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57、最強の聖女
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教会の最奥にある礼拝堂につくと、すでにいらっしゃった神父様が十字架の前に置かれた大きな石を指さした。
「アナタがあの石に手を置いた瞬間、石の色が変わります。
その色で魔力の種類や力の程度がわかるのです。
が、ここ数年魔力を持っている人間は見つかってません。
だから。もしアナタが魔力持ちじゃなくても、気になさらないでください。
では、あの石の上に手を置いてください」
「はい」
言われたとおり石の上に手を置いた瞬間、神父様は叫び声をあげて凍り付く。
「なんとアナタの魔力は強すぎて測定不可能のようだ!
この色は奇跡の色と呼ばれているんですよ。
長い間ここにいますが、おめにかかるのは私も初めてです」
私の髪や瞳と同じ色が奇跡の色だなんて言われてとても喜しかったけれど、
「え? そうなんですか」
と、銀や金、ピンク色に色を変えながら輝く石を見て首を傾げた。
「やっぱりね。
僕の思ったとおりになった」
満足そうに笑うフラン様に、落ち着きをとり戻した神父様がとんでもない提案をする。
「そうとなれば、さっそく聖女教育にとりくんではいかがでしょう。
これほどの魔力ならばさして時間もかからないでしょうから」
えええ。私が聖女様って。
似合わないにもほどがあるでしょ。
とまどう私の肩をフラン様がそっと抱きしめて耳元でささやく。
「たしかにこの国に聖女は必要だけど、アイリーンに無理強いはしたくない。
嫌なら断ってもいいんだよ」
少し憂いをおびた綺麗な顔で、思いやりたっぷりの言葉を言われたらこう言うしかない。
「私でよかったら、ぜひ聖女にさせてください。
聖女にしかできない仕事をして、フラン様のサクラダの力になりたいの」
フラン様のって部分にちょっと力がはいる。
「ほんとにいいのかい。アイリーン。
聖女の仕事は大変だぞ」
コクンと大きく頷く私を、「ありがとう。なんでも協力するよ」とフラン様は抱きしめた。
どんな時でもフラン様の胸の中は最高の居場所だ。
気持ちがとろけそうになっていると、近くからドスンと大きな音がする。
あわてて音の方へ視線を移せば、神父様が何冊もの分厚い本を床に積んでいっていた。
「お取り込み中なんですが、時間がありませんので。
今からさっそく聖女教育を始めます。
この本を上から順番に呼んでください」
「まあ、なんて立派な本なの。
私がリトルドリームで扱っていた本とは段違いね」
「はて。リトルドリームとは?」
神父様は顎に手をそえて、天井を見上げて悩んでいる。
その間に私は一番上の本を手にとってみた。
「なるほど。
興味深いわね」
アッというまに一冊を読破すると、次々に下にある本に手をのばす。
「神父様。全部読み終わりました」
最後の本を読み終わると、神父様に声をかける。
「実はこの本は読み手が内容を理解していないと、ページがめくれないようになっている。
ふつうの聖女候補なら、これだけの本を読み終えるのに数年は要する。
けど、やはりアナタは凄い。
これで聖女教育はおわりです。
フラン様。
サクラダに最強の聖女が誕生しました」
「聖女ってだけでおこがましいのに、最強だなんて言われると恥ずかしいです」
耳たぶまで真っ赤にして照れていると、礼拝堂の扉が荒々しく開かれた。
「たいへんだ!
岬の村の結界がもうもたない」
弾かれるよう飛び込んできたのは、キキとその部下達だ。
「わかったわ。
岬の村へ案内してください」
さっそく聖女としての仕事が始まった。
「アナタがあの石に手を置いた瞬間、石の色が変わります。
その色で魔力の種類や力の程度がわかるのです。
が、ここ数年魔力を持っている人間は見つかってません。
だから。もしアナタが魔力持ちじゃなくても、気になさらないでください。
では、あの石の上に手を置いてください」
「はい」
言われたとおり石の上に手を置いた瞬間、神父様は叫び声をあげて凍り付く。
「なんとアナタの魔力は強すぎて測定不可能のようだ!
この色は奇跡の色と呼ばれているんですよ。
長い間ここにいますが、おめにかかるのは私も初めてです」
私の髪や瞳と同じ色が奇跡の色だなんて言われてとても喜しかったけれど、
「え? そうなんですか」
と、銀や金、ピンク色に色を変えながら輝く石を見て首を傾げた。
「やっぱりね。
僕の思ったとおりになった」
満足そうに笑うフラン様に、落ち着きをとり戻した神父様がとんでもない提案をする。
「そうとなれば、さっそく聖女教育にとりくんではいかがでしょう。
これほどの魔力ならばさして時間もかからないでしょうから」
えええ。私が聖女様って。
似合わないにもほどがあるでしょ。
とまどう私の肩をフラン様がそっと抱きしめて耳元でささやく。
「たしかにこの国に聖女は必要だけど、アイリーンに無理強いはしたくない。
嫌なら断ってもいいんだよ」
少し憂いをおびた綺麗な顔で、思いやりたっぷりの言葉を言われたらこう言うしかない。
「私でよかったら、ぜひ聖女にさせてください。
聖女にしかできない仕事をして、フラン様のサクラダの力になりたいの」
フラン様のって部分にちょっと力がはいる。
「ほんとにいいのかい。アイリーン。
聖女の仕事は大変だぞ」
コクンと大きく頷く私を、「ありがとう。なんでも協力するよ」とフラン様は抱きしめた。
どんな時でもフラン様の胸の中は最高の居場所だ。
気持ちがとろけそうになっていると、近くからドスンと大きな音がする。
あわてて音の方へ視線を移せば、神父様が何冊もの分厚い本を床に積んでいっていた。
「お取り込み中なんですが、時間がありませんので。
今からさっそく聖女教育を始めます。
この本を上から順番に呼んでください」
「まあ、なんて立派な本なの。
私がリトルドリームで扱っていた本とは段違いね」
「はて。リトルドリームとは?」
神父様は顎に手をそえて、天井を見上げて悩んでいる。
その間に私は一番上の本を手にとってみた。
「なるほど。
興味深いわね」
アッというまに一冊を読破すると、次々に下にある本に手をのばす。
「神父様。全部読み終わりました」
最後の本を読み終わると、神父様に声をかける。
「実はこの本は読み手が内容を理解していないと、ページがめくれないようになっている。
ふつうの聖女候補なら、これだけの本を読み終えるのに数年は要する。
けど、やはりアナタは凄い。
これで聖女教育はおわりです。
フラン様。
サクラダに最強の聖女が誕生しました」
「聖女ってだけでおこがましいのに、最強だなんて言われると恥ずかしいです」
耳たぶまで真っ赤にして照れていると、礼拝堂の扉が荒々しく開かれた。
「たいへんだ!
岬の村の結界がもうもたない」
弾かれるよう飛び込んできたのは、キキとその部下達だ。
「わかったわ。
岬の村へ案内してください」
さっそく聖女としての仕事が始まった。
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