へと戻ったら、美里とカインさんもそのままついて入ってきた。
どうやら今日はそのまま解散するわけにはいかないらしい。
ソファに深く座って沈み込むと、キリルがお茶を淹れてくれる。
これほど甘いミルクティが身体に沁みる…と思ったことはない。
ふぅっと大きく息を吐いたら、隣に座ったキリルに頭を撫でられた。
見上げたら心配そうな顔をしている。
「大丈夫か?まさか…あそこまで王家の者たちが愚かだとは思わなかった。
教育が足りていないのはわかっていたんだ。
俺の考えが甘かったな。すまない。」
「大丈夫。キリルのせいじゃないよ?」
さすがにあの場に一花が出て来るなんて、誰も予想できない。
まさか王子が一花の話を信じて、私が洗脳されているだなんて…。
そんなことを予想して対処しろだなんて無茶は言わない。
「…すまない。俺の身内が迷惑をかけた。」
向かい側に座るカインさんがそう言って頭を下げるのを見て、
身内?と不思議に思った。
「あぁ、そう!聞きたかったの。
カインって国王なの?」
美里がそんなことを言うから、思わずお茶を吹き出しかけて盛大にむせた。
「…ゴホッ!…ッケホケホ…!」
「大丈夫か!」
「………私のせい?ごめん、悠里。」
「ッケホ……ケホ。…大丈夫、話を続けて…。」
ようやく気管に入ったお茶が落ち着くと、カインさんに話の続きを促す。
カインさんがスッと姿勢を正すのがわかった。
「今まで正式に名乗らずにいて、申し訳なかった。
俺はカイン・ハーデリア・ルリネガラだ。」
「そして、俺はキリル・ハーデリアだ。」
カインさんがカイン・ハーデリア・ルリネガラで、
キリルがキリル・ハーデリア?
兄弟なのに名前が違う?
「ハーデリアは家名?カインさんのルリネガラは何?」
「ルリネガラはこの国の名前だ。
俺はこの国の第一王子として生まれた。
ダニエルとハイドンは異母弟だ。」
「「王子様!」」
「そして、俺はハーデリア公爵家の長男。
カイン兄さんは従兄なんだ。
俺の父親の姉が王妃となって第一王子、カイン兄さんを産んだ。
今の王妃は第二妃だった。」
「……どういうこと?」
「俺が5歳の時に王妃である母上が毒殺された。
そのため、王宮内にいては俺の身も危ないと、
母上の生家であるハーデリア家に戻された。」
「カイン兄さんがうちに来たのは俺が4歳の時だ。
ジェシカが生まれて間もないころだった。
それ以来、うちは三人兄弟として過ごしてきた。」
王妃の毒殺!だからカインさんは身を守るために母親の実家に戻された?
従兄弟であるキリルとジェシカさんと三人兄弟として…。
「急な話で驚かせてすまない。
聖女のお披露目の夜会が終わるまで、
神官隊長の身分は明かしてはいけないことになっていて。
今回の騒ぎが無くても、夜会が終わったら名乗る予定だった。
…だが、まさか身内があのような愚かな真似をするとは…。
二人には本当に迷惑をかけてすまなかった。」
あーなるほど。国王は父親で、今の王妃は義理の母親になるんだ。
それでダニエル王子は異母弟…身内っちゃ身内よね。
でもなぁ。
「でも、カインとは関係ないよね?」
「うん、私もそう思う。
カインさんはもう王家から出て、キリルの兄として育ったんでしょ?
じゃあ、もう関係ないんじゃない?」
「それはそうなんだが…血のつながりはあるし…。」
「え?それって、キリルさんとジェシカさんとも従兄弟なんだよね?
そっちの血のつながりのほうが大事じゃない?
