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聖女としての働き
8.王妃への罰
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会話している間も、扉の向こうが騒がしい。
予測通りではあるが、こうも相手が愚かだと気が滅入る。
神官隊員が止めきれなかったのか、王妃が侍女を引き連れて入ってくる。
栗色の髪をしっかりと巻いて強調し、それに負けないくらいはっきりとした化粧。
すぐにわかるキツイ香水。夜会なのかと思うくらい露出している赤いドレス。
「キリル!やっと神官宮から出てきたのね!
何度も呼んだというのに、どうして来ないの!
でも、まぁ、ここに来たということはちゃんと反省したのよね?」
「下がれ。」
「は?なんですって?」
「お前は呼んでいない。
国王との話し合いの邪魔だ。今すぐに出ていけ。」
一応は、最後のチャンスを与える。
ここで謝って出ていくのならば、もう少し様子を見る。
これでも身分を理解できないのであれば、手加減はしない。
何を言われたのか理解した王妃は一瞬で真っ赤になると、
キィキィとした声で怒鳴り散らした。
「なんですって!王妃に向かって、何様なの!
今すぐひれ伏して謝りなさい!聞いているの!?」
スッと手を挙げると、待機していた神官隊員が数人で王妃を取り囲む。
周りにいる侍女が騒いだが、それも神官隊員が力づくで押さえつけた。
何人かの悲鳴が上がったが、気にせずに王妃に告げる。
「神官隊長として、強制権を発動する。
王妃マリアの身分をはく奪する。
これよりマリアは王家から籍を外す。
すぐさま貴族牢に幽閉しろ。
王妃に仕えているものはすべて謹慎処分。追って沙汰を待て。」
「何言っているの!そんなこと許さないわ!
陛下、早く何とかして!」
まだ自分は王妃だから助かると思っているのか、
国王に向かって何とかするように叫ぶ。
国王はそちらは一切見ずに、姿勢を正して俺へと深く頭を下げた。
「処分に従います。」
「…っ!!!」
「よし、連れて行け。」
国王が認めたというのにまだ信じられないのか、最後まで抵抗し続ける王妃を、
隊員たちが担ぎ上げるように連れて行った。
遠ざかるのがよくわかるほど、王妃が叫んでいる声が聞こえていた。
それがようやく聞こえなくなると、国王との話を再開する。
国王はうなだれてはいたが、どこかスッキリとした顔をしている。
長年苦しめられてきた王妃がいなくなったことで安堵しているのかもしれない。
もしくは、国王という重責から逃れられると思っているのかもしれないが…。
それについては考えを改めてもらわなければいけない。
「国王はハイドン王子が成人するまで、国王代理とする。
今すぐ仕事を辞められてもハイドンが困るだけだ。」
「国王代理ですか……わかりました。
…では、やはりダニエルは?」
「ダニエルは聖女を危険にさらした。
そして、まだそのことを理解していない。
今でも神官宮に面会しに来ようとしてる。あの女を連れて。」
「…っ。なんということを…。」
「夜会の時点で王太子に指名するのは無理だとは思っていたが…。
ダニエルについては、これ以上理解しないようなら王籍からも外す。」
無言で頭を下げる国王に、了承したとみなす。
「あぁ、そうだ。
元王妃のマリアには前王妃を毒殺した疑いがかけられている。
妃ではなくなった今、取り調べは拒否できない。
おそらく父上が領地から戻ってくるだろう。
今度こそ、伯母上を殺したものを捕まえるために。」
これ以上ないほど国王の顔色が悪くなったのを見て、謁見室から出る。
父上が戻ってきたとしても、もう宰相にはつかないと思うが、
よほどあの時の父上が怖かったと見える。
妃の犯罪は現行犯以外は取り調べることができない。
過去に冤罪で処刑された妃がいる以上、その法は必要なのかもしれないが、
そのせいで元王妃を取り調べることすら叶わなかった。
だが、これでもう王妃ではない。
王妃としての身分をはく奪したのだから、侯爵令嬢としての身分となる。
毒殺した犯人が元王妃だとわかれば、侯爵家ごと取りつぶしになるだろう。
これで…少しでもカイン兄さんの気持ちが楽になればいいのだけど。
予測通りではあるが、こうも相手が愚かだと気が滅入る。
神官隊員が止めきれなかったのか、王妃が侍女を引き連れて入ってくる。
栗色の髪をしっかりと巻いて強調し、それに負けないくらいはっきりとした化粧。
すぐにわかるキツイ香水。夜会なのかと思うくらい露出している赤いドレス。
「キリル!やっと神官宮から出てきたのね!
