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3、悪役令嬢誕生
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リーフ家へ着いて、真っ先にむかったのは厨房だった。
走りながら、魔法でドレスから平民の着るようなワンピースに着がえる。
「魔法に頼って、生活するのはやめなさい」
こんなところを継母のカーラに見られたら、こう言って叱られるだろうけど。
なぜって。
マリーンが当主になる時、私の魔力を全部譲ることになっているからだ。
この国では、親族間にかぎってそういう事が許されている。
将来はマリーンがリーフ伯爵家を継ぐことになってはいるが、マリーンの魔力は驚くほど乏しい。
この国では、貴族の力は魔力できまるから、少しでもマリーンの魔力をあげたいのだろう。
けど、マリーンが家を継ぐなんて無謀な事なのだ。
じゃあ、なぜ、そうなったかというと。
私がとんでもない悪役令嬢だからだ。
もちろん、本当はそうじゃない。
自分の実子を当主にしたいカーラが、私の悪口を邸の者達に吹聴させて、世間にそう思わせたのだ。
「アイリーン様は魔法で、妹を火破りにしようとしていたんです」
「アイリーン様は、幼いマリーン様をおし倒すと背中を踏みつけにしていたんです。
本当のお母様のいらっしゃるマリーン様を、妬んでいるのでしょ」
使用人達は、使用人ネットワークを使って、私に関する嘘を広めていった。
そんな環境にいれば、当然マリーンもそうなる。
あれは、マリーンが貴族学園の初等部に入学したての頃だった。
「『マリーンだけ、本当のお母様がいるのはずるい』って、毎日お姉様にぶたれているの」
マリーンは、自分で自分の顔や身体に青アザをつくっては、先生や友達の前で目をうるませる。
どんなに私が真実を言っても、誰も信じてはくれなかった。
それは黒髪、琥珀色の瞳をもつマリーンが地味な印象の女の子だったから、大胆な嘘をつくように見えなかった。
それもあるだろう。
けど、1番の理由はカーラだ。
「これはうちの子供達がいつもご心配をおかけしている、おわびでございますわ。え、アイリーンの件ですか?
残念ながら、マリーンの言っている通りです。
私が、亡くなった姉の子だと思って、甘やかしたから、アイリーンがあんな風に育ってしまったのでしょう。
後悔しておりますの」
と、泣きをいれながら、学園長に莫大な寄付を渡していたらしいから。
「カーラは、アイリーンのお母様が稼いだお金を湯水のように使っているよ」
と、ミーナが教えてくれた。
ミーナは姿がえの魔法が使える。
蝶々になって遊んでいる時、学園長の部屋に迷いこんで、偶然2人の会話を耳にしたようだ。
結局、私は皆の激しいイジメにあい、学園を中退した。
「困ったものですわ。
イジメられてるなんて、アイリーンの嘘ですわ。
学園でワガママが通らなくなったから、行きたくないだけなのよ。
それでね。
主人と相談して、アイリーンをしばらく留学させることにしたのよ」
カーラは表向きは、こう言っていたらしいけれど、もちろん実際はちがう。
邸の離れに私を追い払うと、使用人達と同じ仕事をさせた。
もちろん、社交界デビューもなしだ。
こうして、悪役令嬢アイリーンはつくられた。
走りながら、魔法でドレスから平民の着るようなワンピースに着がえる。
「魔法に頼って、生活するのはやめなさい」
こんなところを継母のカーラに見られたら、こう言って叱られるだろうけど。
なぜって。
マリーンが当主になる時、私の魔力を全部譲ることになっているからだ。
この国では、親族間にかぎってそういう事が許されている。
将来はマリーンがリーフ伯爵家を継ぐことになってはいるが、マリーンの魔力は驚くほど乏しい。
この国では、貴族の力は魔力できまるから、少しでもマリーンの魔力をあげたいのだろう。
けど、マリーンが家を継ぐなんて無謀な事なのだ。
じゃあ、なぜ、そうなったかというと。
私がとんでもない悪役令嬢だからだ。
もちろん、本当はそうじゃない。
自分の実子を当主にしたいカーラが、私の悪口を邸の者達に吹聴させて、世間にそう思わせたのだ。
「アイリーン様は魔法で、妹を火破りにしようとしていたんです」
「アイリーン様は、幼いマリーン様をおし倒すと背中を踏みつけにしていたんです。
本当のお母様のいらっしゃるマリーン様を、妬んでいるのでしょ」
使用人達は、使用人ネットワークを使って、私に関する嘘を広めていった。
そんな環境にいれば、当然マリーンもそうなる。
あれは、マリーンが貴族学園の初等部に入学したての頃だった。
「『マリーンだけ、本当のお母様がいるのはずるい』って、毎日お姉様にぶたれているの」
マリーンは、自分で自分の顔や身体に青アザをつくっては、先生や友達の前で目をうるませる。
どんなに私が真実を言っても、誰も信じてはくれなかった。
それは黒髪、琥珀色の瞳をもつマリーンが地味な印象の女の子だったから、大胆な嘘をつくように見えなかった。
それもあるだろう。
けど、1番の理由はカーラだ。
「これはうちの子供達がいつもご心配をおかけしている、おわびでございますわ。え、アイリーンの件ですか?
残念ながら、マリーンの言っている通りです。
私が、亡くなった姉の子だと思って、甘やかしたから、アイリーンがあんな風に育ってしまったのでしょう。
後悔しておりますの」
と、泣きをいれながら、学園長に莫大な寄付を渡していたらしいから。
「カーラは、アイリーンのお母様が稼いだお金を湯水のように使っているよ」
と、ミーナが教えてくれた。
ミーナは姿がえの魔法が使える。
蝶々になって遊んでいる時、学園長の部屋に迷いこんで、偶然2人の会話を耳にしたようだ。
結局、私は皆の激しいイジメにあい、学園を中退した。
「困ったものですわ。
イジメられてるなんて、アイリーンの嘘ですわ。
学園でワガママが通らなくなったから、行きたくないだけなのよ。
それでね。
主人と相談して、アイリーンをしばらく留学させることにしたのよ」
カーラは表向きは、こう言っていたらしいけれど、もちろん実際はちがう。
邸の離れに私を追い払うと、使用人達と同じ仕事をさせた。
もちろん、社交界デビューもなしだ。
こうして、悪役令嬢アイリーンはつくられた。
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