しかもずっと一緒に暮らしてたんでしょ?」
「うん、カインさんがキリルとジェシカさんと兄弟だって言うのは、
見た目とかじゃなくて話し方とか態度とかでわかるんだけど、
あのダニエルって王子は血がつながっているようには感じなかった。
一緒に暮らしてもいないなら、もう関係ないと思う。」
「そう言ってもらえるなら…気は楽になるが。」
「じゃあ、それでいいよね。
カインと王家は関係ない。」
そう言い切った美里に、私も大きくうなずいて肯定する。
あんなダメ王子とカインさんを一緒にするつもりはない。
血のつながりがあるとはいえ、それでカインさんが謝るのはおかしいと思う。
そんな風に言いきった私たちに、カインさんがほっとするのがわかった。
「ありがとう。」
「ん?」
お礼を言ったのは、キリルだった。
隣を見たら、キリルがものすごくうれしそうに笑う。
どうやら今日はそのまま解散するわけにはいかないらしい。
ソファに深く座って沈み込むと、キリルがお茶を淹れてくれる。
これほど甘いミルクティが身体に沁みる…と思ったことはない。
ふぅっと大きく息を吐いたら、隣に座ったキリルに頭を撫でられた。
見上げたら心配そうな顔をしている。
「大丈夫か?まさか…あそこまで王家の者たちが愚かだとは思わなかった。
教育が足りていないのはわかっていたんだ。
俺の考えが甘かったな。すまない。」
「大丈夫。キリルのせいじゃないよ?」
さすがにあの場に一花が出て来るなんて、誰も予想できない。
まさか王子が一花の話を信じて、私が洗脳されているだなんて…。
そんなことを予想して対処しろだなんて無茶は言わない。
「…すまない。俺の身内が迷惑をかけた。」
向かい側に座るカインさんがそう言って頭を下げるのを見て、
身内?と不思議に思った。
「あぁ、そう!聞きたかったの。
カインって国王なの?」
美里がそんなことを言うから、思わずお茶を吹き出しかけて盛大にむせた。
「…ゴホッ!…ッケホケホ…!」
「大丈夫か!」
「………私のせい?ごめん、悠里。」
「ッケホ……ケホ。…大丈夫、話を続けて…。」
ようやく気管に入ったお茶が落ち着くと、カインさんに話の続きを促す。
カインさんがスッと姿勢を正すのがわかった。
「今まで正式に名乗らずにいて、申し訳なかった。
俺はカイン・ハーデリア・ルリネガラだ。」
「そして、俺はキリル・ハーデリアだ。」
カインさんがカイン・ハーデリア・ルリネガラで、
キリルがキリル・ハーデリア?
兄弟なのに名前が違う?
「ハーデリアは家名?カインさんのルリネガラは何?」
「ルリネガラはこの国の名前だ。
俺はこの国の第一王子として生まれた。
ダニエルとハイドンは異母弟だ。」
「「王子様!」」
「そして、俺はハーデリア公爵家の長男。
カイン兄さんは従兄なんだ。
俺の父親の姉が王妃となって第一王子、カイン兄さんを産んだ。
今の王妃は第二妃だった。」
「……どういうこと?」
「俺が5歳の時に王妃である母上が毒殺された。
そのため、王宮内にいては俺の身も危ないと、
母上の生家であるハーデリア家に戻された。」
「カイン兄さんがうちに来たのは俺が4歳の時だ。
ジェシカが生まれて間もないころだった。
それ以来、うちは三人兄弟として過ごしてきた。」
王妃の毒殺!だからカインさんは身を守るために母親の実家に戻された?
従兄弟であるキリルとジェシカさんと三人兄弟として…。
「急な話で驚かせてすまない。
聖女のお披露目の夜会が終わるまで、
神官隊長の身分は明かしてはいけないことになっていて。
今回の騒ぎが無くても、夜会が終わったら名乗る予定だった。
…だが、まさか身内があのような愚かな真似をするとは…。
二人には本当に迷惑をかけてすまなかった。」
あーなるほど。国王は父親で、今の王妃は義理の母親になるんだ。
それでダニエル王子は異母弟…身内っちゃ身内よね。
でもなぁ。
「でも、カインとは関係ないよね?」
「うん、私もそう思う。
カインさんはもう王家から出て、キリルの兄として育ったんでしょ?
じゃあ、もう関係ないんじゃない?」
「それはそうなんだが…血のつながりはあるし…。」
「え?それって、キリルさんとジェシカさんとも従兄弟なんだよね?
そっちの血のつながりのほうが大事じゃない?
しかもずっと一緒に暮らしてたんでしょ?」
「うん、カインさんがキリルとジェシカさんと兄弟だって言うのは、
見た目とかじゃなくて話し方とか態度とかでわかるんだけど、
あのダニエルって王子は血がつながっているようには感じなかった。
一緒に暮らしてもいないなら、もう関係ないと思う。」
「そう言ってもらえるなら…気は楽になるが。」
「じゃあ、それでいいよね。
カインと王家は関係ない。」
そう言い切った美里に、私も大きくうなずいて肯定する。
あんなダメ王子とカインさんを一緒にするつもりはない。
血のつながりがあるとはいえ、それでカインさんが謝るのはおかしいと思う。
そんな風に言いきった私たちに、カインさんがほっとするのがわかった。
「ありがとう。」
「ん?」
お礼を言ったのは、キリルだった。
隣を見たら、キリルがものすごくうれしそうに笑う。
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