何度も呼んだというのに、どうして来ないの!
でも、まぁ、ここに来たということはちゃんと反省したのよね?」
「下がれ。」
「は?なんですって?」
「お前は呼んでいない。
国王との話し合いの邪魔だ。今すぐに出ていけ。」
一応は、最後のチャンスを与える。
ここで謝って出ていくのならば、もう少し様子を見る。
これでも身分を理解できないのであれば、手加減はしない。
何を言われたのか理解した王妃は一瞬で真っ赤になると、
キィキィとした声で怒鳴り散らした。
「なんですって!王妃に向かって、何様なの!
今すぐひれ伏して謝りなさい!聞いているの!?」
スッと手を挙げると、待機していた神官隊員が数人で王妃を取り囲む。
周りにいる侍女が騒いだが、それも神官隊員が力づくで押さえつけた。
何人かの悲鳴が上がったが、気にせずに王妃に告げる。
「神官隊長として、強制権を発動する。
王妃マリアの身分をはく奪する。
これよりマリアは王家から籍を外す。
すぐさま貴族牢に幽閉しろ。
王妃に仕えているものはすべて謹慎処分。追って沙汰を待て。」
「何言っているの!そんなこと許さないわ!
陛下、早く何とかして!」
まだ自分は王妃だから助かると思っているのか、
国王に向かって何とかするように叫ぶ。
国王はそちらは一切見ずに、姿勢を正して俺へと深く頭を下げた。
「処分に従います。」
「…っ!!!」
「よし、連れて行け。」
国王が認めたというのにまだ信じられないのか、最後まで抵抗し続ける王妃を、
隊員たちが担ぎ上げるように連れて行った。
遠ざかるのがよくわかるほど、王妃が叫んでいる声が聞こえていた。
それがようやく聞こえなくなると、国王との話を再開する。
国王はうなだれてはいたが、どこかスッキリとした顔をしている。
長年苦しめられてきた王妃がいなくなったことで安堵しているのかもしれない。
もしくは、国王という重責から逃れられると思っているのかもしれないが…。
それについては考えを改めてもらわなければいけない。
「国王はハイドン王子が成人するまで、国王代理とする。
今すぐ仕事を辞められてもハイドンが困るだけだ。」
「国王代理ですか……わかりました。
…では、やはりダニエルは?」
「ダニエルは聖女を危険にさらした。
そして、まだそのことを理解していない。
今でも神官宮に面会しに来ようとしてる。あの女を連れて。」
「…っ。なんということを…。」
「夜会の時点で王太子に指名するのは無理だとは思っていたが…。
ダニエルについては、これ以上理解しないようなら王籍からも外す。」
無言で頭を下げる国王に、了承したとみなす。
「あぁ、そうだ。
元王妃のマリアには前王妃を毒殺した疑いがかけられている。
妃ではなくなった今、取り調べは拒否できない。
おそらく父上が領地から戻ってくるだろう。
今度こそ、伯母上を殺したものを捕まえるために。」
これ以上ないほど国王の顔色が悪くなったのを見て、謁見室から出る。
父上が戻ってきたとしても、もう宰相にはつかないと思うが、
よほどあの時の父上が怖かったと見える。
妃の犯罪は現行犯以外は取り調べることができない。
過去に冤罪で処刑された妃がいる以上、その法は必要なのかもしれないが、
そのせいで元王妃を取り調べることすら叶わなかった。
だが、これでもう王妃ではない。
王妃としての身分をはく奪したのだから、侯爵令嬢としての身分となる。
毒殺した犯人が元王妃だとわかれば、侯爵家ごと取りつぶしになるだろう。
これで…少しでもカイン兄さんの気持ちが楽になればいいのだけど。
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