ひとりぼっちだった魔女の薬師は、壊れた騎士の腕の中で眠る

gacchi(がっち)

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32.色付き

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色付き?知らないので、首を横に振る。
それを見て、少しだけノエルさんが笑った気がした。
また私がおかしなことを言ったんだろうか?

「そうか。貴族の中でしか言わないのかもしれないな。
 俺やユキ様みたいに、髪に色がついている者を言うんだ。
 普通の魔力を持つものは茶色が基本だ。平民たちもそうだろう?
 この国で特別な魔力を持つものは、鮮やかな色を持って生まれてくる。
 青、赤、緑、白、知られている色はそんなところだ。」

「だから色付き?」

「そうだ。色付きは優れたものを指す言葉でもある。
 子どもに受け継がれやすいから、貴族の中で奪い合いになるんだ。
 俺が色付きで生まれた時に、侯爵家を継がせるか迷ったらしい。
 兄や姉は茶色だから。でも、母親の生家の公爵家が俺を欲しがった。
 公爵家には子どもがいなかったから、10歳で養子になる予定だった。
 だが、従妹が生まれたことで、婚約して婿になることが決まった。」

私をあやすように頭を撫でたり、髪をすいたりしながら、
ノエルさんが昔話をするように話してくれる。

「魔獣の大発生で、俺は顔に傷を負い、魔力の器が壊れ、
 魔獣の毒で穢れた結果、髪や目の色が変わってしまった。
 俺の色付きの価値がすべて無くなってしまったんだ。
 公爵家から婚約解消の話が来て、もちろん養子とかの話も消えた。
 侯爵家にいても、腫物を扱うような状況に嫌気がさした。
 だから家を出ることにして、縁を切った。

 青の騎士として、本来は侯爵の位を持っていたが、それも返上した。
 魔剣も扱えない騎士が色騎士を名乗ることは許されない。
 近衛騎士として拾ってもらわなかったら、仕事も無くなっていただろう。
 でも、それでもいいかと思ってた。
 平民になって、旅に出るのもいいかもしれないと思った。
 ユキ様に止められなかったら、そうしていたと思う。」

「ユキ様に?」

「ああ。ユキ様は先代国王の王姉だ。つまり、俺の祖母の姉にあたる。
 親戚でもある俺のことが心配だったんだろう。
 魔力の器が壊れたまま旅に出るのは危険だと言って、
 近衛騎士としてユキ様付きにしてくれたんだ。
 ユキ様は王城から出ない人だから、あまり仕事はなかったけどね。」

そういえばユキ様は王女だって言ってた。
…先代陛下はもう亡くなっているはず。姉って…ユキ様何歳なんだろう。

「もう落ち着いたか?安心していいよ。
 ルーラのことだから、婚約者がいるのに儀式をさせてしまった、とか思って、
 申し訳なくてつらくなったんだろう?
 気にしなくていい。婚約は解消されているし、そんな相手はいないから。
 俺はずっとルーラのそばにいるよ。」

抱きしめてくれる腕に安心して寄りかかる。良かった…。
でも、そういえば気になっていることがあった。

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