58 / 60
57、最強の聖女
しおりを挟む
教会の最奥にある礼拝堂につくと、すでにいらっしゃった神父様が十字架の前に置かれた大きな石を指さした。
「アナタがあの石に手を置いた瞬間、石の色が変わります。
その色で魔力の種類や力の程度がわかるのです。
が、ここ数年魔力を持っている人間は見つかってません。
だから。もしアナタが魔力持ちじゃなくても、気になさらないでください。
では、あの石の上に手を置いてください」
「はい」
言われたとおり石の上に手を置いた瞬間、神父様は叫び声をあげて凍り付く。
「なんとアナタの魔力は強すぎて測定不可能のようだ!
この色は奇跡の色と呼ばれているんですよ。
長い間ここにいますが、おめにかかるのは私も初めてです」
私の髪や瞳と同じ色が奇跡の色だなんて言われてとても喜しかったけれど、
「え? そうなんですか」
と、銀や金、ピンク色に色を変えながら輝く石を見て首を傾げた。
「やっぱりね。
僕の思ったとおりになった」
満足そうに笑うフラン様に、落ち着きをとり戻した神父様がとんでもない提案をする。
「そうとなれば、さっそく聖女教育にとりくんではいかがでしょう。
これほどの魔力ならばさして時間もかからないでしょうから」
えええ。私が聖女様って。
似合わないにもほどがあるでしょ。
とまどう私の肩をフラン様がそっと抱きしめて耳元でささやく。
「たしかにこの国に聖女は必要だけど、アイリーンに無理強いはしたくない。
嫌なら断ってもいいんだよ」
少し憂いをおびた綺麗な顔で、思いやりたっぷりの言葉を言われたらこう言うしかない。
「私でよかったら、ぜひ聖女にさせてください。
聖女にしかできない仕事をして、フラン様のサクラダの力になりたいの」
フラン様のって部分にちょっと力がはいる。
「ほんとにいいのかい。アイリーン。
聖女の仕事は大変だぞ」
コクンと大きく頷く私を、「ありがとう。なんでも協力するよ」とフラン様は抱きしめた。
どんな時でもフラン様の胸の中は最高の居場所だ。
気持ちがとろけそうになっていると、近くからドスンと大きな音がする。
あわてて音の方へ視線を移せば、神父様が何冊もの分厚い本を床に積んでいっていた。
「お取り込み中なんですが、時間がありませんので。
今からさっそく聖女教育を始めます。
この本を上から順番に呼んでください」
「まあ、なんて立派な本なの。
私がリトルドリームで扱っていた本とは段違いね」
「はて。リトルドリームとは?」
神父様は顎に手をそえて、天井を見上げて悩んでいる。
その間に私は一番上の本を手にとってみた。
「なるほど。
興味深いわね」
アッというまに一冊を読破すると、次々に下にある本に手をのばす。
「神父様。全部読み終わりました」
最後の本を読み終わると、神父様に声をかける。
「実はこの本は読み手が内容を理解していないと、ページがめくれないようになっている。
ふつうの聖女候補なら、これだけの本を読み終えるのに数年は要する。
けど、やはりアナタは凄い。
これで聖女教育はおわりです。
フラン様。
サクラダに最強の聖女が誕生しました」
「聖女ってだけでおこがましいのに、最強だなんて言われると恥ずかしいです」
耳たぶまで真っ赤にして照れていると、礼拝堂の扉が荒々しく開かれた。
「たいへんだ!
岬の村の結界がもうもたない」
弾かれるよう飛び込んできたのは、キキとその部下達だ。
「わかったわ。
岬の村へ案内してください」
さっそく聖女としての仕事が始まった。
「アナタがあの石に手を置いた瞬間、石の色が変わります。
その色で魔力の種類や力の程度がわかるのです。
が、ここ数年魔力を持っている人間は見つかってません。
だから。もしアナタが魔力持ちじゃなくても、気になさらないでください。
では、あの石の上に手を置いてください」
「はい」
言われたとおり石の上に手を置いた瞬間、神父様は叫び声をあげて凍り付く。
「なんとアナタの魔力は強すぎて測定不可能のようだ!
この色は奇跡の色と呼ばれているんですよ。
長い間ここにいますが、おめにかかるのは私も初めてです」
私の髪や瞳と同じ色が奇跡の色だなんて言われてとても喜しかったけれど、
「え? そうなんですか」
と、銀や金、ピンク色に色を変えながら輝く石を見て首を傾げた。
「やっぱりね。
僕の思ったとおりになった」
満足そうに笑うフラン様に、落ち着きをとり戻した神父様がとんでもない提案をする。
「そうとなれば、さっそく聖女教育にとりくんではいかがでしょう。
これほどの魔力ならばさして時間もかからないでしょうから」
えええ。私が聖女様って。
似合わないにもほどがあるでしょ。
とまどう私の肩をフラン様がそっと抱きしめて耳元でささやく。
「たしかにこの国に聖女は必要だけど、アイリーンに無理強いはしたくない。
嫌なら断ってもいいんだよ」
少し憂いをおびた綺麗な顔で、思いやりたっぷりの言葉を言われたらこう言うしかない。
「私でよかったら、ぜひ聖女にさせてください。
聖女にしかできない仕事をして、フラン様のサクラダの力になりたいの」
フラン様のって部分にちょっと力がはいる。
「ほんとにいいのかい。アイリーン。
聖女の仕事は大変だぞ」
コクンと大きく頷く私を、「ありがとう。なんでも協力するよ」とフラン様は抱きしめた。
どんな時でもフラン様の胸の中は最高の居場所だ。
気持ちがとろけそうになっていると、近くからドスンと大きな音がする。
あわてて音の方へ視線を移せば、神父様が何冊もの分厚い本を床に積んでいっていた。
「お取り込み中なんですが、時間がありませんので。
今からさっそく聖女教育を始めます。
この本を上から順番に呼んでください」
「まあ、なんて立派な本なの。
私がリトルドリームで扱っていた本とは段違いね」
「はて。リトルドリームとは?」
神父様は顎に手をそえて、天井を見上げて悩んでいる。
その間に私は一番上の本を手にとってみた。
「なるほど。
興味深いわね」
アッというまに一冊を読破すると、次々に下にある本に手をのばす。
「神父様。全部読み終わりました」
最後の本を読み終わると、神父様に声をかける。
「実はこの本は読み手が内容を理解していないと、ページがめくれないようになっている。
ふつうの聖女候補なら、これだけの本を読み終えるのに数年は要する。
けど、やはりアナタは凄い。
これで聖女教育はおわりです。
フラン様。
サクラダに最強の聖女が誕生しました」
「聖女ってだけでおこがましいのに、最強だなんて言われると恥ずかしいです」
耳たぶまで真っ赤にして照れていると、礼拝堂の扉が荒々しく開かれた。
「たいへんだ!
岬の村の結界がもうもたない」
弾かれるよう飛び込んできたのは、キキとその部下達だ。
「わかったわ。
岬の村へ案内してください」
さっそく聖女としての仕事が始まった。
0
あなたにおすすめの小説
捨てられた元聖女ですが、なぜか蘇生聖術【リザレクション】が使えます ~婚約破棄のち追放のち力を奪われ『愚醜王』に嫁がされましたが幸せです~
鏑木カヅキ
恋愛
十年ものあいだ人々を癒し続けていた聖女シリカは、ある日、婚約者のユリアン第一王子から婚約破棄を告げられる。さらには信頼していた枢機卿バルトルトに裏切られ、伯爵令嬢ドーリスに聖女の力と王子との婚約さえ奪われてしまう。
元聖女となったシリカは、バルトルトたちの謀略により、貧困国ロンダリアの『愚醜王ヴィルヘルム』のもとへと強制的に嫁ぐことになってしまう。無知蒙昧で不遜、それだけでなく容姿も醜いと噂の王である。
そんな不幸な境遇でありながらも彼女は前向きだった。
「陛下と国家に尽くします!」
シリカの行動により国民も国も、そして王ヴィルヘルムでさえも変わっていく。
そしてある事件を機に、シリカは奪われたはずの聖女の力に再び目覚める。失われたはずの蘇生聖術『リザレクション』を使ったことで、国情は一変。ロンダリアでは新たな聖女体制が敷かれ、国家再興の兆しを見せていた。
一方、聖女ドーリスの力がシリカに遠く及ばないことが判明する中、シリカの噂を聞きつけた枢機卿バルトルトは、シリカに帰還を要請してくる。しかし、すでに何もかもが手遅れだった。
ムカつく悪役令嬢の姉を無視していたら、いつの間にか私が聖女になっていました。
冬吹せいら
恋愛
侯爵令嬢のリリナ・アルシアルには、二歳上の姉、ルルエがいた。
ルルエはことあるごとに妹のリリナにちょっかいをかけている。しかし、ルルエが十歳、リリナが八歳になったある日、ルルエの罠により、酷い怪我を負わされたリリナは、ルルエのことを完全に無視することにした。
そして迎えた、リリナの十四歳の誕生日。
長女でありながら、最低級の適性を授かった、姉のルルエとは違い、聖女を授かったリリナは……。
婚約破棄されたので、聖女になりました。けど、こんな国の為には働けません。自分の王国を建設します。
ぽっちゃりおっさん
恋愛
公爵であるアルフォンス家一人息子ボクリアと婚約していた貴族の娘サラ。
しかし公爵から一方的に婚約破棄を告げられる。
屈辱の日々を送っていたサラは、15歳の洗礼を受ける日に【聖女】としての啓示を受けた。
【聖女】としてのスタートを切るが、幸運を祈る相手が、あの憎っくきアルフォンス家であった。
差別主義者のアルフォンス家の為には、祈る気にはなれず、サラは国を飛び出してしまう。
そこでサラが取った決断は?
【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
私を溺愛している婚約者を聖女(妹)が奪おうとしてくるのですが、何をしても無駄だと思います
***あかしえ
恋愛
薄幸の美少年エルウィンに一目惚れした強気な伯爵令嬢ルイーゼは、性悪な婚約者(仮)に秒で正義の鉄槌を振り下ろし、見事、彼の婚約者に収まった。
しかし彼には運命の恋人――『番い』が存在した。しかも一年前にできたルイーゼの美しい義理の妹。
彼女は家族を世界を味方に付けて、純粋な恋心を盾にルイーゼから婚約者を奪おうとする。
※タイトル変更しました
小説家になろうでも掲載してます
婚約者に騙されて巡礼をした元貧乏の聖女、婚約破棄をされて城を追放されたので、巡礼先で出会った美しい兄弟の所に行ったら幸せな生活が始まりました
ゆうき
恋愛
私は婚約者に騙されて、全てを失いました――
私の名前はシエル。元々貧しいスラムの住人でしたが、病弱なお母さんの看病をしていた時に、回復魔法の力に目覚めました。
これで治せるかと思いましたが、魔法の練習をしていない私には、お母さんを治せるほどの力はありませんでした。
力があるのに治せない……自分の力の無さに嘆きながら生活していたある日、私はお城に呼び出され、王子様にとある話を持ちかけられました。
それは、聖女になって各地を巡礼してこい、その間はお母さんの面倒を見るし、終わったら結婚すると言われました。
彼の事は好きではありませんが、結婚すればきっと裕福な生活が出来て、お母さんに楽をさせられる。それに、私がいない間はお母さんの面倒を見てくれる。もしかしたら、旅の途中で魔法が上達して、お母さんを治せるようになるかもしれない。
幼い頃の私には、全てが魅力的で……私はすぐに了承をし、準備をしてから旅に出たんです。
大変な旅でしたが、なんとか帰ってきた私に突きつけられた現実は……婚約などしない、城から追放、そして……お母さんはすでに亡くなったという現実でした。
全てを失った私は、生きる気力を失いかけてしまいましたが、ある事を思い出しました。
巡礼の途中で出会った方に、とある領主の息子様がいらっしゃって、その方が困ったら来いと仰っていたのです。
すがる思いで、その方のところに行く事を決めた私は、彼の住む屋敷に向かいました。これでダメだったら、お母さんの所にいくつもりでした。
ですが……まさか幸せで暖かい生活が待ってるとは、この時の私には知る由もありませんでした。
聖女をクビにされ、婚約者も冷たいですが、優しい義兄がいるので大丈夫です【完結】
小平ニコ
恋愛
ローレッタは『聖女』として忙しいながらも充実した日々を送っていたが、ある日突然上司となった無能貴族エグバートの機嫌を損ね、『聖女』をクビとなり、住んでいた寮も追放されてしまう。
失意の中、故郷に戻ったローレッタ。
『聖女』でなくなったことで、婚約者には露骨に冷たい態度を取られ、その心は深く傷つく。
だが、優しい義兄のおかげで少しずつ元気を取り戻し、なんとか新しい生活に馴染み始めたころ、あのエグバートから手紙が届いた。『大変なことになっているから、今すぐ戻ってこい』と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる