ひとりぼっちだった魔女の薬師は、壊れた騎士の腕の中で眠る

gacchi(がっち)

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78.親子

「…そうか、3つ上か。
 ルーラ、私が18歳になったら妃になってくれないか?」

「は?」

「兄上、ずるい!俺もルーラを妃にしたい!」

「そうだよ!6つ上だって全然かまわない。俺の妃になって!」

「うるさい!俺が王太子になるんだろうから、俺が優先だ!
 お前たち公爵になったら一人しか娶れないだろう!」

「ルーラなら一人でいい!」

「そうだよ、ルーラに選んでもらおう!」

「「「ルーラ、誰が良い!?」」」

後ろでノエルさんから殺気が…。ユキ様、お腹抱えて笑ってないで止めてください。
えー?これ、どうしたらいいんですか?


「…あの、まだ16歳ですけど、結婚してます。」

「「「はぁ?」」」

「申し訳ありません。」

「そんなの離縁しちゃえばいいだろう?
 王子よりもいい結婚があるのかよ。」

「そうだよ、王妃になれるんだよ?」

「公爵夫人だっていいと思わない?」

ええぇ?断ってもダメなんですか。
ユキ様はニヤニヤ笑って止める気ないですね。もう。
ため息をついたら、後ろから抱きしめられた。
いつも公式の場では護衛に徹しているノエルさんなのに、どうしたの?
見上げたら、ノエルさんが良い笑顔でキレているのがわかった。

「王子、俺の妻に何か?」

「えっ?」

「ルーラは俺の妻ですけど、何か御用ですか?」

「青の騎士が!?」

「うそだろ…。」

殺気を隠さないノエルさんに、王子たちは真っ青になって慌てている。
王子を守る近衛騎士の方々は…笑いをこらえている。お願い、止めて…。
そうか、ノエルさんは近衛騎士にいたこともあるし、騎士団に育てられたって言ってた。
ここにいる騎士たちはみなさんノエルさんの知り合いなんだ。
私と結婚していることも知っていたはず。で、笑って見てるんですか?


「えーっと、この通り、青の騎士のノエルさんと結婚しておりますし、
 王族に嫁ぎたいと思ったこともございません。
 離縁する予定は全くありません。ということで、よろしいでしょうか?」

「…ああ。」

「青の騎士…ごめんなさい。」

「無かったことに…。」


「まーったく、親子だな。ホントに似すぎてる。あはははは。
 陛下もルーラに求婚して振られてたぞ。
 性格も女の好みも一緒とは。面白過ぎるな。」

父親と一緒と言われ、複雑なのか王子たちは見合わせて気まずそうにしている。

「お前たちの命を預かる大事な王宮薬師長だ。
 結婚相手になんてできないぞ。まぁ、それ以前にノエルがいるから無理だがな。
 まぁ、忘れな。結婚なんてあと数年早いわ。」

がははっと笑うユキ様ともう笑いをこらえない近衛騎士。
王子たちは真っ赤になっていて、少し可哀そうだ。
だけどここまで笑われたら、もうこんなことは言い出さないだろう。
この後は処方しても女官に渡して終わりなので、王子たちと顔を会わせることも無い。
恥ずかしい思い出になってしまったが、一応挨拶は済んだ。

まだ少し威嚇しているノエルさんをなだめて、ユキ様と部屋を出た。
ユキ様の笑いはしばらく収まらず、
塔に帰った後、ミラさんたちも笑いが止まらなかった。


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