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神の力
14.王族と聖女
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「ありがとう。」
「ん?」
お礼を言ったのは、キリルだった。
隣を見たら、キリルがものすごくうれしそうに笑う。
「俺とジェシカがカイン兄さんと兄弟に見えるって言ってくれて、
とてもうれしいんだ。二人ともありがとう。
カイン兄さんが王宮にいた頃から兄さんって呼んでたし、
俺にとってはずっと兄さんに変わりなかった。
だけど、血のつながりではダニエルとハイドンが弟だってことには変わらないから、
ちょっとだけ気にしてたかもしれない。」
「なんだ…そんな風に思ってたのか。
俺にとっての家族はハーデリア家で、
俺の兄弟はキリルとジェシカだ。
…一応は王族としての責任もあるから、ハイドンは気にしているけどな。
弟という風に接することはないだろう。」
兄弟愛を確認し合うキリルとカインさんに、
私と美里はにやにやしながら見守る気持ちになる。
一人っ子だったから、こんな風に兄弟で仲良しって言うのはあこがれだったな。
「あれ?じゃあ、なんであの令嬢は王妃にって言ってたの?」
「ん?美里、あの令嬢って夜会の時にからまれてた令嬢?」
「そう!ものすごい高飛車な感じのお嬢様!
王妃となってカイン様をお支えする!とか言っちゃって。
だからカインが国王なのかと思ったんだけど。」
「モンペール公爵家はカイン兄さんに王太子になってほしいって思ってるからだよ。
カイン兄さんは公爵家に戻されたことで、
王位継承順位はダニエルのほうが上なんだけどね。
ハイドンは二位、カイン兄さんが三位、一応俺も四位だ。」
「キリルも王族なの?」
「お祖父様が王弟なんだ。
この国では王族の孫の男子までは王位継承権が与えられるんだ。
だから、俺にも王位継承権があるんだよね。
ジェシカには無いし、俺の子が生まれても無いんだけど。」
「…なんだか王位継承権がとか、王太子がとか言われても、
よくわかんないんだけど。
でも、カインさんが第一王子って聞いても違和感なかった。
理想の王子様みたいだなって思ってたから。」
「わかる!カインもキリルさんも王子様っぽい!」
「…王子さまっぽい。喜ぶところなのかな?」
なんだか微妙な顔でカインさんが首をかしげるのを見て、
そんな仕草も王子様っぽくて笑ってしまう。
キリルが王子様っぽいとはあまり思わなかったけれど、
高貴な出なのかなとは感じていた。
公爵家だと言われたら納得だ。
「それで…今回のことは神官宮から抗議するんだが、
おそらくダニエル王子は王太子に承認されない。」
「夜会でも言ってたね。承認って神官宮がするの?」
「ちょっと、これを見てくれる?」
カインさんが出してきた紙はこの世界の地図だった。
真ん中に丸があって、その丸を囲むように五国がある。
まるで花弁のように見えるその形に地図だとは言われるまでわからなかった。
「このようにこの国、ルリネガラは五国に囲まれている。
いわば、いつどの国から戦争を仕掛けられてもおかしくない。
たとえば、挟み込むように二国から攻められたら一瞬で勝負がつく。」
「そっか…他の五国はどこにいくにもこの国を通る。
どこの国からも欲しい土地なんだ。」
「そう。この国を手に入れたら、その国が一番の大国になるだろう。
だが、どの国も欲しがっているこの国を手に入れたら、
この世界全土で戦争が起きる可能性もある。
さすがにそれはどの国も望んでいない。
それに…この国にしか聖女は戻ってこない。
この国で戦争が起きて聖女が巻き込まれたとしたら、
世界が瘴気でおおわれてしまう可能性だってある。
だから、この世界は六か国条約というもので守ることになった。」
「六か国条約?」
「ん?」
お礼を言ったのは、キリルだった。
隣を見たら、キリルがものすごくうれしそうに笑う。
「俺とジェシカがカイン兄さんと兄弟に見えるって言ってくれて、
とてもうれしいんだ。二人ともありがとう。
カイン兄さんが王宮にいた頃から兄さんって呼んでたし、
俺にとってはずっと兄さんに変わりなかった。
だけど、血のつながりではダニエルとハイドンが弟だってことには変わらないから、
ちょっとだけ気にしてたかもしれない。」
「なんだ…そんな風に思ってたのか。
俺にとっての家族はハーデリア家で、
俺の兄弟はキリルとジェシカだ。
…一応は王族としての責任もあるから、ハイドンは気にしているけどな。
弟という風に接することはないだろう。」
兄弟愛を確認し合うキリルとカインさんに、
私と美里はにやにやしながら見守る気持ちになる。
一人っ子だったから、こんな風に兄弟で仲良しって言うのはあこがれだったな。
「あれ?じゃあ、なんであの令嬢は王妃にって言ってたの?」
「ん?美里、あの令嬢って夜会の時にからまれてた令嬢?」
「そう!ものすごい高飛車な感じのお嬢様!
王妃となってカイン様をお支えする!とか言っちゃって。
だからカインが国王なのかと思ったんだけど。」
「モンペール公爵家はカイン兄さんに王太子になってほしいって思ってるからだよ。
カイン兄さんは公爵家に戻されたことで、
王位継承順位はダニエルのほうが上なんだけどね。
ハイドンは二位、カイン兄さんが三位、一応俺も四位だ。」
「キリルも王族なの?」
「お祖父様が王弟なんだ。
この国では王族の孫の男子までは王位継承権が与えられるんだ。
だから、俺にも王位継承権があるんだよね。
ジェシカには無いし、俺の子が生まれても無いんだけど。」
「…なんだか王位継承権がとか、王太子がとか言われても、
よくわかんないんだけど。
でも、カインさんが第一王子って聞いても違和感なかった。
理想の王子様みたいだなって思ってたから。」
「わかる!カインもキリルさんも王子様っぽい!」
「…王子さまっぽい。喜ぶところなのかな?」
なんだか微妙な顔でカインさんが首をかしげるのを見て、
そんな仕草も王子様っぽくて笑ってしまう。
キリルが王子様っぽいとはあまり思わなかったけれど、
高貴な出なのかなとは感じていた。
公爵家だと言われたら納得だ。
「それで…今回のことは神官宮から抗議するんだが、
おそらくダニエル王子は王太子に承認されない。」
「夜会でも言ってたね。承認って神官宮がするの?」
「ちょっと、これを見てくれる?」
カインさんが出してきた紙はこの世界の地図だった。
真ん中に丸があって、その丸を囲むように五国がある。
まるで花弁のように見えるその形に地図だとは言われるまでわからなかった。
「このようにこの国、ルリネガラは五国に囲まれている。
いわば、いつどの国から戦争を仕掛けられてもおかしくない。
たとえば、挟み込むように二国から攻められたら一瞬で勝負がつく。」
「そっか…他の五国はどこにいくにもこの国を通る。
どこの国からも欲しい土地なんだ。」
「そう。この国を手に入れたら、その国が一番の大国になるだろう。
だが、どの国も欲しがっているこの国を手に入れたら、
この世界全土で戦争が起きる可能性もある。
さすがにそれはどの国も望んでいない。
それに…この国にしか聖女は戻ってこない。
この国で戦争が起きて聖女が巻き込まれたとしたら、
世界が瘴気でおおわれてしまう可能性だってある。
だから、この世界は六か国条約というもので守ることになった。」
「六か国条約?」
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