66 / 142
聖女としての働き
5.お互いに
しおりを挟む
「……ねぇ~もう一回やってみてくれない?」
抱き合っている私とキリルを止めたのは、美里だった。
キラキラと目を輝かせながら神剣を持っている。
「え?」
「神剣になるとこ、ちゃんと見せてくれない?
神剣がどういうものなのかはわかった。
悠里たちの神力の流れがわかったら、私もできる気がする。」
「そっか。美里も実物を見たことが無かったから難しかったんだ。
じゃあ、もう一度やってみるね。」
新しい真っ白な剣を取ると、キリルと先ほどの動きを繰り返す。
今度は蛇が動くのを落ち着いてみていられた。
青と白の蛇がくねりながら剣の周りを動いていく。
その交差する時に剣に力が定着していくのがわかった。
「うん、なんとなくわかった気がする。
私とカインの力を交差させるようにして定着させるんだね。」
「よし、やってみよう。」
美里とカインさんもすぐに剣をもって付加しようとしたが、
完全に定着させるのは難しいようで、何度も失敗を繰り返した。
剣が神力に反応して光るところまでは行くのだが、そのまま光は弱まっていく。
剣は神剣にはならず、元に戻ってしまう。
「うーん。すぐには難しい?」
「多分、力が一定じゃないのと、弱い?」
なんとなく見えている神力はふわふわしている気がする。
二人の神力は濃度が薄いような、雲のような感じ?
私とキリルの神力は蛇に蓄えていたからか濃縮されているような気がする。
それを伝えると、カインさんは思い当たるところがあったようで、
一度付加するのを止めようと美里に言った。
「神力の濃さが問題なんだろう。
もっと練って、強い力になってから付加しよう。
大丈夫、コツはつかめただろう?
すぐにミサトもできるようになる。」
「そっか。もっと強い力にしなきゃダメなんだ。
悠里が見てくれたからダメなとこがわかったし、今日はすごく進んだね。
ホント毎日何すればいいのかもわかんなくて飽き始めちゃってたから、
悠里が来てくれてよかった。」
屈託なく笑う美里に、昨日まであんなに落ち込んでいた自分が馬鹿みたいに思う。
もっと美里に相談したりすればよかった。せっかく聖女が二人いるんだから。
「じゃあ、ちょっと違う場所で神力の修行してこよう。
ユウリたちはこのまま神剣作っててよ。
これで各地に送る計画を立てられそうだな。」
「そうだな。まぁ、初日だし、ゆっくり作っておくよ。」
「あぁ、頼んだ。」
剣を置いてどこかに行く二人を見送り、キリルと向き合う。
「キリル、昨日までごめん。
一人で勝手に悩んで、勝手に落ち込んでた。
もっとキリルや美里たちにも頼ればよかったんだ。」
「悩んでたのはわかったけど、ユウリを泣かせちゃってごめん。
もっと俺に頼ってくれたらいいのにって、俺も焦ってた。」
「キリルも?」
「そうだよ。ユウリが役に立たないって悩んでいるのと同じくらい、
俺もユウリの役に立ってないって悩んでた。
…だから、次はお互いにもっと話そう?」
「うん。そうするね。」
そうか。聖女である私を導くのがキリルの仕事だった。
私ができなくて落ち込んでいたのと同じように、キリルも悩んでいたんだ。
…対の魂というくらいだから、性格も似ているんだろうか。
お互いに自分のできないところばかり見て、相談もうまくできなかった。
次はもう一人で悩まないようにしよう。
少なくともキリルにはちゃんと話すことにしよう。
私たちは二人で一つの存在なのだから。
抱き合っている私とキリルを止めたのは、美里だった。
キラキラと目を輝かせながら神剣を持っている。
「え?」
「神剣になるとこ、ちゃんと見せてくれない?
神剣がどういうものなのかはわかった。
悠里たちの神力の流れがわかったら、私もできる気がする。」
「そっか。美里も実物を見たことが無かったから難しかったんだ。
じゃあ、もう一度やってみるね。」
新しい真っ白な剣を取ると、キリルと先ほどの動きを繰り返す。
今度は蛇が動くのを落ち着いてみていられた。
青と白の蛇がくねりながら剣の周りを動いていく。
その交差する時に剣に力が定着していくのがわかった。
「うん、なんとなくわかった気がする。
私とカインの力を交差させるようにして定着させるんだね。」
「よし、やってみよう。」
美里とカインさんもすぐに剣をもって付加しようとしたが、
完全に定着させるのは難しいようで、何度も失敗を繰り返した。
剣が神力に反応して光るところまでは行くのだが、そのまま光は弱まっていく。
剣は神剣にはならず、元に戻ってしまう。
「うーん。すぐには難しい?」
「多分、力が一定じゃないのと、弱い?」
なんとなく見えている神力はふわふわしている気がする。
二人の神力は濃度が薄いような、雲のような感じ?
私とキリルの神力は蛇に蓄えていたからか濃縮されているような気がする。
それを伝えると、カインさんは思い当たるところがあったようで、
一度付加するのを止めようと美里に言った。
「神力の濃さが問題なんだろう。
もっと練って、強い力になってから付加しよう。
大丈夫、コツはつかめただろう?
すぐにミサトもできるようになる。」
「そっか。もっと強い力にしなきゃダメなんだ。
悠里が見てくれたからダメなとこがわかったし、今日はすごく進んだね。
ホント毎日何すればいいのかもわかんなくて飽き始めちゃってたから、
悠里が来てくれてよかった。」
屈託なく笑う美里に、昨日まであんなに落ち込んでいた自分が馬鹿みたいに思う。
もっと美里に相談したりすればよかった。せっかく聖女が二人いるんだから。
「じゃあ、ちょっと違う場所で神力の修行してこよう。
ユウリたちはこのまま神剣作っててよ。
これで各地に送る計画を立てられそうだな。」
「そうだな。まぁ、初日だし、ゆっくり作っておくよ。」
「あぁ、頼んだ。」
剣を置いてどこかに行く二人を見送り、キリルと向き合う。
「キリル、昨日までごめん。
一人で勝手に悩んで、勝手に落ち込んでた。
もっとキリルや美里たちにも頼ればよかったんだ。」
「悩んでたのはわかったけど、ユウリを泣かせちゃってごめん。
もっと俺に頼ってくれたらいいのにって、俺も焦ってた。」
「キリルも?」
「そうだよ。ユウリが役に立たないって悩んでいるのと同じくらい、
俺もユウリの役に立ってないって悩んでた。
…だから、次はお互いにもっと話そう?」
「うん。そうするね。」
そうか。聖女である私を導くのがキリルの仕事だった。
私ができなくて落ち込んでいたのと同じように、キリルも悩んでいたんだ。
…対の魂というくらいだから、性格も似ているんだろうか。
お互いに自分のできないところばかり見て、相談もうまくできなかった。
次はもう一人で悩まないようにしよう。
少なくともキリルにはちゃんと話すことにしよう。
私たちは二人で一つの存在なのだから。
応援ありがとうございます!
25
お気に入りに追加
2,674
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる