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三十二、ナール宰相との再会
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「ようこそローズウッド王女様。
あなたが我が国におこしくださり、感激のいたりでございます」
恰幅のよい紳士が恭しく頭を下げる。
その立派な髭には見覚えがあった。
どこだったかしら。
「ナール宰相だ。
彼は先王の時から使えてくれている。
たしかあなたとは、すでに面識があったと思うが」
レオ王からこう紹介される。
やはりね。
どこだったかしら。
思い出せそうで思い出せない。
もどかしいわ。
「女王様に結婚の許可を願いにいく途中で、王宮内で出くわしただろう」
視線を天井に移し考えていると、レオ王が耳打ちをする。
「ああ。そうでしたわね。
あの時は大胆なご意見をいただき、感服いたしましたわ」
『このようなことをを申し上げるのは、不謹慎だと承知の上ですが、こうしてはいかがでしょう。
ダリア王女様を妻にめとってから半年後に、その方を側妃に召し上げるというのは』
脳内にあの宰相の言葉が再生された。
「今日はずいぶん様子が違うので、一瞬誰かわかりませんでした。
失礼しましたわ。
そうそう。
ナール宰相は、妹のダリアの大ファンでしたわね。
なのに嫁いできたのが姉の私の方なので、落胆しているのじゃないかしら」
小首を傾げて微笑む。
すると顔色を変えたナール宰相が、激しく咳こみながら、私の言葉を強く否定する。
「め、めっそうもありません。
ダリア王女様はもちろん素敵なお方ですが、私は最初からローズウッド王女様の方が好きでございました」
宰相は髭をゆらせながら、胸の前で広げた両手を何度も左右にふった。
そんな様子が失礼ながら可愛い。
カラカイがいのあるお爺様ね。
「そんなにムキになるところを見ると、ひょとして図星だったのかしらね」
「いやはや、なんという誤解。
私はただ、ストーン国の為に魔力が欲しかっただけで」
宰相はついに額に冷や汗をかき出した。
「私から一つ提案をさせてもらう。
ローズウッド王女、そろそろナール宰相を許してあげてもいいのでは」
先ほどから私達のやりとりを面白そうに眺めていたレオ王が目配せをする。
「ふふふ。
王命ならしかたがありませんね。
ごめんなさいね、ナール宰相。
少し冗談が過ぎました」
そう言いながら、年老いた宰相の両手をギュッと握りしめた。
「いやはや。
さっきので、寿命が軽く十年は縮みました」
ホッとした様子で、肩を落としたナール宰相が漏らした言葉に、周囲から笑いがおこる。
そんな中でもさっきの黒衣の女はクスリともしない。
キュッと口をひき結び、私を見つめる彼女の瞳には怒りの色が見える。
それは嵐のように激しく、一瞬で私の心を折ってしまった。
あなたが我が国におこしくださり、感激のいたりでございます」
恰幅のよい紳士が恭しく頭を下げる。
その立派な髭には見覚えがあった。
どこだったかしら。
「ナール宰相だ。
彼は先王の時から使えてくれている。
たしかあなたとは、すでに面識があったと思うが」
レオ王からこう紹介される。
やはりね。
どこだったかしら。
思い出せそうで思い出せない。
もどかしいわ。
「女王様に結婚の許可を願いにいく途中で、王宮内で出くわしただろう」
視線を天井に移し考えていると、レオ王が耳打ちをする。
「ああ。そうでしたわね。
あの時は大胆なご意見をいただき、感服いたしましたわ」
『このようなことをを申し上げるのは、不謹慎だと承知の上ですが、こうしてはいかがでしょう。
ダリア王女様を妻にめとってから半年後に、その方を側妃に召し上げるというのは』
脳内にあの宰相の言葉が再生された。
「今日はずいぶん様子が違うので、一瞬誰かわかりませんでした。
失礼しましたわ。
そうそう。
ナール宰相は、妹のダリアの大ファンでしたわね。
なのに嫁いできたのが姉の私の方なので、落胆しているのじゃないかしら」
小首を傾げて微笑む。
すると顔色を変えたナール宰相が、激しく咳こみながら、私の言葉を強く否定する。
「め、めっそうもありません。
ダリア王女様はもちろん素敵なお方ですが、私は最初からローズウッド王女様の方が好きでございました」
宰相は髭をゆらせながら、胸の前で広げた両手を何度も左右にふった。
そんな様子が失礼ながら可愛い。
カラカイがいのあるお爺様ね。
「そんなにムキになるところを見ると、ひょとして図星だったのかしらね」
「いやはや、なんという誤解。
私はただ、ストーン国の為に魔力が欲しかっただけで」
宰相はついに額に冷や汗をかき出した。
「私から一つ提案をさせてもらう。
ローズウッド王女、そろそろナール宰相を許してあげてもいいのでは」
先ほどから私達のやりとりを面白そうに眺めていたレオ王が目配せをする。
「ふふふ。
王命ならしかたがありませんね。
ごめんなさいね、ナール宰相。
少し冗談が過ぎました」
そう言いながら、年老いた宰相の両手をギュッと握りしめた。
「いやはや。
さっきので、寿命が軽く十年は縮みました」
ホッとした様子で、肩を落としたナール宰相が漏らした言葉に、周囲から笑いがおこる。
そんな中でもさっきの黒衣の女はクスリともしない。
キュッと口をひき結び、私を見つめる彼女の瞳には怒りの色が見える。
それは嵐のように激しく、一瞬で私の心を折ってしまった。
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